
「最近、利用者の様子がなんとなく違うかも」といった現場の気づきを、客観的なデータとして共有するのは難しいものです。利用者の心身の変化をいち早く捉え、適切なケアにつなげるにはどうすればよいのでしょうか。
今回は、音声AIを活用した「脳の健康を測って、活性化する」新しいカタチの健康習慣サービスを紹介します。ケアの質向上はもちろん、施設運営の最適化も図れる取り組みに興味のある方は、ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
株式会社IGSA
株式会社IGSAは、東京大学松尾・岩澤研究室発のAIカンパニーです。「持続可能な幸せを追求する」ことを存在意義として掲げ、センシングAI技術を活用した状態の定量化・分析により、人の意思決定を支援するサービスを提供。日本古来の畳のように、社会を温かく柔らかく持続的に支えるAIシステムの構築に取り組んでいる企業です。
音声で測定する脳の健康管理アプリ『はなしてね』

2007年に超高齢社会を迎えた日本では、認知症やその前段階とされるMCI(軽度認知障害)の状態にある高齢者数が年々増加傾向にあります。それに伴い、介護保障費用も肥大化。この高い認知症有病者数とその増加が社会課題となっているのが現状です。そのため、適切な対処により回復が期待できるとされるMCIの段階での介入が、これまで以上に重要といえるでしょう。しかし、日常の中で本人や周囲が初期サインに気づくのは容易ではありません。
この課題の解決に向け、早期の気づきをサポートするために開発されたのが、脳の健康を測って、話して、活性化する新しいカタチの健康習慣サービス『はなしてね』です。スマートフォンに向かって約2分間話すだけで、脳の健康状態の変化を手軽にチェックできます。もし脳の健康の低下が確認された方は、10分の詳細測定も実施可能です。
同アプリは、AIの専門家と脳機能検査の専門家が共同開発した独自AIを採用しています。音響と言語の特徴を捉える手法で、60,000時間を超える音声データを学習。さらに、専門機関の臨床データを解析に取り入れているため、客観性の高い分析を実現しています。
使い勝手の良さも魅力です。子どもの頃の思い出や最近嬉しかったことなど、気負わずに答えやすい質問に答えるだけで測定が完了し、10秒で結果を確認できます。状態の推移をグラフでトラッキングしたり、家族へシェアしたりすることも可能です。
また、従来の検査で課題となっていた学習効果を最小限に抑える設計により、慣れによるスコアの上昇を防止。定期的な測定を習慣化させ、年間を通して継続的な見守りを叶えます。
また、次回の測定までの間、毎日の声日記によって脳の活性化を促します。
そのほか、測定結果や年齢、性別、地域に合わせ、適切な予防アクションが提案されるため、具体的な対策へつなげやすいのもメリットといえるでしょう。
さらに同社では、この技術を介護現場の運営支援に活かす「介護事業者パートナー」の募集を開始。脳の健康状態を定期的に確認できるという付加価値を提供することで、施設の差別化や新たな収益機会の創出を実現するための取り組みです。
具体的な活用例としては、リハビリテーションやレクリエーションとの併用が挙げられます。これまで、認知症予防や機能訓練を行っても、その成果を客観的に把握することが難しいという課題がありました。しかし、同アプリをプログラムの前後に使用すれば、取り組みによる変化をスコアやグラフで可視化できるようになります。個々のレベルに合わせたプログラムの提供をサポートしてくれるほか、利用者自身も数値の推移を確認できるため、リハビリやレクリエーションへの参加意欲が高まるはずです。

また、日常的なモニタリングツールとしても活用できます。身体面だけでなく脳の健康も継続的に把握することで、「いつもと様子が違う」といった小さな兆候にいち早く気づけるでしょう。スタッフ個人の経験に依存していた判断を組織全体で共有できるようになり、人材の早期戦力化やサービス品質の標準化、さらには施設運営の効率化にも役立ちます。
導入施設には専用の管理画面(クラウド型ダッシュボード)が提供されるため、時系列に沿った個別スコアの推移や施設全体の傾向を俯瞰的に確認することが可能です。蓄積された客観的なデータは、ケアプランの検討やカンファレンス資料として、有用な根拠となるでしょう。
自治体の予防事業とも連携可能なこの仕組みは、利用者の重度化防止を強化する新しいツールとして大きな期待を集めています。日々のケアの質を向上させ、利用者と家族、そして働くスタッフの安心を支える新たな方法として、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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