
この記事のまとめ
- 喀痰吸引等研修を修了すると、医師・看護師の指示下でたんの吸引などが可能
- 喀痰吸引等研修は、対象者や学習内容によって3種類に分かれている
- 喀痰吸引研修を受けるメリットは、幅広い利用者さんの対応が可能になること
「喀痰吸引等研修ってどんな研修?」と気になる方もいるのではないでしょうか。喀痰吸引等研修は、介護職員が喀痰吸引や経管栄養を行うための研修で、修了すればスキルアップにつながります。この記事では、喀痰吸引等研修の種類やカリキュラム内容、受講するメリットについて解説。喀痰吸引等研修を修了する方法やかかる費用・期間も紹介しているので、喀痰吸引等研修の受講を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
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喀痰吸引等研修とは
喀痰吸引等研修は、「社会福祉法及び介護福祉士法」の一部改正により2012年から始まりました。自力でたんを吐き出すのが難しい人や、口からの食事ができず経管栄養で栄養摂取している人のケアを行うための研修です。
喀痰吸引等研修を修了すると、医師や看護師の指導の下で、たんの吸引、経管栄養のケアができます。厚生労働省の「平成24年4月から、介護職員等による喀痰吸引等(たんの吸引・経管栄養)についての制度がはじまります。(p.1)」によると、研修の受講対象となる人は以下のとおりです。
- 介護福祉士
- 介護福祉士以外の介護職員(一定の研修を修了した人)
介護福祉士の養成施設では、カリキュラムの中に「医療的ケア」があり、そこで研修を受けます。
出典
e-Gov法令検索「社会福祉士及び介護福祉士法」(2026年3月26日)
厚生労働省「喀痰吸引等制度について」(2026年3月26日)
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喀痰吸引等研修の種類
喀痰吸引等研修は3種類に分かれており、受講対象者や学習範囲が異なります。ここでは、厚生労働省の「研修課程(p.1)」をもとに、それぞれの内容や違いについて解説するので、確認しましょう。
第1号研修
第1号研修は、喀痰吸引や経管栄養の対象となる行為すべてを行う介護職員が対象です。手技の対象は「不特定多数」、つまり吸引する相手が限定されません。50時間の講義と実技のシミュレーター演習、実地研修を受講します。
第2号研修
第2号研修は、喀痰吸引(口腔内・鼻腔内のみ)と、経管栄養(胃ろう・腸ろうのみ)を行う介護職員が対象となります。第1号研修と同じく、不特定多数の人を手技の対象としているのが特徴です。50時間の講義と実技のシミュレーター、実地研修を受講しますが、第2号研修の実地研修は、気管カニューレ内の吸引と経鼻経管栄養を除きます。
第3号研修
第3号研修は手技の対象が特定の人のみ(在宅の重度障害者など)の研修です。9時間の基本研修を受講したうえで、特定の者に対して必要な行為のみを取り扱う実地研修を行います。第3号研修は非常に限定的な類型といえるでしょう。
出典
厚生労働省「喀痰吸引等制度について」(2026年3月26日)
喀痰吸引等研修のカリキュラム内容
厚生労働省の「研修課程(p.2)」によると、第1号研修と第2号研修のカリキュラムは基本研修である「講義」「演習」と実地研修で構成されています。項目別のカリキュラムの内容を下記にまとめました。
講義のカリキュラム
第1号研修と第2号研修における基本研修の講義のカリキュラムは以下のとおりです。
| 科目 | 時間数 | 1号 | 2号 |
| 人間と社会 | 1.5時間 | ○ | ○ |
| 保健医療制度とチーム医療 | 2時間 | ○ | ○ |
| 安全な療養生活 | 4時間 | ○ | ○ |
| 清潔保持と感染予防 | 2.5時間 | ○ | ○ |
| 健康状態の把握 | 3時間 | ○ | ○ |
| 高齢者及び障害児・者の喀痰吸引概論 | 11時間 | ○ | ○ |
| 高齢者及び障害児・者の喀痰吸引実施手順解説 | 8時間 | ○ | ○ |
| 高齢者及び障害児・者の経管栄養概論 | 10時間 | ○ | ○ |
| 高齢者及び障害児・者の経管栄養実施手順解説 | 8時間 | ○ | ○ |
参考:厚生労働省「研修課程(p.2)」
講義では、9科目50時間のカリキュラムが実施されます。1号2号ともに受講しなければなりません。
演習のカリキュラム
第1号研修と第2号研修における基本研修の演習のカリキュラムは以下のとおりです。
| 行為 | 回数 | 1号 | 2号 |
| 口腔内の喀痰吸引 | 5回以上 | ○ | ○ |
| 鼻腔内の喀痰吸引 | 5回以上 | ○ | ○ |
| 気管カニューレ内部の喀痰吸引 | 5回以上 | ○ | ○ |
| 胃ろう又は腸ろうによる経管栄養 | 5回以上 | ○ | ○ |
| 経鼻経管栄養 | 5回以上 | ○ | ○ |
| 救急蘇生法 | 1回以上 | ○ | ○ |
