京大福間研究室「てくてくビーコンプロジェクト」を取材しました!

その他 2021年8月24日
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「きらケア」は「レバウェル介護」にサービス名を変更しました

「きらケア」は転職だけではなく、介護職の方が働く中での悩みに幅広く寄り添えるサービスになるために「レバウェル介護」として新しく生まれ変わりました。

サービスはこれまでと変わらずすべて無料で簡単にご利用いただけます。一人ひとりに寄り添った転職サポートをこれからも提供していきます。

目次

はじめに

『介護・福祉の現場で働く方に、いつもとは違った視点でその分野を研究している人を知ってもらいたい』という想いで始まったこちらの大学の研究室紹介。
第25回目は京都大学大学院医学研究科 福間研究室 特定講師 山田ゆかり先生にお伺いしました。
『高齢者入居施設でヘルスデータを活用した介護予防』を行っています。

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研究の概要について教えてください

私たちは、臨床医学、社会学、疫学、データサイエンス、行動科学の知見を融合し、社会に実装することで、未来の健康を支えたいと考えています。大規模健康データを活用し、健康課題(Issue)を明らかにし、課題改善のために誰に(to whom)どのような(how)介入が必要であるかを設計し、予防・医療・介護の現場で介入を実装してリアルワールドでのその効果を検証しています。

大規模健康データは主には自治体等の保険者が保有するレセプトや健診データです。それらはサンプルサイズが非常に大きく普遍性がある一方、カバーしているデータの内容が限られていること、さらには外部データとの連携が困難という欠点があります。また最近はスマホのGPSやソーシャルメディアからビッグデータが生成されていますが、こうしたデータには圧倒的に高齢者のデータが欠落しているという特徴があります。

そこで、我々は高齢者の生活の場から健康に関わる多次元データを効果的に取得し、データに基づく行動変容を目指す「てくてくビーコンプロジェクト」を立ち上げました。「てくてくビーコンプロジェクト」は、高齢者の暮らしに寄り添うIoTとしてビーコンを活用し、高齢者の生活を無理なく情報化し、健康維持に活用するプロジェクトです。

研究の詳細について教えてください

舞台は、10万平米を超える自然豊かな敷地に、あらゆる生活利便施設が整備された「京都ゆうゆうの里」です。
ビーコンとは、低消費電力の近距離無線技術を使った発信機であり、高齢者自身による設定や充電が不要です。敷地内にビーコン受信機のスポットを張り巡らすことにより、プロジェクト参加者はカードサイズのビーコンをもち歩くだけで、敷地内での移動距離や、交流箇所での滞在時間、生活範囲の情報を日々蓄積することができます。

さらに、高齢者のもつビーコンを検知し、個別メッセージの提供ができるオリジナルアプリを開発し、それを搭載したタブレットを敷地内3か所に設置しています。タブレットでは、脳トレへの反応速度や主観的な健康状態など日々の情報を蓄積しています。

プロジェクトの参加者は、お元気な方々が中心ですが、平均年齢は85歳を超えています。
「ビーコン」という耳慣れないプロジェクトに関心をもっていただくには?集積されるデータはどうフィードバックすると伝わるか?タブレットに馴染んでいただくには?などなど、IoTを高齢者の生活に実装するための多様な挑戦があり、共同研究者の方々と鋭意取り組んでいます。

ビジュアルコミュニケーションデザインを専門とする京都市立芸術大学の辰巳教授のチームは、高齢者がビーコンに愛着をもてるような仕掛け(オリジナルシールを使った自身による装飾やロゴのはいったカードフォルダー)や、ビーコンスポットをめぐる季節感のあるスタンプラリーを発案してくれました。
京都大学博物館の塩瀬准教授は、高齢者をリードユーザーとしたインクルッシブデザインの視点からプロジェクト全体を俯瞰し、デジタルとアナログの融合を得意とする技術とアイデアの会社GOCCOと共同で、高齢者が躊躇なく使うことのできるタブレットのアプリ開発を先導していただきました。

集積されるデータのフィードバックは、ご高齢の方ご自身が、自分の生活を知り、変化に気づくための大事な情報です。そこで、参加者へのフィードバックは、数値を列挙する無味乾燥なものではなく、ゆうゆうの里の敷地に活動の場所や量に応じた花々が咲き誇るような仕様にしています。プロジェクトから得られる様々な研究分析の結果もご本人たちに定期的にお返しています。これらの印刷物を保管するための専用手帳をお配りしており、すでに2冊目になっている方々もいらっしゃいます。


今後の研究の展望を教えてください!

日々、無理なく蓄積される高齢者の生活に関するデータを活用することで、高齢者の健康維持に関するさまざまな知見を得られると考えています。例えば、コロナのパンデミック下分析し、健康被害への警鐘を鳴らすことができました。
こうした観察研究だけでなく、現在は高齢者の行動変容につながるメッセージの在り方を無作為割り付けの手法を用いて検証中です。

今後は、データ拡張の可能性も模索しています。例えば、ビーコンカードに加速度センサーをつけることで敷地外の活動を捕捉することや、スマホやスマートウオッチのような個人所有のデジタルデバイスやヘルスケアIoTプロダクトからの情報を「てくてくビーコンプロジェクト」のクラウドに集約することで、高齢者の健康課題改善のための効果的な介入の設計と効果の検証につながると考えています。


京都大学大学院 福間研究室の基本情報

お話ありがとうございました!
最後に、京都大学大学院 福間研究室の基本情報を記載します。

京都大学
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja
京都大学大学院 福間研究室
http://shingo-fukuma.jp/
てくてくビーコンプロジェクト
http://shingo-fukuma.jp/work_category/facility/

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「きらケア」は「レバウェル介護」にサービス名を変更しました

「きらケア」は転職だけではなく、介護職の方が働く中での悩みに幅広く寄り添えるサービスになるために「レバウェル介護」として新しく生まれ変わりました。

サービスはこれまでと変わらずすべて無料で簡単にご利用いただけます。一人ひとりに寄り添った転職サポートをこれからも提供していきます。

※この記事の掲載情報は2021年8月24日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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