介護離職ゼロに向けた政府の取り組みとは?介護職不足の現状についても解説

その他 2025年10月7日
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この記事のまとめ

「介護離職ゼロ」とは何か、気になる方もいるのではないでしょうか。介護離職ゼロとは、家族の介護のために離職する人を減らすための取り組みです。介護離職は、キャリアの継続が難しくなったり、経済的な不安が出てきたりするリスクにつながるため、国として対策を講じています。この記事では、「介護離職ゼロ」の取り組みを詳しく解説。介護休業や介護保険の見直しについても触れているので、ぜひご一読ください。

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目次

「介護離職ゼロ」とは?

「介護離職ゼロ」とは、家族の介護などによって離職を余儀なくされる人を減らし、継続したキャリアの形成や経済の発展につなげる動きのことです。厚生労働省は介護離職をゼロにするために、労働者の介護休業に関する制度の整備や、事業主に向けた両立支援のガイド・マニュアルの周知などを実施しています。

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介護離職の主な原因

介護離職の原因は主に3つあります。なぜ介護のために離職が必要になるのか、背景を見ていきましょう。

1.介護のニーズに供給が追いついていない

日本では少子高齢化や平均寿命の延伸により、介護ニーズが急速に高まりを見せています。介護保険サービスを提供する介護施設や事業所は多く存在しているものの、介護人材不足の課題があり、需要に供給が追いついていないのが現状です。
介護施設の利用を希望していても、定員が埋まっていて待機せざるを得ない場合もあります。

2.仕事と介護の両立が難しい

仕事と介護の両立には、心身の負担が伴います。職場によっては介護に対する理解が深く、両立を支援してくれる場合もあるでしょう。
しかし、介護と仕事の両立が難しければ、仕事自体を辞めたり短時間勤務がしやすい会社へ転職したりなど、「介護離職」を選択してしまう場合があるようです。

3.介護サービスの存在を十分に知らなかった

介護サービスの支援内容や利用方法を十分に知らず、介護離職を選択する場合もあります。介護保険サービスの知識が少ない場合、家族や身近な人に介護が必要になったときに、「自分が頑張ってやらないといけない」と思ってしまうのは無理もありません。

利用できる介護サービスを知りたい場合は、厚生労働省の介護サービス情報公表システムの「公表されている介護サービスについて」から探せます。また、自治体の介護保険の担当窓口や地域包括支援センターなど、介護について相談できる場所もあるので、頭の片隅に留めておくと良いでしょう。

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介護離職ゼロを目的とした国の取り組み

介護離職をすることは、「再就職できるか分からない状態で仕事を辞めてしまう」といった大きな負担を伴います。企業側にとっても、優秀な人材を失うことにつながる問題です。このような状況を解決するために、国は「介護離職ゼロ」を目指してさまざまな取り組みを行っています。

介護休業制度の見直し

厚生労働省の「介護休業制度特設サイト」によると、介護休業とは次のような制度であると説明されています。

労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業です。

厚生労働省「介護休業制度特設サイト

以前の介護休業制度で取得できたのは、通算93日、1回限りの休業でした。93日間という長い期間休業できるメリットはあるものの、分けて取得することができない分、「気軽に取得できない」という意見もあったようです。

介護休業の取得ルールや対象者の変更

2017年1月の改正雇用保険法等の施行により、最大93日の介護休業を3回まで分割可能になり、柔軟に休業を取得できるようになりました

また、育児・介護休業法の改正により、休業の取得要件は徐々に緩和。2025年4月の改正では、「勤続6ヶ月未満の労働者を、労使協定に基づいて介護休業の対象から除外する仕組み」を廃止しました。介護離職ゼロを目指すために、今後も仕事と介護の両立支援制度の強化が行われる見込みです。

介護休業の取得状況の変化

厚生労働省の「令和6年度雇用均等基本調査 事業所調査(p.16)」によると、2023年4月から2024年の3月までの1年間で、介護休業の取得者がいた事業所の割合は 1.9%でした。2022年度における、介護休業取得者がいた事業主の割合は1.4%なので、やや増加した結果です。

親が65歳以上の高齢者になる40代や50代は、介護離職の問題に直面しやすい年代といえます。働き盛りでもある40代や50代の方が、介護のために仕事を辞めることは、本人にとってのみならず社会にとっても良いことではありません。介護休業が取りやすくなれば、介護離職ゼロに一歩近づけるかもしれませんね

