新卒採用において、求める人材に出会える採用方法に悩む事業所は多いのではないでしょうか。南山城学園では若手職員を中心とした魅力発信チームを結成しました。説明会や講演を通じて、若手職員が法人の魅力を伝えることで、応募者の質が向上し、応募者数も増加。理念に共感した方に応募いただくことで、入職後の定着率も向上しています。若手職員の成長にもつながる活動について、企画広報課の田中様にお話を伺いました。
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プロフィール

社会福祉法人南山城学園 法人本部事務局 企画広報課
2014年に社会福祉法人南山城学園に入職。広報誌・ホームページの作成のほか、新卒採用活動や研修事業を担当。魅力発信チームの企画や運営にも携わっている。
採用活動を通して若手職員に成長のチャンスを
――魅力発信チームを作ったきっかけを教えてください。
「採用に課題を感じていた」というよりは、「若手職員に採用活動に携わってもらうことで成長してほしい」という思いがそもそものきっかけでした。学生たちに福祉の仕事の魅力ややりがいを伝えることで、若手職員が自分の仕事を振り返るきっかけになるのではないかと思いました。そこで、2014年に法人内の入職10年未満の若手職員25名を集めて、新卒採用に携わる魅力発信チームを結成しました。
――どのようにメンバーを集めましたか?
メンバーは法人内の各施設から集めています。幅広い層の学生に話ができるよう、福祉系の学科出身者だけでなく、福祉系以外の学科出身者にもメンバーに入ってもらったり、さまざまな大学出身者を集めたりして、属性のバランスと本人の適性を見ながら声をかけています。 この魅力発信チームの活動は若手職員の育成の一環なので、メンバー1人あたりの任期は2~3年としています。メンバーを入れ替えることで、多くの若手職員に成長のチャンスを与えたいと考えています。
学生と近いフレッシュな目線で、仕事の魅力を発信
――具体的にはどんな活動をしていますか?
活動内容は、就職説明会や座談会への参加、大学の講義でのゲストスピーカーとしての講演、映像制作、内定者フォローなど多岐に渡ります。採用活動における面接・採用決定以外のすべての部分に携わってもらっているといっても過言ではありません。企画広報課で活動内容の企画をある程度固めたうえで、実際に発信する部分は若手職員が担当しています。
就職説明会では法人の概要を採用担当者から説明した後、若手職員に話をしてもらいます。「なぜ南山城学園に入職したのか」「どんなときにやりがいを感じるか」などのエピソードを、学生と年齢の近い若手職員に話してもらうことで、学生に南山城学園を身近に感じてもらうことができます。
大学での講演では、授業にゲストスピーカーとして招かれ、依頼されたテーマに応じて話をすることが多いです。たとえば、ソーシャルワーカーの基礎についての授業であれば、「ソーシャルワーカーの専門性とは何か」「現場での仕事内容」など、また介護福祉施設への実習前教育に関する授業であれば「実習にあたっての心構え」「実習ではどのような内容を学ぶのか」など、自分の経験をもとに話をしてもらいます。
また、学生たちに言葉以外の方法で法人や仕事の魅力を伝える手段として、映像を制作しています。「利用者様との関わりの中で感動したこと」といった福祉の仕事ならではのエピソードから、「夜勤ではどんな仕事をしているか」「施設での働き方」などの具体的な業務を伝えるものまでさまざまです。制作した動画はインターンシップや説明会で流したり、大学の就職支援担当者の方にメールでお送りしたりしています。現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、オンライン説明会を開催しているので、言葉だけでは伝わらない情報を届けるツールとして映像の重要性をより感じています。
【採用活動における若手職員の関わり方】

