京都大学大学院工学研究科建築学専攻准教授の吉田哲先生にインタビューしました!

その他 2019年9月19日
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『介護・福祉の現場で働く方に、いつもとは違った視点でその分野を研究している人を知ってもらいたい』という想いで始まったこちらの大学の研究室紹介。
第11回目は京都大学大学院工学研究科で『高齢期の地域継続居住』を研究している吉田哲先生にお伺いしました。

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目次

「研究の概要について教えてください」

人口減、超高齢化が進む中、新しく計画される場・空間・建築や施設には、まちや地域社会ごとの規模・利用のされ方にあった、そして何より身近な場所で多用途に利用可能な複合的計画が重要になっています。

吉田研究室では、そこを利用する人の行動、心理、場の利用のされ方や支援の在り方を調査・分析して、ユーザーセンタードな立場から、オープンかつ利用に排除されるもののないハードやソフトの計画に活かす協働・実践を進めています。現在特に、住居系地域での高齢者の自立した生活・居住の継続を支援する研究や活動を中心に取り組んでいます。

1)住宅や店舗、福祉施設などの道路脇の私有地にベンチを設置してもらい、連続歩行距離の短くなった高齢者の買物や通院などの徒歩での外出を支援する研究や活動を地域の方たちと協働で進めています。

2)高齢者を中心とした地域居住者やその支援者が、公民館などの地域施設や小学校の余裕教室をどのような活動で利用しうのるのか調査研究しています。さらに地域団体やNPOの要望なども汲みながら、これに対応した施設の計画を進めています。

3)高齢者が、お住まいの地元から少し離れたところへ出かけて続けているまちづくり活動を調べて、その特徴や受入について調査研究しています。

「研究の詳細について教えてください」

1)歩道やお店が少なくなる住居系市街地では、高齢者の日々の買物や通院などの徒歩での外出の支援には、道路際の私有地にベンチを設置していく必要があります(図1)。一見これは簡単なように見えるのですが、設置を了解してくださる方はなかなかおられません。そこでまずはこの活動の趣旨に賛同して下さる地域の方と、福祉関係の各種の会に出かけてお話しし、可能であればワークショップを開催するところから取組を始めます(図2)。さらにベンチの製作を進めながら、設置に了解くださる方をさがします。駅に近いところではお店や公共施設、少し離れたところでは福祉施設や個人住宅で(図3、4)、2018年度 10個のベンチが1つの地域で設置できました(京都市伏見区深草学区)。地域の高齢者が選ぶ主要動線上にまずは300-400m程度にひとつずつでもベンチを置いていければ、と活動を続けています。現在、この周辺の地域(同伏見区深草支所管内)や、大学に近い地域(同西京区)で現在あわせて5つの地域でこの活動を進めています。
【図1】高齢者の外出支援のための道・目的地の「目に見える」ネットワーク
図1
※段差のない歩道があるだけでは、歩いて出かけることの難しい高齢者がいます。図に示すような場所にベンチを所々置いて、目的地まで歩き継げてこそ高齢者にとっての道となります。特に自宅から最初の50m-100mの距離に歩いていける環境がないと高齢者はそれより遠くへ出かけられません。
【図2】ワークショップの様子図1
【図3】利用しなくなったガレージに設置した例図1
【図4】築200年を超える町家の軒先に設置した例図1

2)小学校の余裕教室をどのような活動で使うことを許容するか、想定した22の活動を校長先生へのアンケート調査の回答をもとに分類しています (図5)。また公民館等の地域の公共施設で開かれる高齢者の居場所づくり、子ども食堂、小中学生の学習支援などの活動の代表者や利用者の居住圏域、施設数などの想定を行政担当部局へのアンケートで調べ現在分析中です(表1)。さらに、老朽化の進む公民館の、運営や利用も含めた新しい在り方を地域のNPO団体と協働で考えての計画が始まったところです(図6)。この中で既存の公民館にあった機能に加えて、地域包括支援センターの分室や小規模多機能型居宅介護機能などの新しい機能の複合、NPO団体の共同事務局の設置、さらには社会福祉法人や地域のNPO法人による施設運営なども展望したいと考えています。

3)居住する地元小学校区外でまちづくり活動に従事する高齢者の活動(越境まちづくり活動)の特徴を調査して明らかにしています(表2)。何よりも高齢者自身が楽しむこの活動の特徴を明らかにすることによって、高齢者自身が日々の生活で活力を得ること、さらには地域のまちづくり活動にあたる人材不足を地域相互で補完し合うことなどの助けになればと考えています。
【図5】小学校の余裕教室での地域活動の許容の仕方による分類
図5_表1_表2_テキスト

【図6】新公民館計画図6

「今後の研究の展望を教えてください!」

高齢者が自宅からの徒歩圏の中で日々の生活を自立しながら、よりよく継続させるために必要となる支援に資する研究や活動を進めたいと考えています。このためにはまず、買物や通院などに加え、各種の活動の開かれる目的地と、そこへ高齢者が休みがてら歩き継いで出かけることのできる道からなる「目に見えるネットワーク(図1)」の形成が基本となると考えます。さらに、目的地となる場・施設の計画や運営などを建築やまちづくりの専門から支援できればと考えています。特に、公共施設の削減が長期的に展望されるなか、社会福祉法人が所有する施設の食堂や会議室などの地域住民への一部開放や、地域団体やNPOによる運営支援なども展望したいと考えています。

また、古くからの顔見知りのいる地域団体に日常的な生活支援を頼むことには、高齢者側に心情的な抵抗感があると聞きます(隣近所ではなく少し離れた所からの支援を望むのが素直なところかと、両親の例から考えます)。サービス供給側の視点からだけでなく、需要者側の心情に沿った支援こそ持続的であると考え、高齢者による生活支援団体の選択傾向の研究、これを実現する団体や個人の協働の在り方の研究も始めたいと考えています。

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◆京都大学大学院の基本情報

吉田哲先生、お話ありがとうございました!

最後に、京都大学大学院の基本情報を記載します。

京都大学

京都大学大学院工学研究科

建築学専攻

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【参考URL】

京都大学工学研究科建築学専攻 吉田研究室

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※この記事の掲載情報は2019年9月19日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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