
介護士やケアマネジャー、介護事業所にとって、要介護者へ快適な日々を提供することは最優先事項でしょう。しかし、現場で働く方々の心身が健やかであることも大切です。ひいては、それが介護の質を高めることにも繋がるため、業務負担の軽減、効率化、職員のサポートなどは必須と言えます。ここでは、そのような視点に目を向けて考案・開発されたサービスやシステムに注目しました。介護に携わる方々は、ぜひ一読ください。
目次
NPO法人未来をつくるkaigoカフェ
「高齢になっても、障害をもっても自分らしく生きられる社会をつくる。」をビジョンに掲げる、NPO法人未来をつくるkaigoカフェ。介護に携わる方々が自由に語れる機会を設ける活動を通じて、誰もが自分らしく豊かに生きられる社会づくりに邁進しています。
kaigoカフェ活動
介護の現場では、高齢者の健やかな生活のために、介護職やケアに関わる方々が日々尽力しています。その方たちのおかげで、快適かつ安全な環境が作られていると言っても過言ではないでしょう。一方で、働いている方々が感じるさまざまな負担や問題については、十分にケアされていないという現状もあるようです。
同法人の代表である高瀬氏は、その現状に対し「介護やケアに関わる人こそ、自分らしく生きる、ということに対して、一人ひとりがもっと真剣に向き合って考える必要があるのではないか」と感じるようになったとのこと。自身も介護の仕事に関わってきた経験から、「介護業界を元気にしたい、介護業界のイメージを変えたい、そのために自分なりのアクションを起こしたい」という想いのもと、介護に携わる方や外部の方々が肩書や役職を気にせず自由に思いを語るkaigoカフェの活動を行うようになったそうです。
月1回、都内のカフェで開催する活動の内容は、介護医療等に関するテーマをもとに、ゲストの方にお話を伺ったり、参加者でグループワークを行ったりするというもの。勉強会のような堅苦しいイメージではなく、カフェで語るような和気藹々とした温かみのある雰囲気だと言います。

また、外部の方々と接する機会を設けることで、自分や法人を客観的な目で見ることができ、必要な変革に気づくことができるというメリットも期待できるそうです。
想いを共有したい、視野を広げたいという介護職の方は、参加することで大きな価値を感じられるでしょう。
kaigoカフェを作りたい方のための「ファシリテーター講座」
同法人では「自分もkaigoカフェのような場を作りたい」という声に応え、実施について学べる「kaigoカフェファシリテーター講座」を提供しています。
業界の課題や求められる視点、運営の経験とファシリテーションのコツについて講義。そのほか、仲間が開催しているカフェやコミュニティの実例なども紹介しつつ、対話を通じて「自分ならどんな場がつくれるのか」を考えてもらう内容になっています。

なお、同法人のHPには、受講者が感じたことや得られたこと、実際にkaigoカフェを開催しての想いなどが紹介されています。kaigoカフェに興味を持たれた方は、併せて目を通してみてください。
詳細情報
株式会社CARESPACE
株式会社CARESPACEは、介護業界におけるICTの活用およびDX化を通して、すべての方が安心して過ごせる社会の実現を目指しています。ミッションとして掲げる「未来の安心をつくる」というフレーズのもとに集結したメンバーが、高い熱量と自主性を発揮。プロダクト開発にチャレンジしつづけ、社会に寄与しています。
ケアマネジャーと介護事業所をつなぐ「CareSpace」
介護の現場で活躍するケアマネージャー・介護士・施設の職員らは、要介護者へいかに快適な日々を提供するかということに注力しています。しかし、人手不足や事務業務に追われ、要介護者と向き合う時間がとれないという現状もあるようです。
同社の代表である三浦氏は、介護事業に長年携わってきた経験から、現場のスタッフが疲弊しない環境やシステムを整備することが、より質の高い介護の提供に繋がるのではと思案。そこで、介護に関する事務業務の効率化を図るため、Webプラットフォーム「CareSpace」を開発しました。

