介護職のための緊急時の対応マニュアル!救急車を呼ぶ基準や観察項目を解説

介護の知識 2024年6月13日
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緊急を要する老人に声をかけている女性

この記事のまとめ

夜勤中など「緊急時の対応を確認しておかないと不安…」という介護職員も多いのではないでしょうか? 緊急時の対応は、介護職員としてしっかり理解しておく必要があります。そこで本記事では、介護施設における緊急時の対応を分かりやすくマニュアル化しました。緊急時の対応は手順を把握して、状況を何度もイメージしておくことが大切です。本記事を読み、緊急時に介護職が取るべき対応を把握して不安をなくしていきましょう。

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目次

介護職が緊急時の対応マニュアルを把握しておくべき理由

介護施設で働く介護職員が緊急時の対応マニュアルを把握しておくべき理由は次の3つです。

  • 夜間は看護師がいない施設も多い
  • 介護職は利用者さんの変化にいち早く気づける立場である
  • 脳梗塞など、発見が早いことで予後が大きく変わる病気もある

日勤帯は、看護師などの医療職が在籍している場合が多いですが、夜勤帯は介護職員だけで勤務する介護施設も珍しくありません。日本医療労働組合連合の介護施設夜勤実態調査によれば、介護施設の約3割が「夜間急変対応あり」という状況です。利用者さんの普段の様子を一番近くで見る介護職員という立場だからこそ、小さな変化にも気付きやすいはず。脳梗塞など、対応を急ぐべき急変に遭遇する可能性もあるでしょう。

万が一のときに、迷わず迅速な対応ができるよう、しっかりと緊急時の対応マニュアルを把握しましょう。

日本医療労働組合連合「2022年介護施設夜勤実態調査結果概要」(2023年05月31日)

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緊急時の対応をするときの心構え

緊急時の対応をする心構えとして、下記の3つが挙げられます。

  • 落ち着いて行動する
  • 利用者さんを安心させる
  • ひとりで解決しようとしない

落ち着いて行動し、利用者さんを安心させる対応はとても重要ですが、多くの場合、慌ててしまい普段どおりの対応ができません。そのため、緊急時はひとりで解決しようとするのではなく、他の職員を頼ることも必要です。

緊急時に落ち着いて対応できる人とそうでない人の違いは能力の差ではありません。普段から手順をしっかりとイメージし、自分がすべきことやその手順、また頼るべき人を頭の中で整理することが大切です。

施設利用者さんの急変時に介護職員が取るべき緊急対応の手順

緊急時の対応を具体的に確認していきましょう。「緊急時」といっても状況はさまざまですが、本記事では、利用者さんが急変し、救急搬送が必要な場合を例に解説します。

安全を確保して二次的な事故を防ぐ

当事者である利用者さんの安全を確保するのは当然ですが、他の利用者さんの安全を確保しておくことも忘れてはいけません。急変があった場合、1人の利用者さんに多くの時間を割くことになるため、他の利用者さんの安全確保は早い段階で済ませておきましょう。

転倒した場合などでは、杖や倒れた椅子などが床に散乱している場合もあります。周囲の状況を確認して、安全確保に努めましょう。

その場を離れずに応援を呼ぶ

急変や事故を発見した場合、発見した介護職員はその場を離れないのが基本です。その場を離れず、利用者さんの変化に対応したり、安全確保に努めたりしましょう。大声やPHSなどで応援を呼び、必要であればAEDも依頼することを忘れずに覚えておきましょう。

119番通報や医療職への相談をする

利用者さんの状態に応じて、救急車の要請や看護師へのオンコールを行います。呼吸困難や大量出血など、明らかに急を要する場合は、すぐに救急車を要請してください。救急車の要請を迷うような症状の場合は、オンコールで看護師に状態の説明を行い、指示を仰ぎましょう。

救急車が来るまでに状況を整理する

救急車が到着したら、救急隊に下記のような利用者さんの状況を伝える必要があります。

  • 発見から現在までの状況
  • 既往歴や服用している薬、ADL等の状態
  • 延命措置の意向

上記3つを救急隊が到着する前に把握しておくのが理想です。介護施設の場合は、これらの情報をまとめてファイリングしてあることが多いため、夜勤に入るときなどは保管場所を確認してきましょう。

家族に連絡する

入院や手術が必要な場合、家族の同意書が必要になるため、家族への連絡も忘れずに行いましょう。主に現在に至るまでの説明や搬送先の情報を伝えます。場合によっては延命措置の意向の再確認も必要かもしれません。延命措置の意向は、事前に確認を取っている場合が多いですが、そのときになって意向が変わることも珍しくありません。しっかり確認を取りましょう。

