お泊りデイサービスとは?業務内容や人員体制、ショートステイとの違い

介護の仕事 2025年5月1日
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この記事のまとめ

介護職員の方のなかには、「お泊りデイサービスとは?」「ショートステイとの違いは?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。お泊りデイサービスとは、日中のデイサービスの延長として施設が運営する宿泊サービスのことです。この記事では、お泊りデイサービスの概要や仕事内容、介護職員の1日の業務の流れを解説します。ショートステイとの違いや働くメリットも紹介するので、ぜひご一読ください。

目次

お泊りデイサービスとは

お泊りデイサービスとは、要介護認定を受けている方や認知症の高齢者の方など、見守りや支援が必要な人を対象にした、短期間の宿泊サービスです。日中に引き続き、施設を宿泊にも利用できます。

お泊りデイサービスの主な目的は、介護する方のレスパイト(息抜き)です。介護者の方が、「急な出張が入った」「冠婚葬祭で介護できない日がある」「病気になってしまった」といったときに活用されます。また、ショートステイが近くになかったり、予約が埋まっていたりする際に利用することもあるようです。

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お泊りデイサービスの概要

お泊りデイサービスは介護保険の適用外で、デイサービスが独自に提供するサービスです。厚生労働省は2015年に、利用する事業所ごとにサービスの質が異なる状態を改善するため、ガイドラインとして「指定通所介護事業所等の設備を利用し夜間及び深夜に指定通所介護等以外のサービスを提供する場合の事業の人員、設備及び運営に関する指針について」を定めました。

以下では、厚生労働省や自治体の定める指針をもとに、お泊りデイサービスの定員数や利用者層、利用期間などを説明します。

定員数

厚生労働省の「指定通所介護事業所等の設備を利用し夜間及び深夜に指定通所介護等以外のサービスを提供する場合の事業の人員、設備及び運営に関する指針について:第3‐1 利用定員」によると、お泊りデイサービスの定員数は最大9名まで、かつ日中のデイサービスを利用する定員の半分以下です。

定員数19名以上の一般的なデイサービスのほかにも、「地域密着型デイサービス」や「認知症対応型デイサービス」が宿泊に対応している場合があります。

同省の「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護(改定の方向性)」によると、1日の利用定員は、地域密着型デイサービスは18名以下、認知症対応型デイサービスは12名以下です。

お泊りデイサービスの利用定員は施設の種類によって異なり、最大6名~9名が利用できます。

利用者層

お泊りデイサービスは介護保険適用外の自費サービスですが、デイサービスの利用者さんが泊まりのサービスも併用するのが一般的です。そのため、デイサービスの利用対象者である要介護・要支援認定を受けている方が主な利用対象者となります。

要介護認定を受けてサービスを利用できるのは、65歳以上でサポートが必要な方と、40歳~64歳で特定疾病を患う方です。

利用期間

お泊りデイサービスの利用期間の上限は、国によって明確に定められているわけではありません。連続して宿泊できる期間の上限は、自治体によって異なりますが、30日程度とする場合が多いようです。たとえば、大阪府や広島県の指針には「原則30日」と記載があります。

人員配置基準

厚生労働省の「指定通所介護事業所等の設備を利用し夜間及び深夜に指定通所介護等以外のサービスを提供する場合の事業の人員、設備及び運営に関する指針について:第2 人員に関する指針」によると、お泊りデイサービスの人員配置の基準は以下のとおりです。

  • 宿泊時の夜間は、介護職員または看護職員を常時1人以上、夜勤職員として配置する
  • 宿泊時に勤務する介護職員は、介護福祉士資格の保持者や、介護福祉士実務者研修、介護職員初任者研修を修了した方が望ましい(介護の知識や経験がある職員を介護職員として配置する)

上記に加え、お泊りデイサービスで食事を提供する際は、食事介助に必要な人数を配置しておくことも必要と定められています。

設備基準

同指針(第3‐2 設備及び備品等)によると、お泊りデイサービスの宿泊室に関する基準は以下のとおりです。

  • 宿泊する居室の定員は原則1人まで(希望や必要性によっては2人も可)
  • 個室以外の宿泊室を設ける場合は必要な広さを確保し、一室4人以下を定員とするかつ、家具やパーテションで仕切る(カーテンは不可)
  • 夫婦で同室を希望するといった事情がある場合を除き、男女の相部屋は原則不可

宿泊室に関しては、宿泊に必要な広さが確保されていることや、プライバシーに配慮した環境を整えることが義務付けられています。このほか、消化設備や災害に備えた設備を整えることも、お泊りデイサービスの設備基準です。

運営基準

同指針(第4:運営に関する指針)によると、お泊りデイサービスの運営に関する基準として、以下のようなことが必要と定められています。

  • サービスの概要や利用期間を、利用者さんやご家族に説明して同意を得る
  • 宿泊サービスの提供時間帯には、必要な人数の介護職員や看護職員を配置する
  • 宿泊サービスを提供する事業者は、宿泊サービスの従業者から責任者を定める

