介護難民とは?原因や解決策などの現状と介護人材の今後について解説!

介護の知識 2023年1月24日
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介護保険の要介護・支援申請書の上にベンチに座った老夫婦の人形が置かれているイメージ

超高齢化社会が進む日本では、介護が必要であるにもかかわらず介護を受けられない「介護難民」が増えています。介護を受ける利用者さんやそのご家族だけでなく、介護業界に従事する介護職員の方にとっても、介護難民の増加は軽視できない問題でしょう。本記事では、介護難民について、意味や増加の原因、国の取り組みなどをまとめました。介護難民を解消する介護職員の将来性についても触れているので、ぜひご覧ください。

目次

介護難民とは?

介護難民とは、介護が必要な状態であるにもかかわらず、介護支援を誰からも受けられない人を指します。介護施設が定員オーバーですぐに入居できなかったり、家族が遠方に住んでいるため介護に当たれなかったりするなど、介護難民になる状況は人によってさまざま。適切な介護支援を受けられなければ、介護度が上がってしまうだけではなく、疾患が悪化する恐れもあるため、早急な対応が求められます。

介護難民の現状

介護難民の具体的な数値を示す公的なデータはなく、介護難民の正確な人数を示すことはできません。しかし、厚生労働省の「1 受給者の状況」によると、日本の介護サービス(介護予防サービス含む)の年間累計受給者数は、年々増えているのが現状。2018年から2021年までの4年間で400万人以上増加しています。

2018年2019年2020年2021年
年間累計受給者数約6071万人約6204万人約6316万人約6483万人

引用:厚生労働省「1 受給者の状況

日本の少子高齢化のなか、介護サービスを必要とする高齢者の方がこれだけのペースで増えていれば、介護難民が増えても不思議ではありません。

また、厚生労働省の「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度)」によれば、特別養護老人ホームに入居を希望していながらも入居していない要介護度3以上の方は、25.3万人でした。これらすべての人が介護難民に該当するわけではありませんが、非常に多くの方が介護支援を必要としていることが予想できますね。特養の入居待機者に関しては、後述する「3.介護人材・介護施設の不足」で詳しく解説しますのであわせてご覧ください。

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介護難民が増加する3つの原因

介護難民が増える要因として考えられるのは、日本における急激な高齢化や介護需要に対する供給不足などが挙げられます。ここでは、主な原因を3つに分けて紹介しましょう。 

1.日本における高齢者の急激な増加

日本では高齢化が急速に進んでいますが、この高齢化が進むにつれて介護難民は増えていくといわれています。内閣府の「1 高齢化の現状と将来像」によれば、2021年10月現在の日本の高齢化率(総人口に占める高齢者の割合)は28.9%。高齢化社会は高齢化率が14%以上、超高齢化社会はその倍の21%が目安です。日本はすでに超高齢化社会の基準を超えていることが分かりますね。

【高齢化率の推移】

日本の人口の推移のグラフイメージ

引用:厚生労働省「我が国の人口について

また、厚生労働省の「我が国の人口について」によれば、日本の高齢化率は2065年に38.4%まで進むとされています。一方で、生産年齢人口の割合は年々減少傾向にあり、介護保障制度の財源確保の問題も浮上しているのが現状です。こうした少子高齢化の問題も、介護難民が増加する要因の一つになっているでしょう。

地方より都市のほうが問題は深刻

東京や大阪といった大都市では、高齢者の人口も多いといえます。その分、介護施設の種類や数も豊富にありますが、高齢者人口に対して十分かといえばそうではないようです。地方に比べて都市部のほうが介護難民の問題は深刻な可能性もあることを覚えておきましょう。

2025年問題について

2025年には、第一次ベビーブームに生まれた団塊の世代が75歳以上になり、高齢化人口がさらに増加することが予想されています。「2025年問題」とは、2025年以降に日本人の3人に1人が65歳以上の高齢者になることから生じるさまざまな問題のこと。その一つが次でご紹介する老老介護や認認介護の増加です。

2.核家族化にともなう老老介護・認認介護の増加

高齢化にともない、高齢者の単身世帯や、高齢者夫婦、高齢者親子の世帯が増えています。「老老介護」とは、高齢者が高齢者を介護すること。「認認介護」とは、認知症の方が認知症の方を介護することを指します。