介護事故報告書を作成する

事故の場合は、事故報告書の作成も必要です。救急搬送があった場合などは、施設に戻ってから作成することになるため、記録をしている時間がないときは、あとで時系列を見直せるよう、メモを取っておきましょう。

事故報告書の書き方は「【例文あり】介護現場での事故報告書の書き方を解説!上手に書くポイントも」で詳しく解説しているので、自信がない人は参考にしてみてください。

【事例別】急変時に介護職員が観察すべき項目

ここでは、すぐに病院受診ができない場合や様子観察の指示がある場合などにおいて、介護職員が観察すべき項目について事例別に解説します。観察すべき項目が理解できていると、申し送りもスムーズにでき、医療職からの指示も的確に仰ぐことができます。しっかりと覚えておきましょう。

利用者さんが熱発したとき

熱発したときは、バイタル測定を行い、体温が高い場合はクーリングで対応するのが基本です。このとき、服薬の指示があれば解熱剤などを使用する場合もあります。発汗や下痢、嘔吐など熱発に伴う他の症状の有無を観察・記録しておきましょう。

利用者さんが嘔吐したとき

感染性のウイルスの飛散などを防ぐため、嘔吐した際の対応は施設の嘔吐物の扱いに関するマニュアルを確認し必ず従いましょう。嘔吐を発見したらバイタル測定を行い、吐物の形状、色、量、回数などを観察・記録します。また、窒息防止のため、側臥位にして休んでもらうのを忘れないようにしましょう。

利用者さんが骨折した疑いがあるとき

転倒などで利用者さんが骨折した疑いがあるときは、バイタル測定とボディチェックを行いましょう。痛みや腫れがある場所を確認して、様子をしっかりと記録します。骨折の場合、骨がずれたり、解放骨折になってしまったりしないように身体をむやみに動かさないのが基本です。床などで倒れているのを発見した場合「ベッドに運んであげたい…」と感じるかもしれませんが、医療職に確認を取ってから行うのがベストです。

入浴時に急変したとき

介護施設では、利用者さんが入浴中に意識障害が生じる場面もあるでしょう。湯船に浸かっているときであれば、すぐに湯船から出すかお湯を抜く対応をします。すぐに意識が戻った場合でも、その日の入浴は中止し、バイタル測定をして看護師の指示を仰ぎましょう。

意識が戻らない場合は、救急要請が必要です。

救急車を要請すべき症状一覧

緊急時に遭遇した経験が少ない場合、救急車を呼ぶべきか否か迷ってしまうこともあるでしょう。そこで、救急車を呼ぶべき症状を一覧で紹介します。それぞれの具体的な対応は、利用者さんの状態によって異なり、看護師へのオンコール体制が整っている施設などでは、看護師の判断によるところが多いため、ここでは症状のみを紹介します。

  • 呼吸困難
  • 胸が締め付けられるような痛み
  • 頭を強く打っているときの嘔吐や吐き気
  • けいれん
  • 我慢できないほどの腹痛
  • 動けないほどの熱中症
  • 転倒時などの大量出血
  • 骨折の疑い

上記の症状に遭遇した場合は、看護師の指示を仰ぎながら、救急車の要請もできるだけ迅速に行えるように心がけましょう。

急変時の緊急対応で介護職員がやってはいけないNG対応

ここまでは、介護職員として取るべき行動・対応を解説しましたが、やってはいけないNG対応についても覚えておきましょう。慌てるとやってしまいがちなNG行動を紹介します。

介護職員の独断で服薬させること

介護職員の独断で薬を服用させることは絶対にやめましょう。薬の服用には、必ず医療職の指示が必要です。勝手に服用させると、事故報告書を書かなければいけない事態になってしまうため、注意が必要です。

利用者さんの身体をむやみに動かすこと

骨折や頭部をぶつけている場合などは特に注意です。むやみに身体を動かしてしまうと、症状が悪化する恐れがあるため、身体を動かす際は看護師などに指示を仰ぎましょう。

血液や吐物に素手で触れること

血液や吐物など、利用者さんの体内にあったものを素手で触るのは絶対にNG。感染症に罹患する恐れがあります。触れる際は必ずディスポグローブを着用し、素手では絶対に触れないようにしましょう。