介護保険制度の見直し

限られた介護人材やサービスを、国全体で有効に活用するための取り組みも行われています。たとえば、2015年の介護保険制度改正により、特別養護老人ホームに入所できるのは、原則として要介護度3以上の方に限られるようになりました
法改正前までは、民間の有料老人ホームよりも利用料が安く済む特養を希望する方が多く、入所待ちが多くなっていたようです。入所を待つ間は、ほかのサービスを利用するか、家族が協力して介護を行うことになるでしょう。

必要な介護保険サービスを利用できないことを原因とする介護離職を防ぐために、国として本当に必要な方に介護サービスを提供できる仕組みづくりを強化しています

介護職員の処遇改善も介護離職ゼロのカギ

介護離職を減らすためには、介護者の負担を減らすための介護職員の存在が必要不可欠です
厚生労働省によると、2026年度には約240万人、2040年度には約272万人の介護人材が必要になることが見込まれており、今後必要な介護人材を確保していくのは簡単ではないといえるでしょう。そこで国は、介護人材を確保するために、介護職員の労働環境や処遇の改善、離職防止などに積極的に取り組んでいます。

具体的に実施されている取り組みは、処遇改善加算による介護職員の給料アップやキャリアパスの明確化、職場環境の整備などです。介護職の待遇を改善することで、介護人材不足を解消する動きは、「介護離職ゼロ」の施策にも大きくかかわっているといえます。

介護職員の処遇改善については、「【2025年最新】介護職員の給料は上がる?処遇改善の取り組みを解説」の記事で解説しているので、あわせてご一読ください。

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介護離職ゼロのために介護職員ができること

介護の現場で働く職員は、介護離職ゼロのために十分役に立っているといえます。とはいえ、まだまだ家族の介護のために離職を選択する方はゼロではありません。

介護職員として利用者さんやそのご家族にできることは、「どのような介護サービスが利用できるのか」をアドバイスをしたり、日ごろから手厚い介護サービスを提供できるように心がけたりすることです

また、今後介護業界に入ってくる新人職員を教育して一人前の介護職員に育てるのは、ベテラン介護職員にしかできない大切な仕事といえます。「今まで何となく介護職に従事していた」という方は、今一度「介護職だからこそ社会に貢献できること」を考えてみると、仕事によりやりがいを感じられるかもしれません。

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介護離職に関するよくある質問

ここでは、介護離職に関するよくある質問に回答します。家族介護の現状や介護離職について知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。

介護離職の定義は?

介護離職とは、介護が必要な家族などのケアに専念するために仕事を辞めることです。介護離職をすることで、介護を行う家族は収入が減ってしまったり、社会とのつながりが希薄になったりする場合があります。また、企業側は、働き盛りの40代や50代が離職することで、人材不足につながる可能性があるでしょう。
介護離職を防ぐためには、無理なく働ける環境を整えることが重要です。企業側は、介護休業の制度について周知したり、時短勤務の制度を整備したりすることで対策できます。

介護離職の割合はどれくらい?

厚生労働省の「令和6年雇用動向調査結果の概況(p.23)」によると、離職者のうち、介護・看護を理由に離職した人は1.3%でした。
また、労働者全体のうち、介護・看護を理由に離職した人の割合は、男性0.1%、女性0.2%となっています。全体の離職率は14.2%なので、介護離職の割合はそれほど高くないといえるでしょう。

介護離職ゼロに向けた取り組みはどんなものがあるの?

介護離職をゼロにするために、国は介護休業制度を整備して、介護のための休みが取りやすくなるように介護休業の要件を見直しました。また、介護サービスを十分に利用できるよう、介護保険制度の見直しや介護職員を増やすための取り組みにも力を入れています。介護離職を防ぐために、社会的な支援の充足が進められているようです。

まとめ

家族の介護のために離職する人を減らすために、国は「介護離職ゼロ」を掲げて、制度の拡充や支援体制の強化を行っています。介護離職が発生する背景は、日本の少子高齢化や平均寿命の延伸により、人材不足による介護サービスの供給不足が起きていることなどです。

国は介護休業制度を整備したり、介護職員の処遇改善に努めたりして、対策を講じています。しかし、まだまだ介護職員は不足しており、完全な問題解決には至っていないのが現状です。

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執筆者

  • 「レバウェル介護」編集部

    お役立ち情報制作チーム

介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点

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※この記事の掲載情報は2025年10月7日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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