
この記事のまとめ
- オムツ交換で利用者さんの足が開かない原因は、身体的・精神的なものが多い
- 身体的な理由が原因の場合は、正しい手順を押さえてケアを行うことが大切
- 精神的な理由が原因でオムツ交換が難しいときは、声かけを工夫してみよう
「拘縮で足が開かない利用者さんのオムツ交換が難しい」「足を開いてくれない利用者さんのオムツ交換に時間がかかっている」このような悩みを抱えている介護職員も多いのではないでしょうか?介護施設には、さまざまな利用者さんがいるため、スムーズにオムツ交換が行える方ばかりではありません。しかし、限られた勤務時間の中で、できるだけ滞りなく排泄介助を行いたいと考えることも多いはず。
本記事では、足が開かない利用者さんのオムツ交換の手順や効果的な声かけについて解説しています。本記事を読み、明日から介護現場で活用できるオムツ交換の技術を身につけましょう。
目次
オムツ交換のとき利用者さんの足が開かない原因
オムツ交換で、利用者さんの足がうまく開かずスムーズな排泄介助が行えない場合、その理由によって適切な対応は異なります。それぞれの原因に合わせて、効果的な方法を解説します。あなたの職場で足が開きにくい利用者さんがいる場合は、その理由を考えながら読んでみてください。
身体的な原因
介護職員が「足が開かない…」と困る原因で多いのが、拘縮など身体的な要因で足が開かない・開きにくい利用者さんのオムツ交換です。この場合、利用者さんはオムツ交換時に痛みを感じることが多く、無理やり足を開こうとすると、さらに強い力で足を閉じようとしてしまいます。
介護施設の場合、介護職員1人が何人もの利用者さんを担当するため、何人ものオムツ交換を限られた時間の中で行わなければなりません。そのため、焦る気持ちから、力ずくで足を開こうとしてしまった経験はありませんか?もし、心当たりがある場合は、今後絶対にやめましょう。拘縮や関節等の痛みのために足を開けない場合、無理やり力を入れてしまうと骨折等の重大事故につながる可能性があります。後に足が開かない場合のオムツ交換のポイントを解説しますので、しっかりとポイントを押さえ、スムーズなオムツ交換を実現しましょう。
精神的な原因
もう1つの原因は羞恥心による拒否や認知症により「オムツを交換する」ことが理解できず拒否・抵抗に繋がるパターンです。
この場合、拘縮の方のように骨折などに繋がる可能性はそれほど高くありませんが、やはり無理やり行うことはNGです。利用者さんの気持ちを理解・尊重し、声かけなどの工夫を行いましょう。声かけをせず、無理やりオムツ交換をしてしまうと、今後さらなる拒否に繋がる可能があります。また、オムツ交換をしてもらう回数を減らしたいという気持ちから、水分摂取量を減らして脱水傾向になったり、便意を我慢して便秘になってしまったりすることもあるかもしれません。
効果的な声かけを実施し、できるだけ抵抗や拒否の少ないタイミングでオムツ交換に入りましょう。
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身体的な理由で足が開かない利用者さんのオムツ交換の手順
どのような状態の利用者さんのケアであっても、利用者さんの身体の状態を正しく理解することは非常に重要です。そのうえで、正しく効果的なオムツ交換の手順を実践し、より質の高いケアを提供できる介護職員を目指しましょう。
まずは身体的な原因により、足が開かない利用者さんのオムツ交換の手順を解説します。手順の要点を押さえ、利用者さんの状態にあわせて工夫しながらケアを提供しましょう。
なお本記事では、仰臥位でベッドに寝ている状態を想定して手順を記載します。
手順① 膝と股関節を立てる
まず、ゆっくりと利用者さんの膝と股関節を立てるようにして曲げます。膝は膝裏に手を添えると余計な力を入れずに曲げやすくなるのでおすすめです。股関節や膝を曲げることで身体が安定し、余計な緊張を取る効果も期待できます。
このとき、適宜声かけを行い、今からどういう動作をするのかをしっかりと利用者さんに伝えましょう。適切な声かけを実践することで利用者さんの不安を軽減する効果が期待できます。利用者さんの表情にも気を配りながら、「ゆっくり右膝曲げますよ、優しくしますからね」など、緊張や不安を取り除くような声色で声をかけると、良いでしょう。