参考:厚生労働省「研修課程(p.2)」
演習の内容は1号、2号共通です。演習では、講義で学んだ内容をもとに実践的な手順を確認します。
実地研修のカリキュラム
第1号研修と第2号研修の実地研修のカリキュラムは次のような内容で構成されています。
| 行為 | 回数 | 1号 | 2号 |
| 口腔内の喀痰吸引 | 10回以上 | ○ | ○ |
| 鼻腔内の喀痰吸引 | 20回以上 | ○ | ○ |
| 気管カニューレ内部の喀痰吸引 | 20回以上 | ○ | – |
| 胃ろう又は腸ろうによる経管栄養 | 20回以上 | ○ | ○ |
| 経鼻経管栄養 | 20回以上 | ○ | – |
参考:厚生労働省「研修課程(p.2)」
基本研修の内容は第1号研修、第2号研修ともに共通していますが、実地研修の内容には差があります。第2号研修では、喀痰吸引(口腔内・鼻腔内のみ)と、経管栄養(胃ろう・腸ろうのみ)を行うため、気管カニューレ内部の喀痰吸引、経鼻経管栄養の実地研修はありません。
出典
厚生労働省「喀痰吸引等研修」(2026年3月26日)
喀痰吸引等研修を受講するメリット
ここでは、喀痰吸引等研修を受けるメリットを説明します。
医療的ケアを必要とする利用者さんへ対応できる
喀痰吸引等研修を受ければ適切な知識や技術をもとに、医療的ケアを必要とする利用者さんへ対応できるようになります。幅広い利用者さんに対応できるようになるので、現場でも重宝される存在になれるでしょう。
実用的な技術を習得できる
喀痰吸引等研修では、実際に使用している道具を用いて学び、施設での実施研修などで実践的な技術を習得します。そのため、実際の業務で戸惑わずに自信をもってたん吸引や経管栄養のケアが行えるでしょう。介護職員が喀痰吸引等を実施できれば緊急時に対応できる人員が増え、施設全体として事故リスクの低減が期待できます。
転職活動が有利になる
喀痰吸引等研修を修了すると、実務でできることが増えるだけでなく技術の証明にもなります。幅広い状態の利用者さんに対応できる人材と認められるので、転職に有利です。
履歴書に喀痰吸引等研修を修了したことを書く場合は、免許・資格の欄に「喀痰吸引等研修 修了」と記載しましょう。
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喀痰吸引等研修を修了する方法
ここでは、厚生労働省の「介護職員等による喀痰吸引等実施のための制度について(p.1、p.2) 」「(参考)喀痰吸引等業務の実施に至るまで(p.2) 」をもとに喀痰吸引等研修を修了するための方法と流れを説明します。
登録研修機関で受講の申込みをする
まず、登録研修機関を探して申し込みましょう。登録研修機関は一定の要件を満たし、都道府県知事に登録した機関です。民間のスクール、介護福祉士の養成施設(専門学校・福祉系高校)などがあります。自治体によっては都道府県庁で開催している場合もあるので、問い合わせしてみると良いでしょう。
必要な講義を受講する
申し込みが済んで受講が決まったら、「喀痰吸引等研修のカリキュラム内容」でご紹介した基本研修と実地研修を受けます。
筆記試験と認定評価に合格する
すべてのカリキュラムを終えたら筆記試験と認定評価を受ける必要があります。
厚生労働省の「修得程度の審査について(p.2)」によると、筆記試験の出題形式は四肢択一で、第1・2号研修は30問、第3号研修は20問出題。合格基準は正解率9割以上。9割と聞くと難易度が高いと感じるかもしれませんが、講義内容に沿った問題が出題されるのでしっかりと復習しておけば大丈夫です。仮に不合格になってしまっても、別日に再試験が可能なので安心してくださいね。
実地研修の認定評価については、すべての行為で必要な実施回数を実施したうえで、手順どおりに実施できているかを確認されます。手順の復習をして臨みましょう。
出典
厚生労働省「喀痰吸引等研修」(2026年3月26日)
認定特定行為業務従事者認定証を申請する
最後は、「認定特定行為業務従事者認定証」の申請です。研修機関より「喀痰吸引等研修修了証明書」の交付を受け、都道府県に「喀痰吸引等研修修了証明書」を添付して申請します。都道府県より認定証が交付されたら、医師の指示のもと、看護師と連携してたん吸引等ができるようになります。
出典
厚生労働省「喀痰吸引等制度について」(2026年3月26日)
喀痰吸引等研修にかかる費用と期間
ここでは、研修に必要な費用と期間について説明します。
喀痰吸引等研修の受講費用
喀痰吸引等研修は、研修を行う機関や選んだ類型によって費用や期間が変わります。複数の機関に問い合わせて比較検討すると良いでしょう。下記は目安の金額です。参考にしてみてください。
- 第1・2号研修の場合:10~25万円程度(テキスト代込)
- 第3号研修:5万円程度(テキスト代込)
介護福祉士実務者研修を修了している場合、基本研修が免除となるケースがあり、費用を抑えられる可能性があります。早期申込での割引や分割払いに対応しているところもあるので、負担が軽くなるスクールを探してみてください。
