重度身体障害者施設である障害者支援施設真生園には、年齢や障害も様々な方がおられます。そのため寝たきりの方の介助時の負担が大きく、かつては腰痛に悩まされる職員も少なくありませんでした。そんな状況を打開すべく、同施設では26年前から介護リフトを設置。最近ではさらに、サイバーダイン社が開発するロボットスーツ「HAL®」を導入し、職員の負担軽減に努めています。ここではロボットプロジェクトチームを結成し、HAL®の活用に携わっている大橋様と納様に、介護ロボットの導入についてお話を伺いました。
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プロフィール
社会福祉法人神戸聖隷福祉事業団 障害者支援施設真生園 施設長
1993年4月に神戸福祉聖隷福祉事業団に入職。障害者支援施設、児童施設での勤務の後、2016年に真生園に課長として着任。以来、ロボットプロジェクトチームを立ち上げ、様々な介護ロボットの検討や導入をご経験。
社会福祉法人神戸聖隷福祉事業団 障害者支援施設真生園 サービス管理責任者 生活支援主任 HAL®管理者
大学卒業後、2008年4月に神戸聖隷福祉事業団に入職。以来異動することなく、真生園にて勤務。現在はサービス管理責任者として在籍し、ロボットプロジェクトチームに参加し、HAL®の管理をご担当。
腰痛軽減のために26年前に始まった介護機器導入
——これまでの介護機器導入の取り組みについて教えてください
大橋様:26年前に介護リフトを導入したことが始まりですね。真生園は1978年5月10日にオープンし、今では兵庫県で一番歴史ある(旧)身体障害者療護施設です。今でこそ利用者様を抱えあげない「ノーリフティングケア」はメジャーになっていますが、当時介護リフトを導入したのはとても画期的でしたね。今ではほぼ全居室に介護リフトが配備されており、ないと仕事にならないくらい必要な道具になっています。2016年に再び真生園に着任してからは、さらにもっと介護現場の職場を改善したいと考えて、サイバーダイン社の介護ロボットHAL®に着目しました。
参考: 世界初のサイボーグ型ロボット「HAL®」 – CYBERDYNE
——HAL®はいつ導入したのですか?
大橋様:HAL®は2018年6月に導入しています。介護ロボットが色々なマスメディアに取り上げられていた中、2016年に初めて手に取りました。職員にも装着してもらったり、導入している施設を見学したりして、しっかりと1年半以上情報を集めて検討して1台導入しましたね。
——HAL®はどのように使用していますか?
納様:当施設は本館と新館の2つがあるのですが、新館の方に重度の寝たきりの方がたくさん入られています。そのため、新館にHAL®を置いて、1日通しで業務に入る職員が、日中と夜間それぞれ着用していますね。
——職員の方はすぐに使いこなせましたか?
納様:やはりすぐには上手くいきませんでしたね。HAL®は、脳から筋肉へと送られた信号を感知し、パワーが必要なタイミングで動作をアシストしてくれます。脳からの信号をHAL®が感知できるように、地肌に直接ベルトを巻いて使用するのですが、センサーが信号を感知できないとエラーが出てしまい、うまくアシスト機能が使えません。慣れるまでには30時間ほどの使用がメーカーからは推奨されているのですが、職員は本館と新館の業務を兼任しているので、なかなか連続して使えず、慣れることができませんでした。そこで、一人あたりの着用目標時間を40~50時間に伸ばして、グラフで着用時間を見える化しました。それが効果を奏し、着用時間の短い職員が積極的に使用するようになりましたね。半年くらいかかりましたが、当時新館の対応をしていた職員14名全員がなんとか使えるようになりました。
——使用している方の反応はどうですか?
納様:どうしても慣れるまではネガティブな意見も多かったですが、使えるようになってからは「装着していないとちょっと不安」という声もありますね。新館には寝たきりの方が多いので排泄介助は基本的にベッドの上で行うのですが、体が大きい方の排泄介助や、体位交換なんかもHAL®のおかげで安心して出来ていると思います。
最近は、まず朝はHAL®を付けるっていうところから始める人が増えてきましたね。慣れるまでは着用に2~3分ほどかかっていた職員も、1分あれば着けられるようになりました。使いたいから使ってくれているんだなというのが、やっと最近見えてきましたね。
「職場環境改善」と「利用者支援」の両立を目指すロボットプロジェクトチーム
——現在どのようにHAL®を管理していますか?
