認知症介護実践者研修とは?資格の概要や取得するメリットを解説

介護の資格 2025年6月20日
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この記事のまとめ

「認知症介護実践者研修とはどんな資格?」という疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。認知症介護実践者研修とは、認知症ケアに特化した資格で、認知症介護の基本や支援のための具体的なアセスメント方法を学べます。公的資格で認知度が高いため、キャリアアップに効果的です。この記事では、認知症介護実践者研修の概要や受講要件、メリットなどを解説します。認知症ケアに興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

認知症介護実践者研修とは?

認知症介護実践者研修とは、認知症ケアの実践的な知識や技術を身につけることが目的の資格(研修)です。認知症ケアの基本を学ぶ「認知症介護基礎研修」の上位資格として位置づけられています。公的な資格のため信頼度が高く、取得すると認知症ケアのプロフェッショナルとして活躍できるでしょう。

認知症介護実践者研修は認知症介護研修の一つ

認知症介護研修は、認知症介護実践者研修を含めて以下の8種類あります。厚生労働省の「介護保険最新情報 Vol.1224(p.6)」を参考に、認知症介護研修の体系をまとめました。

認知症介護研修のイメージ

認知症介護実践者研修は「認知症介護実践リーダー研修」「認知症対応型サービス事業管理者研修」「小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修」の受講要件となっています。
また、認知症介護研修の指導者を養成する「認知症介護指導者養成研修」を受講するには、認知症介護実践者研修に加えて「認知症介護実践リーダー研修」の修了なども必要です。

上記から、認知症介護実践者研修課程の修了は、認知症介護のプロとしてキャリアアップしていくための通過点といえるでしょう。

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認知症介護実践者研修の受講要件

認知症介護実践者研修は、各都道府県の指定研修実施機関で受講できます。認知症介護実践者研修の具体的な受講要件は、主催する自治体によって異なるので、自分が受講する自治体のWebサイトを確認しましょう。ここでは、「東京都」「神奈川県」「埼玉県」「大阪府」の受講要件をご紹介します。

東京都で認知症介護実践者研修を受ける場合の受講要件

東京都における認知症介護実践者研修の対象者は、東京都内の介護施設・事業所に従事していて、認知症介護の経験が2年程度以上ある方です。ただし、下記は例外なので注意しましょう。

  • 足立区・豊島区内の介護保険施設や事業所に勤めている
  • 事務職や施設長、生活相談員等のみの経験がある

足立・豊島区内の介護保険施設・事業所に勤めている場合は、各区が実施する研修に申し込みます。

また、事務職・施設長・生活相談員などとしての実務経験は、認知症の介護経験には含まれません。認知症介護実践者研修を受講する方は、介護職員として認知症介護に従事した年数を確認しておきましょう。

神奈川県で認知症介護実践者研修を受ける場合の受講要件

神奈川県の認知症介護実践者研修には、市町村推薦枠と一般公募枠があります。一般公募枠の受講要件は、下記のすべてを満たすことです。

  • 神奈川県内の指定の介護保険施設や事業所で、介護・看護等の業務に従事している
  • 介護業務に2年以上従事した経験がある
  • 介護福祉士または介護福祉士相当の知識・技術がある
  • 認知症介護実践者研修を過去に修了していない
  • 所属する事業所が責任を持って受講させられる

神奈川県の一般公募枠で認知症介護実践者研修を受講するには、神奈川県内の施設や事業所に勤務していることや、介護業務に2年以上従事した経験などが求められます。
市町村推薦枠は、「今回の研修の受講で配置要件を満たす神奈川県内の事業者(横浜市・川崎市・相模原市を除く)」の職員が対象です。市町村推薦枠と一般推薦枠は同時に応募できないので注意しましょう。

