ピースウィンズ・ジャパンでは、新型コロナウイルスが発生した施設に対して、医療チームを派遣して感染者のケアにあたっています。しかし、施設内での感染拡大を防ぐには、クラスター発生現場へ向かうだけでなく、感染を広げないための対策や感染予防の方法についても知ってもらうことが必須です。ピースウィンズ・ジャパンでは“AIによるチャットボット”や、“個別相談会”で、あらかじめできる対策についてもサポートしています。町様と石川様に詳細について伺いました。

【前編】クラスターが発生している現場で起きていること -ピースウィンズ・ジャパン 空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”-

プロフィール

新型コロナの施設支援 いまこそプロにたよって「受援力」を身に付ける-ピースウィンズ・ジャパン-
町 浩一郎 様

特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン 広報マネージャー

一般企業での海外勤務経験を経て、学生時代からの憧れであったNGOへの転職を決意し、2018年にピースウィンズ・ジャパンに入職。現在は、広報全般とファンドレイジング全般(※寄付金や補助金、助成金の獲得など)を担当している。

新型コロナの施設支援 いまこそプロにたよって「受援力」を身に付ける-ピースウィンズ・ジャパン-
石川 彩華 様

特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン 事業担当

2015年にピースウィンズ・ジャパンに入職し、海外事業部にてアジア地域の支援に従事。さらなる専門的な知識の獲得を目指し、2019年より看護学校に通学するため休職するが、日本におけるコロナ支援のために復職。現在は、主に福祉事業所の支援事業を担当している。

災害支援だけでなく、新型コロナウイルスの「クラスター対策」の支援にも注力

――高齢者施設に新型コロナウイルスの支援を始めた経緯について教えてください。

町様:

私たちは社会問題の解決に対してさまざまな事業を展開していて、中でも国内外問わず、災害支援を得意としています。国内でも地震や台風被害に対して多くの支援を行ってきましたが、新型コロナウイルスの感染者が確認されだした2020年の2月頃から、新たに新型コロナに関する支援を始めました。当初は物資が不足していたので、マスクの供給といった物資支援が必要でした。その後、4月頃からクラスター発生現場に医療チームが応援に向かうようになりました。

医療機関だけでなく高齢者施設へ支援に入るうちに感じたのは、施設職員の方は医療機関の方と比べて、感染管理に対する知識が少ないということです。そのため、施設内で感染者が発生してしまうと感染拡大を抑えることが容易ではなく、感染が広がりクラスターとなることが珍しくありませんでした。クラスター発生後に現場へ向かうだけでなく、感染を広げないための対策や感染予防のための知識に関してもサポートが必要だと感じました。

――現地での支援以外に、どんな活動をされていますか?

町様:

合同での研修会や個別相談会の開催、コロナに関する疑問にAIが回答するシステム“AIチャットボット”を作っています。

石川様:

時系列でいうと、2020年8月末に合同研修会を始めました。その後、12月末に“AIチャットボット”をリリースして、2021年の4月から個別相談会を開始しています。

――合同研修会ではどんなことをされていましたか?

石川様:

オンライン上で医師による研修と相談会を実施しました。コロナ感染者の対策についてのレクチャーと、参加者からの質問に答えるもので、時間は2時間ほどです。2020年の8月から9月頃に1回20名を定員として、合計13回開催しました。相談会でたくさんの質問が出たことにより、施設の運営者は何が気になっているかが分かるようになりました。同じような質問が多かったので、それらをまとめてリリースしたのが、現在HP上にリリースしている“AIチャットボット”です。

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▲合同研修・相談会では、フォローアップを兼ねて現地に訪問することも。写真は医師によるゾーニングのアドバイス中の様子

“AIチャットボット”で24時間いつでも医師監修の資料が確認可能に

――“AIチャットボット”の使い方について教えてください。

町様:

チャット上に質問したい内容の単語を入れると、関連する質問が表示される仕組みです。たとえば「職員」と入れると、「職員が、濃厚接触者と判断された場合について知りたい」「コロナ対応職員が感染者対応をしていないときは、他の非感染者の対応をしても構わないのか知りたい」など、よく検索される内容がサジェストされます。質問件数の多いものがより上位に表示される仕組みです。その中で自分の知りたい内容をクリックすると質問に対する回答を読むことができます。

石川様:

今までに500名以上の方に利用されていて、1回あたりの会話数は平均5回ほどです。一度ご利用された方は、気になることを何度か繰り返し質問していただいていると感じます。無料でご利用いただけるので、ぜひさらに多くの方に知っていただきたいです。

――“AIチャットボット”はどんな方におすすめですか?