▲若手職員たちには採用から入職に至る幅広い工程に携わってもらっています
――新卒採用への効果をより高めるために工夫していることは何ですか?
就職説明会や内定者フォローなどにおいて、属性の近い若手職員と学生を引き合わせられるようにしています。たとえば、説明会の参加者がどの学年で、どんな分野を学んでいるのかによって、どの若手職員に話をしてもらうかを考えます。また、内定者をフォローしてもらうときも、出身地や大学が同じといった共通点がある職員をサポート役に付けるようにしています。共通点があれば話が合いやすく、学生の方にも親近感を持ってもらうことができます。一人暮らしをするならどこに住むのがいいかといった具体的なアドバイスをすることもあります。
――魅力発信チームの活動を進めていくにあたって大変だったことを教えてください。
メンバーである若手職員の上長に、魅力発信チームの活動を理解してもらうことです。若手職員には、各施設での本来の業務をこなしながら採用活動にも時間を使ってもらうことになるので、現場の上長にも活動の必要性を分かってもらわなければなりません。最初はなかなか理解が得られないこともありましたが、「将来的には必ず成果が出るから」と熱意を伝えました。実際、数年間活動を続けて、採用において目に見える成果が出てきたことで、現場にも理解してもらえるようになったと感じています。

応募者の質、定着率が向上
――魅力発信チームの活動を行って良かったことは何ですか?
当初の目的だった「若手職員の育成」につながっていることです。実際、若手職員からも「日々現場で仕事をしているとなんとなく時間が過ぎてしまうが、学生たちとの対話を通して自分を振り返る時間を持つことができた」「各所で話をしたことで、伝えるスキルが上がった」という声が挙がっています。忙しい日常のなかで、魅力発信チームの活動が自身を見つめ直すきっかけになっているのかなと思います。
ほかにも、若手職員たちの母校の先生方や在校生に卒業後の活躍を知ってもらえるのは、魅力発信チームを作って良かったと思えることです。先生方も安心されますし、卒業生が活躍している姿を見て、南山城学園への入職を希望する学生が増えればうれしいです。
――採用・定着における効果はありましたか?
さまざまな活動を通じて多くの学生に法人の考えや方針を伝えられたことで、応募者の質が上がったと感じます。法人の方向性に共感した学生が応募してきてくれるので、応募者数に対して求める人材に出会える確率が高いです。入職後もミスマッチが少なく、懸命に仕事に取り組んでくれていますね。当然、定着率も向上しています。
また、法人の認知度が向上したことで、学生に安心感を持って選んでもらえるようになったと思います。実際、応募者数はチームの活動前の2014年度には318名でしたが、翌年から徐々に増え、2019年度は377名、2020年度は395名の学生に応募してもらえるまでになりました。その中から、毎年25名前後を安定して採用しています。

理念にマッチした人材とともに、目指すべき姿に向かって挑戦する
――今後の目標は何ですか?
これまでは魅力発信チームの活動内容は、企画広報課で決定していましたが、今後はメンバーに企画段階から携わってもらいたいと考えています。若手職員たちに主体的に関わってもらうことで、また新たなアイデアが生まれるかもしれません。そのために今、準備を進めているところです。
――ほかの事業所に伝えたいことはありますか?
採用活動にあたって一番大切なのは、求める人物像を明確にしたうえで、求める人材が応募してくれるような方法を考えていくことです。そのためにはまず、法人として5年後、10年後どうなっていたいのか、明確にしなければなりません。法人全体として目指す姿がしっかりしていれば、自分たちの事業に必要なのはどのような人材なのか、自然と定まってくるはずです。定まった人物像の学生を採用できれば、法人として目指すべき姿に向かって一緒に挑戦していくことができます。人材不足を解決するために休日を増やしたり、手当を設けたりするのも良いですが、それでは法人自体を好きになってもらうのは難しいと思います。当法人では、法人の理念や目指すべき姿を学生たちに伝えたうえで、共感した人が応募してくれているので、求める人物像に合う人材を採用できていると感じます。まずは法人の方向性を明確にすることが、より良い採用活動の第一歩になるのではないでしょうか。
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