京都教育大学教育学部教授の杉井潤子先生にインタビューしました!

その他 2019年9月25日
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『介護・福祉の現場で働く方に、いつもとは違った視点でその分野を研究している人を知ってもらいたい』という想いで始まったこちらの大学の研究室紹介。
第12回目は京都教育大学教育学部で『家庭経営学』を研究している杉井潤子先生にお伺いしました。

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目次

「研究の概要について教えてください」

ネイティブアメリカンの口伝に、「あなたが生まれたとき、あなたは泣いていて周りの人々は笑っていたでしょう。だから、あなたが死ぬときは、あなたは笑い周りの人々は泣いているような人生を送りなさい」という言葉があるという。超高齢・大衆長寿社会を生きるわたしたちは、どのように年を重ね、老いていくのだろうか。また、死ぬときに周りの人々はいるのだろうか。いるとすれば、いったいそれは誰を指すのであろうか。

当研究室では、小学校や中・高等学校の家庭科教員養成における「家庭生活と家族」に関する領域を研究指導しています。生涯設計の観点からヒトを対象にして、衣・食・住をつなぎ、ライフ(Life)を考えます。ライフ(Life)とは命であり、人生であり、さらに自らの生きがいや、人とのかかわりのなかでの生き方を意味します。

家族関係学・家族社会学・家族福祉学を軸に、現代社会における家族の変容と、虐待や暴力などの家族問題に焦点をあて、社会調査に基づいた実証的研究を進め、「家族とは何か」、「人を育み育てることやケアしあうこと、さらに生きること」の意味を問い直しています。

対比(横)
【資料:離乳食と介護食の対比】

「研究の詳細について教えてください」

人生100年時代を迎え、長生きすることが誰にとってもあたりまえになりました。人口減少も加速するなかで、いまだ生き方や老い方、死に方について確固たるモデルが成立しているわけではありません。大衆長寿化は、慶寿である一方、不安も増大します。生きることや老いることの意味を一人ひとりが考え、誰もが安心して高齢期を迎え、誰一人をも切り捨てず、支え合い、老いてもなお堂々と生き抜くことができる社会をつくることが求められています。

そこで、人生100年を見通し、「個人の長寿の人生設計力、超高齢社会のデザイン力を養う」ジェロントロジー教育の探究は急務の課題です。次世代の新たな価値形成に学術的示唆を提供し、貢献することを目的として、日本のほか韓国や台湾の小中高の教科書分析をしたり、高齢者や介護者の方々にインタビュー調査をしたり、エイジズム(年齢差別)についての調査をしたり、研究を積み重ねています。

02国立ソウル大学で開催された「高齢者の社会的地位の変容と年齢差別(エイジズム)の検討」国際シンポジウム
【写真:国立ソウル大学で開催された「高齢者の社会的地位の変容と年齢差別(エイジズム)の検討」国際シンポジウム】

研究では、どのように子どもに「加齢とともに老いて高齢者になること」をどのように理解させ教えるのか、さらに高齢者自身が「要介護となり、死に向かうこと」をいかに理解し学ぶのか、その双方をテーマとして、生老病死における「成長」と「老化」、「自立」と「依存」の二極対立の価値観を統合させて、ライフコースを生き抜くことを想定しました。

介護場面では、「まだ(なお)、できること」のみに焦点が当てられています。一人でもできるようにするにはどうすればよいかという工夫が考えられています。しかし、子どもの時から続く「できるようになることを学ぶ」という正の学習だけでは限界があります。わたしたちには、「できなくなることを学ぶ」という負の学習も合わせて必要であり、「できなくなってもよい」、「誰かの助けを借りればよい」と考えられるようになることが大切なのではないでしょうか。また、家族がいるから安心だと考えられる時代は終わりました。家族が家族らしくなくなったとも言われますが、近年では、児童虐待、DV、高齢者虐待などさまざまな家族問題が噴出し、家族は血縁や制度にのみ依拠する所与のものではなく、個人が日々の生活のなかで育み、維持し、創る新たな関係性へと徐々に変化してきました。

高齢者の主観的幸福感は夫婦や子どものみに固執せずに、近隣や友人、さらにはさまざまな専門的支援サービスを活用しているほうが高まることも明らかとなりました。これからは、家族を越えて、周囲の人々と支え合うネットワークを形成していくことがますます重要になると言えます。
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「今後の研究の展望を教えてください!」

わたしの研究の成果は即応的ではありません。介護の現場においては、日々、目の前に起こっている事態に対応するスキルと判断が求められていることを考えると、残念ながらすぐにお役に立つわけではないかもしれません。

しかし、高齢者の尊厳、さらにこれから高齢者になる私たち一人ひとりの尊厳を考えたときに、孤独死の終末、誰かの世話になることを遠慮してなかなか受け入れられない現状や、また若者たちが年をとりたくないという気持ちを少しでも変えられるように価値観の転換をはかり、学校教育を通して、2050年、さらには2100年に高齢期を迎えるであろう、次世代を担う子どもたちの生き方に寄与できるようにつながればと願っています。
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◆京都教育大学の基本情報

杉井潤子先生、お話ありがとうございました!

最後に、京都教育大学の基本情報を記載します。

京都教育大学
http://www.kyokyo-u.ac.jp/

教育学部
http://www.kyokyo-u.ac.jp/sk_ss/gakubu/
------------------------------------

【参考URL】

杉井研究室
http://www.kyokyo-u.ac.jp/sk_kateika/lab/sugii.html

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※この記事の掲載情報は2019年9月25日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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