1991年の設立から約30年、岩手県八幡平市の福祉事業の1つを担う社会福祉法人安代会。同法人では長い歴史の中で、地域の人口減少や少子高齢化に伴った介護人材不足の問題に取り組んできました。2013年新たにリクルートサイトを立ち上げ、人材確保のため若年層へ向けた採用促進を開始しました。サイト運営を一手に担当している事務長の畠山様に具体的な取り組みについてお伺いしました。

※きらケア研究所は、介護の求人サービス「きらケア」が運営する介護人事に特化した情報サイトです。

畠山 勇司様

社会福祉法人安代会 (事務長)

1999年同法人へ事務職として入職。会計・労務管理や法人運営、採用担当として携わる。現在、法人内ホームページ・リクルートサイトの管理を担当し、職員採用や定着に向けた取り組みを担当している。

「若い世代に認知してもらう」魅力的なサイト作成

——若手職員の応募を増やすために、どのような取り組みをしましたか?

当法人のホームページに、「リクルートサイト」を新たに作成しました。10年程前は求人を出せば二桁前後の応募者を確保できていましたが、ここ数年は地域の人口減少や少子高齢化、福祉へのマイナスイメージなどが原因で、採用が上手く行かなくなってきていると感じ始めていました。特に10代~20代の若年層が福祉の道へ進まなくなってきており、専門学校の定員割れも地域で大きな課題となっていました。現在の学生や若年層の方はWebサイトやスマートフォン、SNSで情報を収集しています。今後の福祉を担っていく若年層へ向けた採用戦略が必要だと考え、2016年に若年層をターゲットとしたリクルートサイトの立ち上げを行いました

——ホームページとリクルートサイトの違いは何でしょうか?

サイトを閲覧するターゲット層が違うと考えています。法人のホームページはどちらかというと「利用者様向け」に作成されており、入居を希望される方やそのご家族が施設の利用料金や設備などが見やすいように作られています。しかし、それでは求職者の方に、働き方の特徴や法人の魅力などを伝えきれず、応募に結びつきにくいサイトになってしまいます。そのため、それぞれのターゲットのニーズに合わせてページを2つに分け、法人ホームページは「利用者様向け」へ、リクルートサイトは主に学生や若年層などの「求職者向け」に仕様を変更しました。

——サイト作成で工夫したポイントは何ですか?

大きく2つのポイントを盛り込めるように作成をしました。

まず1つ目は「働いている職員の姿を見せること」です。法人ホームページと同様に、フリー素材は一切使用していません。地元である安比高原を舞台として、実際に働いている職員をプロのカメラマンに撮影してもらい、その写真をリクルートサイトのトップページへ掲載しました。施設の外観や内観を掲載しても、実際に働くイメージは湧きづらいため、ターゲット層である学生や若年層に響くように、同年代の職員を私服で撮影し「施設で働くのはかっこいい」と思えるようなイメージづくりを意識しました。

2つ目は「リクルートサイト内のカテゴリーを分けて情報を整理すること」です。まず「法人を知る・仕事を知る・環境を知る・将来を知る」という4つのカテゴリーを作成しました。「法人を知る」では、採用担当者のメッセージや介護職とはどういった仕事なのかを掲載しました。「仕事を知る」では、実際に働いている職員の声を、「環境を知る」では力をいれている教育体制や福利厚生、家庭と仕事の両立ができることを掲載しました。「将来を知る」では、将来のキャリアパスや勤続年数ごとの給与体系を掲載しています。どのカテゴリーを見ても「安代会で働く」というイメージを持ちやすくなるように意識しました。

「採用」だけでなく「定着」にも繋がったリクルートサイト運営

——リクルートサイト作成時に意識して取り組んだことは何ですか?

スマートフォンにも対応できるように仕様変更したことです。学生や若年層の方は携帯電話など、パソコンだけでなく身近なところから情報収集をしているため、時代に合わせて対応できる仕様に変更することが必要でした。また、リクルートサイトのターゲット層を10代~20代の若年層に絞り、その世代に見てもらえるようにデザイン性を持たせたページを作成しました。介護職に対するマイナスイメージが払拭できたり、実際に働くイメージができるようなサイトづくりを意識しました

——サイト作成後、採用への変化はありましたか?

以前は求人を出しても応募が全く来ない状況が続くこともありましたが、今では求人を出せば採用予定人数を超える応募が来るようになりました。また、県外から問い合わせがあることも大きな成果ですね。広告費用、人材紹介料へ投資しなくても、リクルートサイトを充実させることで十分な人材を確保できると実感しています。また、リクルートサイトを見て、法人や実際に働くイメージを持って応募してくれるようになったため、学生や若年層の採用決定もしやすくなりました。

——職員への効果はありましたか?

リクルートサイトを職員も見ており、キャリアパスの詳細を掲載したことでキャリアイメージも湧きやすくなったという声が挙がっています。他法人と比較して、自法人の良さを再認識し、自分たちなりの差別化ができているように感じますね。また、ここ3年ほどは職員定着率が90%以上と高い水準を維持しており、「職員が辞めない環境づくり」ができていると実感しています。採用をするよりも「定着すること」が大切だと考えているため、今後も職員定着に力をいれていきたいと考えています。

「時代に合わせた採用の必要性」デジタル時代の採用・定着戦略-社会福祉法人安代会-
▲2017年にリノベーションを実施。建築デザイナーによる設計で、より働きやすい環境に。

デジタル時代を生き抜くために必要なこと

——今後の展望は何ですか?

「福祉の道へ進みたい」と考えている学生や若年層へ向けたブランディングプロジェクトを考えています。実際、2017年に施設の大規模なリノベーションも実施しました。誰もがここで働きたいと思えるように、建築デザイナーにお願いして照明や居室の作りも変更しました。法人ホームページやリクルートサイトへも改修後の施設を掲載したところ、ハード面を見て応募してくれる方も増えましたね。現在は必要な人数の採用はできていますが、10年後や20年後にさらに進んでいるであろう人口減少の問題を考えると、人材不足は今後も課題であり続けると思います。少しでも人材不足を軽減し「安代会で働きたい」と選ばれるような法人を目指し、他法人との差別化を図っていきたいと考えています。

——他事業者へアドバイスをお願いします。

私たちと同じように、採用に悩まれている法人は少なからずあると思っています。時代に合わせて、自分達でできることから始めて行くことが大切だと考えています。サイト運営に関するアドバイスとしては、近年スマートフォンで情報収集をしている人が多いため、ホームページをスマートフォン対応にするだけでも効果はあると思います。また、ほとんどのホームページは更新日から数年経っており、最新の情報ではないことが多いため、情報を随時更新していくことも重要です。無料で開設できるSNSの利用を試して見るのも良いと思います。

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