労働人口の不足が加速するなかで、職員の離職に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。離職防止に対して課題を解決する方法は1つだけではありません。株式会社あぷりでは、「業務効率化」「ICT導入」「人事評価制度」などさまざまなアプローチで職員の離職防止に成功しています。今回は、株式会社あぷりの離職を減らすアプローチについて、“ICTの活用”と“人事評価制度”の2部構成でご紹介します。 (2021年5月時点の情報です)
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「職員の負担削減」「サービス品質の維持」両立してどう仕組み化するか

――ICT導入に取り組んだきっかけは何ですか?

職員の定着に課題を抱えるなかで、ICTで解決できるものがあると考えたためです。
日常から常に「業務の効率化」を強く意識しており、特に入居者さまと関わる以外の場所では、徹底した効率化が必要だと考えています。そして何より、日本の労働人口と高齢者人口の推移からも明らかなように、サービスの相手が圧倒的に不足する未来に対してどうするかが大きな課題でした。当社が基盤とする大阪府八尾市は都市部から少し離れており、今後労働人口が減少すれば人材確保は容易ではないと考え、「必要人員と職員の負担を減らしても、サービスの質を落とさない仕組みづくり」を目指して、ICT導入に着手しました。

――職員負担の軽減とサービス品質向上のためにICTをどのように活用しましたか?

まず、パラマウントベッド社の“眠りSCAN”を導入し、入居者さまの夜間の様子を把握できるようにしました。“眠りSCAN”は、マットレスの下にセンサーを敷くと、パソコンやスマートフォンで入居者さまの睡眠状態や心拍数、呼吸数が確認できるというものです。“眠りSCAN”導入前は、夜勤時1時間半おきに入居者さまの居室を巡回していましたが、導入後はセンサーで異常を感知したタイミングでのみ入居者さまの居室に向かう体制に変更しました。

また、入居者さまは昼間の活動が活発なら夜間は熟睡できると考え、日々の活動内容として、レクリエーションの種類を積極的に増やしました。「部屋には居させないマネジメント」を当社は強く意識しています。今でも、施設合同でレクリエーションやイベント内容を検討して、毎日各施設でレクリエーションを実施しています。

夜勤手当約2倍の効果もあり、職員の離職率は大幅減少

――眠りSCAN導入の効果はいかがですか?

夜勤の負担が減り、離職が大幅に少なくなっています。“眠りSCAN”導入後、夜勤体制を2名から1名にし、夜勤手当を増額する方が職員は喜ぶのではないかと当社は考えました。職員にヒアリングすると、「1人でも十分対応できるし、作業に集中できる」「夜勤担当が2人いると、どうしても相手に気を使う」「夜勤手当が増えるならその方が嬉しい」という意見がほとんどだったので、施行期間を経て、夜勤人数を1名に減らし、夜勤手当を5,500円から10,000円に増額しました。夜勤帯の業務負担減少と手当増加の効果が当社の様々な取り組みと相まって、離職率を減らすことに成功しました。

――ほかにはどんな機械を取り入れていますか?

職員同士の情報共有とナースコールを受けるためのインカム、訪問記録を簡素化する記録システム、勤怠管理システムを導入しています。介護職員の負担を削減するだけでなく、訪問記録システムは介護保険の請求作業、勤怠管理システムは給与計算といった事務作業や労務管理の効率化にも大きく役立っていますね。

さまざまな機器を活用することで、残業ほぼゼロを実現

――インカムの活用方法を教えてください。

インカムは、職員同士の業務連絡用としてだけでなく、入居者さまからのナースコール受電用としても使用しています。

インカムをつけることで、リアルタイムで情報共有が可能になり、伝達がスムーズになりました。イベントなど普段と異なるオペレーションが必要な際にも活躍しています。また、ナースコールが押されたときはインカムに部屋番号が通知されます。ナースコールの受電用にPHSを使用していたときは、介助するときに落としてしまい故障することが日常茶飯事でしたが、インカムにしたことで、落下のリスクをなくせるだけでなく、持ち運ぶ荷物も減らすこともできるようになりました。さらにイヤホンはワイヤレスなので、本体をポケットにいれておけば両手が空きますし、イヤホンのコードが絡まる煩わしさもありません。まだ全ての施設で導入できているわけではありませんが、導入している施設では手間が少ないと職員に好評です。

――記録業務はどのように効率化していますか?

施設ごとにシステムはそれぞれですが、“Blue Ocean”や“ケアパレット”といった記録システムを導入しています。サービス付き高齢者住宅では介護保険制度上記録量が多く、かつては1日30分近く時間がかかっていました。そこで導入したのが、スマホやタブレットで入居者さまのケアの合間に素早く介護記録を入力できるシステムです。さらに、職員同士で話し合って、自由記述欄には定型文を200種類ほど作成し、最小限の記載で記録が完了するように工夫しました。パソコンと違って場所を選ばずに入力できるので、1日約30分かかっていた記録作業がほんの数分に短縮でき、月4~5時間発生していた残業は今ではほぼゼロになりましたね。業務の効率化で削減できた作業時間は、レクリエーションやイベントの企画・実施に充てることで、より充実したケアが提供できるようになります。日中の活発な活動が入居者さまの夜の熟睡に繋がり、夜間対応回数も抑えられました。業務の効率化が全体的に良い循環を生み出していると思いますね。

――勤怠システムについて教えてください。

まだ全施設には導入できていませんが、顔認証の勤怠システム“勤革時”を導入しています。

“勤革時”は、バックヤードに固定してあるタブレットに職員の顔を登録して、出勤時と退勤時にタブレットの前で立ち止まって顔を撮影するだけで勤怠打刻ができるシステムです。管理が面倒な勤怠カードが不要なので、カードを保管する場所も取りません。現場でも事務的にも効率化が進むので、今後全拠点で導入を予定しています。

介護職員の離職を減らす仕組み作り~ICT活用編~ -株式会社あぷり-

ICT導入は「設備投資」だけでなく職員へ労いを伝えるメッセージ

――ICT導入を検討されている方へ一言お願いします。

ICT導入は「設備投資」だけでなく既存職員への労いを伝えるメッセージでもあると思っています。採用にかかる費用が増えている事業所も多いと思いますが、最新のシステムを入れるのは、一種の採用費用だとも言えるのではないでしょうか。当社では職員の働きやすさを第一に考えて、業務や事務作業の負担を減らした結果、離職率を大幅に減少することができました。最新の機械を導入し、「働きやすくなった」「給料が増えて嬉しい」と職員に効果を実感してもらうことで、離職を防止する効果があると思います。
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