
超高齢化社会の訪れとともに問題になっているのが、老後の過ごし方です。定年退職を迎えた後、長い余生をどう過ごすかの選択は決して軽いものではありません。そこで、選択肢のひとつとして注目されているのがCCRCです。耳慣れない言葉でよく知らないという介護士も少なくないでしょう。そこで、CCRCとは何か?老人ホームなどの介護施設とは何が違うのかについてご説明します。
目次
CCRCと老人ホームの違い
高齢者が入る介護施設といえば、まず思い浮かぶのが老人ホームでしょう。しかし、老人ホームとは基本的に介護が必要な高齢者が入所する場所であり、健康に問題のない間は、ほとんどの人が自宅で余生を過ごすことになります。しかし、没頭する趣味や仕事もなく、自宅で無為に時間を過ごしていたのでは心身は衰え、結局、早い段階で介護の手を借りる事態になりかねません。
そこで、新たなセカンドライフのあり方として提唱されているのかCCRCです。CCRCという言葉は、Continuing Care Retirement Communityの略で、直訳すると継続介護付きリタイアメント・コミュニティとなります。1970年代にアメリカで普及し始めた高齢者のためのコミュニティで、現在では全米で約2000もの施設が作られています。
老人ホームと違うのは、介護のために施設に移り住むのではなく、第2の人生を送るために特別地域に引っ越しをするという点です。老人ホームのような建物ではなく、高齢者が暮らしやすいバリアフリーの住居が立ち並ぶ小さな町を想像してもらえばよいでしょう。そこに、まだ健康な間に移り、高齢者同士のコミュニティを作って充実したセカンドライフを送ってもらおうというわけです。
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高齢者のあらゆるニーズに応えるCCRC
CCRCは、高齢者のあらゆるニーズに応えられるようにできているのも特徴のひとつです。まず、健康な高齢者には自立型高齢者住宅があり、自由で自立した生活が営めるようになっています。老後の生活はこの期間が長いほどいいわけで、CCRCには健康を維持するためのさまざまなプログラムが用意されています。
実際、アメリカで寝たきりになる人は、4人に1人ほどですが、CCRCの入居者に限って言えば、14人に1人ほどにすぎません。(1)しかし、年を取り、どうしても生活支援が必要になると支援型高齢者住宅に移ってもらい、ここで自立的な生活を実現するための支援サービスが受けられます。最後に、寝たきりになってしまい、介護が必要な場合は、看護型高齢者住宅が用意され、十分な看護及び医療サービスを24時間体制で受けられるようになっています。
このように、CCRCでは、高齢者としてはさほど年老いていない段階からコミュニティに溶け込み、たとえ、寝たきりになっても終の住処として人生を全うできるのです。従来の有料老人ホームでは、介護レベルが規定より高くなったり、低くなったり、あるいは医療処置が必要な場合は退去しなければならない場合があるので、その点も大きな違いだと言えます。
日本版CCRCの目的と課題
現在、CCRCが普及しているのはアメリカを中心とした諸外国ですが、これを日本でも取り入れようという動きがあります。その主目的は、『高齢者にとっての魅力的なセカンドライフの実現』、『地方の活性化』、『増加する東京の高齢者問題の解消』などです。
第2の人生を魅力的な環境ですごしたいと思っている人に地方のコミュニティに移ってもらい、そこで、施設外の人たちとの交流を行い、まだ元気であれば新たな仕事にも従事し、地域発展に貢献してもらおうというわけです。また、老人ホームは介護者の雇用を生み出すだけですが、小さな街をひとつ運営するCCRCは医療、物流、コミュニティ運営、外食産業などさまざまな雇用を生み出します。
このように、魅力的に見えるCCRCですが、問題がないわけではありません。まず、住み慣れた東京から地方に移ることに対して抵抗のある人が少なからずいます。それに、受け入れる地方にしても、いきなり高齢者ばかりのコミュニティができても困るという声があるのです。さらに、移住して生活するのにどのぐらいのお金がいるのかというコストの問題も見逃せません。
CCRCを日本で普及させるには、地方移住ありきではなく、まず自宅から気軽に通えるCCRCを作ってその魅力を知ってもらい、地方では住民にコミュニティを作るメリットを根気よく説いて受け入れ態勢を整えるなどさまざまな工夫が必要です。
いずれにしても、超高齢化社会を迎える日本において、高齢者の新たな受け入れ施設の検討は欠かせません。CCRCもその有力な選択肢のひとつとして大いに注目をしていきたいところです。
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