膨大な事業所の中から自分に合う職場を見つけるための情報収集のため、人材紹介会社を利用する求職者は近年増え続けています。紹介会社と協力し合う事業所が採用を成功させる時代だからこそ知りたい、「紹介会社をうまく活用するポイントや想い」をレバレジーズメディカルケア株式会社法人営業部部長の須藤に聞きました。

※きらケア研究所は、介護の求人サービス「きらケア」が運営する介護人事に特化した情報サイトです。

プロフィール

須藤 仁司 レバレジーズメディカルケア株式会社 法人営業部 部長
須藤 仁司

レバレジーズメディカルケア株式会社 法人営業部 部長

2013年にレバレジーズ株式会社へ中途入社。看護師人材紹介事業の北海道エリアリーダーとしてメンバーを牽引し、統括組織を拡大。3年目には新たな組織作りに着手し、より広いエリアを統括するブロック長へと就任。2018 年、医療・介護事業を統合したレバレジーズメディカルケア株式会社の設立と同時に、法人営業部を部署として立ち上げる。求人確保だけではなく、やめない組織作りに力を入れ、事業所経営者向けに定着のコンサルティングや行政との連携を図っている。

採用に紹介会社をうまく活用するポイント

――求人の募集方法が複数ある中で、紹介会社を使う事業者側の利点は何でしょうか?

「紹介スピード」ですね。地域や時期によって差が出ますが、紹介会社は登録者数が多いので、ハローワークや自社サイト等よりも、紹介に結びつきやすいと思います。求職者側からも、「膨大にある事業所の中からどう選んで良いのかわからないので登録をした」という声は多く、紹介会社の需要は高いことがうかがえます。

また、求職者の方が登録いただいたタイミングでマッチングが難しかった場合でも、その後見合う求人が出てきたら再度連絡をさせていただくこともあります。タイムリーに登録いただいた求職者だけではなく、過去の求職者にもアプローチをしていくことができることも利点だと思います。

―― 募集を開始した際に事業所が紹介会社に伝えるべき情報はありますか?

「募集の背景」を伝えていただきたいです。求人票での開示項目のほかに、「なぜそのような人が欲しいのか」という具体的な背景を伝えていただくことで、マッチングにつながる可能性がより高まります。

例えば、経験豊富な方を募集したい場合に「介護施設での介助経験がある人」だけではなく、「当施設ではこのような利用者さまのご入居が多く、このような業務が発生するので、その経験のある方に来ていただきたい」と具体的に伝えていただくと、アドバイザーは利用者さまの層を加味して求職者に紹介することができます。求職者にとっても、利用者さまの層を知ることで、実際に業務をしているイメージを持つことができ、安心感につながります。

その他、「残業はほとんどありません」だけではなく「残業が出ないようにタイムシートで管理をしている。残業が発生しそうな場合は手が空いている職員同士で声を掛け合い、交代の職員に任せられるものはお願いしているので普段から少ない」など、働き方についても具体的に伝えていただいた方が、求職者の不安が払しょくでき、マッチングに繋がりやすくなります。

―― 面接前後で事業所と紹介会社が連絡を取り合うポイントはありますか?

面接実施前は、事業所と求職者がお互いに抱いている不安点を、紹介会社を挟んで共有し合うことです。求職者の方は現職(前職)に不安や不満があるから転職を考えているので、その点を解消できる事業所なのかを一番気にしていると思います。求職者が自ら面接官に質問を投げかけることも大切ですが、事前に不安点を共有し合っておけばスムーズに話を進めることができます。その結果、スッキリした気持ちで面接を終えることができるので、内定承諾率が変わって来ます。

面接実施後は、事業所と求職者の印象を共有し合います。双方に良い印象で懸念がないのであれば問題ないですし、もし何か気にかかることがあれば、そこをもう一度求職者に聞いてお伝えをしたり、再度面談の時間をつくったりと調整をしていきます。

求職者から不安や印象を本音で聞けるのは仲介に入った紹介会社だからこそだと思うので、採用でも不採用でも間を取り持っていけるように対応をしています。

これからの採用は「定着」がポイント

―― 実際の事業所の採用関係者の方からはどんな悩みを聞くことが多いですか?

「職員の離職」に関する悩みが圧倒的に多いですね。次いで「人材を紹介してほしい」という言葉もよく聞きますが、これも結局は「人が離職してしまう」から出てくる悩みだと思います。

定着するか否かは、マッチングしているか、という点が大事なポイントです。また、「退職希望者がたまたまうちの事業所に合わなかった」ではなく、なぜ退職を考えたのかの原因を追求していくことが大切です。簡単なことではないですが、その方から本心を話してもらえるように聞き出し、そこから「誰しもが合う環境」を作っていくことが大切だと思います。

―― 人材紹介事業を行なううえで、レバレジーズメディカルケアが大切にしている想いは何ですか?

「辞めない人材を紹介する」ということです。「長く続けられる人材を紹介したい」という想いのもと、マッチング精度が高い人材をご紹介することを心がけています。私たちは各事業所をなるべく理解し、求職者の方に提案します。簡単なことではありませんが、ここのズレが極力ないようにしていきたいと常に思っています。

また、弊社の理念には、「医療・介護サービスの供給不足を本質的な解決へ導く会社を目指す」とあります。介護・医療機関での労働力不足の本質的な解決は、人材を紹介することだけはなく、入職後もそこできちんと「定着」してもらうことだと考えています。そのため、人材紹介事業のほかにも、コンサルティング事業や「きらケア研究所」のようなメディア運営を通して、介護人材の採用に関するノウハウを発信をしています。

たまに、事業所の方々から「紹介や派遣の会社が定着のコンサルティングをしているのは矛盾しているよね」と言われることもあります。ですが、私たちは「長く続けられる人を増やしていきたい」という想いがあるので、「働きやすい環境を一緒につくる」ことに対しての取り組みは、実は一貫しているといつもお伝えしています。

経営者向けに従業員定着に向けたセミナーを開催
▼経営者向けに従業員定着に向けたセミナーを開催

―― 事業所と紹介会社の関わり方は今後どのように変わっていくと思いますか?

病院と施設在宅の採用の変化に合わせて、事業所と紹介会社の関わり方も変化すると思います。病院では新設や増床のスピードが落ち着き、「採用」から「維持」いうフェーズに変わりつつあります。一方で、老人ホームや訪問看護ステーションといった施設在宅の分野は、需要の高まりに合わせて、現在も事業所数が増え続けています。そのため、施設在宅ではまだまだ「人を採用する」というフェーズで動いていく必要があります。

しかし、2025年問題による介護士不足など、今後は採用するだけではなく「定着」にも今まで以上に力を入れていかないといけない時代に入っていきます。そういった時代の変化に合わせて、「人を採用するだけ」に注目せず、定着率を上げ、辞めない組織をつくっていくことが大切です。

辞めない組織では、「みんなが気持ちのいい挨拶をしている」「意見を言い合っている」「同じ想い(理念)で意思決定をしている」など、風通しのよいオープンな人間関係が特徴です。こういった組織は退職したいという気持ちになりにくく、万が一退職者が出たとしても「働きたい」と職員からの繋がりで応募も来るはずです。

介護士の一般的な転職理由は、「人間関係」などのネガティブなものが多いのが現状です。しかし、風通しのよい事業所が増えていくことで、求職者の転職理由も「不満や不安を次の就職先で解消したい」から「自分のキャリアを見据えて」など、前向きな転職に変わっていくと思います。

私たちは、ご紹介した方はもちろん、今お勤めの職員の方も長く勤めていただけるような事業所を、一緒につくっていきたいと考えています。