埼玉県で認知症介護実践者研修を受ける場合の受講要件

埼玉県の認知症介護実践者研修には、優先枠・一般枠・その他枠があります。一般枠で受ける場合の受講要件は、下記のすべてを満たすことです。

  • 身体介護に関する基本的知識や技術を習得しており、身体介護の実務経験が2年以上ある
  • 研修期間中、継続してアセスメントや実践計画を検討する認知症の方の事例を、2つ程度準備できる
  • 埼玉県内(さいたま市を除く)の指定の介護保険施設や事業所に勤めており、所属長から受講の許可を受けている
  • パソコンやタブレット端末の使用環境が整っており、インターネットの資料をダウンロードして印刷できる

埼玉県の認知症介護実践者研修の受講要件には、事業所の所在地や実務経験の指定があるほか、パソコンやタブレット端末を問題なく使用できることも必要です。受講する際は、インターネット環境を早めに確認しておきましょう。

優先枠は、埼玉県内(さいたま市を除く)において、地域密着型事業所の管理者・計画作成担当者になる予定の人が対象。その他枠は、埼玉県内の介護事業所に従事していない人が対象です。認知症介護実践者研修には定員があるため、資格取得の必要性によって優先順位が付けられています。

大阪府で認知症介護実践者研修を受ける場合の受講要件

大阪府で認知症介護実践者研修を受ける場合の受講要件は、下記のすべてを満たすことです。

  • 大阪府内(大阪市内および堺市内を除く)の介護保険施設や事業所(地域密着型サービス事業所を除く)に従事している
  • 認知症介護基礎研修を修了しているか、同等以上の能力を有している
  • 身体介護に関する基本的知識や技術があり、2年程度の実務経験がある

大阪府も、2年程度の実務経験が、認知症介護実践者研修の受講要件です。なお、地域密着型サービス事業者に従事する介護職員等への研修については、大阪府内の市町村が指定する法人が実施しています。

認知症介護実践者研修取得の流れ

ここでは、認知症介護実践者研修を受講する流れをご紹介します。具体的な研修期間や受講方法を知り、資格取得までのスケジュールを立ててみましょう。

受講要件を満たしたうえで申し込みをする

事業所が所在する自治体が定める受講要件を満たしたら、研修実施機関に受講を申し込みます。認知症介護実践者研修のカリキュラムには、職場での実習が含まれているため、申し込みは個人ではなく就業先の施設長や管理者を通して行うのが一般的です。

申し込みの流れ

申し込み方法は研修実施機関によって異なり、郵送やファックス、インターネットなどで行います。申し込み期限を過ぎてしまうと受講できないので注意しましょう。受講が決定すると、郵送やメールなどで「受講決定通知」や「申込結果通知」が送られてきます。

なお、定員を超えた場合は受講できないこともあるようです。管理者候補や計画作成担当者になる予定の方が優先的に受講できる「優先枠」が設けられている自治体もあるので、あらかじめ優先枠の有無や要件を調べておくと良いでしょう。

認知症介護実践者研修の費用

東京都の認知症介護実践者研修は無料ですが、埼玉県は20,500円、神奈川県は20,000円と、自治体によって受講料は異なります。別途でテキスト代が発生する場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
また、職場で受講料の補助を受けられる可能性もあるので、上司に費用負担について聞いておくことをおすすめします。

認知症介護実践者研修を受講して報告書を提出する

認知症介護実践者研修に修了試験の実施義務はなく、指定のカリキュラムをすべて受講し、報告書を提出すれば修了証が交付されます。ただし、受講態度が悪かったり未提出の課題があったりする場合は、修了を認められないことがあるようです。
また、遅刻や早退、欠席も、原則として認められていません。受講できないことにならないよう、スケジュールやインターネット環境のチェックなどは前もって行いましょう。

認知症介護実践者研修のカリキュラム内容

厚生労働省の「介護保険最新情報 Vol.1224(p.25) 」によると、認知症介護実践者研修の標準カリキュラムは下記のとおりです。

  • 認知症ケアの理念・倫理と意思決定支援(180分)
  • 生活支援のためのケアの演習1(300分)
  • QOL を高める活動と評価の観点(60分)
  • 家族介護者の理解と支援方法(90分)
  • 権利擁護の視点に基づく支援(90分)
  • 地域資源の理解とケアへの活用(120分)
  • 学習成果の実践展開と共有(60分)
  • 生活支援のためのケアの演習2(240分)
  • アセスメントとケアの実践の基本(300分)
  • 職場実習の課題設定(240分)
  • 職場実習(4週間)
  • 職場実習評価(180分)

