新型コロナウイルス感染拡大の影響で、採用・育成方法の見直しを迫られた事業所も多いのではないでしょうか。その中で、ケアサポート株式会社は、情勢に応じて採用・育成方法を変えて柔軟に対応することで、多くの学びを得たと言います。感染拡大によって採用・育成にどのような影響があったか、また感染拡大の収束後も役に立ちそうな対応方法のノウハウについて、ケアサポート株式会社人財育成課の福留様にお話を伺いました。
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プロフィール

ケアサポート株式会社 総務人事部 人財育成課 課長
製菓業界、介護事業所での勤務を経て、2004年にケアサポート株式会社に入社。現場で新規事業所の立ち上げに携わった後、2016年に介護事業部人財育成課に異動。社内研修の運営・企画や育成を担当している。
感染拡大に伴い未経験の入職者向けの研修を実施。応募者増加につながる
――新型コロナウイルス感染拡大の影響で採用活動にどんな影響がありましたか?
新卒採用については、応募者数が大きく増加した印象はありませんが、飲食業や販売などほかの業種を志望していた学生が感染拡大の状況を鑑みて、介護業界にシフトするというケースが起きているようです。ただ、介護業界の中でも採用を縮小・中止している企業や、オンラインでの説明会・選考に対応していない企業があるためか、学生一人あたりの志望企業数は減っていると思います。実際、当社に応募してくれる学生は、これまで10~20社を並行して受けている方が多い印象でしたが、2020年度は2~5社にとどまっています。応募者が増えた影響で、例年より内定者数が増えましたね。
一方、中途採用では、同様に感染拡大当初は応募者数の増加はそこまで見られませんでした。2020年7月に未経験の入職者向けに「はじめの一歩研修」を始めてからは、飲食業・接客業・製造業など異業種から転職してくる方がかなり増えました。「はじめの一歩研修」は、2日間にわたって介護の基礎知識や介助技術を学ぶものです。研修のことを外部に発信し、認知してもらえるようになってから、未経験の方から安心感を持って応募いただけるようになり、入社数の増加につながったと感じます。
――説明会はどのように開催していますか?
新卒向けの説明会については、もともと対面式と一部オンラインで行っていたところを2020年3月頃からはオンラインでの実施に全面的に移行しました。対面形式での説明会では、大勢の学生に対し、採用担当者が説明していましたが、オンラインの説明会では、学生と採用担当が一対一でじっくり話ができるようにしています。時間はかかりますが、学生から疑問点や不明点を気軽に聞いてもらうことができ、密度の濃い時間を過ごせるようになったと感じています。また、オンラインの説明会だと時間の融通が利きやすく、移動もしなくていいので、採用担当者だけではなく、必要に応じて育成担当者も参加できるようになりました。
――選考の方法に変化はありましたか?
以前は、新卒・中途ともにすべて対面で面接していましたが、2020年度春以降は最終面接以前の面接はオンラインで、最終面接のみ対面で行う形に変更しました。対面での面接を取り入れているのは、直接会うからこそ分かるその方の雰囲気などもあると感じているからです。最終面接で実際本人にお会いした印象も加味したうえで、実際に内定を出すかどうか判断しています。

オンラインへの移行により、研修受講者層が拡大。伝える側のスキル向上も実現
――社内での研修はどのように実施していますか?
新卒・中途ともに感染防止対策に配慮し、形を変えて実施するようにしています。たとえば、例年新卒職員向けに、これまで学んだ知識や技術を振り返ったり、同期の職員同士の情報共有したりすることを目的にフォローアップ研修を実施していましたが、2020年度は中止し、育成担当者から手紙を送ってフォローするようにしました。手紙という手段を選んだのは、職員一人ひとりを思っている気持ちを少しでも伝えたかったからです。育成担当の職員から「今、仕事はどうですか?元気に過ごしていますか?」といった内容の手紙を送ると、職員からは「思ったより楽しいです」「結構大変です」「こんなことに悩んでいます」など返信があり、反響は大きかったです。返事の内容によって、困っていそうな職員には個別にサポートしました。
また、例年は新卒職員と一部の中途職員向けに「同じ職種の先輩に同行して現場でノウハウを学ぶ」職種別の研修を実施していましたが、2020年度は事前に先輩職員にインタビューして編集した動画を視聴してもらう形式に変更しました。これまでは先輩職員の能力や同行する職員の質問するスキルによって、得られる学びに差がありましたが、動画に集約することで、質の平準化が進みました。受講者からの評判も良かったです。このほか、中途職員向けの研修についても、オンラインでできるものはオンラインで実施するようにしています。
――オンラインでの研修を行うメリットはどんなところでしょうか?
