労働人口の減少や売り手市場の継続、新卒一括採用の撤廃などにより、人材確保競争が激化する企業の採用活動において、ブランディングの観点から採用支援を行うむすび株式会社。
採用だけでなく企業、商品ブランディングを手がける同社の代表を務める深澤さんに、介護業界における採用ブランディングについてお話を伺いました。

プロフィール
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター/コピーライター
これまで1,000社以上の採用活動に携わり、採用ブランディングを用いて母集団形成の改善、内定承諾率の向上など数々の企業の採用活動の成功に貢献。採用ブランディングの理論と実例が紹介されている『「無名×中小企業」でも欲しい人材を獲得できる「採用ブランディング」』(幻冬舎刊/2018年)の著者。
企業経営と同様、採用にも理念浸透が重要
——ブランディングとは何かを簡単に教えてください。
私がブランディングを語る上でいつもお話ししているのは、ブランドとブランディングの違いです。ブランドはお客様の頭の中にある会社や商品に対する良いイメージで、ブランディングは良いイメージを作ろうとして企業が行う活動です。前者はお客様が、後者は企業が主語であり、ブランドとブランディングは主語が違うんですよ。ブランディングは、「良いイメージを作ろうとして行っているもの」と定義してあって、簡単にいえばファン作りです。ファンを増やすために、とにかく社内外への理念・価値観を浸透させることが、企業がやるべきブランディングの活動になります。
——なぜ採用においてブランディングが重要になるのでしょうか?
採用ブランディングは企業ブランディングの入り口であるといえます。理念・戦略・現場という縦の一貫性のある会社が成長するというのはよく言われる話で、我々の調査でも「理念共感している人は会社への愛着度が高く、活躍イメージを持っている」という結果が出ています。だとすれば数を満たすだけの採用を止めて、理念に共感する人を集めてしまえばいいんですよね。そのためには経営者が採用活動を、「同じ志を達成するための同志を見つける活動」と思わないといけないのです。最近は働き方改革で雇用形態が多様になっているので、その時代に正社員を採用する意味をもっと考えた方がいいのです。
——採用ブランディングの肝となる理念浸透において大切な事は何ですか?
理念浸透をさせるには、まず経営者が「理念浸透が会社を成長させる」と信じることが絶対条件です。採用は経営に極めて近い活動ですし、どんな人材が欲しいかは中小企業であればあるほど経営者の意向が強いんです。そして採用ブランディングの遂行においては、経営者と人事が一枚岩になっている事がすごく重要ですね。社長が理念を決めて、人事が実行するという流れができてる企業は必ず結果が出ています。今理念浸透してなくても、経営者が採用にコミットする会社は絶対採用に成功するし、業績も伸びていくんですよ。

現場を巻き込み、想いを伝える採用活動
——どんな組織課題を持った企業からの相談が多いですか?
「採用できない」「採用してもすぐに辞めてしまう」という企業が圧倒的に多いです。そういう会社はやっぱり早く結果を出したいので数を満たすためだけの採用をしてしまっていて理念を浸透させていないから人材が取れないのです。採用において絶対やってはいけないことは、「給与が高い」や「休日が多い」など条件で訴求することです。条件で採用しても本当に欲しい人材は来ないし、来たとしてもそういう人は条件で辞めていきます。でも理念で採用するってことは頭では分かっていてもどうしたら良いかわからなくて、結局求人広告を出して数を集めるだけの採用をしてしまうところが多いんですよ。
——自分たちで採用ブランディングを始めるには、何から始めたらいいのですか?
理念浸透には時間がかかるので、まずは理念と繋がってる「こうしたい」という想いをベースにコンセプトを作って、それを軸に採用していけば劇的に変わります。あとは、人選です。採用ブランディングを行う際には、社長もしくは人事の責任者戦略などプロジェクトを動かせる立場の人を必ず入れてください。そして、私のクライアントでも成功した会社は現場のエースプレイヤーを必ずプロジェクトチームに入れていました。プロジェクトにかかりきりになるのではなく、現場をやりながら少しでも協力してもらうというのがいいと思います。今人材確保に悩んでいる人事担当者はこのように現場で活躍してる人など周りの力を借りてやっていくのが一番いいと思います。

お金をかけて人を集める採用をやめることが、介護業界を変える
——採用活動が思うようにいかず悩んでいる方々にアドバイスはありますか?
介護の業界はどうしても常に人手不足なので人数を満たしたくなると思うんですけど、その誘惑に負けないことが採用ではすごく大事ではないかと思っています。自分たちが何のために事業をしているかを掘り下げると採用ターゲットの選定ができます。そしてそのターゲットに自社にしかない魅力を伝えることで他社と差別化して人を集めていくべきだと思います。
あとは、未経験で20代で良いのであれば新卒を採用した方が絶対に良いです。新卒の場合は良くも悪くも働いたことがないので志の部分に響きやすく、中途よりも条件で左右される割合が低いので、安定的に人を取りたいのであれば、新卒至上主義に変えた方がいいと思います。採用できないスパイラルを打ち破るには、とにかく「お金を使って良い人材を採用する」という自分たちの考え方を変えなければいけません。——最後に介護業界で人材確保に奮闘している方々に伝えたいことはありますか?
まずは理念を明確化することが大切です。「この会社で何がしたいんだろう」「何のために今ここにいるんだろう」ということを考えるだけでやりがいが生まれるはずなんですよ。その姿勢が社内の雰囲気を変えるし自分の働きやすさにもつながってくると思います。会社のことが好きになってイキイキと働く人が増え、それが目の前の利用者の方々にも伝わっていくことが、介護の世界を変えていく一歩なのではないかと僕は思ってます。
お問い合わせは「レバウェル介護」まで
よろしくお願いします。



