三重大学工学部 知能ロボティクス研究室の矢野賢一先生にインタビューしました!

ニュース 2020/05/08
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◆はじめに


第19回目は三重大学工学部 知能ロボティクス研究室の矢野賢一先生にお伺いしました。
主に『社会に貢献できる機械システムや知能ロボット』を研究されています。

「研究の概要について教えてください」


人間と機械の共生を実現する機械システムやロボットには、人間の持つ「判断力」や「学習能力」を備えた知能ロボットや、人が行う危険または、困難な作業を補助してくれる人間支援ロボットなどがあります。知能ロボティクス研究室では、人間と機械の共生を実現するヒューマンセントリック(人間中心)なロボット制御技術を開発し、社会に貢献できる機械システムや知能ロボットを創出することを目的としています。
 
具体的な研究テーマとしては、生体信号を用いたヒューマンマシンインターフェースの開発や人間の力覚・触覚能力を高度化するハプティックシステムの開発などの基礎研究から、手足に障害を持つ方の自立支援や機能回復を目的とした医療・福祉ロボットや、超高齢社会に向けた農作業や家庭での軽作業を一人で行うことができるパーソナルモビリティの開発などの実用化研究までを行っています。 特に産学連携の共同研究には力を入れており、現在、医療・福祉の分野における人間支援ロボットの開発などに関して産学連携プロジェクトチームを形成し、研究を進めています。

今後はさらに、医療・福祉の分野においては、近い将来訪れる超高齢化時代を乗り超えるための医療・福祉ロボット技術の開発、ものづくりの分野においては、世界で勝負できる品質と機能を実現するものづくり支援技術の開発に力を入れて研究を行っていきます。特に、研究室独自の技術である流体挙動最適化技術を、再生医療や創薬プロセスなどの生命・医療の分野やものづくりの基盤技術である製品形状最適化の分野へ展開し、新産業の創出を目指します。

「研究の詳細について教えてください」


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上肢動作支援ロボット(アクティブギプス)によるモビリティーの向上

全国の身体障がい者数は350万人を超えて年々増加傾向にあり、そのうちの12.7%が上肢機能障がい者と言われています。上肢機能の不全のために、車いす操作、移乗動作、ドアを開く、物を押さえるなどの日常生活に必要な動作が困難となっています。中でも、車いす操作やベッドなどへの移乗動作は、車いす生活者にとって非常に重要であり、上肢の力が弱まり、力を十分に発揮できない場合は、車いすを思い通りに操作できないだけでなく、疲れやすい、坂道を登れない、段差が越えられないなど行動範囲に制限ができてしまいます。また、力を発揮できないことにより自分で体勢を変化させることができず、長期にわたり同じ体勢で座ることになり、褥瘡(じょくそう:体と支持面との接触局所で血行が不全となり、周辺組織が壊死すること)の原因となります。

車いす操作を支援するために、電動車いすやパワーアシスト車いすといった物も存在しますが、微力でも上肢を十分に動かすことができる人にとっては、過剰な支援により残存機能を生かすことができず、残存機能の低下を招いてしまいます。さらに現在の日本の状況では、電動車いすでは行動範囲が限定されることが多く、できる限り手動の車いすを利用したいという要望も多くあります。

一方で、近年研究が進んでいる装着型の支援ロボットは、汎用性があり、使用方法に制限されることが少なく、さまざまな生活動作に活用できることが期待されています。そこで我々の研究チームでは、車いす操作や移乗、ドアを開く、物を押さえるなどの日常動作を対象として、上肢機能障がい者が、残存機能を有効的に活用することを可能とする残存力伝達機構を有する外骨格型ロボットの開発を行っています。
パンフレット用画像

現在、装置の重量はバッテリー、センサ、モータすべてを搭載しても、280グラムを下回るところまで軽量化されており、長時間の使用にも耐えうる構造となっています。利用者の残存機能をフルに活用することにより、服の中に装着することも可能です。このロボットの一番の特徴は、動力源となるロボットと軟部組織に覆われた人体を繋(つな)げるロボット専用装具にあります。筋肉の収縮・増幅を考慮し、利用者の肩から装着しなくてもずれ落ちない構造と、ロボットからの力を確実に人体に伝達することのできる構造を併せ持つことがポイントです。

「アクティブギプス」を使用することにより、これまで困難であった自立した日常生活を可能とし、さらに、リハビリ効果による残存機能の向上が期待できます。また、これまで介護者の支援なしにはどこにも自由に移動できなかった上肢障がい者が、自分の力で好きなときに、健常者が歩くのと同じスピードで車いすを漕ぐことができるようになり、障害者のQOLの向上が期待できます.さらに現在は、膝関節用や肩関節用、足関節用のアクティブギプスを開発中です。近い将来、より多くの方々の機能回復を実現し、役に立つロボットの開発を行っていきたいと思います。

「今後の研究の展望を教えてください!」


今後、日本は世界に先駆けてハイスピードな“超々高齢社会”を迎えます。その環境の中で制御工学、ロボット工学、人間支援工学の担う可能性と必要性は非常に大きいです。医学、解剖学心理学、デザイン科学など複合的な知識との融合を続けながら、開発を続けていくことが重要です。これからも、人を遠ざけるロボットでなく、人々を結びつけるロボットの開発を目標に、超高齢社会における障がい者・高齢者の自立生活の実現、さらには、楽しみながらの健康長寿社会を支えるリハビリシステムの開発を目指したいと思います。

◆三重大学工学部 知能ロボティクス研究室の基本情報


矢野賢一先生、お話ありがとうございました!

最後に、三重大学工学部 知能ロボティクス研究室の基本情報を記載します。

三重大学
http://www.mie-u.ac.jp/

三重大学工学部 知能ロボティクス研究室
http://www.robot.mach.mie-u.ac.jp/html/

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