お泊りデイサービスの事業者は、宿泊サービスの提供にあたって、利用者さんやご家族に文書で説明して同意を得ることが必須です。また、お泊りサービスを提供した日や内容、利用者さんの精神面や身体面の状況を記録し、必要があれば利用者さんに提供することも求められます。

お泊りデイサービスの介護職員の仕事内容

お泊りデイサービスの介護職員の仕事内容は、「食事の提供および介助」「移動や排泄などの介助」「入浴や更衣の介助」など、幅広いのが特徴です。ここでは、お泊りデイサービスで介護職員が提供する仕事内容を紹介します。

食事の提供および介助

お泊りデイサービスで提供するサービスの一つが、食事の提供および介助です。介護職員は、利用者さんの好みや身体の状況に応じて、食べやすい形状のメニューを提供したり、食事介助をしたりします。
一般的に、お泊りサービスでは、宿泊当日の夕食と翌朝の朝食を利用者さんに提供するようです。

移動や排泄などの介助

日中のデイサービスと同様に、移動介助やトイレ介助などの日常生活における支援も、お泊りデイサービスの介護職員の仕事です。
車イスの移動・移乗介助や、部屋やトイレへの歩行の介助をします。排泄介助では、オムツ交換やトイレ介助など、利用者さんの状態に応じた介助を行うことが必要です。

入浴や更衣の介助

お泊りデイサービスで働く介護職員は、入浴介助や入浴に伴う更衣介助も行います。ただし、入浴介助のタイミングは、利用者さんの意向や事業所によってさまざま。日中のデイサービスの時間帯から滞在している利用者さんの場合、夕方までに入浴を済ませる場合も多いようです。

就寝や起床の介助

お泊りデイサービスでは、就寝や起床に伴う介助も行います。利用者さんの就寝前や起床後に、口腔ケアの介助や更衣介助、オムツ交換などを行うのが介護職員の役割です。朝は利用者さんのバイタル測定や整容の介助も行います。

レクリエーションや行事の企画・運営

レクリエーションや行事の企画・実行も、お泊りデイサービスで働く介護職員の仕事です。お泊りデイサービスでは、交代制や担当制で、利用者さんの心身機能を維持・向上させるためのレクリエーションを企画します。

レクリエーションの例は、カラオケやクイズ、折り紙などです。また、季節のイベントとして、クリスマス会や夏祭りを行う場合もあります。レクリエーションは、利用者さんの声や表情を観察し、些細な変化を読み取るための貴重な時間でもあるでしょう。

送迎業務

お泊りデイサービスは、車で利用者さんの送迎をするのが一般的です。送迎に使用する車の種類や、介護職員が運転するかどうかは、事業所によって異なります。介護職員が運転することもあれば、専任のドライバーが運転することもあるようです。

利用者さんが車の乗り降りをする際や玄関と車までの移動の際は、ケガをしないよう安全を確保しながら、移動介助や見守りを行うことが大切です。

お泊りデイサービスで働く介護職員の1日の流れ

ここでは、お泊りデイサービスで働く介護職員の1日の流れを紹介します。

日勤のスケジュール例

お泊りデイサービスにおける、日勤の介護職員の業務スケジュール例は、以下のとおりです

時間仕事内容
午前8時30分出勤。夜勤帯の介護職員からの引き継ぎを確認
午前9時利用者さんを自宅に迎えに行く
午前9時30分健康状態や当日の体調確認
午前10時機能訓練の実施・入浴介助
正午昼食の配膳・食事介助
午後1時休憩(交代で休憩を取る)
午後2時レクリエーションやイベントの実施
午後3時おやつ、軽食の配膳・食事介助
午後3時30分おやつ、軽食の片付け・夕方までの利用者さんの帰宅準備
午後4時30分帰宅する利用者さんを自宅まで送る
午後5時30分夜勤帯の介護職員に引き継ぎを実施。退勤

日勤では、主にレクリエーションやイベント、機能訓練などを行います。また、職員がフロアから離れて行う入浴介助も、人員が多い日中に行う場合が多いようです。

夜勤のスケジュール例

お泊りデイサービスにおける、夜勤の介護職員の業務スケジュール例は以下のとおりです。

時間仕事内容
午後5時出勤。日中の介護職員から引き継ぎを受ける
午後5時30分夕食の配膳・食事介助
午後7時夕食の片付け・自由時間の見守り・清掃
午後8時歯磨きや着替えの介助・就寝介助
午後9時~書類整理排泄介助施設内の巡回休憩・仮眠(1~2時間程度)
午前6時起床介助・身支度のサポート・着替えの介助
午前7時朝食の配膳・食事介助
午前8時30分日中の介護職員への引き継ぎを実施
午前9時退勤

