2019年からモンゴル人技能実習生の受け入れを始めた社会福祉法人城南会。受け入れまでの4年の準備期間を通して、モンゴル人技能実習生を支える通訳を採用。あわせてモンゴル人技能実習生の育成やサポート体制構築に取り組んできました。実際の受け入れ体制の整備や取り組みをモンゴル人通訳であるドンガルマー様へお伺いしました。

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プロフィール

「モンゴルの介護を支える人材育成」実習生をサポートする通訳と体制-社会福祉法人城南会-
エンフタイワン ドンガルマー様(写真左)

社会福祉法人城南会 (通訳・生活指導員)

2016年に留学生として来日。2017年にモンゴル人通訳として同法人へ入職。現在、モンゴル人技能実習生の通訳・生活指導を担っている。

モンゴル人技能実習生の受け入れに向けた取り組み

——技能実習生受け入れを始めたきっかけを教えてください。

介護人材不足の影響が当法人内でも見られ始めたのがきっかけです。今後も深刻化していく介護人材不足に備え、法人内だけでなく、地域や国の介護サービスにも貢献できる人材を国内外含めて育てて行くことが必要だと考えました。そこで、外国人人材の受け入れができるように技能実習制度に介護職種が追加される以前の2015年から準備体制を整えるため動き始めました。2019年に受け入れがスタートし、現在では外国人技能実習生として5名のモンゴル人が活躍しています。

——なぜ「モンゴル人技能実習生」の受け入れを決めたのでしょうか?

理事長が10年程前から別事業を通じてモンゴルとの交流があり、その際にモンゴルの方たちの人柄に惹かれていたためです。また、モンゴルの高齢者福祉サービスに興味を持っていたことも、理由の一つですね。募集に関しては現地の送り出し機関を通して実施していますが、実際に受け入れをする際には理事長が現地で面接を行い、直接人材の選定をしています。モンゴルでは「歳を重ねた両親を介護するのは子供の役割である」という意識が強くありますが、介護サービスの充実にはまだまだ多くの課題があります。モンゴル人技能実習生の受け入れにより、将来的には日本の介護概念である「自立支援」がモンゴルにも普及し、技能実習生の日本での介護経験が大きな役割を果たすきっかけになればと考えています。

——受け入れる際に準備したことや取り組んだことはありますか?

母国語支援ができる通訳として私が採用されました。技能実習生は受け入れ時に日本語力の基準をクリアして入職しますが、必ずしもコミュニケーションが十分に取れるとは限りません。また、文化の違いやこれから働く職種の知識の不十分さによるミスマッチも考えられます。日本での生活や日本人とのコミュニケーション、職場の特徴に関する情報提供や技能実習生を支える役目の人材が必要だと考えたためです。

また、モンゴル人技能実習生を受け入れる現場や利用者様への説明も時間をかけて入念に行いました。受け入れが始まるまでに、施設全体で実習生を育てていこうという意識を持つことができたと思います。理解を得たことで、モンゴル人技能実習生が成長できる環境を整えることに注力できました。

「モンゴルの介護を支える人材育成」実習生をサポートする通訳と体制-社会福祉法人城南会-
▲利用者様と笑顔で接しているモンゴル人技能実習生。利用者様との会話も楽しみの一つです。

日本で頑張るモンゴル人技能実習生へのサポート体制

——受け入れ後の技能実習生教育はどのように行っていますか?

技能実習生は日本に入国後の約1か月間は外部の入国後講習を受けますが、城南会の場合は法人内で実施しています。実際に働く現場で日本語や介護技術の勉強をしてから正式に入職しています。入職後は、技能実習生責任者と技能実習指導員が基本的な技術習得の指導をメインに行っています。現場での教育は、施設各階にいる日本人職員のリーダーが担当しています。技能実習生の日常生活での相談や支援は通訳である私が対応し、施設全体で教育できる体制を整えています。日本人職員はベテランの方も多く、丁寧に指導してくれたりプライべートでもよく相談に乗ってくれたりして、技能実習生を支えてくれていますね。技術の習熟度に関しては管理簿や日誌を利用して、振り返りができるようにしています。

——受け入れ後に大変だったことはありますか?