たとえば、高齢の介護者が高齢の親や配偶者を介護するパターン。介護を始めるころは元気でも、数年後には介護者自身が要介護状態になり、家庭内での介護が立ち行かなくなることも。単身世帯や高齢者だけの世帯の場合、周りが状況に気づきにくくいつのまにか介護難民になる恐れがあり、問題は非常に深刻です。

なお、老老介護や認認介護の要因は、高齢化や2025年問題だけではありません。共働き世帯や核家族化にともない、家族間の介護が難しくなっている現状もあるようです。

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3.介護人材・介護施設の不足

介護難民が増加する要因には、介護者である介護職員や介護を提供する施設・事業所の不足も考えられます。下記は、きらケア研究所が独自に調査した、「介護職員の過不足状況」に関するアンケート結果です。

介護職員の過不足状況の円グラフイメージ

引用:きらケア研究所「きらケア介護白書2022

「不足している(47.3%)」と「やや不足している(36.7%)」を合わせて約84%が介護職員の不足を感じています。介護需要の急激な増加に人材不足の供給が追いついていないといえるでしょう。

また、介護施設の不足も介護難民を生む原因となっています。入所型の特別養護老人ホームや有料老人ホームでは入居待機者が発生しており、需要に対して供給が不足している状況です。

【特養に入居待機している要介護度3以上の方の人数】

2022年度2019年度
全体25.3万人29.2万人
うち在宅の方10.6万人11.6万人

引用:厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4度)

2019年度に比べれば入所待機者の数は減っているものの、まだまだ供給が足りていないといえます。とはいえ、単に介護施設を増やせば良いというわけではありません。介護人材が不足していれば施設を増やしても運営することが難しいためです。介護難民の問題を解消するには、介護施設をある程度充実させる必要があるものの、まだまだ根本的な解決には至っていないのが現状でしょう。

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介護難民に対する国の対策

介護難民に対し、国としてもいくつかの対策を講じています。ここでは、介護難民に対して国はどのような解決策を打ち出しているのか、下記で確認してみましょう。

「地域包括ケアシステム」による在宅高齢者のサポート

「地域包括ケアシステム」とは、厚生労働省が推進する在宅高齢者のサポートシステムのことです。保険者である自治体が中心となって包括的な支援を行うことを目的としており、地域ごとの高齢者ニーズに応じたサポート提供体制を整えています。

大都市に住む介護難民を地方へ移住支援

前述のように、東京や大阪といった大都市では介護難民になるリスクがやや高い一方で、地方によっては介護施設の定員に余裕があります。そのため、大都市に住む高齢者の受け入れに積極的な地方自治体も増えているようです。国としても、高齢者の移住促進の観点から施設所在地の自治体に財源の負担が集中するのを防ぐため、「住所地特例」の対象を拡大する議論が行われています。

介護難民を支援する介護人材に対する国の取り組み

介護難民を支援する介護人材不足を解消する国の取り組みは、介護ロボットや外国人労働者の受け入れ、介護職員の処遇改善などが挙げられます。介護職員の将来性にも繋がる話題なので、ぜひチェックしましょう。

ICT・介護ロボットの導入

介護人材不足を解消する取り組みの一つは、ICTや介護ロボットの導入です。きらケア研究所が独自に調査したICTや介護ロボットの導入率は、「導入している(20.6%)」「導入を検討している(27.9%)」でした。まだまだ導入している施設や事業所は少ないものの、すでにICTや介護ロボットの運用が進んでいるといえるでしょう。

なお、ICTや介護ロボットの種類には下記のようなものがあります。

導入をしているまたは導入を検討している ICT や介護ロボットの種類のグラフイメージ

引用:きらケア研究所「きらケア介護白書2022

介護職員に代わって利用者さまを見守る「見守りセンサー」や「コミュニケーションロボット」、身体介護をサポートする移乗介助ロボットや入浴支援ロボットなど、さまざまなものが実用化されています。介護職員の負担軽減に役立つため、間接的に介護難民への問題解消にも繋がるでしょう。

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外国人労働者の受け入れ

少子化が進む日本国内だけで介護人材不足を解消するのは難しいため、外国人労働者の受け入れも活発に行われています。きらケア研究所の調査によると、外国人スタッフを雇用している事業所は49.1%でした。約半数もの事業所がすでに外国人スタッフを起用しています。