石川様:

普段忙しい施設の運営者や職員の方です。「マニュアルを読む時間がない」「科学的根拠や医療機関の経験に基づいた確かな情報が欲しい」という方に合うと思います。質問会を開催していた当時も、政府が定める「濃厚接触者」の定義が途中で変わったこともあり、公的なエビデンスを伴った必要な情報を見つけ出すことが難しいと感じている方が多い印象でした。

ピースウィンズ・ジャパンが提供している“AIチャットボット”では、公的資料をはじめ、医師が判断したウェブ上の資料を蓄積しているので、エビデンスが伴った情報を探すことが可能です。24時間いつでも手軽に情報をチェックできるので、たとえ知っていることの再確認であっても、安心につながればいいなと思います。

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▲質問を入力するだけで手軽に信頼できる回答を得られる“AIチャットボット”

“個別相談会”では、施設ごとにオーダーメイドの対策方法をアドバイス

――“個別相談会”の内容を教えてください。

町様:

相談担当は当法人所属の医師で、各施設の悩みに対して個別で相談にのるものです。参加費は無料で、1回あたり5施設に限定して、オンラインで開催しています。事前に施設の図面や、感染者の対応マニュアルをお送りいただくことで、より個別性の高い詳細なアドバイスができるようになっています。

――“個別相談会”はどんな方がターゲットですか?

石川様:

自分の施設に合わせた対策方法を知りたい方におすすめです。以前の合同研修・相談会には、高齢者施設や障害者施設、訪問介護といった、多くの施設形態の方が同時に参加されていました。こうした施設形態の違いはもちろん、同じ施設形態でも多床室か個室か、自立度の高い方や認知症の方はどのくらいいるのかによって、対策の仕方が大きく変わってきます。事業所の特性に合わせた対策をあらかじめ想定しておくいい機会になると思います。

また、対策やシミュレーションに自信がない方だけでなく、感染対策に力を入れすぎて疲れてしまった方もご相談が可能です。たとえば、「施設内に入る取引業者全員に防護服の着用を義務付けているが、毎日対応が大変だ」という相談をいただいたこともあります。その際は、防護服の着脱はかなり負担が大きいのでなくしてしまって、どこに力を入れれば安心かというアドバイスをお話ししました。ご相談いただくことで、注力することの優先順位付けができると思います。

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▲“個別相談会”での相談例。参加費は無料で医師のアドバイスがもらえる

少しの悩みでも相談して「受援力」を身に付けてほしい

――施設で働く方や運営者の方にメッセージをお願いします。

町様:

感染対策に関しては、事前に知識を身に付けておくことと、人脈づくりをしておくことが重要です。おそらく、多くの施設では業務に忙しく、感染対策について詳細にシミュレーションできていないところが多いと思います。ただ、施設内でコロナの陽性者が出てしまうとさらに業務負荷がかかり、スタッフの感染により労働力も減ってしまう恐れもあります。ぜひ一度、万が一起こったらどうするかを詳細に考えてみてほしいです。

また、万が一感染者が出てしまった場合でも、専門家が入ってすぐに対処した方がクラスターの発生を抑えられます。普段からいざというときの人脈を作ったり、支援を受け入れる「受援力」を身に付けたりしておくことが大切です。私たちの活動を知ってもらい、利用していただくこともその一つだと思います。

石川様:

外部機関の支援を受けるのは、最初はハードルが高く感じられるかもしれません。しかし、あまりない機会だと思うので、悩みや疑問があればささいなことでもぜひ“医療の専門家”に聞いていただければと思います。国内でもワクチン接種が進んでいますが、ワクチンが多くの人に広がって、日本全体、世界全体で新型コロナウイルスが収束するまで、もう少し対策が必要です。事前に備えているかどうかで、感染者が出たときの対応力がまったく違います。“AIチャットボット”や“個別相談会”をぜひ活用いただけると嬉しいです。

【前編】クラスターが発生している現場で起きていること -ピースウィンズ・ジャパン 空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”-

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