
この記事のまとめ
- 介護食士の資格は、介護が必要な人に適切な食事を提供するのに役立つ
- 介護食士は3級~1級に分かれており、3級から順番に取得する必要がある
- 介護食士のスキルを活かせる場所は、介護施設や要介護者のいる家庭など
「介護食士って何?」と気になる方もいるのではないでしょうか。介護食士とは、介護食が必要な方に適切な食事を提供できることを証明する資格です。この記事では、介護食士の概要や取得方法、活躍できる場所などを紹介します。介護食士の資格を取得するメリットにも触れているので、食事の面から高齢者のサポートをしたいと考えている方は、参考にしてみてください。
介護資格の種類29選!取得方法やメリットを解説します目次
介護食士とは?
介護食士とは、介護食が必要な高齢者に適切な食事を提供する知識や技能を有していることを証明する認定資格です。内閣総理大臣が許可し、公益社団法人 全国調理職業訓練協会が認定しています。介護に携わる人の調理技術の向上を目的としており、介護に関連した仕事をする方に人気がある資格です。
ホームヘルパーや介護福祉士といった介護職の方に加え、栄養士や調理師のように食に携わるプロフェッショナルの方が取得することも多い傾向にあります。
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介護食士の仕事内容
介護食士は、現在職種として明確な位置づけがありません。栄養士や調理師が介護食士の資格を取得した場合は、介護食の知識を身につけ、介護が必要な方の食事作りを行うことが仕事になります。
また、介護職の方が取得した場合は、仕事で調理を行う際に知識を活かすことが可能です。高齢者の身体状況に合わせて、食事の柔らかさやサイズ、粘度、味付けを調整し、色どりや見た目も工夫します。
年齢を重ね、飲み込む力が低下したり歯が抜けてしまったりすると、食事に困難を感じることも。しかし、食事は健康や楽しみにつながる大切なものです。高齢者に適切な食事を提供することでQOLの向上にもつながるため、介護食の専門知識を持つ介護食士の役割は重要といえます。
介護食士の資格を取得する方法
介護食士の資格は、調理師養成施設などで開講されている講習会を修了し、修了試験に合格することで取得できます。
講習会を受講する方法は、「一般の方を対象とした講習会を開講している施設で受講する」「講習会を開講している専門学校などに入学して受講する」の2通りです。また、介護食士は「3級・2級・1級」の3段階に分かれています。
以下で介護食士の受験資格と講習会の内容を解説するので、取得を考えている方はチェックしてみてください。
1.受験資格
介護食士の各級の受験資格は以下のとおりです。
- 3級:特別な受験資格はなく、誰でも受験が可能
- 2級:協会が指定した認定校で介護食士3級を取得した方
- 1級:協会が指定した認定校で介護食士2級を取得した後、2年以上介護食調理の実務に従事している25歳以上の方
初めて介護食士の資格に挑戦する方は、誰でも受験できる3級から取得する必要があります。1級の取得には、2級の取得に加えて実務経験と年齢の条件があるので、計画を立てて資格取得を目指しましょう。
2.講習会の内容
介護食士の講習会の内容は学科と実習で、各級で講習時間が異なります。
3級
介護食士3級の講習会の内容は、以下のとおりです。
- 学科25時間(介護食士概論、医学的基礎知識、高齢者の心理、栄養学、食品学、食品衛生学)
- 実習47時間(調理理論・調理実習l、調理理論・調理実習ll)
3級では、高齢者の身体的機能や調理における衛生に関する知識、食べやすくおいしい介護食の調理などについて学びます。
2級
介護食士2級の講習会の内容は、以下のとおりです。
- 学科16時間(医学的基礎知識、高齢者の心理、栄養学、食品学、食品衛生学)
- 実習56時間(調理理論、調理実習)
2級では、医学的な基礎知識や高齢者の心理、普通食から介護食への展開などを学びます。
1級
介護食士1級の講習会の内容は、以下のとおりです。
- 学科32時間(医学的基礎知識、高齢者にかかわる制度、栄養学、食品学、食品衛生学)
- 実習40時間(調理理論、調理実習)
1級の講習会の内容は、低栄養を考慮した献立の作成の講義や、さまざまな身体状況・疾病の方を想定した献立作成・調理の実習など。各級の講習会の内容は、介護食士の修了試験の出題範囲になるため、しっかりと学習することが重要です。
3.修了試験の受験資格と合格基準
介護食士の修了試験の受験資格は「講習会への出席率80%以上」で、筆記・実技ともに60点以上を取ると合格です。3級・2級・1級いずれにおいても、該当級の講習会の出席率を満たして修了試験を受け、60点以上得点すれば資格を取得できます。
出典
公益社団法人 全国調理職業訓練協会「資格の種類|介護食士」(2026年5月1日)
介護食士の資格を活かせる3つの場所
ここでは、介護食士の資格を活かせる場所についてまとめました。
1.介護施設の厨房
介護施設の厨房で働く方が介護食士の資格を取得すれば、利用者さんの食事作りに活かすことが可能です。利用者さんは一人ひとり飲みこむ力や噛む力、食事制限などが異なります。介護食士の資格を持っていれば、身体状態に適した食事を提供できるでしょう。
2.要介護者がいる家庭
介護食士の資格を取れば、より適切な食事形態で介護食を作れるようになります。そのため、介護食が必要な家族に食事を楽しんでもらえるでしょう。噛む力が弱いからという理由でおかずをすべてミキサーにかけるのではなく、軟らかい食材を選ぶことで目で楽しめる食事にするといった工夫ができます。
3.中食・外食産業
介護施設では、調理済みの食品を購入して利用者さんに提供する場合もあります。そのため、高齢者向けの配食サービスなどの中食産業でも介護食士の資格を活かすことが可能です。
また、介護食士の資格を持っていれば、介護食を扱う企業での介護食の開発や、飲食店での高齢者向けメニューの開発にもスキルを活かせるでしょう。
