
この記事のまとめ
- ハロー効果とは、一部の特徴に引っ張られ全体の印象が左右されること
- 医師の権威や書籍において、ハロー効果が悪影響を与える可能性がある
- コミュニケーションに心理学を応用することで、信頼関係の構築につながる
「介護現場において心理学はどんな影響があるの?」と気になる方もいるかもしれません。介護職員が心理学を学ぶと、利用者さんのコミュニケーションに活用でき、信頼関係を築くのに役立ちます。この記事では、心理学の1つである「ハロー効果」について解説。心理学の活用法にも触れているので、高齢者とのコミュニケーションに悩んでいる方は、チェックしてみてください。
目次
目立つ特徴に引きずられてしまう「ハロー効果」とは
私たちの心理の仕組みは複雑で、ときに何らかの要因によって思わぬ方向に進んでしまうこともあるようです。
その現象の1つとして「ハロー効果」と呼ばれるものがあります。この場合のハロー(halo)とは「後光」を指し、ハロー効果とは、評価の際に印象的な特徴に引っ張られてしまうことです。
ハロー効果の例として、「特別なスキルや知識を持つ人と関わる際に、優秀であるという印象によって、相手の言動がすべて正しいように感じること」があります。具体的には、相手が高学歴というだけでその人が何でもできると思ってしまったり、テレビによく出る有名人が使っているものは必ず良いものだと感じてしまったりすることなどです。
実際には、優秀な人や権威がある人も、すべてにおいて完ぺきな判断や行動をするのは難しいでしょう。経歴や肩書きなどの分かりやすい特徴だけでは、その人のすべての能力や言動を評価することはできません。
心理現象であるハロー効果は、医療や介護の現場でもよく見られます。特に医師や看護師といった専門家には権威があると感じるものです。また、ネームバリューやブランドもハロー効果を引き起こす要因になります。偏った印象に左右されて介護方針が揺らいだり誤った方向に進んでしまったりしないためには、明確な根拠を持って介護に取り組むことが大切です。
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介護の現場で起こるハロー効果
実際に介護の現場でハロー効果が起こる例には、以下のようなものがあります。
医師の権威によるハロー効果
利用者さんが「お医者さんの言うことは絶対に正しい」と考えている場合、介護職員の意見を聞かずに、医師の意見だけを鵜呑みにしてしまうケースがあるようです。介護職員が信頼を得られないと、介護サービスへの不満やへのケアの質の低下などにつながることも考えられます。
利用者さんに最適なケアを提供するためには、多職種が話し合って方向性を統一することが必要です。「医師に意見を言うのは気が引ける」と感じる人もいるかもしれませんが、ときには利用者さんを支援するチームの一員として、介護現場の意見を伝えて相談することも求められるでしょう。
介護系書籍によるハロー効果
書籍などでも、ハロー効果が発動することがあります。たとえば、介護のプロが「こうすれば必ず改善する」と打ち出した書籍を読んで、利用者さんやご家族がその情報をそのまま信じてしまうケースがあるようです。
「介護のプロが発言していること」や「書籍として販売されていること」から、正しい内容だという評価につながるのは想像できるのではないでしょうか。
しかし、実際には介護現場の対応はケースバイケースであり、その人の状態や環境によって大きく左右されます。介護において、1つの答えを「必ず正しい」と断定することはできないのです。
介護施設や介護用品におけるハロー効果
ブランドのネームバリューに引きずられて、十分に機能を理解しないまま、有名な介護施設や介護用品を選ぶケースも見られます。また、規模や価格などの一部の情報だけを見て、「自分に合っているに違いない」と利用や購入を決めて後悔することもあるようです。
「有名な先生だから良い」「大きな介護施設だから安心」「高い介護用品だから良いものである」などは、あくまで判断材料の一部。イメージによる思い込みだけで決めてしまっては、本当に要介護者に合っている施設や介護用品を選ぶことができなくなってしまいます。
利用者さんに応じた柔軟な対応が求められる介護の現場で、ハロー効果によって判断が誤ることは避けたいものです。必要な支援を提供するには、介護職員が固定観念による思い込みをなくして根拠に基づく判断をし、利用者さんやご家族に丁寧に説明することが求められます。
