自社の採用力を強化しようと思っても、「アピールする強みなんてない」と悩む事業所の方もいるのではないでしょうか。社会福祉法人美芳会では、働きやすい職場づくりに取り組んだことで、自社の「強み」を作り出し、順調な採用活動を実現しています。応募者増加にもつながるブランディング方法について、人事部の大塚様・五十嵐様にお話を伺いました。

プロフィール

働きやすい職場作りで応募者増加につなげる 自社のブランディング方法-社会福祉法人美芳会-
(左)大塚 涉爾 様

社会福祉法人美芳会 人事部

大学卒業後、大手人材企業に入社。祖父が創立した社会福祉法人美芳会の事業規模拡大に伴い、2015年に入職。人事・労務・施設管理を幅広く担当している。

(右)五十嵐 菜恭 様

社会福祉法人美芳会 人事部

美容関係の専門学校を卒業後、ネイリストとして就業。2016年、社会福祉法人美芳会に事務職として入職し、面接の調整や制度設計などの人事・労務を担当している。

組織拡大とともに、「求職者に選ばれる」法人を目指して

――働きやすい職場環境づくりに取り組み始めたきっかけを教えてください。

近年、医療・福祉業界の有効求人倍率は全国平均4倍と高水準が続いています。2014年に特別養護老人ホームを開設、2016年に養護老人ホーム開設と新規施設のオープンが続き、人員確保を急いでいた当法人にとっても、この情勢は他人事とは言えませんでした。そこで、多くの介護施設のなかから、当法人を選んでもらえるよう、ほかの法人と差別化できるポイントを作ることが重要だと感じました。働き方改革の影響で働き方への関心が高まっていることもあり、残業を減らして有休取得率を上げるなど、働きやすい職場環境づくりに取り組むことで、他法人との差別化を図ろうと考えたのです。

――取り組みにあたって、どんなことを大切にしましたか?

まず、どのように取り組んでいくか方針を決め定めました。「働きやすさ」「働きがい」「成長」を3つの柱としてこれらを実現できる法人を目指し、具体的な内容を決めています。求職中の方に選ばれる法人であるためには、この3つが重要だと考えました。

働きやすい職場作りで応募者増加につなげる 自社のブランディング方法-社会福祉法人美芳会-
▲ケアの効果を見える化するため、サンクスカードを導入。利用者様やご家族からケアの感想をいただくことは、職員のやりがいにもつながっている

職員の満足度は、年々増加傾向に

――「働きやすさ」を実現するためにどんな取り組みをしましたか?

「働きやすい会社」だと自信を持って言えるように、休日や勤務体系といった制度の設計から始めました。

まずは、法定を上回る日数の有給休暇を取得できるよう、休暇制度を整備しました。具体的には「入職初日に法定分とは別に4日の有休を付与」「計画有休制度により年7日以上の有休取得を奨励」「1時間単位での有休取得」の3つを行っています。

また、育児関連の制度利用も促進しました。3歳まで育児休暇取得可能にしたほか、「子どもが小学3年生になるまで短時間勤務可能にし、時間外・深夜勤を免除しています。さらに、法定以上の年7日間、子の看護休暇と育児目的休暇を付与しました。

――「働きがい」「成長」を実現するためにどんな取り組みをしましたか?

「働きがい」「成長」を職員それぞれが実感できるように、年功序列型だった人事考課制度を見直し、個人の目標を設定し、達成度によって評価する仕組みに変更しました。具体的には、「介護のスキル」といった定量評価と「人間性」の評価の2つの基準を設定しています。

またほかにも、人事考課制度を定着させるために月に1度、上司・部下の1on1面談を導入しました。面談では、目標シートをもとに目標への到達度を確認して対策を考えていくほか、部下が悩んでいることや困っていることを上司に相談できる時間を取っています。

――一連の取り組みにより、どんな効果が出ていますか?

