
介護業務には、高齢者の生活介助だけではなく、レクリエーションの考案や準備、防災対策の徹底、安心感の提供などさまざまな配慮が求められます。
しかし、全てを介護士自身で行おうとすると大変な負担になるでしょう。そこでここでは、業務の効率化や安全性を高め、利用者さんに良質な介護を提供できる製品やサービスを手掛けている企業と事業者を紹介します。
目次
リンレイテープ株式会社
創業50年以上を誇るリンレイテープ株式会社は、粘着テープの製造販売事業を行っています。マスキング粘着技術に秀でており、その中でも近年は、デザイン性に富んだ和紙のマスキングテープが注目を集めています。個人の趣味や介護レクで用いられたり、日本文化を感じられる商品として輸出されたりと、国内外で好評を得ている優品です。
「ちぎっ手アート」
マスキングテープで作るアート作品

同社が製造しているマスキングテープは、もともと塗装作業時に他の部分に色がはみ出てしまうのを防ぐ保護用テープとして使われていました。粘着力はあるものの剥がしやすく、紙製ならではのあたたかみが特徴のマスキングテープは、次第にハンドメイドが好きな方々に浸透。最近は、カラフルな色や可愛い柄、幅の広いものや細いものなどさまざまなタイプが作られています。
また、マスキングテープは紙製なので、手で簡単にちぎれるという特徴があります。この扱いやすさと豊富なデザインを組み合わせて作られたのが、「ちぎっ手アート」です。テープをちぎって下絵に貼るだけでちぎり絵が完成するという商品で、その手軽さと完成度の高さから、個人の趣味はもとより、教育や介護など多方面から注目されています。
テープは濃淡にバリエーションがあるため、繊細な配色や深みのある表現が可能です。ちぎり口が均一にならないのも、かえって味わいが出てアート感が増し、作り手側の満足度を高めてくれます。
なお、下絵は無料でダウンロードできるうえ、季節感のあるものや植物、浮世絵と多くのテーマを準備しています。随時更新されているので、飽きることなく取り組めるのもポイントでしょう。
介護施設のレクリエーションに最適
期待できるメリット
年代やスキルを問わず楽しめる「ちぎっ手アート」は、近年、介護施設でのレクリエーションとして用いられることが増えています。手軽にちぎり絵ができるという魅力はもちろん、テープをちぎったり貼ったりする作業が手指機能の訓練になるとのこと。視覚や色彩感覚への刺激、想像力や集中力のトレーニングにも効果的で、なによりハサミが不要というのが安心です。

また、完成時の達成感や、介護士からの「お上手ですね」「素敵な作品ですね」といった賛美も、きっと大きな励みになるでしょう。手指、神経、脳への働きかけ、自己肯定感の向上など、多くのメリットが期待できる商品だといえます。さらに嬉しいのは、施設で働く介護士の負担軽減も叶えてくれるということです。施設に勤務している介護士の業務には、利用者さんのケアだけではなく、レクリエーションの考案や準備なども含まれます。
しかし、日々の業務に追われて、レク準備になかなか時間が取れないのが現状でしょう。そんなときにこそ、役に立つのが「ちぎっ手アート」です。準備は、商品を注文し下絵をダウンロードするだけ。レクの考案や買い出し、製作などの負担が一挙に省けるので、現場の介護士にとっては大いに利用価値があります。業務負担の軽減で生まれる心の余裕は、きっと介護士の方々に笑顔をもたらしてくれるでしょう。
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ビーウィズ株式会社
ビーウィズ株式会社は、デジタル技術を活用したコンタクトセンター・BPOサービスの提供、各種AI・DXソリューションの開発・販売などを行っている企業です。東京証券取引所プライム市場に上場しており、多数の大手企業と取引があります。高い技術と広い視野、多くの実績のもと、近年は介護業界で活用できるアプリケーションを開発し、多くの注目を集めています。
訪問ラストワンマイルアプリ「ドコビジタ」
「ドコビジタ」にできること