介護職が介護食士を取得する4つのメリット
介護食士の資格を取得すると、知識の幅が広がったり高齢者の健康をサポートできたりします。介護職が介護食士の資格を取得するメリットは、以下のとおりです。
1.介護食の知識が身につく
介護食士の資格を取得すれば、介護食に関する知識が身につきます。学んだ知識や技術を活かすことにより、介護食の調理や新しいメニュー作り、利用者さんの健康に配慮した食事の提供などができるでしょう。
2.介護以外の職場でも働ける
介護食士の知識や技術は、介護施設以外の場所でも活用できます。最近では高齢化の影響もあり、高齢者向けのメニューを提供している飲食店も多くなってきました。
介護食士の資格があれば、塩分が控えめのメニューや高齢者がおいしく食べられる食事の開発に役立てられるでしょう。
3.高齢者の健康を手助けできる
介護食士は、高齢者の健康を考え、一人ひとりに適した食事を提供する知識やスキルがあります。栄養面や食べやすさ、飲みこみやすさなどを考慮した食事を提供することで、高齢者の健康を手助けできるのが資格取得のメリットです。
4.違う資格の取得を目指すきっかけになる
介護食士の資格は、国家資格である調理師や栄養士よりも、取得のハードルが低い傾向にあります。キャリアアップを目指す方は、介護食士の資格を取得し、ほかの資格の取得を目指す足掛かりにするのも良いでしょう。
介護食士以外の介護食に関する資格
介護食に関係した資格は、介護食士以外にも存在します。介護食コーディネーターや介護食アドバイザーもあわせて取得すれば、介護食に対する理解をさらに深められるでしょう。
介護食コーディネーター
介護食コーディネーターは、高齢者をはじめとした咀嚼や飲み込みに困難がある方に対し、食べやすくおいしい食事を提供するスキルを習得する資格です。一般社団法人 日本味育協会が認定します。
講座ではテキストを中心に、食材の食べやすい大きさやカットの仕方、味付けなどを学習。定番メニューだけではなく、季節食や行事食などのレシピもあり、食事のバリエーションを増やせるでしょう。
介護食士と違い、介護食コーディネーターは通信講座のみで取得可能です。テキストや動画を通じて学習し、課題提出と資格試験をクリアすれば取得できます。また、介護食コーディネーターの講座の受講に要件はありません。標準学習期間は3ヶ月~6ヶ月で、6ヶ月の受講期間中は何度でも資格試験を再受験できます。
JADP認定介護食アドバイザー(R)
JADP認定介護食アドバイザー(R)は、介護食レシピを実践する技術があることを証明する資格です。一般財団法人 日本能力開発推進協会(JADP)が資格試験を実施しており、高齢者の心理や栄養学、介護食の基礎知識などが出題されます。
JADP認定介護食アドバイザー(R)の資格試験の受験資格があるのは、「指定の認定教育機関が実施するカリキュラムを修了した者」です。介護食士の資格取得には講習会の受講が必要ですが、JADP認定介護食アドバイザー(R)の資格は、通信講座の受講と在宅での試験受験によって取得できます。
出典
一般財団法人 日本能力開発推進協会 (JADP)「介護食アドバイザー資格 | 日本能力開発推進協会 (JADP)」(2026年5月1日)
介護食士についてよくある質問
ここでは、介護食士についてよくある質問に回答します。資格を取得してスキルアップしたい方は、ぜひご覧ください。
介護食士の資格の取り方を知りたい
介護食士を取得するには、調理師養成所などで開講されている講習会を受講する必要があります。講習会の受講後、修了試験に合格することで資格を取得可能です。まずは、介護食士3級の取得を目指しましょう。3級に合格した方は、上位資格である2級・1級の取得を目指すことができます。
介護食士の取得方法は、この記事の「介護食士の資格を取得する方法」で解説しているので、あわせてご一読ください。
介護食士の合格率を知りたいです
介護食士の修了試験の合格率は公表されていません。合格基準は筆記・実技の両方で60点以上得点することで、講習会で学んだ内容を理解していれば合格を目指せるでしょう。なお、修了試験を受けるには、講習会に8割以上出席する必要があります。
介護食士の年収はどのくらいですか?
介護食士は、どのような職種として働くかによって年収が異なると考えられます。資格手当が付く可能性もありますが、介護食士の資格取得によって給与が大幅に上がることは少ないようです。
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.126)」から介護従事者の平均年収を算出すると、介護職員は約406万円、調理員は約327万円、管理栄養士・栄養士は約389万円となります。なお、平均年収は平均給与12ヶ月分として計算しています。職種だけではなくその他の保有資格によっても、介護食士の給与水準は異なるでしょう。
出典
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2026年5月1日)
まとめ
介護食士は、介護食に関する知識を有していることを証明する資格です。介護現場で食に対する専門知識を活かせるよう、栄養士や調理師の資格とあわせて取得する人も多くいます。
介護食士の仕事内容は、高齢者の身体状況に合わせて、食事の軟らかさや大きさ、味付けなどを調整することです。高齢者の食事に対する満足度を上げるためにも、介護食士の資格は役立ちます。介護現場や高齢者向けの食事を提供する中食・外食産業というように、介護食士の資格を活かせる場は多いでしょう。
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執筆者

「レバウェル介護」編集部
お役立ち情報制作チーム
介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点