認知症介護実践者研修の講義では、認知症ケアの基本や、支援のための具体的なアセスメント方法などを学びます。さらに、自施設実習では、学びを活かしてアセスメントとケアを実践。実習での成果を報告書にまとめ、発表・提出します。認知症介護実践者研修を受講することで、専門知識に基づいた支援が行えるようになるでしょう。

認知症介護実践者研修の日程

認知症介護実践者研修の日程やスケジュール構成は、研修実施機関によって異なります。たとえば、東京都の認知症介護実践者研修の期間は、講義・演習6日間と自施設実習を合わせた約4週間です。
埼玉県の場合は、講義・演習が5日間、職場実習が4週間、職場実習評価・研修のまとめが1日となっています。

認知症介護実践者研修修了者の配置が必要な介護事業所

認知症ケアを提供する一部の事業所には、認知症介護実践者研修課程の修了者を配置することが義務付けられています。以下は、東京都保健局の指定地域密着型サービスの指定・運営基準を参考に、認知症介護研修の受講義務をまとめた表です。

計画作成担当者管理者代表者
認知症対応型通所介護事業所
(認知症対応型デイサービス)
なし・認知症介護実践者研修
・認知症対応型サービス事業管理者研修
なし
認知症対応型共同生活介護事業所
(グループホーム)
・認知症介護実践者研修・認知症介護実践者研修
・認知症対応型サービス事業管理者研修
・認知症対応型サービス事業開設者研修
小規模多機能型
居宅介護事業所(サテライト型を含む)
・認知症介護実践者研修
・小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修
・認知症介護実践者研修
・認知症対応型サービス事業管理者研修
・認知症対応型サービス事業開設者研修
看護小規模多機能型
居宅介護事業所(サテライト型を含む)
・認知症介護実践者研修
・小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修
・認知症介護実践者研修
・認知症対応型サービス事業管理者研修
・認知症対応型サービス事業開設者研修

参考:東京都福祉局「東京都認知症介護研修の概要」

認知症対応型通所介護事業所や認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)などの管理者には、認知症介護実践者研修の修了が求められます。また、計画作成担当者の要件として、認知症介護実践者研修の修了が定められている事業所もあるようです。

認知症対応型の介護事業所において、管理者や計画作成担当者へのキャリアアップを考えているなら、認知症介護実践者研修は押さえておく必要があるでしょう。なお、自治体によって、介護事業所の管理者の要件は異なる場合があるため、自分が勤務する自治体の配置義務を確認しておくと安心です。

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認知症介護実践者研修は難しい?

「認知症介護実践者研修は難しいの?」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。ここでは、認知症介護実践者研修の難易度を解説します。

カリキュラム自体の難易度は高め

前述のとおり、認知症介護実践者研修に修了試験の実施義務はないため、指定のカリキュラムをすべて受講して報告書を提出すれば、修了証が交付されます。きちんとカリキュラムを受講すれば修了でき、「試験に合格しなければ資格が取れない」というわけではないので、過度に難易度を意識する必要はないでしょう。

ただし、カリキュラムの内容は、認知症介護基礎研修よりも実践的な内容になります。そのため、研修自体の難易度が高いと感じる場合はあるかもしれません。

報告書をまとめるのが大変

研修実施機関によっては、自施設実習後の「職場実習評価」で、実習の成果や今後の課題などを報告書にして提出する必要があり、それをまとめるのが難しいという意見もあります。働きながら受講するため、「報告書を作成する時間がない」という大変さもあるようです。

応募者が多いと抽選に漏れてしまう可能性がある

認知症介護実践者研修は、定員を設けている場合が多いようです。そのため、応募者が多数集まった場合は、定員調整を行うことも。「○月までに受講しよう」と思っても、抽選に漏れてしまえば受けられません。定員数や実施回数が少ない自治体の場合、受講の難易度が高くなってしまうことがあるようです。

