
この記事のまとめ
- 介護に関する小説として代表的なのは、有吉佐和子さんの「恍惚の人」
- 2004年に芥川賞を受賞したモブ・ノリオの「介護入門」もおすすめ
- 「私は誰になっていくの?」は、認知症介護を知るうえで役立つ一冊
介護が誰にでも起こりうる身近な問題となるにつれ、介護を題材とした小説も増えてきました。ここでは介護士が読んでおくべき介護小説を5つ紹介します。
目次
恍惚の人 /有吉佐和子
介護に関する小説といえば、絶対に外せないのが、有吉佐和子さん作の長編小説、『恍惚の人』でしょう。初版が出版されたのは1972年。認知症と高齢者介護の問題をいち早く扱った作品であり、1972年の年間売り上げ第1位のベストセラーとなりました。何度も映画化やドラマ化されていますから、ご存知の人も多いのではないでしょうか?介護小説の先駆けともいえる一冊です。まだ介護保険制度もなく、親の介護はお嫁さんの仕事といった風潮があった時代です。当時に比べると今は、家庭における介護の負担は多少は軽減されているのではないでしょうか。
登録は1分で終わります!
スクラップ・アンド・ビルド /羽田圭介
第153回(2015年)芥川賞を受賞した作品です。
「祖父と孫」の関係に焦点を当てた小説です。「死にたい」が口癖の要介護老人の祖父と、同居する失業中の孫。孫は敢えて「過剰介護」をすることで、祖父の希望をかなえようとします。二人の間に生まれる感情や、自分自身の心境の変化などが、決して暗くならないタッチで描かれています。
ちなみにこの時の芥川賞同時受賞は、お笑い芸人ピースの又吉さんが書いた『火花』。マスコミにも大きく取り上げられて、大ベストセラーになりましたよね。その陰に隠れがちですが、介護現場の人間関係をユーモラスに描いており、素晴らしい作品となっています。
介護入門/モブ・ノリオ
芥川賞をとった介護小説といえば、これを思い出す人も多いのではないでしょうか?第131回(2004年)芥川賞を受賞したこの本は、その語り口や著者の風貌などが議論を醸しました。「介護入門」というタイトルから、介護の入門書ではないかと想像する人も多いと思います。ですが実際の内容は、29歳無職の孫がマリファナに耽溺しながら、寝たきりの祖母を在宅介護するという小説です。本人も祖母を亡くした経験を経てこの小説を書いており、経験に裏打ちされた描写も多く見られます。おばあちゃん子だったという人にはぜひ読んでほしい一冊。
我が悲しき娼婦たちの思い出/G・ガルシア=マルケス
介護を直接扱った小説ではありませんが、90歳を迎えた老人が抱える性の問題という、かなり刺激的なテーマを取り扱っています。高齢になって介護されるようになると、 介護している若い人たちのような感情はなくなっていると考えがち。ですがこれを読むと、高齢者も若い頃と同じような気持ちや感覚を持っているのだと、改めて気づかされることになるでしょう。1982年ノーベル文学賞受賞の世界的作家が晩年に書いた傑作です。
私は誰になっていくの?/クリスティーン・ボーデン
最後に紹介するのは、小説ではありません。ですがこれは、「アルツハイマー病の本人が書いた本」として世界的な反響を呼んだ一冊であり、介護士としてはぜひ読んでおきたい本。46歳という若さでアルツハイマー型認知症と診断された著者の、苦しい思いや経験をつぶさに記したこの本は、小説以上に小説らしい、ドラマチックな内容となっています。
この本が出版されて以降、世界的に「もっと認知症の人自身が声をあげよう」という動きが活発になっていきます。日本でも認知症を患っている人が書いた本が数多く出版されるようになりました。現代の流れを作り出した、認知症介護を知る上で欠かせない一冊といえるでしょう。
介護系の小説についてよくある質問
介護系の小説についてよくある質問に回答します。「介護職員におすすめの本が知りたい」という方は、チェックしてみてください。
介護について学べる本のおすすめは?
北田信一著の『目で見てわかる最新介護術』、尾渡順子著の『介護で使える言葉がけシーン別実例250』は、介護の経験があまりない方や未経験の方におすすめの本です。
ほかにも、前川美智子著の『現場で役立つ! 介護技術&急変時対応の知識』や高瀬義昌著の『早引き介護のための医学知識ハンドブック』は、介護技術を向上させるのにおすすめ。介護について学べる本は多数あるので、自分が読みやすい本を探してみると良いでしょう。
認知症を題材にした小説はありますか?
認知症を題材にした小説は多数ありますが、ここではその一例を紹介します。
リサ・ジェノヴァ著の『静かなアリス』は、若年性アルツハイマー病と診断された大学教授アリスとその家族の物語。著者であり、神経科学者のリサ・ジェノヴァと認知症患者との対話から生まれた本です。
坂口恭平著の『徘徊タクシー』は、認知症の老人を、時空を超えてエスコートをするタクシー会社の物語。ほかにも、認知症を題材にした小説があるので、興味がある方は、読んでみてください。
登録は1分で終わります!



