美作大学/美作大学短期大学部の地域生活科学研究所所長 則次俊郎先生にインタビューしました!

ニュース 2019/07/05
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◆はじめに


『介護・福祉の現場で働く方に、いつもとは違った視点でその分野を研究している人を知ってもらいたい』という想いで始まったこちらの大学の研究室紹介。
第7回目は美作大学/美作大学短期大学部の地域生活科学研究所所長で『介護ロボット』を研究している則次先生にお伺いしました。

「研究の概要について教えてください」


 少子高齢化が進む中、介護人材の育成や確保、介護現場の労働改善が強く求められています。その一つの方策としてロボットやセンサー等の技術を活用した要介護者の生活の質の維持・向上や介護者の負担軽減を実現する取り組みが進められています。反面、開発されている技術と利用者のニーズにギャップが生じるなど、これらの技術が広く普及しているとは言い難い状況です。

 そこで、美作大学地域生活科学研究所では、このような状況に対応するため、2018年11月に「介護ロボット研究会」を設置しました。本研究会で対象とするロボットは、広い意味のロボット機器として、知能機械やメカトロニクス機器、アクチュエータ、センサーなどを含みます。これらの技術が応用され、要介護者の自立支援や介護者の負担軽減に役立つ介護機器が「介護ロボット」と呼ばれます。研究会は産学官および利用者の連携組織とし、ロボット開発者と利用者が情報交換や協議する場を設けることにより、現場のニーズを反映した介護ロボットの形態や機能、介護ロボットを活用した効果的な介護方法などを議論し、これに基づいて具体的なロボット開発や製作、実用化を推進します。

「研究の詳細について教えてください」


 
1.研究会設置のためのアンケート調査
 研究会設置に先立ち、その課題を具体的に把握するため、2018年8月~9月に岡山県内の関係機関を対象にアンケート調査を実施しました。

福祉関係施設、医療機関、職能団体、大学・専門学校等、行政、支援機関、企業などの合計99機関にアンケートを発送し、46機関より回答がありました。

施設における見守り支援ロボットが最も多く導入され、施設スタッフの要介護者の居室訪問の回数が減ったことなどが、その主な効果とされています。さらに、介護ロボットの現場への導入が進まない理由として、高価格、有用性に疑問、操作が複雑、着脱の手間、利用者の意識不足などが指摘されています。また、介護ロボットを現場に導入するためのキーテクノロジーとして、AI(人工知能)、音声認識、センサー、アクチュエータなどが求められています。これらの結果を参照しながら研究会の活動を推進していきたいと考えています。

2.研究例会の開催
 研究会は産学官および関連施設のメンバー41名で構成され、これまでに、2019年1月、3月、5月に研究例会を開催し、次回例会は7月に開催予定です。大学や高専の会員から関連の研究シーズの紹介、企業の会員から製品紹介などによる情報共有を図るとともに、5月には研究会会員である特別養護老人ホームで例会を開催し、介護現場の状況を見学しました。これらの活動を通して、研究会の成果を具体化していく予定です。    

3.要素技術として期待される空気圧ゴム人工筋
 要介護者や介護者の動作を支援するためには動力を発生するアクチュエータが必要であり、主に人間の筋力を補助します。これらのアクチュエータは人間に近い場所で動作するため人間に対する安全性や快適性が求められます。さらに、身体装着型ロボット(機器)においては軽くて柔らかいことが重要です。

 このような観点から、筆者は岡山大学在職時から柔軟で軽量な空気圧ゴム人工筋に注目し、これらを用いた身体装着型のパワーアシストロボット(パワーアシストウェアと呼ぶ)を試作しています。また、現在、本研究会における主要な要素技術として議論しています。

 図1は筆者らと岡山市内の企業が連携して商品化した「パワーアシストグローブ」(https://www.daiyak.co.jp/product/detail/280)を示します。グローブの指背の部分に湾曲型空気圧ゴム人工筋を取り付けたもので、人工筋を構成するゴムチューブを加圧すると人工筋が内側に湾曲して指の摘み動作や握り動作を支援するものです。現在、国内外において普及活動を進めています。
図1キャプチャ
図1 商品化したパワーアシストグローブ

 図2は空気圧ゴム人工筋を取り付けた下肢装具による歩行訓練の様子を示します。足裏に取り付けたタッチセンサにより人工筋への圧縮空気の給排を制御しています。訓練者から、「足が上がらないのが上がるようになった」、「自分で歩く動作ができた」などの感想が得られています。この装置は現在病院内での試験に留まっていますが、今後、介護ロボットの開発において参考になると考えています。
グラフィックス3(図2)
図2 空気圧ゴム人工筋を用いた歩行訓練装置

「今後の研究の展望を教えてください!」


 介護ロボット研究会では、空気圧ゴム人工筋やAI(人工知能)、センサーなどの要素技術に基づいて実用的な介護ロボットの形態や利用法を提示することを目的としています。現在、研究会構成メンバーが保有するシーズと介護施設などにおけるニーズについて調査および情報交換している状況です。高齢化や介護人材不足に対応する一つの手段として介護ロボットの必要性は認識されつつありますが、その普及を促進するためには、上記の課題の解決に加え、生産者の採算やマーケティングなどの問題もクリアする必要があります。

 これらすべての課題について一つの研究会だけで対応できるものではありませんが、本研究会が、介護ロボットの研究開発や現場への導入に対して将来に向けた一つ方向を提示できれば幸いです。


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◆美作大学/美作大学短期大学部の基本情報



則次先生、お話ありがとうございました!

最後に、美作大学/美作大学短期大学部の基本情報を記載します。

美作大学/美作大学短期大学部
https://mimasaka.jp/

地域生活科学研究所
https://mimasaka.jp/facility/institution/local-life

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