緊急時の対応が不安な介護職が普段からやるべきこと

緊急時の対応には、多くの介護職員が不安を抱えています。それでも、普段から次の4つを意識して勤務に臨むことで、その不安を多少軽減できるでしょう。

  • 情報収集をしてから勤務を開始する
  • 職場で対応マニュアルを確認する
  • 普段から職員間の連携を強化しておく
  • 研修等にしっかり参加する

情報収集は当たり前のことですが、自分が勤務する前の状況をできるだけ把握しておくことで様態の変化に対応しやすくなります。また、普段からマニュアルを確認して、職員間の連携強化に努めていれば、いざというときに複数の職員で迅速な対応をすることが可能です。

さらに研修などに積極的に出向き、緊急時の対応を考え、実践する機会を増やすのもいいでしょう。

いずれにせよ、普段から緊急時の動きを意識しておく心がけが大切です。

夜間の緊急時対応が不安な介護職におすすめの転職先

夜間の緊急対応が不安な介護職員におすすめな職場の条件を紹介します。

夜勤の人員配置が2名以上の施設

夜間でも2名以上で勤務しているところであれば、自分1人で緊急時の対応をすることはありません。複数の職員で対応でき、お互いを助け合えるので、不安も軽減するでしょう。

夜間も医療従事者との連携が強固な施設

施設によっては、夜間も含めて24時間看護師が常駐している介護施設もあります。また、看護師常駐でない場合でも、病院に併設されている施設などでは、医療職との連携が強固である場合が多いため、このような施設で働くのも良いかもしれません。

また、オンコールの体制がしっかり整っている施設であれば、困ったときにはすぐに看護師に指示を仰ぐことができます。オンコール体制について面接の際などに確認してみると良いでしょう。

研修や教育体制が充実している施設

現時点で知識や経験がない場合でも研修や教育体制がしっかりしている施設で働く場合は、スキルアップの機会も多く、困ったときは先輩職員がしっかりとフォローしてくれるので安心です。

介護職の緊急対応についてよくある質問

介護職の緊急対応についてよくある質問に回答します。「緊急対応ってどんなことをすれば良いの?」と不安に思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

介護の緊急時にすぐ使える対応マニュアルやチェックポイントのまとめはありますか?

緊急時に使える対応マニュアルやチェックポイントのまとめは、施設で用意されていることがほとんどなので、事前に確認しておきましょう。

基本的には、利用者さんの状態や意識を確認し、応急処置を行います。施設内に看護師がいる場合は、指示を仰ぎましょう。病院に搬送する場合は、持病や服薬の記録が必要となるので、確認しやすいように日頃から整理しておくことが大切です。事例別の緊急時対応について、「【事例別】急変時に介護職員が観察すべき項目」で解説しています。また、「介護のリスクマネジメント!ヒヤリハット事例と対処法」の記事で介護事故防止について紹介しているので、合わせてご覧ください。

夜勤時の緊急対応はどうすればいいの?

夜勤時の緊急対応は、職員数が少なく不安に思うこともあるでしょう。対応自体は日勤時の緊急対応とほとんど変わりません。ただし、職員が少ないため日勤時以上に落ち着いた対応が求められます。緊急の利用者さんだけではなく、ほかの利用者さんへの目配りもしっかり夜間の緊急時対応が不安な方は、「夜間の緊急時対応が不安な介護職におすすめの転職先」を参考に、安心して働ける職場を見つけてください。

まとめ

本記事では緊急時における介護職員の対応マニュアルについて解説しました。緊急時の対応は、頻繁に経験できるものではありません。そのため、実際にその場に居合わせると慌ててしまいがちです。緊急時にしっかりとした対応ができるようにするには、普段から緊急時の動きをイメージしておくことが大切です。利用者さんへの対応や連絡の手順、必要な物品の場所などを確認し、迷いなく動けるように明確にイメージをしておきましょう。

とはいえ、いくらイメージをしても手順を確認しても不安が拭いきれない場合もあるでしょう。現在の職場でどうしても不安が消えない場合は、フォロー体制の整った職場に転職するといいかもしれません。。レバウェル介護(旧 きらケア)では、介護業界に特化した転職支援を行っています。介護業界に精通したアドバイザーが一人ひとりの希望に合わせたご提案をさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者

  • 椿るい

    介護福祉士ライター

現役介護福祉士。認知症専門病院で看護助手として勤務した後に介護福祉士を取得し、現在は特養に勤務している。食事・排泄・入浴等、利用者さんの生活に係る介護全般に従事。派遣社員として勤務していた経験や副業経験もあり、介護職として柔軟な働き方を目指す。

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※この記事の掲載情報は2024年6月13日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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