納様:HAL®は、すぐに簡単に使えるものではないので、管理者を立てることがメーカーから義務付けられています。当施設では2名の管理者を立てて、講習や指導をしています。うち1名が私ですね。ほかにもロボットプロジェクトチームというのを2016年に立ち上げていて、そこで毎月HAL®の進捗状況や状態を報告しています。
——ロボットプロジェクトチームではどんなことをしていますか?
大橋様:ロボットプロジェクトチームは、サービス管理責任者を中心に現場をよく知る4名と、費用の意見を出す総務と施設長の6名で構成されています。職員側の負担軽減ももちろんですが、利用者様側の安心や快適性、支援にどう活かすかを考えています。HAL®だけでなく、ベッド上での睡眠状況が把握できる「眠りSCAN」も同時期に導入したのですが、その時にも同様に、製品や使用方法の検証をしましたね。当施設には重度の寝たきりで言葉も発声できない方が少なくないので、眠りSCANのセンサー機能も役立っていますね。
——チームでの今後の展望はありますか?
大橋様:HAL®をさらに使いこなせるように更新していくこと、眠りSCANの台数を増やすことがまず当面の課題ですね。あとは、ご利用者の方の排泄のタイミングを知れるセンサー機器があり、導入施設も増えているようなので当施設でも導入を検討しています。他にもナースコールのシステムをパソコンと直結したものを使っているのですが、眠りスキャンと連動させることができないかなと思っています。利用者様の睡眠の状態とナースコールを鳴らす頻度が一覧でデータ化できたり、心拍の異常があったらナースコールを鳴らしたり…今はまだそこまではできないのですが、できたらいいなと思っていますね。
参考: 見守り支援システム 眠りSCAN
導入効果は、負担軽減だけでなく「自信」や「やりがい」の向上にも
——職員の方の定着や採用への効果はありましたか?
大橋様:人材確保の点から言えば、働きやすくなるので離職予防になっていると思いますね。できれば採用も増えるといいのですが…この真生園ある場所はアクセスが良くないこともあり、なかなか採用まで繋がりづらい部分はありますね。ただ、法人一括での採用をしているので、見学に来た学生さんたちが「いいな」というイメージを持って、「こういう施設で働きたいな」というようなことを感じていただけたらいいなとは思います。
——導入を検討されている方に伝えたいことはありますか?
大橋様:介護リフト導入のときから1つ教訓がありまして、導入後すぐ楽に、便利にというのを想像しがちなのですが、新しいのものが「当たり前」になるまでは、10年は見ておくのがいいと思いますね。介護リフト20年以上使ってきて、ようやくないと困るレベルになってきました。導入した当時は「使うと時間がかかる」という職員のイメージもあり、なかなかすぐには活用できていませんでしたね。新しいものを導入せずに、昔ながらのやり方を続けるのもいいかもしれませんが、思い切って導入することによって、施設全体がより良い方向へ一歩前進します。導入する中で失敗もありますし、導入前後で考えないといけないこともたくさんありますが、コストや時間をかけてでも必要なものだと思いますね。
納様:私は入ったときから介護リフトがあったので、昔ながらの介助というのをあまり経験したことがありません。私も腰痛は経験しましたが、リフトのおかげでそこまでひどいことは経験したことがなかったですね。ほかの施設から異動してきた職員からは「リフトがあるって便利ですね」という声がありますし、リフトのない施設に異動した職員は「リフトのある真生園は良かった」という声を聞きます。大橋施設長が数年前に真生園に戻ってきてから、たくさん新しいものが入ってきました。施設自体は古いですが、新しいものに囲まれていることもあり「最先端のものでやっている」という安心感や自信に繋がっていますね。施設の強みにもなるので、ぜひ導入することをお勧めします。
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