兵庫県を中心に146箇所に事業所を持つ日の出医療福祉グループ。事業を展開するうえで、人材確保が課題になる事業所も多いですが、日の出医療福祉グループでは2020年8月現在、グループ全体で3,000人以上の従業員を雇用しています。人事・教育部部長の西様に子連れ出勤などの人材確保の取り組みについてお伺いしました。

※きらケア研究所は、介護の求人サービス「きらケア」が運営する介護人事に特化した情報サイトです。

プロフィール

子育て世代が活躍する 従業員3,000人を抱えるグループの人材確保方法とは -日の出医療福祉グループ-
西 敏行 様

日の出医療福祉グループ 法人本部 人事・教育部 部長

大学卒業後、兵庫県内の信用金庫に入庫。41歳で支店長となった後に、福祉業界の将来性に魅力を感じ、日の出福祉会に入職。現在は、法人本部で人事・教育部の部長としてさまざまな取り組みの実行や改革をされている。

大規模同時オープンをきっかけに、子育て世代の戦力化を目指す

――日の出医療福祉グループ様が人材確保に取り組むようになった経緯を教えてください。

2013年に加古川市内で、小規模多機能型居宅介護事業所を7件同時にオープンしたことがきっかけです。小規模多機能型居宅介護事業所は在宅の方が、通い・訪問・泊まりを臨機応変に利用していただくものなので、地域と連携を図るためにも、特定の地域に集中的に開設することが重要です。しかし、7事業所をオープンさせるには約120名もの人員を要しました。利用者様は女性が多いため、同性介助の点から女性職員が好ましく、労働力の確保と小規模多機能事業所での収益の両立を考えると、特にパートタイムの職員採用が必要でした。そのため、地域の女性の力を得るための対策として、子どもと一緒に勤務する「子連れ出勤」の導入を考えました。

――「子連れ出勤」の取り組みはスムーズに進みましたか?

利用者様も、行政も比較的すぐに理解してくれました。利用者様に対しては、利用時に不安にならないように事前に伝えていました。最近は核家族化が進んでいますが、当事業所では高齢者と小さな子どもが触れ合うのは双方にとってよいことだと考えています。そのため、「小規模多機能ならではのアットホームな空間を目指し、職員が子どもを連れて来られるような体制を作りますが、大丈夫ですか?」と説明していました。行政に対しては、企業でも「子連れ出勤」を行っていることや、子どもの安全を考慮し、必要に応じて別途保険をかけることを説明して納得していただきました。

――「子連れ出勤制度」を利用しない職員の反発はありませんでしたか?

ほとんどありませんでした。オープニングスタッフの募集要項に予め「子連れ出勤制度」について記載しており、面接時にはすべての従業員に制度のことを説明していました。その際、「家族のようなアットホームな施設を作りたい」という事業所の方向性や、「子連れ出勤」のメリットを伝えることで、子どものことが優先になるのではという不安を生まないように気をつけました。

人材確保に留まらない「子連れ出勤」のメリットも

——職員が仕事をしている間はどのように子どもの面倒を見ていますか?

管理者の権限により、託児スペースを設けている事業所もありますが、基本的には仕事をしながら各自で子どもの面倒を見てもらっています。というのも、当グループは託児所を備えている事業所とは違い、あくまで子どもを連れてくることで世代間交流を行うことを目的としているためです。

開設当初は託児スペースを設ける予定はなかったのですが、現在は休憩室や事務所にキッズスペースを作っている事業所もありますね。子連れ出勤の対象となる子どもは、当初は0歳から3歳くらいを想定していましたが、実際には学校が休みの日に留守番ができない小学校3年生くらいまでのお子さんを連れてくる方が多くいました。

——子連れ出勤のメリットはどんなところですか?

子どもがいるだけで職場の雰囲気が明るくなるのは良かったところですね。特に良かったのは、認知症の利用者様が子どものお世話をしてくれたところです。介護を受ける側ではなく、おむつを替えたり、絵本を読んであげたりするなど利用者様が世話をする側に回るというのは、介護職員では起こせなかった変化だと思います。

——実際に子連れ出勤を利用した職員の方の反応はいかがでしたか?

「保育園に預けると遊んでいる様子が見られないので、子どもの成長を見ながら仕事ができて良かった」という声がありました。また、「周りの方が子どもの面倒見てくれるので頑張ろう」といつも以上にやる気を出して働いてくれる方もいましたね。一方で、子どもを連れてきたものの、仕事に集中できないことが理由で保育園に預けるようになった人もいました。

――採用目標は達成できましたか?

できました。約120名の新規採用者のうち「子連れ出勤制度」のおかげで、だいたい30名ほど集めることができました。2013年当初、従業員規模はグループで2,000人にも及びませんでしたが、今では3,000人規模となりました。「子連れ出勤」により小規模多機能事業所で職員を集められたことが大きかったですね。

子育て世代が活躍する 従業員3,000人を抱えるグループの人材確保方法とは -日の出医療福祉グループ-
▲異業種から転職ののち、福祉業界を人気業界にするために奮闘する西様

「福祉」が候補にない人にも魅力を伝え、人気業界にしていきたい

——人材確保について課題に感じていることはありますか?

規模拡大とともにたくさんの労働力が必要になるので、「子連れ出勤」以外にも子育て世代や時間に制限のある方向けの制度も作ることは課題だと思っています。実際「子連れ出勤」は、重度の入居者様が多い施設や、規模の大きい施設だと実施が難しいです。そこで、小規模多機能事業所以外の施設形態の職員も子どもを預けながら働けるように、職員も利用できる事業所内保育園・企業主導型保育園の運営も展開しました。また、短時間正職員制度が適用されるお子さんの年齢を法定の3歳から小学校3年生まで延長しましたね。

ほかにも、子育て世代以外で、勤務時間に制限がある方向けの制度も作っています。たとえば、当グループではスポーツ選手向けに、スポーツ枠を設けました。土日や平日の午前中は試合や練習に集中してもらい、平日の遅出を中心に正職員と同じく168時間働くといった雇用形態です。サッカーをしている20代前半の若者が大半で、夢を持っているスポーツマンということもあり、ご利用者様からの人気も高いですよ。

——今後の目標を教えてください。

福祉業界を人気業界にしたいですね。人材確保の一環として、将来を担う若者に入職してもらいたいので、新卒採用にも力を入れています。医療・福祉系の専門学校出身者ももちろん採用したいですが、他学部出身の大卒者も採用したいです。最近は「自己理解」に関するインターンシップを開催しており、「周りに惑わされずに自分の方向性を整理することができた」と、学生からも好評を得ています。そうやって自分の将来ありたい姿の軸を整理しながら、「福祉業界ってこの先重要だな」「頑張り次第で多角的な事業運営に関わったり、多種多様なことに挑戦したりできそうだな」と気づいてくれる人が増えてくれたら嬉しいですね。

採用ご担当者様へ

医療・介護の分野で成果を出し続けてきた弊社のノウハウとネットワークを、御社の課題解決にぜひともご活用ください 。掲載に関するお問い合わせや、採用についてのお悩みなどはこちらから。