お泊りデイサービスの夜勤では、夕食や翌朝の朝食の食事介助や、就寝時や起床時の介助を行います。なお、上記は準夜勤と深夜勤が分かれていない場合のスケジュール例です。

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お泊りデイサービスとショートステイの違い

お泊りデイサービスと似た機能を持つ介護サービスに「ショートステイ」があります。ここでは、お泊りデイサービスとショートステイの違いを「利用者層」「滞在期間」「仕事内容」の観点から説明します。

利用者層

お泊りデイサービスやショートステイは、一般的に要支援・要介護認定を受けている方が利用します。デイライトとショートステイの利用対象者は同じですが、実際の利用者層は少し異なるようです。

厚生労働省の資料「通所介護の要介護度割合」と「短期入所生活介護の要介護度割合」を比べると、デイサービスのほうが平均要介護度が低く、ショートステイのほうが平均要介護度が高いと分かります。

滞在期間

前述したように、お泊りデイサービスの利用期間の上限は、連続30日までを上限とする自治体が多くなっています。ただし、利用者さんが滞在できる期間は、お泊りデイサービスの事業所を管轄する市区町村によって異なり、国による明確なルールはありません。

一方、ショートステイは利用者さんの連続滞在期間は、「最大30日まで」と国が明確に定めています。「介護認定期間の半分を超えない範囲で連続30日以内まで」の条件を満たせば、長期間の滞在も可能です。

仕事内容

お泊りデイサービスとショートステイは、利用者層に違いがあるため、介護職員の仕事内容も異なります。

厚生労働省の「資料4:短期入所生活介護(p.11)」によると、18.5%のショートステイで、1年以内に看取り期の利用者さんの受け入れを実施した実績がありました。一方、お泊りデイサービスで働く介護職員は、看取り期の利用者さんに対応する機会は少ない傾向があります。

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介護職員がお泊りデイサービスで働くメリット

ここでは、お泊りデイサービスのメリットを紹介します。お泊りデイサービスで働くことを検討している方は、施設のイメージをつかんでおきましょう。

  • 夜勤を行うことで収入アップにつながる
  • ほかの施設で夜勤をするよりも負担が少ない傾向がある
  • 事業所によっては夕食を無料で食べられる

お泊りデイサービスで夜勤に携わる場合、午後10時~午前5時の時間帯の労働に深夜割増賃金が適用されるため、日勤のみのデイサービスに比べて高収入を目指せます。利用者さんが少人数なので、入居型の介護施設よりも夜勤の負担が比較的少ないのもメリットです。

また、利用者さんに提供する食事に問題がないか確認する「検食」によって、食事が無料提供される場合があります。

お泊りデイサービスについてよくある質問

ここでは、「お泊りデイサービスとは?」と気になる方に向けて、よくある質問をまとめました。

お泊まりデイサービスは長期滞在できるの?

お泊りデイサービスは入居施設ではないため、基本的に長期滞在はできません。利用者さんの孤独解消や介護者のリフレッシュなどを目的に、短期間で利用することを想定しています。厚生労働省による滞在期間の定めはありませんが、連続して利用できる日数の上限は30日までとしている自治体が多いようです。詳しくはこの記事の「利用期間」をご覧ください。

日勤のみのデイサービスとお泊りデイサービスの違いは?

日中のデイサービスでは、レクリエーションやイベント、身体機能を維持するための体操などを主に行います。一方、お泊りデイサービスの夜間業務は、日中に比べてレクレーションや体操などが少なく、就寝までのサポートや起床前後の見守りがメインです。詳しくは「デイサービスの夜勤の仕事内容は?働くメリットや勤務の注意点を解説」をご覧ください。

お泊りデイサービスの求人選びのコツは?

お泊りデイサービスの求人選びのコツは、職場の人員配置やマニュアル、教育体制を確認することです。厚生労働省が定める、夜間におけるお泊りデイサービスの人員配置の基準は、「介護職員」または「看護師・准看護師」が1人以上。利用定員数が他の施設形態と比較して少ないものの、介護業務や夜勤帯に慣れていない介護職員にとって、1人での夜勤は不安を感じるかもしれません。
お泊りデイサービスの仕事をこなせるか不安な場合は、応募前に「夜間に複数人の職員で対応できるか」「マニュアルが整備されているか」「教育体制が整っているか」などを確認しておくと良いでしょう。

まとめ

お泊りデイサービスは、日中のデイサービスの延長として施設が運営する宿泊サービスです。利用定員は9名までと小規模という特徴があります。お泊りデイサービスで働く介護職員の仕事内容は、日中のデイサービスと同じ食事・排泄・移動などの介助に、就寝時や起床時のサポートを加えたものです。

なお、お泊りデイサービスに似たサービスとしてショートステイがありますが、利用者層やサービス内容が異なります。

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執筆者

  • 「レバウェル介護」編集部

    お役立ち情報制作チーム

介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点

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※この記事の掲載情報は2025年5月1日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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