喀痰吸引等研修の受講期間
期間は第1・2号研修の場合は基本研修が15日程度、実地研修が10日程度です。受講日程は研修機関によって異なりますが、働きながら受講できるように配慮したスケジュールが組まれていることもあります。基本的に欠席の振替はできませんが、救済措置が取られる場合もあるので事前にしっかり確認しておきましょう。
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基本研修なしで喀痰吸引等に従事できるケース
喀痰吸引等研修では、基本研修が免除となるケースが2つあります。免除となるのは「2012年以前に喀痰吸引を行っていた介護職員の場合」「介護福祉士を目指している介護職員の場合」のケースです。1つずつ見ていきましょう。
2012年以前に一定の条件下でたん吸引等を行っていた場合
2012年に「社会福祉法及び介護福祉士法」が改正される前は、介護職員のたん吸引について「やむを得ない措置(実質的違法性阻却)」として容認されていました。厚生労働省「(参考)喀痰吸引等業務の実施に至るまで(p.2) 」によると、2012年以前にやむを得ない措置として喀痰吸引に携わっていた介護職員が、これから喀痰吸引等を再開するには、以下の手続きが必要となります。
- 都道府県に対し、喀痰吸引等の知識・技能を持っている旨の証明手続きを行う
- 都道府県より「認定証」が交付される
手続きが完了すれば、引き続き医師や看護師と連携して喀痰吸引等が行えます。
出典
e-Gov法令検索「社会福祉士及び介護福祉士法」(2026年3月26日)
厚生労働省「喀痰吸引等制度について」(2026年3月26日)
介護福祉士を保有している・目指している場合
厚生労働省の「(参考)喀痰吸引等業務の実施に至るまで(p.1) 」を参照すると、介護福祉士としての登録を行ったうえで喀痰吸引等研修の「実地研修」を修了すれば、喀痰吸引等ができるようになります。
介護福祉士を受験するまでの過程では、実務者研修、福祉系高校、介護福祉士養成施設などで喀痰吸引等研修の基本研修に相当する医療的ケアの内容を学ぶのが一般的です。介護福祉士国家試験に合格後に介護福祉士の登録を行いますが、この段階で喀痰吸引等研修の実地研修以外が履修できていることになります。
喀痰吸引等に従事するには、介護福祉士の資格取得後に実地研修の受講が必要です。実地研修を受講したら、「喀痰吸引等研修修了証明書」の交付を受け、社会福祉振興・試験センターへ登録事項の変更を申請します。ここで初めて喀痰吸引等ができるようになるのです。
出典
厚生労働省「喀痰吸引等制度について」(2026年3月26日)
喀痰吸引等研修についてよくある質問
喀痰吸引等研修についてよくある質問と回答を紹介します。喀痰吸引等研修の受講を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
喀痰吸引等研修に受講資格はありますか?
研修の受講対象となる人は「介護福祉士」「介護福祉士以外の介護職員(一定の研修を修了した人)」です。受講対象者については「喀痰吸引等研修とは」で詳しく記載しているので、チェックしてみてください。
喀痰吸引等研修の費用はどのくらいかかる?
第1・2号研修の場合は10~25万円程度(テキスト代込)、第3号研修は5万円程度(テキスト代込)がかかります。ただし、資格取得支援制度がある施設であれば、費用を負担してもらえることもあるでしょう。詳しくは「喀痰吸引等研修にかかる費用と期間」にまとめているので、あわせてご確認ください。
まとめ
喀痰吸引等研修とは、自力でたんを吐き出すのが難しい人や、口からの食事ができず経管栄養で栄養摂取している人のケアを行うための研修です。第1号研修・第2号研修・第3号研修の3種類に分かれており、それぞれ受講対象者や学習範囲が異なります。
喀痰吸引等研修の受講期間は、第1・2号研修の場合、基本研修が15日程度で実地研修は10日程度です。取得することで、医療的ケアを必要とする利用者さんへ対応できるようになるなどのメリットがあるので、興味のある方はぜひ挑戦してみると良いでしょう。
職場によって、喀痰吸引等研修を修了していれば手当が付く場合もあるので、給与アップが見込める場合もあります。もし「もっとスキルを上げてキャリアアップしたい」と考えているなら、レバウェル介護(旧 きらケア)に相談してみてください。レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護業界に特化した転職エージェントです。経験豊富なキャリアアドバイザーがあなたの希望を聞き取り、おすすめの求人をご紹介します。サービスはすべて無料。話を聞くだけでも大丈夫なので、お気軽にご利用くださいね。
働きながら資格を取る方法教えます
執筆者

「レバウェル介護」編集部
お役立ち情報制作チーム
介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点