メリットはたくさんあります。1つ目は研修の受講者層を広げられたことです。これまで正社員向けに実施していた研修も、各拠点から移動してもらう時間や交通費捻出の必要がなくなったことで、非常勤の方にも対象を拡大できました。週に1回働いているような非常勤の方にも、研修で知識をお伝えする機会を作れたのは、非常に大きな変化だと感じています。
2つ目は時間の融通が利きやすく、研修が企画しやすくなったことです。以前は、各拠点から集まってもらう以上、丸1日かけて研修を実施することが多くありました。しかし、オンラインであれば各拠点で研修を受講してもらうことができ、時間の融通が利きやすいので、1日かけていた研修を半日に短縮したり、2回に分けて実施したりするなど柔軟な対応ができるようになりました。また、職種別の研修では、各職種ごとに収録した動画を視聴してもらうことで、他職種の研修が受けられるようになったことが挙げられます。これまでは実際に先輩に同行して研修を行っていたため、拘束時間の都合上、職員は自分の職種の研修しか受けられませんでした。しかし、動画を活用し、他職種の研修を受けられるようになったことで、視野を広げてもらえるようになりました。介護職員はどうしても日常の業務に向き合うのに精一杯になってしまいがちですが、自分が目指すキャリア以外にもこんな選択肢があるんだと知ってもらえるきっかけづくりになったのではないでしょうか。
3つ目は伝える側のスキル向上につながったことです。今まではホワイトボードに書きながら説明していたことも、事前に資料を作成するようにしました。今までの対面とは違い、こちら側のメッセージを伝える手法が限られるため、動画を別途作成したり、モニター上でクイズを行ったりするなど工夫しています。そのため、内容を凝縮して伝えられるようになりました。また、研修全体の構成も見直すことができました。対面での研修だと熱が入って長く語ってしまうことがあっても、相手も熱量に応じて一生懸命聞いてくれますが、オンラインでは受講する側は疲労を感じやすくなります。そのため、1時間に1回は休憩を入れるようになりました。
――逆にデメリットや難しさを感じるところは何でしょうか?
「介護技術の研修において具体的な動作が伝えづらいこと」「グループワークがやりづらい」ことです。介護技術の研修では、たとえば講師側はカメラで同じ場所を映すのではなく、見せたい部分をピンポイントで映すようにすることで、対面実技研修では伝えにくい詳細な部分をかえって分かりやすく伝えられるようになりました。ほかの懸念点も解消できるように取り組んでいる最中です。
また、「グループワークがやりづらい」ことは誰にどんな内容の研修を実施するときでも課題としてありますね。対面でのグループワークに比べて話すタイミングが難しいため、いざ「職員同士、自由に話し合ってください」と促してもなかなか話が弾まないことがあります。そこで、司会進行を務める人財育成課の職員がいったん退席し、職員同士で話してもらう時間を確保することで、発言しやすい雰囲気づくりに努めています。あとは、オンラインでグループワークを実施するうえでは人数も重要なポイントだと分かりました。5~8人程度だと人数が多すぎて話がうまく進まないので、3~4人くらいの人数にとどめるようにしています。
引き算で考えるのではなく、足し算でできることを工夫する
――新型コロナウイルス感染拡大が収束した後も活かせそうな学びはありましたか?
研修の内容によって、オンラインに向いているものと向いていないものがあることに気づきました。職種別研修のようにオンラインの方がメリットが大きい研修については、感染拡大の収束後も継続してオンラインで実施していきたいです。話し方や研修の構成方法については、オンライン・オフライン限らず、今後も活かしていけると感じました。各拠点での研修は非常勤も対象ですが、今回本社研修も非常勤に拡大したことで、非常勤職員の学びに対する高いモチベーションを実感しました。本社研修は拠点間交流などの機会にもなります。今回の学びを活かして、今後はより、多様な職員の可能性を伸ばす支援をしていきたいと思います。
――Withコロナの時代における採用・育成で大切なことは何ですか?
新型コロナウイルス感染拡大下における採用・育成には、何かと不便なことも多いと思います。しかし、「あれもできない」「これもできない」とネガティブな見方をするのではなく、置かれた状況にしっかり向き合い、ポジティブな面を見つけていくことが大切だと考えます。当社では早い段階で何ができるか考え、行動していったことで、試行錯誤しながらもオンラインでの採用・研修に対応できるようになりましたし、今後に活かせそうなノウハウも蓄積できました。さらに、感染拡大をきっかけに未経験の方向けの研修を始めたことによって、新しく介護の仕事を志す方の役に立つことができて、入職していただける方も増えました。このように引き算ではなく、足し算で考えてできることから行動していくことで、新しい気づきや学びを得られることがあるはずです。
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