なお、外国人スタッフの国籍は、インドネシア、ベトナム、フィリピンが多く、主に人材派遣会社経由で採用されているようです。

介護職員の処遇改善

介護職員のイメージのなかには、「大変そう」「給料が低い」といったネガティブなものも多く、介護職員として働き始める際に不安になることもあるでしょう。このようななかで、国は一定の経験やスキルのある介護職員の賃金水準を引き上げるなどの処遇改善に努めています。処遇改善の基準は、勤続年数が10年以上の介護福祉士に対して月収8万円相当です。これから継続して介護職員として従事する場合は、資格取得や経験値を高めることによって、収入アップが見込めるようになりました。

事業所独自に介護職員の働き方を向上させる動きも

介護職員の働き方を見直す動きは処遇改善だけではありません。介護施設や事業所の多くでは、介護職員の定着率アップのため、給与や待遇の改善や有給休暇の取得奨励、時間外労働の削減などの取り組みを実施しています。

前述のきらケア研究所の調査結果によると、実に93.6%の事業所が定着率向上のために何かしらの取り組みを実施していると答えました。介護難民の解消のカギとなる介護人材の働き方が改善されれば、将来介護職を目指す方も順調に増えていくかもしれませんね。

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介護難民を解消する介護職の将来性

先述のとおり、介護難民の原因の一つは介護職員の不足です。厚生労働省の「介護人材確保に向けた取り組み」によると、介護人材の不足状況は下記のようになっています。

第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数についてのグラフイメージ

引用:厚生労働省「介護人材確保に向けた取り組み

2025年問題の年には、介護人材が約245万人必要とされています。高齢化はこれからも進む見込みなので今後も介護人材の需要は高い状態が続くでしょう

介護職は介護難民の問題を解決する存在であるとともに、介護が必要な高齢者の生活や生きがいをサポートするやりがいのある仕事です。採用の間口を広げるため、無資格・未経験から募集している求人も多いので、興味のある方は探してみると良いでしょう。資格取得をサポートしてくれる職場、収入アップにつながる賞与ありの職場など、種類は豊富なので、自分にピッタリな求人を探してみてください。

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介護難民に関するよくある質問

ここでは、介護難民に関するよくある質問をQ&A方式でまとめました。介護難民について学ぶ参考にしてみてください。

介護難民の問題点は?

介護難民の問題点は、老々介護や認認介護により介護支援のニーズが隠れてしまいがちなことです。介護者が高齢であるため、いつの間にか自身も介護が必要になるリスクがあります。そのため、これまで以上に家族間の関わりや地域の支援体制が重要になってくるでしょう。日本における介護難民への取り組みは、本記事の「介護難民に対する国の対策」をご覧ください。

介護難民の人数はどれくらい?

介護難民の具体的な人数は公的なデータがなく示せませんが、年々増えているのが現状です。日本の高齢化率はすでに21%を超えており、超高齢化社会となっています。2025年には団塊の世代が75歳以上になるため、介護ニーズに供給が追いつかなければ介護難民になるリスクは高まるでしょう。

まとめ

介護難民とは、介護支援が必要な状況であるにもかかわらず、「家族が遠方に住んでいる」「介護施設の入居待機中」といった理由で介護が受けられない人のことです。介護難民が増加する原因には、日本における急激な高齢化や介護人材・介護施設の供給不足などがあります。国としても介護人材の処遇改善や地域ごとの介護体制の強化など、さまざまな取組を実施していますが、まだまだ高齢化は進む見込みなのですぐに解決するのは難しいといえるでしょう。

「介護難民を少しでも減らしたい」「介護職員として高齢者のサポートがしたい」という方は、介護職を目指してみることをおすすめします。介護職員は無資格・未経験から挑戦できる仕事です。働きながら介護職員初任者研修や介護福祉士の資格を目指せるので、将来のキャリアパスも豊富に選べます。介護業界専門のきらケアでは、介護職員の就職・転職を支援するエージェントです。初めての就職・転職が不安な方も、求人紹介から内定後の手続きまでキャリアアドバイザーがフルサポートいたします。登録は無料なので、ぜひお気軽にご相談くださいね。

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