「利用者さまは無事に眠っているか」「転倒していないか」
夜間、職員が巡視で扉を開ける際には不安が付きまといます。特別養護老人ホームもみじ館では、見守りシステムの導入により、職員の「扉を開ける不安」が軽減されたといいます。統括マネージャーの谷津さまに見守りシステム「ペイシェント・ウォッチャー」の活用の仕方やメリットについてお伺いしました。

※きらケア研究所は、介護の求人サービス「きらケア」が運営する介護人事に特化した情報サイトです。

プロフィール

職員の負担軽減と利用者さまの安全確保が叶う!見守りシステムの活用術-社会福祉法人北養会 特別養護老人ホームもみじ館-
谷津 孝英 様

社会福祉法人北養会 特別養護老人ホーム もみじ館 統括マネージャー

2007年社会福祉法人北養会特別養護老人ホームもみじ館に入職。現在は統括マネージャーとして、施設全体の運営や地域向けの介護予防の活動などを行っている。

「利用者さまのため」「職員のため」にICTの導入を積極的に推進

——特別養護老人ホームもみじ館さまにおけるICTの取り組みについて教えてください。

もともと「利用者さまのためにも職員のためにも、ICTを取り入れることで施設をよりよくしていきたい」という思いから、施設長が中心となって、積極的にICT機器の活用を推進してきました。今回の見守りシステム導入以前にも、ケアプラン管理システムや記録システムなど、ほかのICT機器も導入しています。

また、敷地内に法人の運営している介護福祉士養成校があり、実習に来てもらう機会もあるので、学生たちに最新の介護に触れてほしいという思いもありました。「こんな介護機器があるんだ」と知ってもらうことで、視野も広がるため、ICTの導入には意欲的に取り組んでいます。

——見守りシステム「ペイシェント・ウォッチャー」を導入したきっかけはどんなことだったのでしょうか?

ペイシェント・ウォッチャー」は、アルコ・イーエックスの方から施設長に開発協力の依頼がありました。当施設で約1年半の間、検証期間を設けて、機能の修正・追加をしたうえで発売に至っています。

職員の負担軽減と利用者さまの安全確保が叶う!見守りシステムの活用術-社会福祉法人北養会 特別養護老人ホームもみじ館-
▲ペイシェント・ウォッチャー本体。赤外線カメラにより、暗い部屋でも撮影可能です

職員への定期的なヒアリングで効果を「見える化」

——導入にあたって取り組んだことはありますか?

導入するフロアの職員に向けて、どうして導入するのか、どんな効果がある機器なのかを説明しました。企業の開発に協力していることもあり、「ただ導入するだけではなく、しっかり効果を見える化したい」という思いがあったので、定期的に職員へヒアリングの機会を設けて、効果が可視化できるようにしました。

——ペイシェント・ウォッチャーを導入後はどのように活用していますか?

ユニット型特養54室のうち、2ユニット18名の利用者さまの個室のベッド付近にペイシェント・ウォッチャーを設置しています。利用者さまの映像は、常時パソコンとタブレットで確認可能です。もし利用者さまの状態に変化があったときは、ナースコールが鳴るように設定しています。

職員は主に夜間巡視のタイミングと、ナースコールが鳴ったときに映像を確認することが多いですが、そのほかの時間帯でも利用者さまの状態に不安があれば見ていますね。

利用者さまが困る前に、いち早く駆け付けられるように

——活用にあたって工夫した点を教えてください。

利用者さまのお身体の状態は人によって違うため、「身体を起こしたら鳴る」「ベッドから離れたら鳴る」など利用者さまごとに設定を変えて、通知が鳴りすぎることのないようにしています。転倒リスクのある方に関しては、身体を起こした時点で通知する設定にして、職員がすぐに駆け付けられるようにしています。

ペイシェント・ウォッチャーは感度がとてもいいので、利用者さまの細かい動きを感知できるのですが、ナースコールが鳴りすぎるとタブレットを確認するだけで大変です。そのため、設定の仕方に工夫をし、効率よく動けるようにしています。

——ペイシェント・ウォッチャーの映像は録画していますか?

