介護におけるアセスメントとは?アセスメントシートの書き方やマナーを解説

介護の知識 2021年10月7日
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介護やケアマネ業務に就いて間もないと、「アセスメント」はあまり聞き慣れない言葉かもしれません。アセスメントは、利用者さん一人ひとりに寄り添う介護を行うために必要不可欠な過程です。この記事では、介護におけるアセスメントの重要性やアセスメント時に使用するアセスメントシートについて解説します。

目次

介護におけるアセスメントとは

介護におけるアセスメントとは、利用者さんの状態や取り巻く状況に関する情報を収集・分析し、利用者さんが求めていることや解決すべき課題を明確にするために行う評価や査定です。アセスメント(assessment)とは、一般的に「評価・評定・査定」という意味を持つ言葉。解決すべき課題を分析し、何が求められているのかを正しく知ることを指します。介護の現場において、アセスメントはケアプランを作成するために欠かせません。

介護のアセスメントは、基本的にケアマネージャーが担当します。利用者さんから汲み取った内容で作成されたアセスメントシートを元に、利用者さんに合ったケアプランを作成します。また、事業所によっては、介護スタッフが自分の担当する利用者さんのアセスメントを行うこともあります。そのため、ケアマネだけでなく介護に携わるすべての人がアセスメント業務に関わる機会があるといえます。

アセスメントの重要性

アセスメントは、利用者さん一人ひとりに合ったケアを行ううえでとても重要な業務です。たとえば同じ介護度でも、ADL(日常生活動作)や生活環境、要望などは利用者さんによってそれぞれ違います。介護度別に画一的なサービスを提供していると、利用者さんの自立度がどんどん下がっていき、生きがいを失ってしまう可能性もあります。そこで、一人ひとりに適切なケアマネジメントを行うためにアセスメントが求められるのです。

アセスメントは利用者さんの基本情報をはじめ、人生背景や必要なサポートを具体的に把握できます。ケアプランの作成に大きな影響を与えるため、非常に重要なプロセスの1つです。

アセスメントとモニタリングとの違い

アセスメントは「利用者さんの現在の状態を把握し、生活ニーズを把握すること」が目的です。一方、モニタリングは「居宅サービス計画の実施状況を把握すること」が目的で、アセスメントとはまったく違うことがわかります。

利用者さんの状態や生活状況は日々変動するもの。そのため、モニタリングによって現在の状態などを確認し、初期のケアプラン通りで良いのかを確認していきます。もしも、ケアプランが現在のニーズと合っていなければ、サービスの内容が不適切なものとして、ケアプランの修正が必要です。

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アセスメントを行う際のポイント

こちらでは、アセスメントを行なう際の心構えをご紹介します。

情報は多方面から集める

アセスメントの前に、ご家族や医師・看護師・地域包括センターなど、多方面から利用者さんの状況をできるだけ具体的に聞き、情報を収集しておきましょう。事前に情報を集めておくことで、利用者さんのニーズを正確に把握することができます。

専門職と連携を取る

アセスメントに必要な情報をより詳細に把握するには、専門職との連携が欠かせません。

たとえば、利用者さんのADLやIADLを把握するには、理学療法士や作業療法士などのリハビリの専門家と連携する必要があります。

アセスメントを行うためにケアマネに必要な力

アセスメントは、ケアマネジメントを行うために欠かせないものです。こちらでは、アセスメントを行うためにケアマネに必要な力を3つ紹介します。

質問力

1つ目は、利用者さんやご家族が困っていることの背景を引き出す質問力です。

利用者さんが抱えている困りごとや悩みごとの原因を探るには、知りたいことをはっきりさせたうえで、相手の本音や真意を引き出す必要があります。その際、ケアマネに必要なスキルが「答えやすい質問をする力」「答えたくなるような問いかけができる力」です。

「はい」か「いいえ」で答えられる質問を投げかけ、「それはどんなところですか?」といった質問へ繋げていくと、より深く掘り下げて聞き出すことができます。

情報収集力

2つ目は、その人らしさを理解するための情報収集力です。

アセスメントは、利用者さん本人に対して行います。しかし、本人からの情報だけでは、ケアプランを作成するにはまだ不十分です。たとえば、認知症の利用者さんの場合、自分の置かれている状況を把握できているとは限らず、本人とご家族のニーズにズレが生じていることがあります。利用者本人だけでなくご家族のニーズも把握することで、「本当に求められる介護保険のサービス」を提供することができるようになるのです。

