要介護者とケアワーカーの気持ちに寄り添う組織

介護のアイデア 2023年6月15日
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本記事では、水を使わずに洗髪できるドライシャンプーを提供する企業、食事用・入浴用エプロンを製造する企業、弱視者の啓発・支援活動を行う組織をご紹介します。利用者さんの気持ちや事情を理解しながら業務に取り組みたい介護士さん必見です。

目次

株式会社tete

大阪府吹田市にある株式会社teteは、理美容室運営・訪問理美容・理美容商材販売の3事業を手掛ける企業です。理美容室運営事業は、発毛・育毛・肌再生に特化した美容室「トータルビューティーサロンReborn」と、子どもから高齢者まで気軽に利用できる理容室「散髪屋」を展開。訪問理美容では、高い技術力と介護知識を持つスタッフが高齢者宅、介護施設、医療施設へ出向き、カットやパーマなどの理美容サービスを提供しています。

Wiping shampoo project

訪問理美容事業にて数多くの高齢者のヘアケアに携わってきた同社は、“洗えないを洗える”にし、すべての人を幸せにしたいという願いを込めて「botanicaltete」を立ち上げました。そのプロジェクトの一つが、水のいらないドライシャンプー「Wiping shampoo(ワイピングシャンプー)」の開発です。

▲画像提供:株式会社tete

同製品は、水を使うことなく髪や頭皮の汚れを取り除くことができるエタノール・パラベンフリーの泡タイプのシャンプー。4種類のヒアルロン酸や植物性の界面活性剤などを配合し、頭皮と髪に潤いを与えます。

「Wiping shampoo」のメリット

▲画像提供:株式会社tete

同製品を活用するメリットは、いつでも手軽に利用者さんの洗髪ができることです。シャンプーの塗布から拭き取りまでの所要時間は約15分。シャンプーを億劫に感じる利用者さんや、髪が濡れることを嫌がる利用者さんも気持ちよく洗髪できます。また、水を使わないので、寝たきりで入浴が困難な利用者さんの洗髪も可能です。髪と頭皮・きれいに保つことは1日を快適に過ごせるだけでなく、生活意欲の向上にもつながります。

さらに特筆すべきは、介護者の負担を軽減する点です。入浴介助の中でも、洗髪はシャンプーの泡やお湯が顔にかからないようにしたり、耳にお湯が入らないようガードしたり、洗い残しがないようしっかりすすいだりと細心の注意を払わなければなりません。介護士さんの中には、洗髪に対して不安に感じる方や苦手意識を持つ方もいるでしょう。また、洗髪作業は手首や腰に大きな負担をかけることも。同製品は、そんな介護士さんの身体的・精神的ストレスを軽減します。

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Wiping shampoo project

アズワン株式会社

研究用機器機材や介護・看護用品などの販売事業を展開するアズワン株式会社。1962年の設立以来、研究・産業・医療分野のプラットフォームとして、「商品」「物流」「情報」の3つの戦略を念頭に置きながら、常に先進的な商品やサービスの提供に注力しています。

「かびにくい食事用エプロン」

▲画像提供:アズワン株式会社

同社が開発した「かびにくい食事用エプロンポケットタイプ」は、食べこぼしをキャッチできるポケット付きの食事用エプロンです。特長は、一般的なエプロンのような縁取りがなくフラットであること。そのため、汚れが落ちやすくカビの発生も抑えます。また、オール樹脂製のため、食べ物の匂いが付きにくく、使用後は中性洗剤でサッと手洗いするだけで繰り返し使用することが可能です。

なお、同製品は防水性がありますので、果汁をはじめとする水分を通しません。シミや汚れを気にすることなく、ご飯から食後の果物まで安心して食事を楽しめます。利用者さんにとって食事は、施設での生活で一番の楽しみと言っても過言ではありません。同製品は、利用者さんの食事の時間を豊かにすると同時に、食事介助における介護士さんの負担を軽減します。

「入浴用WATERエプロン」

▲画像提供:アズワン株式会社

入浴介助の際、介助エプロン装着時に汗や湿気による蒸れが気になるという介護士さんは多いのではないでしょうか。そんな介護士さんにマッチするのが「入浴用WATERエプロン」です。同製品は、撥水性のある素材を使いながらもエプロンと腕カバーが別体になっていますので、シャワーのお湯を弾きつつ汗の原因になるムレは逃がすというスグレモノ。また、利用者さんの肌がエプロンに触れても冷たさを与えにくいため、冬場の入浴介助も不快な思いをさせることはありません。さらに、腕カバーは、利用者さん・介護士さんの状況に応じて着脱を使い分けられて便利です。

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アズワン株式会社

日本弱視者ネットワーク

日本弱視者ネットワークは、弱視方々が暮らしやすい社会を実現することを目的に1977年に結成された組織です。弱視者同士の交流をはじめ、機関誌「弱視者ネットつうしん」の発行や拡大教科書の普及促進、弱視者の生活改善に向けた学術研究・商品開発の協力など、さまざまな活動を行っています。

そんな同組織の特長は、弱視当事者が主体となって活動していること。年齢や職業、見え方など、それぞれ異なるメンバーが集まり、仕事・家庭・勉強の合間を縫って活動に取り組んでいます。

弱視とは

弱視とは、メガネやコンタクトレンズを使用しても視力が上がらない状態のことを言います。その他、視界が極端に狭く見えにくい、明るさに過敏、暗い場所で見えにくい、右目もしくは左目のみ見えない、色の違いが分かりづらいといった症状も弱視に含まれます。また、弱視者の多くは生活や仕事のやり方に工夫をしたり見えにくさをカバーしながら日常生活を営んでいます。このように、一口で弱視と言っても困り事や必要なサポートは人それぞれ異なるため、弱視を説明するのは容易ではありません。

同組織の公式サイトでは、弱視者の日常の様子や場面別での困りごと、見えにくさを補う道具の紹介など、弱視に関する情報を発信。一読することで、弱視への理解が深まるでしょう。

「見え方紹介アプリ」

同組織が開発したツールの1つ「見え方紹介アプリ」は、弱視者の見え方を紹介するスマートフォンアプリです。スマートフォンやタブレットのカメラに映る景色や物体を画像処理し、弱視者の見え方に近い映像に変換。

▲画像提供:日本弱視者ネットワーク
使用例:左から、通常の見え方→中心暗点→視界がぼやけた見え方

その映像を弱視者に関わる人に紹介し、見えにくさのイメージを共有するというものです。たとえば、弱視の高齢者が施設を利用したり入居したりする際、文字の大きさや建物内の危険箇所など、アプリの映像を共有することで、配慮すべきことを、スタッフ間で共有できます。

こちらのアプリは、弱視特有の見えにくさを介護現場の映像に合成できるので、より具体的にイメージできるのもポイント。施設内研修・勉強会で教材として活用することで、弱視利用者へ目配り・気配り・心配りを意識したケアを実践できるとともに、介護士としてさらなるスキルアップを目指せるでしょう。

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見え方紹介アプリ

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※この記事の掲載情報は2023年6月15日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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