
『介護・福祉の現場で働く方に、いつもとは違った視点でその分野を研究している人を知ってもらいたい』という想いで始まったこちらの大学の研究室紹介。
第13回目は横浜国立大学大学院工学研究院で『振動工学と人間工学』を研究している高田一先生にお伺いしました。
目次
研究の概要について教えてください
高齢者の増加に伴い、介護スタッフの負担も増加している。とくに寝たきりの高齢者の身体洗浄装置、麻痺のある高齢者の把持動作支援機器、昇降機能付き車いすの開発を行い、高齢利用者の利便性、介護スタッフの負担軽減に注目し、機器を開発している。
1)臀部洗浄装置
寝たきりの要介護者数が増加しており、介護スタッフの負担も大きい。施設では、被介護者の身体を洗浄する機会は週に2、3回であるが、臀部の洗浄は毎日行う必要がある。ベッド上で臀部洗浄ができれば、臀部を清潔に保つだけでなく、介護者の負担軽減にも繋がる。そこで、(有)ヒルトップ精密湘南、よこはまTLO(株)と共同で、水漏れのない、効率よく洗浄できる試作機を開発している。
2)把持動作支援グローブ
脳血管疾患の高齢者は後遺症として手足が麻痺・拘縮する片麻痺が発生することが多い。その結果、食事、ペットボトルの開栓、ズボンの脱ぎ着、などの日常動作は健常な片手だけで行うには労力が必要で時間もかかる。そこで、両手で行う動作を健常者と同様に行えるよう、(株)エルエーピー、よこはまTLO(株)と共同で、麻痺した手に簡単に装着でき、日常生活を支援するグローブを開発している。
研究の詳細について教えてください
1)臀部洗浄装置
洗浄装置は、給水部、シャワーヘッド、吸引部からなる。以前製作したベッド上で使用可能なシャワーヘッドは図1(a)にあるように先端から水が出て、肌を洗浄した後に水を吸い込む構造である。これを応用し、ベッド上で臀部を洗浄する装置が図1(b)に載せてある。臀部の130ミリ四方の範囲を洗浄するため、シャワーヘッドの数十個の直径1ミリの穴から水が出て、40ミリ離れた位置から臀部を15秒間洗浄し、絵の具を塗った実験では汚れを90%以上落とすことができる。現在、洗浄効率を向上させるため、ヘッドの形状について検討中である。

2)把持動作支援グローブ
図2(a)に示している、麻痺している手のリハビリ用に製作されたグローブを改良し、図2(b)のような低下した把持力を補助する装具を開発している。例として、ペットボトルの開栓するとき、グローブをはめた手でボトルが回転しないように把持する力が発揮できるかどうか試している。回転しないように把持するためには、グローブとボトルとの摩擦も関係するが、指の各関節の位置に取り付けられた、空気圧で伸縮するベローズと関節との位置関係も重要である。現在、その点に注目し、開発を進めている。

今後の研究の展望を教えてください!
1)臀部洗浄装置
今後は、臀部の形状に沿った洗浄装置を製作し、臀部に近いところから水を噴出することにより、時間の短縮、洗浄範囲の拡大、使用水量の減少、洗浄率の向上を目指し、水漏れの少ない清潔な装置を容易に使用できるよう、開発を目指しています。
2)把持動作支援グローブ
第一の目標であるペットボトルの開栓に関して、開栓のための十分な把持力を出せる装具にすること、また、両手での作業であるズボンの引き上げ、食事時での茶碗あるいは箸の把持、歯磨き時の歯磨き粉の塗布などができる装具を目指して開発しています。
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◆横浜国立大学大学院の基本情報
高田一先生、お話ありがとうございました!
最後に、横浜国立大学大学院の基本情報を記載します。
横浜国立大学
https://www.ynu.ac.jp/
横浜国立大学大学院工学研究院
http://kenkyuin.eng.ynu.ac.jp/
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【参考URL】
高田研究室
http://vib.me.ynu.ac.jp/index.html
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