やはり「言葉の壁」が大きかったです。外国人技能実習生は日本語レベルがN4であれば入国ができますが、実際に日本人と日本語できちんとコミュニケーションが取れるかというと、できない部分が多くあります。「聞く」日本語と「話す」日本語での違いはもちろん、同じ言葉や文章でも人によって話すスピードが違うため、聞き取れないことが多く、自分の考えていることを上手く表現できるようになるにはほぼ1年かかりますね。

——城南会としてモンゴル人技能実習生に何かサポートしていることはありますか?

日本語の習得に苦戦していることもあり、週に1回1時間の日本語教室を開催しています。モンゴル人技能実習生それぞれで苦手な部分が違うため、課題に合わせた教育をしていますね。たとえば、日本語を書くことが苦手であれば日本語の書き方を勉強したり、漢字を勉強したりしています。話す力を伸ばしたい場合は会話の授業をしています。それ以外にも年に2回個人面談を行うようにしています。仕事の悩みやストレスなど話をすることで一緒に解決できるような場を整えています。ホームシックにかかっている実習生がいればモンゴル料理を食べにいったり、モンゴルでの遊びを一緒にしたりしていますね。

さらなる外国人人材の活躍のために

——モンゴル人技能実習生を受け入れる際のメリット・デメリットはありますか?

受け入れのメリットとしては、モンゴル人は利用者様との接し方が優しくて、仕事も丁寧に行える点です。技能の習得も早く、仕事に対する姿勢も真面目で熱心なため、施設としてもどんどん教育していきたいと考えています。デメリットとしては国民性や価値観に違いがあるため、意見の伝わり方に食い違いが生じやすいことです。モンゴル人はストレートな考え方をしているため「はい」か「いいえ」、「良い」か「悪い」かなどはっきりした表現をよくします。伝え方に工夫をする必要はありますが、その特徴を把握したコミュニケーションを意識することで解決できると考えています。

——今後のモンゴル人技能実習生のキャリアパスはどのように考えていますか?

当法人では2019年から受け入れをスタートしているため、まずは3年間の技能実習期間を全員無事に全うすることが目標です。実習生の中には、介護福祉士を目指したいという人もいれば、帰国して新たに進路を考えたいという人、まずは実習期間をしっかり頑張りたいという人などもいて、将来の展望はさまざまです。今後は期間終了までに、それぞれが目指す進路について一緒に考えていきたいと思っています。

——法人としての今後の展望を教えてください。

技能実習生がもっとやりがいを持って働けるような制度づくりが必要になっています。法人内では日本人職員用に評価表を設けていますが、外国人技能実習生の場合は、「この項目はもう少し勉強が必要」「この項目はできている」など技能実習計画で網羅しきれていない部分や、実際の業務にかかる時間、それぞれのスキルを把握して、能力を評価する仕組みが必要になってきています。現在は外国人技能実習生専用の評価制度の準備を進めています。

また、当法人では実際のモンゴル人技能実習生の実習の様子などもホームページに記載しています。少しでも外国人技能実習生の取り組みを感じていただければ嬉しいですね。

モンゴル人技能実習生より

「モンゴルの介護を支える人材育成」実習生をサポートする通訳と体制-社会福祉法人城南会-
イシインホロル様

入職日:2020年5月

2016年モンゴル国立医科大学看護学部卒業。モンゴルにて看護師として勤務後、2020年5月社会福祉法人城南会へ入職。現在は特別養護老人ホームしらさぎにて勤務。

利用者様の感謝の言葉がやりがいに繋がっています

私が介護に興味を持ったきっかけは、8年程前に祖母が亡くなったことです。その当時、祖母の最期にそばにいることができませんでした。「高齢者に寄り添い、最期を笑顔で迎えられるように支援できることはないか」と考え、介護という仕事に興味を持ち始めました。モンゴルにて看護師として勤務する中で、理事長と面接をする機会があり、介護の仕事や技術が学べる技能実習生として城南会へ入職を決めました。もともと看護師として勤務していたので、介護の仕事で大変だと感じることは少ないですが、日本語は今後も勉強が必要だと考えています。

入職して良かったのは、日本人の職員と一緒に働けることや、利用者様から家族のように接してもらえていることです。ケアをした利用者様が元気に過ごせたり、感謝の言葉を伝えてくれたりすることがやりがいに繋がっています。城南会の職員は皆優しく、たくさんのアドバイスもしてくれます。また、通訳者がいることについても、とても心強いと思っています。今後は日本語をもっと勉強し、日本で公衆衛生を学びたいという目標を持っています。

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