
利用者一人ひとりに寄り添う質の高いケアを提供するためには、利用者・ご家族との円滑なコミュニケーションや、日々の安全管理、そして業務負担の軽減が欠かせません。しかし、これら全てを高いレベルで両立させるのは容易ではないでしょう。
この記事では、そうした介護現場のさまざまな課題をテクノロジーでサポートする、製品・サービスを紹介します。ケアの質をもう一段階高めるきっかけを掴みたい方は、ぜひ読んでみてくださいね。
目次
一般財団法人日本財団電話リレーサービス
一般財団法人日本財団電話リレーサービスは、「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律(令和2年法律第53号)」に基づき、総務大臣が全国で1者指定する電話リレーサービス提供機関です。相手の声が文字で読める電話アプリ「ヨメテル」などを通じ、聴覚困難のある方ときこえる方の電話をつなぐ、社会の公的なインフラとして、円滑なコミュニケーションの実現を目指しています。
通話相手の声を文字にする電話アプリ「ヨメテル」

介護の現場では、利用者やそのご家族とのコミュニケーションが欠かせません。日々の健康状態の報告や緊急時の連絡など、電話でのやり取りは頻繁に発生します。
しかし高齢化に伴い、加齢などが原因で電話の声が聞き取りづらい方も増えています。大切な内容を伝える際には、お互いに「正しく伝わっただろうか」と不安を感じることもあるのではないでしょうか。聞き間違いがないように、丁寧に言葉を選んだり、何度も確認し合ったりする場面も少なくないでしょう。こうした課題を解消するのが、相手の言葉を文字で確認できる電話アプリ「ヨメテル」です。
「ヨメテル」は、障がいや加齢で「きこえにくい」と感じている方向けに、通話相手の声をリアルタイムで文字へ変換するサービスです。最新のAI(自動音声認識)技術と文字入力オペレータの2つの方法から、通話の目的や相手に応じて適した文字化方法を選択可能。110番や119番といった緊急通報にも対応しており、法律に基づいた公共インフラとして提供されています。

利用方法は、きこえにくい方がアプリをインストールし、登録手続きを行うだけです。アプリ上で本人確認・認証ができる場合は、即時に050から始まるヨメテル用電話番号が発行され、24時間365日利用できます。
通話相手となる方の利用登録は不要です。特別な準備や機器も必要ありません。このサービスを通じて施設に電話がかかってくると、まず「電話リレーサービスのヨメテルです」という音声ガイダンスが流れます。このガイダンスの後にいつも通り話せば、ご自身の言葉が相手のアプリ画面に文字で表示されるという仕組みです。
もちろん、施設側からきこえにくい利用者やご家族へ電話をかける際にも活用できます。その場合は、相手のヨメテル用電話番号に発信する形です。
「ヨメテル」は、安否確認や次回の利用日の連絡、急な体調の変化を伝える緊急の連絡まで、あらゆる場面で正確な情報共有をサポートします。言葉がその場で文字として見えるため、介護士ときこえにくい方の双方にとって安心感につながるでしょう。
障がいのある方も高齢の方も、誰もが安心して電話を使える社会を支える「ヨメテル」。電話でのやり取りが円滑になれば、ご本人の社会的なつながりを保つ一助となるはずです。電話でのコミュニケーションに悩む利用者やご家族へ、こうしたサービスがあると伝えてみてはいかがでしょうか。
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株式会社OTERA
株式会社OTERAは、僧侶が代表を務める、お寺と地域をデザインする会社です。在宅生活支援サービスを提供する地域サポート事業と、寺院のホームページや公式SNS制作などを手掛ける寺院サポート事業を展開。かつてお寺が地域のあらゆる困りごとに寄り添ったように、現代にあった形で地域の課題を解決するインフラのような存在を目指しています。
離れて暮らす家族の見守りアプリ「マモルバ」