洞察力

3つ目は、利用者さんの本当のニーズを導き出すための洞察力です。

アセスメントを通して、利用者本人やご家族が気づいていない隠れたニーズを引き出し、ケアプランに反映させましょう。

洞察力を鍛えるには、まず観察力を身に付けます。何か変化はないか知ろうとする意識を働かせることが大切です。そして、観察から得られた情報を、利用者さんが必要とする介護保険サービスと結びつけるには、経験や知識が不可欠です。日頃から幅広い情報に目を向けたり、先輩や同僚の対応を吸収したりして、より多くの情報や知識、経験を身に付けましょう。

アセスメントシートとは

アセスメントシートとは、ケアマネがケアプランを作成する際に使用するツールです。利用者さんが具体的にどのような支援を必要としているか、どのような背景を持っているかなどの情報を、簡潔にまとめることができます。総合的な介護方針や適切な目標設定に役立ち、利用者さんの情報をご本人やご家族、他職種などと共有するツールとしての役割も持っています。

アセスメントシートの目的

アセスメントシートは、利用者さんからヒアリングした内容をまとめるためにあります。そのため、アセスメントシートを見るだけで、利用者さんの心身の状態やそのご家族が置かれている環境、現在の日常生活の状況を的確に理解することが可能です。
また、ケアプランを作成する際の利用者さんとの最初の面談で活用することができます。

7つの様式

アセスメントシートには7つの様式があります。

  • 包括的自立支援プログラム
  • 居宅サービス計画ガイドライン
  • MDS-HC方式
  • R4
  • ケアマネジメント実践記録方式
  • 日本介護福祉会方式
  • 日本訪問介護振興財団版方式

厚生労働省のデータによると、包括的自立支援プログラムを採用しているのは施設サービスが多く、老健は29.2%、特養は49.3%となっています。

居宅サービス計画ガイドラインを採用しているのは居宅介護支援事業所が多く、37.6%の事業所が使用しているようです。

また、R4を採用している老健が20.3%。それ以外では独自の様式を使用しています。

利用者さんの状況などを考慮したうえで、提供するサービスやニーズに適した様式を選びましょう。

出典:厚生労働省「介護保険制度におけるサービスの質の 評価に関する調査研究事業」(2020年9月8日)

アセスメントシートの書き方

アセスメントシートを書くとき、どのような点に注意して記入すればいいのでしょうか。ここでは、アセスメントシートの書き方について紹介していきます。

利用者さんを中心に作成する

アセスメントシートに記入する内容は、利用者本人から聞いた内容を中心に作成しましょう。前述したように多方面からの情報収集も大切ですが、利用者さん以外から得た情報を中心に記入すると適切なケアプランが作成できなくなってしまいます。

誰が見ても分かる内容を記す

アセスメントシートは、ケアマネだけのメモでもノートでもありません。多職種との連携をスムーズにするためにも、誰が見てもわかりやすく、状況などが理解できるように書くことが大切です。

作成のポイント

  • 5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識する
  • 現状の問題→原因→リスク→対策の流れで考える
  • どこまで一人でできて、どこから一人でできないかを書き分ける
  • できるのにやっていないこと、拒否していることはないかを明確にする
  • 主観的事実と客観的事実を区別して記入する
  • 「息子」ではなく「長男」のように主語は具体的に記入する
  • 略語は使用せず正式名称を使用する

ケアマネの中には、オリジナルのアセスメントシートを作成している方もいるようです。アセスメントシートをわかりやすく記入するためには、自分にあった工夫をしてみましょう。

アセスメントが不十分になるケース

アセスメントの際、介護保険サービスに当てはめることばかりを考えるのはよくありません。利用者さんやご家族からヒアリングをする際、話の内容を介護保険にはめ込むことを意識しすぎると、アセスメントが不十分になってしまいます。また、利用者さんに「自立・一部介助・全介助」のうち、どの支援が必要なのか、という活動力を測定するような形のヒアリングもアセスメントが不十分になる原因の1つです。

受け持つ利用者さんの中に似たような方がいたとしても、一人ひとりのニーズや環境は異なります。アセスメントを適切なものにするためには「人それぞれ違う」ということを忘れないようにしましょう。

まとめ

ケアマネがそのケアプランを作るためには、アセスメントが必要不可欠です。アセスメントは必要な質問力や情報収集力、観察力を身に付けたうえで、マナーを守りながら行いましょう。アセスメントを行う際は、専門職と連携したり、一人で問題を抱え込まないようにしたりすることがポイントです。

監修者

  • 篠田 浩行

    介護福祉士/ケアマネージャー

愛知県出身S58.12.28生まれ。老人保健施設、特別養護老人ホームなどで10年以上介護の仕事に関わった後、管理職も経験。現在はこれらの経験を活かし、介護情報ブログの運営や執筆業にも携わる。介護職員や在宅介護者が元気になれるよう、介護・お役立ち情報などを発信中。

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