
2019年、都内初の「地域同行型研修」を本格的に開始した練馬区では、研修制度や補助金制度など、介護人材の育成に力を入れています。2月に練馬区が区内の事業所に向けて行った調査では、「職員の定着率が高い」と回答した事業所が70.1%を占めており、育成施策の成果を裏付ける結果となりました。地域との連携により現場に寄り添った施策を講じる練馬区に、人材育成の取り組みについてお話を伺いました。

プロフィール(左)
練馬区 高齢施策担当部 高齢社会対策課 課長
プロフィール(右)
練馬区 高齢施策担当部 高齢者支援課 課長
スキルアップできる環境を作ることで、人材の確保に成功
——練馬区において介護人材の確保のために取り組まれていることについて教えてください。
練馬区で特徴的なのは介護人材育成・研修センターです。これは練馬区社会福祉事業団に区が補助して運営しており、登録されている練馬区の事業所の職員であれば無料で研修を受けることができます。このような研修センターを自治体レベルで設けているのは都内では練馬区を入れて4箇所だけだと聞いています。まだ他の区では取り組まれていない頃から行っており、研修だけでなく採用など人材確保事業も展開しています。その他、一定期間練馬区の事業所にお勤めいただいた方に対しては、資格取得費用の助成をしています。スキルアップできる環境は働く上でのモチベーションになりますし、特に若手の人材確保について効果を上げているということで区内の事業所の方からも非常に評価の高い取り組みで、是非続けて欲しいと言われています。練馬区は介護事業所が1000事業所以上あり、人材確保がずっと課題であっためこのような取り組みを始めました。
——都内初の取り組みと言われている「地域同行型研修」について教えてください。
簡単にいうと、経験年数3年以内のケアマネジャーに対して、練馬区の他の事業者の主任ケアマネジャーが業務に同行して教えるというものです。研修の内容は、指導役が見本を見せるのが2回と、受講側にやらせてみるのが2回、最後に全体の報告会を行うことをセットで実施しています。指導役となる主任ケアマネジャーには事前にスーパービジョン・ファシリテーションの研修を受けていただきます。これは、ケアマネジャーのスキルアップのために始めました。ケアマネジャーは介護保険の中心的な役割を担っていく方々なので、その方々のスキルが介護サービス全般に影響を与えます。ケアマネジャーの事業所は小規模のところが多く人から教えてもらう機会が少ないので、事業者を超えて地域で支え合える仕組みを作ろうと、練馬区主任介護支援専門員協議会との協働により始めました。参加者は20組程度を想定していたのですが、すでに17組に参加していただいております。参加者からは、指導をする側もされる側も実務のためになっているというお話は伺っていますね。

事業所との密な連携が施策の浸透を加速させる
——事業所が相談しやすいように工夫されていることは何でしょうか?
事業所のみなさまと実際に会って話す機会を設けるようにしています。練馬区は介護事業所の方々の連携が非常に強く、区内に1000以上ある事業所のうちの600くらいが加盟している練馬区介護サービス事業者連絡協議会というものがあります。そういった方々と定期的に意見交換することで、相談事や区の政策に対する意見をしやすい環境を作るよう心がけています。練馬区はこれまでの各取り組みにおいて、我々の独りよがりでなく事業所の皆様と一緒に考えながら区の政策として反映させているので、制度の活用率も高いと思います。ただ、介護人材育成・研修センターについてはまだ100%活用されていないので、まだ使っていない事業所さんには使っていただきたいです。研修センターに登録している事業所は878で全部ではありません。研修だけでなく、人材確保のためのセミナーや就職相談会など様々な取り組みを無料で行っていますので、積極的にご活用いただきたいです。
——施策としては順調な印象を受けたのですが、今感じている新たな課題はございますか?
現場の負荷軽減のためのIT技術と外国人介護人材の活用ですね。調査をしますと、どちらも活用を考えているという回答は多くいただくのですが、実際には取り組んでいない事業所が多いんです。我々でどうしたら活用していただけるかを考えていかなければならないと思っています。ICTに関しては、今年度、特養等の入所施設に導入を支援していこうと考えています。在宅については、練馬区の訪問介護員の平均年齢は55歳を超えており、60歳を超えているような方も多くいらっしゃる中で、新しくICT機器の使い方を覚えてもらうのが難しい事業所もあると聞いています。今ちょうど区内で導入できる事業所の募集をかけているところなので、まずは初年度の事業の様子を見ながら施策を打っていこうと思っています。外国人介護人材に関しては、区内の事業所に努めている外国人の職員に対して言葉や文化に関する研修を予定しています。その他については、これから実際に区内で働いている外国人職員の状況を調査した上で一度研修を組んでみて、どのような支援をしていくべきか考えていきたいと思っています。

「介護人材の育成といったら練馬区」を目指して
——今後の展望について教えて下さい。
介護人材とは少し離れてしまうのですが元気高齢者全般の活躍の場を広げていくことをしていきたいですね。高齢者は増えていきますが元気な方が非常に多いので、そういう方にますます元気になって社会に参加していただきたいです。現在介護助手として、掃除など介護施設での軽作業をしていただいていますが、現場の反応は非常に良いので、続けていきたいと思っています。また、練馬区の強みは介護人材の育成だと自負しております。どの施策においても現場の声を反映させることを第一に考えているので、資格取得費用の補助や介護従事者養成研修などの活用率が高く、多くの介護職員の育成ができています。人材育成は結果的に高齢者支援の質に結びつくものなので今後も力を入れていきたいですね。これからもなるべく現場の声を聞く機会を設けてニーズを拾うことで、介護業界において「育成といったら練馬区」と言われる日を目指していきたいと思います。
お問い合わせは「レバウェル介護」まで
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