
介護の利用者家族との関わりに対し、不安やストレスを感じる介護職員は少なくありません。介護職員にとって、利用者さんやそのご家族とのコミュニケーションは、大切な仕事の一つです。ご家族との関わり方次第では、クレームにつながってしまう場合もあります。そこで本記事では、介護職員におすすめのコミュニケーション術をご紹介。コミュニケーションのコツを知り、負担やストレスを解消するヒントにしましょう!
目次
介護の利用者家族との関わりで困ることはある?
「介護の利用者家族との関わりで困ってしまう」という話はよくある話です。ここでは、実際に介護職員がどんなことで困っているのかをご紹介します。
利用者家族との関わりを負担に感じる理由
介護職員が利用者家族との関わりを負担に感じる理由には、次のようなものが挙げられます。
- 頻繁なクレームや言いがかりをつけるモンスター家族がいる
- 家族対応の時間が多く、肝心の業務を進められない
- 会話が続かず、利用者家族との連携がうまく取れない
- 情報共有をしても「すべてお任せします」といわれてしまう
利用者さんそれぞれに個性があるように、ご家族の人柄や事情もさまざまです。慣れないうちは、「もう関わりたくない」と苛立ちや大変さを感じることがあるかもしれませんが、介護のプロとして利用者家族の背景にも注目してみましょう。
介護職員との関わりがご家族の支えになることもある
利用者家族との関わりに負担や難しさを感じる介護職員がいる一方で、介護職員との関わりを楽しみにしていたり、心身的な支えにしていたりするご家族もいます。
介護職員との関わりがうまくいっていない利用者家族のなかには、「介護のストレスで職員にきつくあたってしまう」「認知症の進行を見ていると不安で仕方がない」という事情を抱えている場合もあるかもしれません。
利用者家族にとって、介護職員は介護の不安や悩みを共有できる心強い存在です。介護の仕事には、利用者さん本人だけでなくご家族との連携も大切なので、あきらめずに良い関わり方を探してみましょう。
介護の利用者家族とのコミュニケーション方法
ここでは、介護の利用者家族との関わりにお困りの方へ、おすすめのコミュニケーション術をご紹介します。「コミュニケーション自体が苦手」という方も、ぜひ参考にしてみてください。
傾聴力を磨いて聞き上手になる
たくさん話してくれる利用者家族との関わりでは、「聞き上手」になりましょう。「コミュニケーションスキルの高さ=会話の上手さ」ではありません。相手の話をきちんと聞いて受け入れること(傾聴力)も、コミュニケーションスキルの一つです。相手の話を聞くときには、意識的に相手の言葉を繰り返しましょう。言葉を繰り返す際は、話の要点部分(その人の感情が強く表れている部分)を、あえて繰り返してみてください。相手は「自分の気持ちを受け止めてもらえた」「この介護士さんに話をして良かった」と思ってくれるはずです。
会話のスピードや相づち、アイコンタクトを意識する
会話のスピードを相手に合わせることや、適度な相づち・アイコンタクトを取ることも、上手なコミュニケーションです。忙しい介護職員がやってしまいがちなのは、利用者家族に対して早口で話してしまったり、結論を急いでしまったりすることです。利用者さんのご家族のなかには高齢の方もおり、職員の声が聞きづらい場合も。相手のペースに合わせるだけでなく、声の大きさ・トーン、視線、相槌にも注意すると、「この介護士さんとは話しやすい」と感じてもらえるでしょう。
相手の悩みや不満を親身になって対応する
利用者家族の会話のなかで、介護に悩んでいたり疲れていたりする様子が見られたら、親身になって対応しましょう。「体調はいかがですか?」「座って話しましょう」など、状況に合わせて言葉を選んでください。ご家族側に、介護サービスに対する不満や心配事があるときは、「そんなことがあったのですね」と寄り添う姿勢を見せることで、利用者家族が安心してくれる可能性があります。ただ、介護職員は何でも希望を叶えてあげられるわけではないので、あくまで業務の一環だということは念頭に置きましょう。
介護の利用者家族との関わりで大切なマナー
介護の利用者家族との関わりがうまくいかない介護職員は、自分のマナー意識を高めてみるのも方法の一つです。「業務に追われて服装が乱れていた」「子ども扱いした言葉を使っていた」などの心当たりのある方は、下記を参考に見直してみましょう。
1.介護職員として身だしなみ
利用者さんやそのご家族と接する介護職員の身だしなみは、「清潔感」がキーワードです。伸びた爪やボサボサのヘアスタイル、ヨレヨレの服装では、「だらしのない人」というマイナスの印象を与えてしまうので気をつけましょう。入浴介助でズボンの裾をまくったままだったり、Tシャツがビショビショに濡れてたりするのも、ありがちなので要注意。汗や香水といった匂いにも気を配るのがポイントです。
2.ご家族にかける言葉づかい
利用者さんのご家族と話すときは、敬語で話しましょう。当たり前と思うかもしれませんが、無意識のうちに「タメ口」を使ってしまう人もいます。タメ口は一見フレンドリーな印象を与えるものの、年配の方は気分を害される可能性も。介護職員は相手を尊重して敬語で接するのが基本なので、失礼のない言葉づかいを心掛けましょう。