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認知症介護実践者研修を取得する3つのメリット

最後に、認知症介護実践者研修を取得するメリットを3つご紹介します。資格を取得しようか迷っている方は、メリットをチェックしてみましょう。

1.認知症ケアのプロとして携われる業務の幅が広がる

認知症介護実践者研修を取得することで、認知症ケアの専門知識を持っている人材として評価され、業務の幅が広がるでしょう。

下位資格である認知症介護基礎研修で学べるのは、認知症ケアの基本中の基本です。それに対して、認知症介護実践者研修では、事例をもとにアセスメントを実践したり、2週間にわたる自施設実習を行ったりします。そのため、受講することで、実務に直結する認知症ケアのスキルを身につけられるでしょう。

2.職場によって資格手当がつく可能性がある

認知症介護実践者研修課程を修了すると、施設や事業所によっては数千~数万円の資格手当がつく場合があります。認知症介護実践者研修を受講するには、要件を満たさなければならないので、誰でも簡単に目指せるわけではありません。自治体が主催する公的な資格で信頼が厚いため、取得すれば役職に抜擢される可能性もあるでしょう。
資格を活かして計画作成担当者や管理者になれば、職務手当がプラスされ、収入がアップするかもしれません。

3.スキルを証明できるため転職に有利になる

介護業界の転職は、無資格・未経験でもそれほど難しくありません。しかし、スキルを証明できる資格があれば、転職を有利に進められます。
また、認知症介護実践者研修は、デイサービスにおける認知症加算の算定要件の一つです。そのため、認知症介護実践者研修課程修了者を採用したいと考える事業所は少なくありません。

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認知症介護実践者研修に関するよくある質問

ここでは、認知症介護実践者研修に関するよくある質問に回答します。「認知症介護実践者研修に興味がある」「認知症介護のスキルを磨きたい」という方は、ぜひチェックしてみてください。

認知症介護実践者研修を修了すると認知症加算を算定できる?

認知症介護実践者研修の修了だけでは、認知症加算を算定できないものの、要件の一つをクリアできるようです。厚生労働省の「令和6年度介護報酬改定における改定事項について(p.56)」によると、認知症加算の算定要件の一つに「介護サービスを提供する時間帯を通じて、認知症介護に係る専門的な研修を修了した者を1名以上配置していること」とあります。「認知症介護に係る専門的な研修」とは、認知症介護実践者研修を含む認知症介護に特化した研修のことです。
認知症介護実践者研修の受講を検討している方は、この記事の「認知症介護実践者研修取得の流れ」もご覧ください。

認知症を学べる資格は何がある?

認知症介護に関する資格には、公的資格と民間資格があります。認知症を学べる公的資格の例は、「認知症介護基礎研修」「認知症介護実践者研修」「認知症介護実践リーダー研修」など。公的資格は信頼度が高く、認知症対応型のデイサービスや、認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)などの管理者を目指す際に活かせます。また、認知症に関する民間資格は、「認知症ケア専門士」「認知症ケア上級専門士」「認知症ケア准専門士」などです。
認知症介護の資格に興味がある方は、「【認知症介護の資格一覧】取得方法や試験の難易度、習得できるスキルを解説」の記事もあわせて参考にしてください。

まとめ

認知症介護実践者研修は、認知症ケアの実践的なスキルを身につけることを目的に設けられた公的な資格研修です。各都道府県が主体となって実施するため、受講要件は自治体によって異なります。日程や受講料も異なるので、認知症介護実践者研修の受講を考えている方は、自身が働く自治体の募集要項を確認してみてください。

認知症介護実践者研修は、カリキュラムの受講と演習レポートの提出のみで、修了試験は義務付けられていません。カリキュラムの内容の難易度は高めですが、すべての研修日程に参加してレポートを提出すれば、資格を取得することが可能です。

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執筆者

  • 「レバウェル介護」編集部

    お役立ち情報制作チーム

介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点

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※この記事の掲載情報は2025年6月20日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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