介護事業所を運営するなかで、『このままのケアのやり方でいいのだろうか』と悩んだり、『ほかの事業所の施設の取り組みを知りたい』と考えたりしている事業所も多いのではないでしょうか。その中、「一般社団法人日本介護協会」では介護甲子園という大会を通して、全国にある介護事業所の良い取り組みをコンテスト形式で紹介。介護業界を盛り上げながら支えるべく、大会運営を行っている理事長の平栗様にお話をお伺いしました。

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プロフィール

「介護業界を盛り上げたい!」介護の魅力を発信し続ける介護甲子園とは‐一般社団法人日本介護協会‐
平栗 潤一 様

一般社団法人日本介護協会 理事長

2004年から2016年まで、学校法人三幸学園にて講師として12年勤務後、2016年4月に株式会社コンソーシアムジャパンを立ち上げる。介護施設経営に携わりながら、一般社団法人日本介護協会へ参画し、2020年3月より2代目理事長に就任。介護業界を盛り上げるべく尽力している。

介護の仕事の地位向上を目指し、「介護甲子園」を開催

――介護甲子園を開催したきっかけは何でしょうか?

介護職員の離職率を下げるにはどうしたらいいかを考えていく中で、「居酒屋甲子園」という取り組みを知ったことがきっかけです。もともと、初代理事長を務めていた左(ひだり)が短時間の入浴デイサービスを運営していた時に、入浴介助の業務は体力的にも大変な仕事で、介護職員の離職率が80%と高い状態になってしまっていました。どうしたら離職率を下げることができるかを、とある居酒屋で話し合っていた時に「居酒屋甲子園」を知りました。居酒屋甲子園の出場を目指して頑張っているという店員さんの話を聞いて、興味を持ちましたね。飲食業界も少なからず離職率が高い業界と言われており、介護業界と同じ環境だと考えたときに、その仕事にフォーカスした取り組みを介護でも取り入れることができれば、もっと業界全体が良くなるのではないかと思いつきました。そこから異業種交流会やセミナー、講演会などをしていく中で、2011年に介護業界の地位向上を目指す一つのきっかけとして「介護甲子園」という大会を作りました。

――介護甲子園とはどのような大会ですか?

事業所の良い取り組みをコンテスト形式で評価していく大会です。まず、自分たちの介護施設でどのような取り組みをしているのかを、エントリーシートにまとめて提出してもらいます。2020年度のテーマでは『スタッフの育成はどのようにしているか、地域貢献はどのようにしているか、コロナ対策はどのようにしているか』などの項目の記載をしました。この「文字に起こす」という作業がとても大切だと考えていて、事業所の皆さんが、普段自分達がどのように何をしているのかを振り返るきっかけづくりにもなると考えています。24時間365日介護をしていると、振り返る時間もないことがほとんどです。エントリーシートに記載するという作業のなかで、自分達の良いところを再発見していくことで、自然とチームワークが良くなったり、モチベーションが上がったりして事業所への良い効果が生まれることも狙っていますね。

エントリーシート提出後は、協会が決めた審査員の審査を経て、総合点でベスト30を決定します。ベスト30の中から、上位6チームを決勝に選出して、選ばれた6チームにはプレゼンテーション形式でそれぞれの施設の良さをアピールしてもらいます。コロナ禍の今年は、初めてオンラインで決勝大会を開催する予定です。オンラインでは普段会場に来られない方も見ることができるので、介護の仕事を知るきっかけになればと考えています。

――これまでの大会で印象に残っている取り組みはありますか?

各大会では、その年のトレンドが色濃く出ていると感じています。第九回大会では「旅行」をテーマに取り組んだ事例が多くエントリーされました。「旅行」を1つとっても、利用者様が使えるトイレの位置を把握することや、バリアフリーのない環境におけるケアの仕方など、利用者様に心置きなく楽しんでもらえる方法を考えることは大変な部分も多いです。その中でも、失語症の利用者様が旅行を通してお話しすることができたエピソードなどは印象に残っていますね。そのほかには、人生最後のターミナルトラベルを実施している事業所もありました。

第六回~八回大会では、「外国人人材」に関する取り組みがたくさんありました。その中でも特に印象に残ったのは、他国籍の職員を拒否していた利用者様に対して外国人職員が根気強くアプローチした結果、最期のお看取りの際にはその外国人職員にそばに居てほしいとお話しされたエピソードですね。会場ではこのエピソードを聞いて涙する方も多数いらっしゃいました。毎回大きなテーマを決めていたわけではありませんが、その年ごとの介護業界内でのトレンドが反映されていると思います。

「介護業界を盛り上げたい!」介護の魅力を発信し続ける介護甲子園とは‐一般社団法人日本介護協会‐
▲決勝大会ではプレゼンテーション形式で事例を紹介。たくさんの応募のなかから優勝施設を決めていきます。

大会を通じて、参加者が自身の介護のあり方を振り返るきっかけに

――これまで介護甲子園を開催してきた中で、介護業界や介護事業者への効果はどんなところに現れていると感じますか?

