九州産業大学理工学部機械工学科教授 メカトロニクス研究室の鶴田和寛先生にインタビューしました!

その他 2020年12月14日
  • この記事をシェアする
  • facebook
  • X
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

リハビリイメージ

現在のストレス度と傾向がわかる!介護職のストレスタイプ診断

目次

◆はじめに

『介護・福祉の現場で働く方に、いつもとは違った視点でその分野を研究している人を知ってもらいたい』という想いで始まったこちらの大学の研究室紹介。
第20回目は九州産業大学理工学部機械工学科教授、メカトロニクス研究室の鶴田和寛先生にお伺いしました。
主に『脳機能の再生を目指したリハビリ制御装置』を研究されています。

\ 介護のお仕事探しを支援するサービス /
求人を紹介してもらう(無料)

研究の概要について教えてください

私の研究室ではロボット制御技術を利用した脳のリハビリテーションに関する研究をしています。

脳に何らかの障害を生じて手足が不自由になった方々は、手足が動かないのではなく、脳からの指令が手足に届かないこと、または脳そのものがダメージを受けていること、によって手足が動けない、だとすれば、脳をリハビリすべき、と考えて本研究を始めました。高齢者においては脳梗塞や認知症など、脳の神経細胞であるニューロンに何らかの疾患がある場合が多く、これまでは失われた脳機能は再生できないと考えられていました。

ところが、最近の研究では何らかの刺激により脳の神経細胞を活性化することで脳の神経細胞を再組織化し、脳機能を再生することができる(ニューロリハビリテーション)と考えられるようになってきています。そこで、ロボット制御技術で両手・両足を駆動させ、予想と違う運動、いわゆる「錯覚」をリハビリ訓練に導入し、NIRS(脳血流測定装置)で測定した脳血流の活動状況が脳の測定部位によって違いがあること、刺激が脳活動の活性化に繋がることを人工知能(以下、AIと呼ぶ)による解析で明らかにしました。

現在は、どのような刺激(運動刺激や電気刺激など)が脳のリハビリに効果的なのかを明らかにするため、刺激と脳活動の関連性について調査・研究しています。また、脳血流だけでなく筋電図など様々なバイオセンサ情報をAIで分析しながら治癒効果を検証し、脳の再生に最適なリハビリ装置の開発を目指しています。

K_提供画像

研究の詳細について教えてください

一般的にリハビリ運動は楽しくありません。そこで、ゲーム感覚で楽しめるリハビリ装置を製作しました。

この装置は、両手、両足を交互に運動させ、右・左・右・左・・・と繰り返す昇降運動中に、予想と違う動きを取り入れることで脳に刺激(驚きや錯覚)を与えるようにしています。突然予想と違う動きをさせられるので、バランスを崩してしまいます。このような場合においても体の中心に重心がくるように運動を続けてもらい、バランスを崩した分だけマイナス点をつけることで、バランススコアを競わせるゲームのような仕様にしています。

脳イメージ

また、足が悪い方にとっては、バランスを崩すと転倒に繋がる恐れがあるため、ロボット制御技術を利用して右足と左足にかかる体重が等しくなるようなバランス補償機能をつけることで、できるだけ転倒しないような工夫をしています。このようなリハビリ運動ができない方に対しては、EMS運動器(EMS:Electrical Muscle Stimulation)を装着し、筋肉に電気刺激を与えることで、脳活動を活性化させ、脳をリフレッシュ(頭すっきり)させる方法を探索しています。これらの運動刺激、電気刺激によってもたらされる脳活動の変化を、NIRSを利用して脳血流を測定し、膨大な量の血流データを信号処理し、AI(ディープラーニング)によって解析・分類することで、刺激と脳活動の関係を明らかにする研究を進めています。

また、リハビリ運動は、楽しくないばかりでなく、どれくらい回復しているのかがわからない、という問題もあります。そこで、我々は、複数のバイオセンサ情報により、どれくらい脳活動が活性化しているのかに対するエビデンス(証拠)を取得することから始めています。最近では、スマートウオッチなど簡単にバイオデータを取得できるツールも開発されていますので、楽しみながら効率よくリハビリできるような装置を作りたいと考えています。

今後の研究の展望を教えてください!

2025年には日本人の4人に1人が75歳以上の後期高齢者になり、認知症患者も年々増えることが懸念されています。体を鍛えることはできますが、脳を鍛えることは容易ではありません。将来は体を鍛えながら脳も鍛える、そんなトレーニング装置の開発に取り組みたいと考えています。

また、まだ誰も解明していない脳の仕組みを私の専門分野であるロボット制御技術による動作刺激から解明・モデル化し、脳の誤動作による体の不調などの改善に役立つようなリハビリ装置も開発したいと考えています。

これらの研究によって開発される装置は、健常高齢者の体幹・体肢トレーニング、宇宙空間(無重力環境)で起こる宇宙適応症候群(筋肉、骨、血液などの生体システム異変)の予防トレーニング等への応用展開ができる可能性もありますので、世界が直面する高齢化社会および宇宙社会における健康回復・維持に貢献したいと考えています。

◆九州産業大学のメカトロニクス研究室の基本情報

鶴田先生、お話ありがとうございました!
最後に、九州産業大学 メカトロニクス研究室の基本情報を記載します。

九州産業大学
http://www.kyusan-u.ac.jp/
メカトロニクス研究室
http://www.kyusan-u.ac.jp/J/kougaku/tb/tsuruta/

関連ジャンル: その他

この記事をシェアする

  • facebook
  • X
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

※この記事の掲載情報は2020年12月14日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

レバウェル介護の新着一覧

「その他」の人気記事一覧

「総合」の人気記事一覧

新着記事一覧