労働人口の不足が加速するなかで、職員の離職に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。離職防止に対して課題を解決する方法は1つだけではありません。株式会社あぷりでは、「業務効率化」「ICT導入」「人事評価制度」などさまざまなアプローチで職員の離職防止に成功しています。今回は、人事部ディレクターの徳田様から伺った離職を減らすアプローチについて、“ICTの活用”と“人事評価制度”の2部構成でご紹介します。
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プロフィール

介護職員の離職を減らす仕組み作り~人事評価制度編~ -株式会社あぷり-
徳田 晋平 様

株式会社あぷり 人事部 ディレクター

前職では有料老人ホームの事務長を経験し、株式会社あぷりに入社。現在は主に採用や教育・件数関連を担当している。ほかにも外国人人材の在留資格手続きや助成金の申請といった労務業務、広報関連と幅広くご活躍中。

介護職員の努力が、一般企業以上の給与水準に繋がる仕組みを目指して

――離職率を減らすアプローチとしての評価制度の取り組みについて教えてください。

職員が評価や待遇に納得し、やりがいを持って働けるように、2016年に人事評価制度を制定しました。人事評価制度は、賃金制度・等級制度・人事考課制度で成り立っており、評価基準や昇給幅を職員に明示したうえで評価をするようにした仕組みです。

スケジュールとしては、期初の10月に決めた目標を期末の9月で振り返り、その評価が翌年度の10月以降の昇給と10月末の決算賞与に反映される流れです。職員は期初に施設長と面談し、“等級”を加味して年間目標を立て、毎月施設長と面談して目標達成へのフィードバックをもらいます。期末に自己評価と施設長評価をそれぞれ点数化し、その後に社長も点数をつけます。最終的に、職員本人・施設長・社長それぞれがつけた点数の合計を加味してその職員の評価が決定するので、属人的な評価になりにくいのがこの仕組みの特徴です。最終評価の結果を元に翌年度の賞与額と昇給が決定されることで、職員の頑張りを見落とすことなく評価できます。

――人事評価制度の目的は何ですか?

「やりがいや昇給の目標を持って働けること」「人を育てられること」「主体的に行動を起こせること」の3つが主な目的です。なかでもサラリースケールや昇給定義を全て公開したのが特徴で、希望する報酬を貰うためにはどんな行動をすればいいかを明文化しました。

制度設計の背景は、代表の三宅が「介護職は給料が低いから辞めたい」といった低賃金を理由とした退職をなくしたいと考えたためです。職員には、行動が伴えば「介護職員でも一般企業の給与水準以上を目指せる」と知ってもらい、目標を達成することでやりがいを見出してもらいたい、という思いで制度を設計しました。

勤続年数と等級だけでなく、人事考課や目標達成率も給与の算定基準に

――サラリースケール(賃金表)について教えてください。

“等級”と“勤続年数”をかけ合わせて、さらに夜勤手当を含めると想定年収がどれくらいになるか細かく示したものです。当社では、“等級”と“勤続年数”をかけ合わせて月給を決定しており、1等級なら1,000円、2等級なら最大3,000円といった具合で、毎年の昇給額が等級ごとに決まっています。2等級から3等級に昇格すれば昇給額は最大4,000円です。現在の等級での想定年収と、昇格した場合の想定年収を比較して、前向きに目標を立てやすくしています。

――等級とはどのようなものですか?

等級には1~7までの7段階あり、等級ごとに役割や求める行動を定義しています。1~3等級は、新人・中堅・ベテラン職員が該当し、4~5等級は副施設長や施設長、管理者などの管理職が該当します。6等級は、5期運営方針・予算達成を果たした役員待遇の上級施設長のことで、施設長に昇格後も目標が持てるように設定しました。一番上の7等級は、社長や経営陣です。

「模範的な行動」だけでなく、「悪影響レベル」の行動基準まで明確に規定

――人事考課はどんな内容ですか?

人事考課制度は、期待される理想的な行動を評価する仕組みで、具体的な行動基準を示したものです。

「報連相の徹底」「理念・方針の理解」「部下育成」「チャレンジ性」といった法人共通の10個の要素と、施設ごとに設定した要素があり、“悪影響レベル”から“最終的に目指すべきレベル”まで-1~3の5段階で定義しています。例えば「報連相の徹底」の場合、上司から促されても報連相が不十分だと“-1”、決められている内容を確実に事実を報告していれば“0”、イレギュラーなものでも促される前に報連相ができていると“1”の評価です。さらに、伝わりやすいよう手段を工夫できていれば“2”、周辺状況を伝えて上司の判断に好影響を与えられるレベルだと“3”というように、状況に応じて具体的に行動例を示しています。

――人事評価制度のメリットはどんなところでしょうか?

評価基準を明確にすることで、頑張った結果が評価に繋がりやすくなるため、やりがいを感じる職員が増えたところです。実際に人事評価制度設立と並行して、結果的に6年間で年収が100万円ほど上がった職員もいました。職員に評価方法を公開し、評価に対する対価をきっちり提示することで、やりがいを生み出し、結果それが職員定着につながっていると感じています。

また、年次で目標を立てて、施設長と職員で定期的な面談の機会を設けたことで、施設長は職員の悩みや考えを把握しやすくなったのも良かったところの一つですね。

自己成長への前向きな気持ちが、ケアの質向上のカギ

――職員の定着に悩まれている方に一言お願いします。

行動基準を明確化することで、職員は「どんな行動が求められているのか」を理解して行動できるようになるのではないでしょうか。当社には「ご利用者さまの未来にとびっきりの笑顔と感動を添える」といった企業理念を理解して、レクリエーションやイベントに積極的に取り組んでくれる職員がとても多いです。人事考課制度で“理念・方針の理解”や“チャレンジ性”を評価することで、前向きに取り組む考えが根付いていると感じています。定期的に目標設定して振り返り、明確な判断軸に基づき評価することで、活発な企業風土を生み出せていると思いますね。

――今後の目標や展望について教えてください。

私が関わっている教育部のメンバーを次世代のリーダーに育てていきたいですね。教育部の運営目的は、新卒者への教育と離職予防です。運営メンバーは私を含めて6名で、30代の職員が中心となっています。教育部は、新入職員を対象とした入職後研修や振り返り発表の実施だけでなく、2ヶ月に1回の個人面談も行っています。ここ3年間で10名の新卒が入社しましたが、教育部のフォローの甲斐あって、離職者は1人も出ていません。離職者が出なかったことで教育部のメンバーの自信にもなっています。教育部のメンバーは、現在ビジネス書を読んで介護ケア以外の勉強もしたり、外部講師による接遇研修を受けたりするなど、自身のスキルアップにも注力しているので、今後はこのメンバーが中心になって、新卒研修だけでなく、法人全体にもさらにいい影響を与えられるようになったらいいなと思っていますね。
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