手順② 片足ずつ足を外側にずらす
膝を立てたら、次は足を少しずつ開いていきます。拘縮などの程度は利用者さんによって異なりますので、痛みが出ないように注意しながら、片方ずつゆっくりと行いましょう。かかとと膝のあたりに手を置いて足を動かすと、動かしやすくなります。無理やり動かすと、余計に身体が緊張してしまったり、利用者さんに苦痛を与えてしまったりする可能性があるため、ゆっくりと優しく行うことを心がけながら実践してください。
手順③ 膝を左右外側に開くようにして股関節を開く
ここまできたら、あとは股関節を開くだけです。膝を左右外側に開くようにして、ゆっくりと股関節を開きましょう。股関節を開けたら、普段どおりに排泄ケアを行い、オムツ交換することが可能になります。
3ステップなので、手順自体はそれほど難しくありません。重要なのは利用者さんの状態をよく観察しながら実践することです。「痛みを感じている表情はしていないか?」「普段よりも強い力が入ってしまっていないか?」といったことに気を配りながら行いましょう。また適宜、様子を伺ったり、不安を取り除く声かけも忘れずに行うことも大切です。
「少し足を開きますよ」「ゆっくりしますから、大丈夫ですよ」「少しずつ足を外側に持っていきますよ」というように、今から行う動作を説明したり、不安な気持ちを汲み取るような声かけを行うと効果的です。
拘縮が強く、どうしても上記手順でオムツ交換が難しい場合は、無理やり股関節を開くことは避け、側臥位で左右片方ずつの排泄ケアを実施しましょう。
精神的な原因で足が開かずオムツ交換が難しいときの工夫
羞恥心や認知症による理解力や認識の低下からオムツ交換を拒否され、足が開かない利用者さんの場合は、声かけの工夫が最重要です。具体的には、不安を取り除く声かけや落ち着いた声色で話すことなどが挙げられます。また抵抗や拒否が強い場合には、オムツ交換の時間を少しずらすことも有効です。拒否が強いときに、いくら声かけをしても逆効果になってしまうこともあるので、少し時間を置いて再度ケアに入りましょう。時間を空けると、同じ声かけでも、案外スムーズに終わることもあり、ケアの効率化に繋がるかもしれません。
しっかりと要点を押さえて実践し、上手くいったことやスムーズにいかなかったことをフロアで共有しながら、フロアの介護職員全員が同じ水準でケアを提供できる状態を目指しましょう。
オムツが上手くあたらない?漏れてしまう場合の介助のコツ
利用者さんの身体の状態によっては、どうしてもオムツを上手くあてられず、漏れてしまうことも珍しくありません。そんなときは、オムツのサイズやパットの当て方を見直し、再検討の機会を設けましょう。
例えば、拘縮や麻痺のある方で、臥床時の身体の向きが左右どちらかに偏りがちな場合は、オムツの正面にパッドをあてるより、あえて左右どちらかに少しずらしてあてることで、漏れを防げることもあります。このように、利用者さんの状態に合わせて、臨機応変に対応することを心がけましょう。自分1人で最適な方法を探そうとせず、フロアの介助職員で意見を出し合えると、より良いケアに繋がる可能性が高まるのでおすすめです。
まとめ
本記事では、足が開かない利用者さんに対する、オムツ交換の手順や声かけのコツを解説しました。拘縮があり、足を開けない方のオムツ交換に関しては、具体的な手順をご紹介しましたが、どのような原因であっても、最も重要なのは利用者さんの身体の状態をしっかりと把握して、苦痛のない方法でケアにあたることです。
声かけをこまめに行うなどの工夫もしながら、利用者さんに合わせたケアを実践していきましょう。
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執筆者

椿るい
介護福祉士ライター
現役介護福祉士。認知症専門病院で看護助手として勤務した後に介護福祉士を取得し、現在は特養に勤務している。食事・排泄・入浴等、利用者さんの生活に係る介護全般に従事。派遣社員として勤務していた経験や副業経験もあり、介護職として柔軟な働き方を目指す。


