2016年6月に開設した「特別養護老人ホーム杜の家なりた」。開設当初から介護記録「ケアコラボ」を導入し、職員の業務効率化やご家族との交流を深めてきました。実際の活用方法や導入後の効果、現在の取り組みなどを福祉施設サービス部部長である中村様へお伺いしました。

※きらケア研究所は、介護の求人サービス「きらケア」が運営する介護人事に特化した情報サイトです。

プロフィール

介護記録「ケアコラボ」を利用した業務効率化と活用事例-社会福祉法人福祉楽団 特別養護老人ホーム杜の家なりた
中村麻里 様

社会福祉法人福祉楽団 特別養護老人ホーム杜の家なりた 福祉サービス部 部長

2008年10月に同法人へ入職。「特別養護老人ホーム杜の家やしお」にて相談員として従事後、2019年4月より「特別養護老人ホーム杜の家なりた」へ着任。現在では福祉サービス部部長を務め、業務改善などを行っている。

介護記録「ケアコラボ」導入の取り組み

――「ケアコラボ」はいつから導入しているのでしょうか?

もともと法人全体で「ケアコラボ」を導入していました。杜の家なりたでは、2016年の開設と同時に導入しています。ICTは1つの業務効率化ツールとして考えており、現場職員の業務に活かすことができると考え導入しました。当施設では開設と合わせて導入することは事前に決まっていたので、オープンスタッフに対しどのようなツールであるかの説明もおこない、抵抗感なく取り入れることができる環境でした。中堅層の職員もいますが、介護職員は20代30代の職員が全体の7割なので、より馴染みやすく積極的に活用していますね。

――実際の活用方法はどのようにしていますか?

勤務者がスマートフォンを1台持つことができるように配備して活用しています。当施設では早番・遅番・夜勤と3つの勤務時間帯がありますが、それぞれがスマホを持ってケアの合間でも記載ができるようにしています。例えば介助の際に利用者様の皮膚の状態などを目視で確認するだけでなく、写真を取って状態を記録したり、利用者様の普段の様子なども写真や動画を取って記録したりするようにしています。文章では伝わらないことも、写真や動画を取って共有することで状態を把握できるのでとても便利ですね。

――活用するなかでの効果はありましたか?

業務内容や利用者様の状況についての情報共有スピードは各段に早くなりましたね。介護施設では看護師や介護職員を含めて多くの職種が勤務していますが、ケアコラボを利用することで利用者様の状況をそれぞれの場所でタイムリーに確認することができ、業務連携もスムーズに行なえています。また、利用者様の傷の治りや症状の進捗を写真や動画で記録し、かかりつけ医への相談の際に活用しています。

――活用する中でのメリット・デメリットは感じますか?

「記録時間の短縮」というのはメリットだと感じます。ケアコラボを導入する前まで紙への記録が必要でした。記録できる場所が1箇所しかないことで、誰か一人が記録を始めると、次に記載する人の順番待ちが発生し無駄な残業時間が生じる事もありましたが、それが全くないですね。同時にそれぞれの場所で記録ができるので他業務にもスムーズに取り組むことができます。デメリットとしては、事故などの重要な記録が埋もれていきやすいことです。また、写真の記録は便利ですが、職員によっては写り方への配慮がうまくできていないことがあり、研修会などを開いて改善に努めていますが、利用者様への配慮に欠けてしまう撮り方などはしないように指導していますね。

「家族共有機能」を通じたご家族とのコミュニケーション

――記録以外でも活用している機能などはありますか?

「家族共有機能」を活用し、ご家族にも記録を共有しています。記録を常時公開しているので、スマートフォンやパソコンからいつでもどこでも確認することができます。「食事の量を調整できますか?」「普段の施設内での運動の様子を動画で見たいです」などの要望にも答えることができています。

――ご家族とのコミュニケーションツールとしても活用していますか?

活用していますね。非常に使いやすいと感じています。現在は新型コロナウイルスの影響もあり、面会が今までと同じように「対面」でできない状況です。そのなかでもケアコラボを通じて写真で日々の様子を確認できることでご家族にも安心していただけていると感じています。ご家族がコメントを記載できる機能を使って、「感染症対策で大変な状況のなか、職員の皆さんは大丈夫ですか?」というような励ましの言葉をいただくこともあり、私たち自身がご家族の方に支えられているなと感じることも多いですね。

――ご家族が見れる記録に制限はありますか?

ご家族が見られる機能は、日々の様子を記録した「タイムライン」や「ケアプラン」、血圧や体温、排便の有無などを記録する「バイタル」、ご本人の生活歴を記録した「人生録」です。それ以外の記録は、職員間で使用する「申し送り」という機能を利用して管理しています。特にご家族に知らせる必要のない業務上の連絡などを記載しており、機能を使い分けています。記録はタイムリーに更新されるため、重要事項や介護記録には書ききれないことなどはこの機能を利用して情報共有をしています。

介護記録「ケアコラボ」を利用した業務効率化と活用事例-社会福祉法人福祉楽団 特別養護老人ホーム杜の家なりた
▲ケアコラボで写真や動画を撮影し、利用者様の普段の様子をご家族へ共有している

ケアコラボを効率的に活用するための4法人会議

――ケアコラボを導入している他法人との関わりはありますか?

毎月一回、ケアコラボを導入している4法人で使い勝手の検討や活用方法を共有する定期ミーティングにWEB参加しています。「うちはこういう風に使用していますよ」と活用のヒントをもらうこともあります。他にもケアコラボ以外での業務上の悩み相談などをすることもありますね。同じ介護施設なので、良いところは共有して改善していこうという意識をもって取り組んでいます。

――実際に杜の家なりたで取り入れたいと考えている取り組みはありますか?

当施設ではケアコラボの記録を原則ご家族までの公開にしていましたが、他法人ではご家族の他、在宅のケアマネージャーにも共有してケアプランの見直しなどにも活かしていました。また記録の際に携帯の絵文字を使える機能などを利用して、ご家族の方が見ていて楽しい記録にしている事例もありましたね。今後参考にしていきたいなと思っています。

――今後ケアコラボやICT化導入を検討している方へ伝えたいことはありますか?

ICT化の取り組みはとても有益だと思います。業務の効率化が叶うだけでなく、採用のポイントにもなりうる可能性があるからです。実際に新入職員になぜ当法人を選んだのか聞くと「家族との繋がりを大切にするケアコラボやICT化の取り組みをしていて、興味をもった」と言った声もありました。業務だけでなく、色々な面で影響を与えてくれると思います。

採用ご担当者様へ

医療・介護の分野で成果を出し続けてきた弊社のノウハウとネットワークを、御社の課題解決にぜひともご活用ください 。 掲載に関するお問い合わせや、採用についてのお悩みなどはこちらから。

▼記事に関連する施設の情報はこちら(きらケア)

特別養護老人ホーム 杜の家なりた