このシステムの特長は、ケアマネジャーと介護事業所が連携し、クラウド上で要介護者情報の共有や管理ができるということ。具体的には、以下のようなことが挙げられます。
【CareSpaceにできること】
・要介護者の日々の報告をCareSpaceでやりとりできる
CareSpaceは、画像や動画の共有も可能なため、要介護者の状態をより細やかに認識できるようになっています。また、電話やFAXによる日々の報告業務もプラットフォーム上で完結できるので、大変効率的です。
・提供票や実績票、モニタリングシート等の各種書類をデータ共有できる
毎月の事務業務で大きな負担となっている提供票等の各種書類の共有ですが、CareSpaceを活用することで今まで多くの時間を要していた業務をわずか数分で完了することができます。
・会議の日程調整や議事録の作成および共有ができる
ケアマネジャーと介護事業所等で行うサービス担当者会議の日程調整から議事録作成・共有に要する時間を大幅に削減。その分、要介護者に向き合う時間を増やすことで、質の高い介護の提供を実現します。

このように多くのメリットが期待できるシステムですが、「使いこなせるか不安」「どのように現場に浸透させれば良いかわからない」という方も多くいるでしょう。そのような方々でもご利用いただけるように課題のヒアリングから運用までのサポートも付いているということなので安心ですよ。
業務の効率化、介護の質向上を叶えてくれる「CareSpace」。今後の介護業界において、大いに役立つシステムだと言えるでしょう。
詳細情報
一般社団法人<芙和せら>心理研究所
一般社団法人<芙和せら>心理研究所は、誰でも気軽に信頼できるセラピストに出会えるような活動を行っています。花や色彩グラスなどを用いた芸術療法を中心に、オリジナルメソッドを研究および確立。子どもから高齢者まで、全ての人の心を大切にしたいという願いのもと、セラピーの提供やセラピストの育成に尽力しています。
認知症予防やフレイル予防のためのプログラム「お花遊びサロン」

介護の現場では、「フレイル」という言葉をよく耳にします。フレイルの一般的な定義は、加齢によって生じる心身の衰弱のことで、経過によっては認知症や要介護状態を招くとも言われています。このフレイルは、身体的側面・精神的側面・社会的側面の3つが影響しあい引き起こされるとのこと。そこで昨今は、フレイル予防のため、自治体・企業・地域等で、さまざまな取り組みがなされています。
同研究所が提供する「お花遊びサロン」も、その予防法のひとつ。生花にふれながら遊び心や感性を引き出し、前向きな感情を育て、社会的な孤立を防止するといった効果を図るために考えられたプログラムです。
プログラムの内容は、下記例のようにステップ形式で構成されています。
【「お花遊びサロン」 のプログラム例】
・ステップ1:仲間との出会いの時間
・ステップ2:オリジナル花器にチャレンジ
・ステップ3:楽しみながらの花選び
・ステップ4:多彩な花と資材で創作
・ステップ5:「素敵」を見つけて楽しむシェアタイム
(目安時間:60~120分)
プログラムは、参加者の状態や予算等に応じてカスタマイズできます。
同研究所によると、花が持つ色・香り・形は、見る方や触れる方の五感にさまざまな刺激を与え、心に活気をもたらすとのこと。また、参加者同士が会話し交流することで、人と繋がるという感覚が育まれるそうです。これは、高齢者が陥りやすい社会的フレイルの予防に役立つと言えるでしょう。
気持ちも施設内も華やかになる「お花遊びサロン」。高齢者施設でのレクリエーションやリハビリでの活用が大いに期待されます。
お花を通じて健康に 健康長寿の<花*コミュニケーター>養成講座

同研究所では、「お花遊びサロン」を実施運営する人材である<花*コミュニケーター>の養成講座を実施しています。
東京都健康長寿医療センター研究所から学術指導を受けたカリキュラムは、「健花法」・「老年学」・「心理学」の領域で構成。各領域のスペシャリストを講師に迎えた講座は充実した内容で、十分に見識を深められます。
通学もしくはオンラインでも受講できるため、多忙な介護士の方も時間が作れそうですね。自身のスキルアップはもちろん、職場でも活かせる同講座。大いにチャレンジしてみる価値がありそうです。
詳細情報
登録は1分で終わります!