2025年に約37万人の人材が不足すると言われている介護業界。社会福祉法人信愛報恩会では、生産性向上のために見守りシステムなどのICTの活用により、業務効率化や職員の負担軽減に努めています。法人の中でも、特にICTの活用に積極的に取り組んでいる「グループホームひまわり」での導入事例について、管理者の田口様、情報管理室の北川様にお話を伺いしました。

プロフィール

ICT活用で効果を実感!導入半年で業務効率化と負担軽減を実現した活用術-社会福祉法人信愛報恩会 グループホームひまわり-
田口 弘子 様

社会福祉法人信愛報恩会 グループホームひまわり(管理者)

2013年に社会福祉法人信愛報恩会に入職。グループホームひまわり立ち上げに携わり、当初からホームの管理や職員への教育指導を担当。ICTをいち早く取り入れ、ホーム運営に活かしている。

ICT活用で効果を実感!導入半年で業務効率化と負担軽減を実現した活用術-社会福祉法人信愛報恩会 グループホームひまわり-
北川 美歩 様

社会福祉法人信愛報恩会 情報管理室(室長)

1998年に社会福祉法人信愛報恩会へ入職。音楽療法士として入職後、法人事務局へ異動。その後、情報管理室立ち上げを担当。情報管理室室長として法人内のICT導入や法人運営に携わっている。

目次

導入から約半年、改めて見えてきたICTの必要性

――ICT化を推進している背景を教えてください。

もともと法人全体で、今後の介護人材不足を見据えた対策の一環として、ICTの活用が有効だと感じていました。ICTの活用により、業務効率化や職員の負担軽減を実現することで、生産性向上にもつながると考えたためです。現在は東京都からの補助金制度を利用し、2019年から法人全体で見守りセンサーや記録用のソフトウェア導入を進めています。その中で、グループホームひまわりでは2020年2月に、全18室の居室全てに見守りシステムを導入しました。

――グループホームひまわりでは、導入までにどんな準備をしましたか?

法人全体のICTプロジェクトチームに参加して準備を進めました。具体的には、ICT化にあたって必要な業務を洗い出したり、職員への説明会を開いて、導入後のイメージや注意点を説明したりしています。また、導入にあたっては、当施設にかかわる全ての関係者から理解を得ることが必要だったので、利用者さまだけでなくご家族への説明や、行政へICT導入を進めていく報告も行いました。

――導入から約半年、導入の効果はどんなところに表れましたか?

2つ大きな効果を実感しています。1つ目は職員の精神的な負担の軽減です。見守りシステムの導入では、ベッド下に設置したセンサーにより、呼吸数や脈拍数、状態変化といった利用者さまの情報をパソコンやタブレットで確認できるようになりました。夜間など転倒の危険性のある方については、アラートが鳴るように設定することで、早期に対応することができます。常に利用者さまの状態が分かるようになったことから、職員の「いつ何があるかわからない」といった不安感や負担感はかなり減少したと思います。

2つ目は、業務効率が良くなったことです。部屋に行かなくても利用者さまの状態が把握できるようになったことで、夜間2時間おきに行っていた見回りが不要になりました。今ではその時間を使ってほかの業務を行えるようになりました。また、これまで夜勤時には職員は担当のユニットの状況しか把握できていませんでした。しかし、見守りセンサーの導入で、ほかのユニットの状況も分かるようになり、協力し合って効率良く業務を進めることができています。見守りシステムの導入により、職員の精神的な面でも仕事量の面でもゆとりが生まれました。

ICT活用で効果を実感!導入半年で業務効率化と負担軽減を実現した活用術-社会福祉法人信愛報恩会 グループホームひまわり-
▲勤務中にタブレットで利用者さまの様子を確認。それぞれの方の状態に合わせたケアを提供しています。

業務効率化以外に、ケアの質向上も実現

――利用者さまに提供するケアに変化はありましたか?

ケアの品質が向上しました。たとえば、利用者さまの睡眠状況や呼吸・脈拍の変化などを見ながら排泄介助を行うなど、状態に合わせた適切なケアが提供できています。以前は見回りの際に利用者さまを起こしてしまうこともありましたが、見回りをなくしたことで睡眠を妨げてしまうこともなくなりました。職員同士で、見守りシステムの良い活用方法を共有できたことも、ケアの質の向上につながっていると感じます。

――今、課題に感じていることはありますか?

見守りシステムの導入により、生まれた時間的な余裕をどう活かしていくかは今後の課題だと思っています。例えば、人員配置を見直してもっと効率化を図るべきなのか、あるいはその時間を使ってより質の高いケアの提供を目指すのか、いくつかの方向性を考えていますね。また、見守りシステムを導入したことで事前に危険を察知することが可能にはなりましたが、避けられない事故が起こる可能性も十分あります。その点を理解した上で、見守りシステムを利用することが大事であると思います。また、見守りシステムの活用の方法については、法人全体で一定のルールを決める必要があります。

先入観を捨て、ポジティブに取り組むことで見える成果

――今後検討しているICTの活用方法はありますか?

現在、当ホームでは見守りシステム以外のICTの導入も進めています。ホームの玄関口に開閉センサーと見守り用のカメラを設置しているほか、記録システムも導入し、ゆくゆくは見守りシステムと記録システムの連動ができるように取り組んでいます。今までは見守りシステムで感知したデータをもとに、職員が手動で記録していましたが、記録システムと連動させることで、自動で記録ができるようになります。見守りシステムで得たデータをもとにケアプランへ反映できるようにしていきたいですね。

――成功するICT導入の考え方はどんなことだと思いますか?

「先入観を持たずに、まずはやってみる」ということだと思います。当ホームには年配の職員も多いので、機器の扱いが難しいのではないかと考えてしまったこともありますが、まずは「やってみる」ことを優先しました。ポジティブに考えて実行に移したことがプラスに働いたと感じます。最初は当然失敗することもあるので、「失敗しても大丈夫」くらいの気持ちで臨んだ方がかえって成功しやすいのではないでしょうか。

また、ICTに全面的に頼るのではなく、あくまで「ケアを実践していく際のパートナー」として、補助的に活用することもポイントの一つだと思います。

――最後に、ICT機器の導入を考えている他事業所へ伝えたいことはありますか?

「この機器を取り入れたらどんな効果があるのか」といった導入後のイメージを明確にして取り組むことが大切です。もちろん、導入には費用もかかりますが、その分得られることもたくさんあります。前向きに、管理者が率先して新しいことに一歩踏み出す勇気を持って挑戦してほしいですね。

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