自宅での介護は、慣れた場所で生活できる安心感がある反面、どうしても家族に負担がかかりがちです。それを解消してくれるのが、訪問介護サービスです。
厚生労働省の調査によると、介護サービス全体の受給者数のうち、訪問介護を利用している人は約3割いるといいます。介護士が自宅を訪問して身体のケアや入浴補助、リハビリ指導などを行う訪問介護サービスは、利用者さんやその家族にとって大変心強いものです。
一方で、訪問を待つ時間について、不満や不便さを感じている人も多くいるといいます。「もうすぐ到着するらしいけど、実際どのくらいの時間がかかるのか?」「訪問スタッフが着くまでの間を有効活用したい」といった利用者さんやご家族からの声、「次の訪問先までにかかる時間や向こうの状況を知りたい」「スタッフの稼働状況を知りたい」といった介護士や事業所の声があるのも事実です。
これらの課題を解消してくれるのが、同社の訪問ラストワンマイルアプリ「ドコビジタ」です。このアプリの最たる特徴は、介護士の現在地をリアルタイムで確認できるという点です。これにより、現在地や到着予定時間を利用者さんへ通知したり、事業所がスタッフの稼働を分析できるようになりました。
現在地や到着に要する時間は、Google Mapのルート検索に基づいており、渋滞状況も加味されているため高い精度での検出が可能です。時間の見通しがつくことで、利用者さんやご家族、現場の介護士、事業所それぞれが抱く不便さを解消できています。
介護に細やかなサービスをプラス
期待できる導入メリット

「ドコビジタ」の導入は、利用者さんやご家族が時間を有効活用できる、事業所が管理しやすくなるということに加え、ほかにもさまざまなメリットが期待できます。まず、現在地や到着予定時間を訪問先に通知することで、事業所や介護士への問い合わせ電話が減ります。その分、業務に集中でき生産性も向上するでしょう。
また、同アプリには、訪問先からサービスに対する評価を送信する機能があります。寄せられた声をもとに、事業所と介護士はさらなるサービス改善を図ることが可能です。このように状況を正しく認識したり、振り返って見直したりすることは、関係者全員の信頼構築にも繋がるでしょう。
介護に関わるのは決して楽ではありません。だからこそ、利用者さんやご家族のストレスを低減させつつ訪問介護の質を高めていき、関係者全員にとって良い状況を作ることが大切です。訪問先とのすれ違いを解消し、業務効率や顧客満足度を向上させる「ドコビジタ」は、大いに導入効果が期待できます。
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しえん計画
しえん計画は、高齢者や障がいがある人(災害時要援護者・避難行動要支援者)が、安心して日々を過ごせるよう防災用品の製造を手掛ける事業者です。代表の金子氏は、2011年の東日本大震災を機に、歩行が困難な方へのバリアフリー対策の必要性を強く感じ、起業に至りました。独自のアイデアで生み出した椅子型担架の普及を目指し、さまざまな方面へ働きかけ、地域社会に貢献しています。
「いすたんか」
シンプルさが魅力の椅子型担架

怪我人や病人を運ぶ際に用いられる担架の多くは、寝台式でフラットな形状をしています。この寝台式担架は、乗る人を横にした状態で運びますが、長さがあるため階段や入り組んだところでは動きづらいのが難点でした。しかし、火災や地震といった避難に急を要する場面でも、高齢者や障がいがある人(災害時要援護者・避難行動要支援者)の避難は寝台式担架を前提としているのが現状です。そこで、金子さんは一念発起し、椅子に腰掛けた姿勢で運べる「いすたんか」を開発しました。
同製品は人を乗せる部分が椅子の形状になっているので、前後の奥行きが短いのが特徴です。そのため、階段や廊下の曲がり角での方向転換、エレベーターや乗用車への搬入などがスムーズにできます。乗っている人も、前方や横に視界が開けるので安心感があるでしょう。また、開発に際しては専門機関で強度検査を行い、乗る人のためのシートベルトを装備するなど安全面も十分考慮されています。
なお、コンパクトに折りたたむことはできませんが、その分いざという時にすぐ使用できるというメリットがあります。このようなシンプルな構造だからこその扱いやすさ、低コストを実現している製品です。
災害時から日常生活まで
みんなにとって憂いのない社会へ
代表の金子氏は、高齢者や障がいがある人のための防災対策はもとより、日常介護でもバリアフリーが十分なされていないと実感しているそうです。確かに、日常においてバリアフリーが設けられていないと、非常時に安全を確保することは難しいでしょう。これらの杞憂を解消するためにも、「いすたんか」のような製品を普段の介護に取り入れることが有用だといえます。

同製品は避難時だけではなく、介護施設内での日常的な部屋移動にも大変便利です。また、屋内と屋外との出入りや、乗用車への移乗の際など、外出時にも力を発揮します。介護される方も普段から同製品に慣れていると、もしもの災害避難時でも抵抗なく乗れるでしょう。
また、この製品は、首掛け式の安全バンドを装着することで運ぶ人の負担を減らします。一時的に手を離すことができるので、ドアの開閉や進路上の障害物の除去も可能になります。このように施設利用者さんの安全を守りつつ、介護業務の効率化も図れる「いすたんか」の広い導入が今後期待されます。
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