録画して活用しています。たとえば、認知症をもつ利用者さまが転倒してしまったとき、ご本人に聞いても、どういう風に転んでしまったのか思い出せない場合があります。その際、映像を見返して、客観的に検証するために利用しています。

職員の負担軽減と利用者さまの安全確保が叶う!見守りシステムの活用術-社会福祉法人北養会 特別養護老人ホームもみじ館-
▲パソコンの画面の様子。複数の利用者さまの様子を同時に確認することができます

夜間、扉を開ける職員の心理的負担を軽減

——ペイシェント・ウォッチャーを導入することで、どんなメリットがありますか?

利用者さま目線でいうと、夜ゆっくりお休みいただけるようになったことです。ペイシェント・ウォッチャーを使えば、職員は部屋に入って近づかなくても利用者さまの様子が確認できるので、夜間巡視時に睡眠を妨げてしまうことがなくなりました。

職員側のメリットとしては、精神的な負担が減ったことが一番に挙げられます。夜間は職員1人で2ユニット18名の方を見ているので、「自分の勤務のときに利用者さまに怪我をさせたくない」「夜間利用者さまに何かあったら自分のせいだ」とプレッシャーを感じてしまう人が多くいました。それが「利用者さまが問題なく眠っている」ということが分かるようになって、気持ちの面でずいぶん楽になったという意見が出ています。巡視の回数も以前の半分ほどに減り、慌ただしかった夜勤の時間帯にもゆとりが生まれました。

また、安全面でも効果が出ています。利用者さまに状態変化があればナースコールが鳴るので、ヒヤリハットに気付けることが多くなり、ヒヤリハットの件数が増えました。ヒヤリハットの件数が1か月あたり約10件から約20件に増える一方、実際の介護事故につながる件数は1か月あたり約3件から1件くらいまでに減っています。ヒヤリハットに気付けることで、事故を起こす前の対策ができるようになったのは、安全面においての大きなメリットだと考えています。

——ご家族からの反応はいかがでしたか?

ご家族からは「映像できちんと見てもらえるのは安心感がある」という声をいただいています。私たちも「ペイシェント・ウォッチャーがあるから100%事故を防げる」とは言いきれないのですが、「そのリスクを減らせる」という話をしていますね。

——職員の定着や離職率低減への効果はありましたか?

複合的な要因ではありますが、ペイシェント・ウォッチャーの導入が職員の定着の要因の一つにはなっていると思います。ペイシェント・ウォッチャーの導入と同時進行で、離職率低減のための取り組みである「離職率ゼロプロジェクト」を実施したり、福利厚生でフィットネスが利用できるようにしたりしました。その効果もあり、離職率は減っています。

今後は見守りシステムの導入が主流になる時代へ

——約1年半にわたる検証期間を終えてどんなことが分かりましたか?

より利用者さまの状態が総合的に判断できるように、心拍数や呼吸、睡眠の状態が分かる機能を追加してもらいました。映像だけの場合、利用者さまの身体の動きはよく見えるものの、呼吸の状態までは把握できません。これらの機能が加わったことで、利用者さまの呼吸の状態が可視化されて、より職員の巡視の負担が減らせたと思います。

眠りの状態のモニタリングについては、利用者さまが日中ウトウトしていることが多い場合「夜きちんと眠れているのか」を確認するためのツールとして活用しています。ゆくゆくは日中のケアの改善にも活かせればと考えていますね。

——今後見守りシステムの導入を検討している事業所に伝えたいことはありますか?

今後どの施設においても、見守りシステムは職員の精神的・肉体的な負担を減らし、利用者さまの安全を確保するためのツールとして導入するのが主流になってくると思います。その中で「どの機器がいい」というのは、それぞれの事業所の特徴や目的によって違うので一概には言えませんが、私たちとしてはペイシェント・ウォッチャーの活用により、多くの効果を実感しています。今後の介護業界では、介護ロボットやICT機器を取り入れながら、介護の質の向上と業務の効率化を進めていくことが重要になっていくのではないでしょうか。

採用ご担当者様へ

医療・介護の分野で成果を出し続けてきた弊社のノウハウとネットワークを、御社の課題解決にぜひともご活用ください 。
掲載に関するお問い合わせや、採用についてのお悩みなどはこちらから。