介護甲子園に参加することで、改めて自分たちは何のために仕事をしているのかを考えるきっかけになっていると感じています。実際に「本当に自分のやりたい介護は何なのか?」を、大会を通して改めて考え、自身の目指す介護をするために独立して介護事業所を立ち上げた方もいますね。大会の会場は他事業所の方との情報交換の場にもなっているため、お互いに良い刺激になっているのではないでしょうか。最初は大会を開催することについて世間からは賛否両論の声があったものの、「介護業界のためだから」と取り組んできた成果が身を結び始めていると思います。

――介護甲子園を開催する上で大切にしていることは何ですか?

あくまでも主役は「介護事業所」だと思っています。とはいえ、運営している大会組織メンバーは私を含めてボランティアなので、その運営メンバーが関わって良かったと思える大会を目指しています。この運営メンバーで大会を開催する価値を高めていくことも意識していますね。また、大会を通じて介護事業所の方が喜びなり悔しさなり、何かを感じて自分の施設に持ち帰ることのできるような運営もしていきたいですね。大会に参加してくれている事業所だけでなく、運営側も巻き込んだ繋がりを大切にしていきたいです。

――現在抱えている課題はありますか?

たくさんある事業所の取り組みを、介護業界全体にどう展開していくのかが課題です。第一回大会では135事業所のエントリーでしたが、第十回大会では8219事業所のエントリーがあり、毎年エントリー数は増え続けています。毎年多くのエントリーをいただく中、決勝大会には6事業所しか進めません。決勝大会に進んだ6事業所の取り組みは発表されますが、それまでにエントリーされた多くの取り組みについて公表する機会をまだ作ることができていないのが現状です。今後は、今まで蓄積されてきた数多くの取り組みを「外国人人材」「防災」「教育」「定着」などカテゴリーに分け、メディアとして運営したり、書籍化したりする案も考えています。決勝大会に選出されなかった取り組みの中にも、何かしら自分の事業所に活かせる内容があるはずなので、運営側だけで管理するのではなく、もっと多くの方に知っていただく機会を作りたいと考えています。

夢は世界進出。海外にも日本の介護の良さを広めていきたい

――今後の展望はありますか?

これまで日本の介護業界を盛り上げ、少しでも業界を良くするきっかけになればと思い、介護甲子園を開催してきましたが、今後は高齢化が進む海外の介護業界も支援していきたいと考えています。具体的には、海外での介護甲子園の開催や介護連携を考えています。実は、すでにアメリカやドイツ、スウェーデン、ノルウェー、インドへ視察に行き、同じように介護協会を設立しています。今後はアジア圏に注力した活動をしていきたいですね。特に、中国やマレーシアで近年高齢化が急速に進んでいる状況です。今後の超高齢化社会に向けて、日本の介護をアジアへ展開できるような取り組みをしていきたいですね。まずは新しく立ち上げたアジアヘルスケア推進機構を軸に、技能実習制度を支援するような団体も作っていきたいです。また、2025年に大阪で開催する国際博覧会で介護サミットができたらとも考えています。

――介護事業所へ一言お願いします。

コロナ禍で介護事業所を運営する方々の中には、「このままの運営でいいのか」「どうしたらもっと職員の負担軽減ができるか」など悩んでいる方も多いと思います。コロナ禍の今だからこそ、さまざまな取り組みを競い合う介護甲子園を通して「介護業界は元気に頑張っている」というメッセージを発信し続けることが、日本介護協会の役割だと考えています。介護甲子園を通して、介護業界だけでなく日本も明るく元気にできたらうれしいです。また、運営する私たちはもちろん、介護事業所のみなさん自身にとっても介護に従事する価値を見いだせるような大会を運営していきたいですね。今後も、たくさんの介護事業所の方々と一緒に介護業界を盛り上げていきたいです。

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