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介護現場で活用できる心理学
介護で役立つ心理学には、接触回数を増やすことで好感度や信頼関係を高める「ザイアンスの法則」や、相手の言葉を繰り返す「バックトラッキング」などがあります。笑顔で接することも、利用者さんに安心感を与える方法の一つです。
心理学に基づいたコミュニケーションを取ることで、利用者さんへ安心感を与えたり、気持ちに寄り添ったりすることができます。信頼関係を築ければ、利用者さんが要望を言いやすくなったり、介護拒否が減ったりするのでしょう。
また、介護職員が心理学を学ぶことで、利用者さんやご家族の気持ちを理解しやすくなります。利用者さんだけではなく、職員間のコミュニケーションにも心理学は役立つので、活用すると良いでしょう。
コミュニケーションにおいてプラスな心理効果をもたらすには、「介護で役立つ傾聴スキルとは。共感を示すコミュニケーションの方法」の記事で解説している傾聴の技法を使うのも効果的です。
介護に役立つ心理学の資格に関するよくある質問
ここでは、介護に役立つ心理学の資格に関するよくある質問に回答します。「介護職の人間関係を円滑に保つために役立つ資格はあるの?」と気になる方は、ぜひチェックしてみてください。
介護で役立つ心理学の資格にはどんなものがあるの?
介護で役立つ心理学系の資格には、国家資格である「公認心理師」や「精神保健福祉士」、民間資格である「福祉心理カウンセラー」「福祉心理アドバイザー」「高齢者ケアストレスカウンセラー」などがあります。介護職が介護を行ううえで、利用者さんの気持ちに寄り添うことは必須です。心理学の資格を取得することで、ケアがスムーズに行えるでしょう。
高齢者とのコミュニケーションに役立つ資格は、「高齢者コミュニケーターになるには?コミュニケーション力を磨く資格一覧」の記事で解説しています。
介護福祉士が公認心理師の受験資格を得る方法は?
公認心理師は、心理学に関する専門知識を有していることを証明する国家資格で、公認心理師試験に合格することで取得可能です。厚生労働省の「公認心理師試験の受験を検討されている皆さまへ」によると、公認心理師を取得するルートは、全部で7通りあります。受験ルートによって異なるものの、4年制大学や大学院での特定の科目の履修が必要となるパターンが多いようです。
以前は、心理的な支援の実務経験が5年以上ある方は、講習を受講すれば公認心理師試験を受験することができる「区分Gルート」がありましたが、2022年に廃止されました。そのため、介護福祉士として心理的な支援の実務経験があっても、受験資格を満たすことはできません。
出典
厚生労働省「公認心理師試験の受験を検討されている皆さまへ」(2025年10月7日)
まとめ
心理学を活用すれば、介護現場におけるコミュニケーションに役立てることができます。心理学の一つである「ハロー効果」は、一部の特徴が与えるイメージによって、全体の印象が左右されることです。たとえば、専門家や有名な人の発言はすべて正しいと思い込んだり、高価なものは必ず良いものだと思い込んだりすることが当てはまります。
介護業界では、利用者さんが「医師の意見だけが正しい」「専門家が書いた本に書いてあった介護が自分にも合っているはずだ」と信じることによって、介護職員が専門性を活かしにくいことがあるようです。
しかし、介護度や環境などは人それぞれなので、状況に合った支援を行うことが求められます。介護の現場で、「ハロー効果」の影響で適切なケアができないと感じたときは、利用者さんやご家族と話し合い、認識を共有する必要があるでしょう。
柔軟で臨機応変な介護を実現するためには、現場や要介護者の状態にきちんと向き合って業務を行うことが大切です。
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執筆者

「レバウェル介護」編集部
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介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点