有給取得日数については、2014年度の年間取得日数が平均5.4日だったのに対して、2016年度は11.6日、2019年度は13日と年々増えています。また、職員の法人に対する満足度調査では、2018年から2020年にかけて、各項目で大幅に数値が上昇しました。休憩時間や休日に関する職員からの評価が100点満点中66.9点から77.6点に、有給休暇に関する評価が63.4点から72.8点と、いずれも評価が大きく向上しています。

評価の納得性についても、「人事制度の納得性」や「上司に対する信頼度」の項目で数値が上がっています。こういったところに、一人ひとりと丁寧に話す、1on1面談の効果が出ていると思います。1on1面談は、内容を記録して共有することにより、法人や事業で検討しなくてはならない課題についても可視化できるので、一般職員にとっても管理職にとっても有益なものになっていますね。

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▲2018年と2020年の職員の満足度の項目比較。いずれの項目でも大きく効果が出ている

――職員満足度はどのように調査していますか?

73項目の質問でアンケートを作成し、年に1度職員に記入してもらっています。アンケートは、「職員満足度調査」としてリリースされているものを参考に、当法人オリジナルの質問で作成しました。項目は、主に法人への理解や共感を問う「会社領域」、人間関係や職場環境を問う「職場領域」、個人の業務内容や能力開発を問う「仕事領域」の3つをメインに作成しています。

【実際の質問例】

働きやすい職場作りで応募者増加につなげる 自社のブランディング方法-社会福祉法人美芳会-
▲質問には5段階で回答してもらい、点数化してモニタリングしている

「強み」を他者評価にして、説得力をもたせる

――採用に関しての効果はいかがですか?

ここ数年で応募数はかなり増えています。資格職などの特殊な例を省いては、採用広告費にはほとんど投資せずに採用を行えていますね。

要因として「プラチナくるみん」「プラチナえるぼし」「ユースエール」などの各種認定を取得して外部にアピールすることで、自己評価ではなく他者評価として、「働きやすい法人」だと認知してもらえるようになったからだと思います。これらの認定は子育てサポート、女性活躍推進、若者育成など働きやすさの指標を満たした企業が受けられるものです。認定を取得することで、法人のブランド力が向上し、「働きやすい職場をつくるために力を入れている」ことを外部の方に理解してもらいやすくなりました。

――採用に悩まれている事業所の方に、アドバイスをお願いします。

当法人は、もともとは平凡な法人でしたが、工夫して改善を続けることで、5年間で「応募数」「職員満足度」が大きく変わりました。採用力強化につなげたいなら、自社評価だけではなく他者評価を得て、働きやすさを証明するエビデンスを作ることが重要です。認定は客観的な指標として有効であり、一つのアピールポイントになります。特に、福祉業界は女性の母数が多いので、「くるみん認定」「えるぼし認定」といった女性活躍認定が受けやすいと思います。どの認定を選ぶかは自由ですが、とにかく自社の「強み」を作ることが大切だと思いますね。

――今後の展望を教えてください。

組織拡大に必要な人員は採用できましたが、さらに定着率を向上させることが今後の課題です。従業員満足度もここ数年で上がってきているとはいえ、まだまだ上がる余地があるので、さらに制度を整えて、働きやすい環境づくりに努めていきたいですね。

あとは、ホワイト企業ランキング※にもランクインしているのですが、まだ全国18位なので、トップ10の中に入りたいです。多くの人に「ここで働きたい」と思ってもらえるよう、今後もさらなる高みを目指していきます。

※ホワイト企業ランキング…非営利一般社団法人 安全衛生優良企業マーク推進機構 2020年9月公表

働きやすい職場作りで応募者増加につなげる 自社のブランディング方法-社会福祉法人美芳会-
▲富士市長表彰の様子。美芳会は、静岡県で唯一「プラチナくるみん」「プラチナえるぼし」「ユースエール」の認定を持つ

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