高齢の家族と離れて暮らしていると、日々の様子が分からず、不安な気持ちになることも多いでしょう。元気でいてほしいと願いつつも、毎日の電話がお互いの負担になってしまうこともあります。かといって、位置情報を常に把握するような見守りサービスは、監視されているようで抵抗があると感じる方も少なくありません。
一人暮らしの高齢者が年々増える現代において、このような悩みは特別なものではなく、利用者のご家族から相談を受けた介護士もいるのではないでしょうか。そんな見守る側と見守られる側、双方の気持ちに配慮した、さりげない見守りを実現するのが、見守りアプリ「マモルバ」です。
「マモルバ」は、見守られる側が最後にスマホを使った時間を、自動で見守る側に共有します。共有される情報は最終利用時間のみです。位置情報や通話履歴といった個人情報は取得せず、プライバシーに配慮しています。
見守られる側は、アプリをインストール後、見守る側に送られるコードを入力すれば対応完了です。あとは普段通りにスマホを使うだけでよく、スマホに不慣れな方でも負担なく利用できるでしょう。
見守る側は、アプリの見守り画面から、見守られる側のスマホの最終利用時間を確認できます。相手の最終利用時間がわかれば、「今日も元気に過ごしているな」といった、穏やかな安心感につながります。日々の安否を自然な形で確認できるのが魅力です。

「マモルバ」はさりげない見守りに加え、緊急時に備えた機能も搭載されています。もし見守られる側が24時間スマホを利用していない場合は、見守る側へアラートを通知。異常に気づくきっかけとなります。また、万が一の際には、アプリ内の緊急ボタンを押すことで、あらかじめ登録しておいた電話番号へ速やかに連絡できる仕組みです。体調が急変した時など、電話帳から番号を探して発信する余裕がない場面でも、すぐに助けを求めることができます。
そのほか、ご両親など複数人を一人で見守ることも可能です。
日々のさりげない確認と、万が一の事態への備え、この2つを両立できる「マモルバ」。利用者とご家族双方の負担や心情に配慮した具体的な見守り手段の一つとして、このアプリを紹介してみてはいかがでしょうか。
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ペットコミュニケーションズ株式会社
ペットコミュニケーションズ株式会社は、動物病院向けの電子カルテシステムを主力とするITソリューション企業です。2001年の設立以来、獣医療という専門分野でIT技術とサポートのノウハウを蓄積。獣医療現場が抱える課題にテクノロジーで向き合い、サービスの品質向上に貢献し続けています。
そして現在、獣医療の枠を越え、人の介護という新たな事業も展開。専門分野で培った技術を活かし、介護施設の安全性向上と業務負担軽減を支援しています。
業務の効率化を目指した「SHcS(Smart Health-care System)」

介護施設の夜間巡視は、介護士にとって心身ともに負担の大きい業務の一つです。利用者の安眠を妨げないよう静かに行動しつつ、呼吸状態や体位の変化など、わずかな異変も見逃せないという緊張感が常に伴います。特に、褥瘡や睡眠時無呼吸症候群といった、目視だけでは気づきにくいリスクの早期発見は、経験や時間を要する大きな課題です。
こうした、介護現場における安全性確保と業務負担軽減という2つのテーマに応えるのが、同社が提供するスマートヘルスケアシステム「SHcS(Smart Health-care System)」です。
このシステムは、ベッドマットの下に設置した非接触バイタル感知センサー(24GHzマイクロ波を利用したドップラーセンサー)により、24時間体制で利用者の心拍・呼吸・体動をモニタリングします。センサーは水やコンクリートを除く物質を透過する性質があり、褥瘡防止装置やマットの種類(固さや経たり)に左右されることなく安定した計測が可能です。さらに、経年的な素材のへたりがないため、長期使用においても誤差が生じにくいという特長を持ちます。非接触式であることから、利用者にウェアラブル機器を装着させる必要がなく、普段通りの生活を送りながら身体的な負担を軽減できる点も大きな魅力です。
介護士は、スタッフルームのパソコンや手元のスマホから、フロアにいる複数名の利用者の状況をリアルタイムで確認できます。さらに、離床や起き上がりといった動きや異常を検知した際には通知が届くため、夜間など巡回前に各居室の状況を把握することが可能です。こうした機能を活用することで、不要な訪室を減らし、本当にケアが必要な方への迅速な対応に集中できるでしょう。

また「SHcS」は、「SHcS健康管理システム」を備えています。内蔵された2つのドップラーセンサーを用いて、精度の高い情報を取得。脈拍数や呼吸数、寝返りの回数といった情報を蓄積し、グラフや表として可視化します。これにより、褥瘡発生の兆候や睡眠時無呼吸症候群の疑いなど、豊富な経験と知識がなければ発見しにくい症状の早期発見につなげることが可能です。
専門的なデータを活用することで、介護の質をさらに高め、利用者の安全と介護士の働きやすさを両立させる「SHcS」。現場の力強い味方となるシステムを施設に取り入れてみてはいかがでしょうか。
詳細情報
スマートヘルスケアシステム「SHcS(Smart Health-care System)」
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