身体介護の最前線☆第4次改正で注目を集める「身体0」とは?

ニュース 2016/07/08
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「介護」という言葉から、食事や入浴、排せつなどの介助をイメージする方は多いでしょう。こうした高齢者や障害者の身体を直接支えることをメインにした介護が「身体介護」です。今回は身体介護の基本的なサービス内容、2015年度の介護報酬改定で大幅に見直された「身体0」(20分未満の身体介護)などについてご紹介します!


身体介護の基本


「身体介護」とは、その名の通り「身体に直接接触」して行う介護サービスのこと。主に入浴、排せつ、食事などの介助を提供し、ADLや意欲の向上などを含めご利用者の自立支援をサポートします。

身体介護とよく比較されるのが「生活援助」。掃除、洗濯、調理など日常生活上の援助を行います。障害や病気などの理由により、ご利用者本人やご家族だけで家事を行うことが困難な場合に提供される介護サービスです。

大雑把にまとめると、身体介護=「身体に接触して行う介護」、生活援助=「身体介護以外の介護」となります。しかし、この区別は絶対的なものではありません。

コレも身体介護!(1)――「自立生活支援のための見守り的援助」


一見すると生活援助のように見えても、「身体介護」として認められるタイプの支援もあります。それが「自立生活支援のための見守り的援助」。自立支援・ADL向上の観点からご利用者の安全を確保しつつ、いつでも介助できる状態で実施する「見守り」です。いくつかの例を挙げてみましょう。

(a)ご利用者の手助をけしながら一緒に調理を行うとともに、安全確認の声かけや疲労の程度を確認する
(b)一緒に洗濯物を干したりたたんだりすることで自立支援を促し、転倒防止のための見守り・声かけを行う
(c)認知症高齢者の方と一緒に冷蔵庫の中身を整理し、ご利用者に生活歴の喚起を促す
(d)車いすの移動介助を行って一緒にお店に行き、ご利用者が自分で品物を選べるように援助する

このように、ご利用者のADLや意欲の向上を目的としたサービスであれば、生活援助に関係するものであっても「身体介護」に区分されます。ただし、単なる見守り・声かけは依然「生活援助」とみなされます。

コレも身体介護!(2)――声かけ・見守りメインのサービス


また、ご利用者の身体への直接接触が極めて少ないタイプの「身体介護」もあります。

(a)入浴・更衣などの見守りにおいて、転倒防止のための声かけや気分の確認を行いながら、必要な時だけ介助を行う
(b)ベッドに出入りする時など、自立を促すための声かけ・見守りを中心に必要な時だけ介助を行う
(c)移動時に転倒しないよう付き添って歩き、事故防止のために見守る。介助は必要な時のみ行う

これらは見守り・声かけが中心であっても、自立支援やADL向上の観点から「身体介護」とみなされます。

身体0の算定要件


2015年度の介護報酬改定では、訪問介護で提供される「20分未満の身体介護」――通称「身体0」――が大幅に見直されました。従来は、通常の訪問介護事業者が20分未満の身体介護(以下、20分未満)を提供できる時間帯は早朝・夜間・深夜の時間帯に限定されていました。

しかし、15年度改定で実施された算定要件の緩和により、すべての訪問介護事業所において日中時間帯における20分未満の提供が可能に。以下、算定要件の詳細を簡単にまとめてみました。

<身体介護「20分未満」の算定要件>
■「2時間ルール」*適用の20分未満
(a)利用者要件:要介護1以上で算定可能
(b)体制要件:すべての訪問介護事業所で算定可能

*「2時間ルール」: 訪問介護を1日に複数回算定する場合は、「前回のサービスから概ね2時間以上の間隔を空けねばならない」とするルール

■頻回訪問(2時間以上の間隔を空けずに訪問)が可能な20分未満
(a)利用者要件:
・要介護1・2で認知症、または要介護3以上で障害高齢者の日常生活自立度ランクB以上な方
・サービス担当者会議を3ヶ月に1回以上開催し、週5日以上頻回の訪問を含む20分未満の身体介護が必要と認められる方
(b)体制要件
・定期巡回・随時対応サービスの指定を受けている、または指定を受けていないが実施の意志があり、実施に向けた計画を策定している
・ご利用者からの連絡に常時対応できる体制が整っている

改定後の影響


厚生労働省の介護給付費等実態調査(2015年12月審査分)によれば、20分未満の算定回数は約185万回。前年同月比では約87%の大幅増を記録しました。全体の算定回数と比較しても、20分未満が占める割合は9%から15%にアップ。時間帯を問わず20分未満の提供が可能になったことで、様々なメリットも生じているようです。

メリット(1)――ご利用者の生活リズムを整える


ご利用者が認知症を抱えている場合、混乱した状態のまま放っておくとBPSD(周辺症状)につながる恐れがあります。
ある事業所がピンポイントで20分未満を適用してみたところ、ご利用者の混乱が収まり生活リズム全体を安定に導くことができたそうです。

メリット(2)――ターミナルケアでの活用


頻回訪問による20分未満の提供は状態の急変時にも対応することが可能。介護士が1日に複数回訪問することで、ご利用者だけでなくご家族にも安心感が生まれます。ターミナルケアにおいて20分未満を活用する事業所では、亡くなったご利用者の約7割以上が在宅で最期を迎えたという報告もあります。

メリット(3)――大反響!「毎日決まった時間」「料金は使った分だけ」


起床介助・体位変換・服薬介助・体調確認などのちょっとしたサービスを「毎日決まった時間」に受けられることが反響を呼び、20分未満の提供回数が改定前の3倍近くに上った事業所も。また、20分未満は利用した分だけ料金を支払うため、サービス利用に抵抗を感じている方にも受け入れられやすい傾向にあるようです。


いかがでしたか?以前は「必要なのは服薬の確認だけなのに、20分のサービスにするため無理やりトイレ介助や更衣介助を追加した」という事例もしばしば。しかし、今回の改定で20分未満が解禁されたことにより、身体介護はご利用者のニーズに合ったより身近なサービスとして広く受け入れられるようになりました。介護保険制度の方針により、今後は「短時間」「頻回」が訪問介護の主流となるでしょう。事業所側も介護士さんの確保や提供体制などを整備していく必要があるようです。

出典:
厚生労働省. “介護給付費等実態調査月報(平成27年12月審査分)”. 2016. http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/2015/dl/201512_gaiyou.pdf, (参照2016-05-10).
厚生労働省. “指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準”. 2015. http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000080824.pdf, (参照2016-05-10).
厚生労働省. “平成24年度介護報酬改定に関するQ&A”. 2011. http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/housyu/dl/qa01.pdf, (参照2016-05-10).
独立行政法人福祉医療機構. “自立生活支援のための見守り的援助の具体的な内容について”. WAM NET. http://www.wam.go.jp/wamappl/kaigoServiceQA.nsf/vQA/EDA4468412A947C849257EC2001BC5B3, (参照2016-5-10).
身体介護「20分未満」算定8割増: 要件緩和追い風に. シルバー産業新聞. 2016-4-10, p.6.

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