
◆はじめに
高齢者ケアにおいては、利用者さんの心身と生活を健やかに保つこと、そして介護業務に従事する人たち自身の健康増進を戦略的に考える必要があるでしょう。本記事では、アートの力やデジタル化推進などを通じて高齢者の生活をサポートする団体を紹介します。
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◆株式会社スプレーアートイグジン
1社目は、懐かしい風景が描かれたアートを用いた認知症予防プログラムを実施する企業です。
【株式会社スプレーアートイグジンとは】
株式会社スプレーアートイグジンは、静岡大学発のアート制作を専門とするベンチャー企業。「アートの工業化」を理念とし、アートを介した社会課題解決に取り組んでいます。
【認知症予防プログラム「ミッケルアート®」】
ミッケルアート®は、高齢者が懐かしい記憶を回想し、やりたいことを見出す助けとなる絵画です。「ミッケル」という名称は「見つける」が由来となっており、介護・医療施設で活用が進んでいます。

・ミッケルアート®紙版
ミッケルアート®紙版には、70〜90代の方が懐かしいと感じる絵が描かれています。利用者さんとスタッフが同じ絵を見ながらコミュニケーションをとることで、認知症および周辺症状の予防や改善が期待できます。
・ミッケルアート®誕生の背景
介護施設の壁画制作時に、「故郷が懐かしい」「思い出を描いてほしい」と利用者さんから声をかけられたそうです。以降、取材と調査を重ね、2010年にミッケルアート®が完成。介護事業者向けの動画では、ミッケルアート®の活用ポイントが詳しく説明されています。
同社の検証の結果、ミッケルアート®には認知症の周辺症状改善に効果があることがわかりました。性別では女性の方が改善率が高く、とりわけ80代の方に効果が出やすいようです。
またミッケルアート®を用いた回想療法(後述)も、認知症の自立度と寝たきり度、周辺症状に対する維持改善効果が認められました。
※回想療法は、思い出を懐かしむ行為に意義を見出す心理療法です。

【詳細情報】
株式会社スプレーアートイグジン
https://www.mikkelart.com
◆スマートシニア株式会社
最後は、高齢化社会に寄与するITソリューションを開発する企業を見ていきましょう。
【スマートシニア株式会社とは】
スマートシニア株式会社は、高齢者の生活のデジタル化に役立つサービスを開発・販売しているスタートアップ企業です。個人または法人に向け、エンディングをサポートするITソリューションを提供しています。
介護をはじめ、高齢化社会と関係が深い分野(終活、葬儀、供養など)で用いられるテクノロジーを扱うのが同社の特徴です。介護福祉従事者にとっては、自身の視野を広げたり、高齢者の生活の質向上を考えたりする一助になるでしょう。
国内のエンディング産業ではこれまでに、日本のしきたりに応じたサービスが多数提供されてきました。同社はそうした既存サービスと連携したり切磋琢磨したりすることで、デジタル化の選択肢を創出しつつ、各人のライフスタイルに合ったものが選べる世の中にしていくという目標を持っています。

【「思い出」を残す追悼サイト】
追悼サイトとは、亡くなった大切な人を偲び、メッセージや思い出を共有できるWebサイトです。思い出をデジタル化すると、故人への思いや懐かしい記憶がまとめて保存でき、子どもや孫にそれらが受け継ぎやすくなるメリットがあります。
同社の追悼サイトは、終活の一環として生前に作成することもできます。利用者さんが思い出と人生を、ご家族や介護スタッフとともに追悼サイトに保存し、後にその思い出をサイトで閲覧することは、ご本人のリハビリにもつながるでしょう。

・個人向け
アルバムなどの紙媒体では災害による喪失や破損のリスクがありますが、オンラインであればそのような心配も少なくなります。追悼サイトとしての趣旨を考慮しているため広告表示はなく、プライバシーもしっかりと守られているのが特長です。詳細はこちらをご覧ください。
・法人向け
法人向けの追悼サイトでは、総合的なライフエンディングサポートのデジタル化を進めています。オンライン葬儀やオンライン弔電、参加型のお墓といったサービスが一元化されているのが特色です。
【詳細情報】
スマートシニア株式会社
https://smartsenior.jp/