3.会話をする際の姿勢や表情
会話をする際の姿勢や表情にも気をつけてください。忙しい介護業務の合間をぬって利用者家族と関わらなくてはならないときであっても、表情や仕草に「私は忙しい」と表してはいけません。真顔やソワソワした態度で接すれば、相手もなんとなく不快な気分になるでしょう。笑顔を心掛けるのはもちろん、相手の方を向き直って会話をする姿勢を整えることが大切です。
4.自己紹介や挨拶は自分から
利用差さんのご家族と会うときは、必ず相手の方を向いて自分から挨拶をしましょう。初対面の場合は、「介護職の○○です」のように、簡単な自己紹介をするのも効果的です。利用者家族にとって、挨拶もしない、名前もしらない人は頼りにくいもの。自分から名乗るのはもちろん、明るい笑顔で挨拶をすることで、「あの職員は話しやすそうだ」という印象を持ってもらいましょう。
介護の利用者家族との関わりを円滑にするメリット
利用者家族との関わりを円滑にすることは、介護職員側にもメリットがあります。大変なことばかりではないので、少しずつ利用者家族との関わり方の改善を試みるのがおすすめです。
1.情報共有をして連携しやすくなる
利用者さんの様子をご家族と介護職員が共有しあうことで、お互いに連携が取りやすくなります。たとえば、介護施設で利用者さんの食事や排泄などのADL(日常機能動作)に改善が見られた場合、それを共有しておくとご自宅でご家族が介護をする際に役立てられることも。反対に、利用者さんの心配ごとがあるときに、ご家族から介護職員へ状況を共有してもらえれば、気をつけて見守りサポートができます。
2.信頼関係を築けるようになる
介護職員と利用者家族との関わりで大切な「信頼関係」を築けるのもメリットです。介護施設で利用者さんに問題があった場合、職員はすぐにご家族へ連絡しなければなりません。普段から連携を取れていないと、「あの施設はいつも適当に業務を行っているのでは?」と不信感を抱くことにもつながります。「大切な家族を任せられている」という気持ちを持って、利用者家族に安心してもらえるように努めましょう。
3.最適な介護サービスを提供できるようになる
利用者家族との関わりが良好だと、普段のやり取りから利用者さんの介護に関わる情報を得られます。「最近思うようにボタンが閉められないみたい」のようなちょっとした話題も、介護ケアのヒントになるはずです。介護現場では、利用者さんからの情報だけでは分からないこともあるので、ご家族とうまく関わることでより良いサービスの提供が可能になるでしょう。
介護の利用者家族とのトラブルにならないためのコツ
最後に介護職が利用者家族とトラブルにならないためのコツを4つご紹介します。
1.専門用語や難しい言葉を避ける
会話をする際は、専門用語や難しい言葉を使わずに、簡潔に伝えましょう。介護サービスを利用しているからといって、利用者家族が介護に関する専門用語を理解しているとは限りません。介護職の現場で当たり前のように使っている言葉は、利用者さんやそのご家族にとって、初めて聞く言葉である可能性もあります。誰にでも分かる言葉で、簡潔に分かりやすく伝えるのがコミュニケーションの基本です。
2.状況別の接遇スキルを身につける
会話が苦手で臨機応変に言葉が出てこない人は、状況別の接遇スキルを身につけましょう。介護の現場で利用者家族との関わりが多いのは、「クレーム対応」「電話の応対」「面会や送迎のタイミング」のように、ある程度予測できます。特に、クレーム対応をする際は、「そんなことあり得ません」と即答したり否定したりするのはNGです。まずはご家族の話に耳を傾け、「そのようなことがあったんですね。施設長と相談しますので、少々お時間をいただけますか?」と対応するなど、上手な対処法を学びましょう。
3.トラブルが発生したときは先輩や上司に相談する
介護の利用者家族とトラブルになってしまったときは、自分一人で解決しようとせず、先輩の介護職員や上司へ相談してください。介護サービスの特性上、人によって捉え方や感じ方が異なります。また、利用者さん本人が認知症の場合、事実とは異なる内容をご家族に伝えることもしばしばあるようです。そうなると、一人ではなかなか解決するのは難しいので、できるだけ早く相談するのがおすすめです。
まとめ
利用者家族との関わりは、介護職にとって意義のあることです。信頼関係を築いたり適切な介護サービスを提供したりするのに役立つので、コミュニケーションは円滑に進めましょう。トラブルになったり、連携が取れなかったりして利用者家族とうまく連携が取れないときは、言葉づかいや会話をするときの姿勢、身だしなみといったマナーに気をつけることで少しずつ改善する場合もあります。ちょっとしたことがきっかけで信頼関係が構築できることもあるので、あきらめずに改善を試みてみましょう。
もし、お仕事をされている中で不安に思うことや辛いことがあれば、お気軽にサポート窓口までご相談ください。みなさんが楽しくお仕事できるよう、これからもサポートいたします!


