
この記事のまとめ
- 訪問介護を辞めた理由は、給与面や人間関係に対する不満、身体的な負担など
- 訪問介護の仕事を辞めたいときは別の業界や職種のへ転職も検討してみよう
- 訪問介護の仕事を辞めて転職を成功させるには自分に合った職場探しが大切
「訪問介護の仕事を辞めたい…」と感じ、転職するか迷っている方もいるでしょう。つらい気持ちのまま仕事を続けている方や、辞めたいけれど何をすれば良いか分からないという方もいるのではないでしょうか。本記事では、訪問介護を辞めた理由としてよくあるパターンを紹介するとともに、つらいときの対処法を解説。訪問介護を辞めて転職を成功させるコツやよくある疑問についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
訪問介護を辞めた理由7パターン
訪問介護を辞めた理由は人によって異なりますが、大きく7パターンに分けられます。現在、「訪問介護の仕事を辞めるか迷っている」という方は、まず下記のパターンに当てはまるものがあるか確認してみましょう。
1.収入が安定せず十分な給料が得られない
訪問介護を辞めた理由には、「収入が安定せず満足な給料が得られない」という理由も少なくありません。それは、事業所の方針によって移動中の費用(通勤を兼ねている場合)が出なかったり、空き時間が長かったりすることがあるためです。登録ヘルパーとして勤務している場合、「好きな時間に働ける反面、待機時間があるので思ったよりも稼げない」という悩みを持つ人もいます。
訪問介護員として毎月一定の金額を得たいと考えるなら、稼働時間だけでなく、移動時間や空き時間とのバランスも大切になるでしょう。
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2.訪問先への移動で身体的な負担がある
訪問介護で利用者さんのご自宅へ向かう際の移動手段は、車や電車、バス、自転車、徒歩などが挙げられます。住宅密集地の場合は、小回りの利く自転車での移動が多くなることも。自転車は近い距離を移動するのに適していますが、暑さや寒さが厳しい季節は移動が大変という面もあります。1日に訪問する件数が多かったり、訪問先までの距離が遠かったりする場合は、身体的に負担を感じるのは無理もありません。
3.利用者さんに1人で対応するプレッシャーがある
訪問介護の仕事は、基本的にホームヘルパー1人で対応します。利用者さんに怪我や急変が発生した場合、訪問介護では自ら判断して行動しなければなりません。慣れればスムーズに対応できるかもしれませんが、訪問介護を始めたばかりの人にとってはプレッシャーが大きく不安を感じるでしょう。このような経験から、「介護職員が複数いる介護施設に転職したい」と希望して訪問介護を辞めてしまう人もいます。
4.利用者さんからのセクハラやクレームがある
訪問介護を辞めた理由には、利用者さんから受けたハラスメントやクレームに対応するのがつらくなってしまったパターンも挙げられます。介護の現場では、利用者さんから介護保険外のサービスを依頼されたり、理不尽なクレームをつけられたりするなど、対応が難しい場面もあるでしょう。また、「利用者さんから暴言を浴びた」「利用者さんから胸を触られた」などパワハラやセクハラを受けたというケースもあるようです。前述のように、訪問介護はホームヘルパー1人で利用者さんのご自宅へ伺うのが基本。現場でハラスメントがあってもすぐに助けを求めることは難しいでしょう。トラブルにうまく対応できないと、訪問介護の仕事自体に行きたくないという心境になってしまうようです。
5.利用者さんのご自宅の環境が良くない
訪問介護のホームヘルパーとして働く場所は、利用者さんのご自宅です。利用者さんのなかには、自分で掃除や片付けが難しく、部屋が汚れていることも珍しくありません。なかには室内にゴミが放置されていたりと、介護業務に集中できない環境であることも。ヘルパーは基本的に指定された訪問先に伺うことになるため、環境の悪い訪問先へ行くのが苦痛に感じることもあるようです。
6.スキルアップ・キャリアアップを見据えている
訪問介護を辞めた理由には、ネガティブなものばかりではなく、スキルアップやキャリアアップといったポジティブなものもあります。ホームヘルパーとして一定の経験を積めば、介護職員としての専門スキルは高まりますが、チームで働く経験を身につけるのはなかなか難しいのが現状です。「ほかの施設でチームケアを学びたい」「ゆくゆくは施設長になりたい」など、はっきりとしたビジョンが見えていれば、転職もスムーズに進められるでしょう。
7.職場での人間関係に悩みやストレスがある
訪問介護は利用者さんのご自宅での仕事が多いので、職場の人間関係はあまり関係ないように思われがちかもしれません。しかし、訪問が一通り終わったあとは、事業所に戻って訪問介護記録の記入や引き継ぎなどを行うこともあるので、職場の人間関係は重要です。
Leverages Medical Careの「2022きらケア介護白書(p.32)」の調査によると、介護職員が仕事に求めるもの・価値観は「人間関係を大切に働けること(41.5%)」が最も多い結果でした。
事業所内が殺伐とした雰囲気で気軽に話せる職員がいなかったり、セクハラやパワハラが横行していたりすると、人間関係に対するストレスが溜まってしまい、転職を意識することもあるでしょう。
出典
Leverages Medical Care「2022きらケア介護白書」(2023年12月25日)
今の職場に満足していますか?
訪問介護の離職率は高い?
公益財団法人介護労働安定センター「事業所における介護労働実態調査結果報告書(p.30)」によると、2021年10月から2022年9月までの1年間における訪問介護のホームヘルパーの離職率は、13.3%でした。全産業の離職率は13.9%、介護職全体では14.3%なので、訪問介護の離職率は別段高いわけではないようです。ただし、離職率に関係なく「訪問介護の仕事を辞めたい…」と悩む人は一定数いるでしょう。
出典
公益財団法人介護労働安定センター「令和4年度 介護労働実態調査結果について」(2023年12月25日)
訪問介護の仕事を辞めたいときの6つの対処方法
訪問介護の仕事がつらくて辞めたいと思ったときの対処法をご紹介します。仕事がつらいときは、下記のように考えてみるのがおすすめです。
1.訪問介護を辞めたい理由を冷静に考えてみる
「もう嫌だ」と感情的になっている場合は、一度冷静になり、辞めたい理由を考える時間を設けてみましょう。冷静ではない状態ですぐ退職の相談をしてしまうと、「こんなはずではなかった…」と後悔する恐れがあるためです。利用者さんに原因があるのか、自分のスキルに原因があるのか、職場の人間関係に原因があるのかなど辞めたい理由を認識し、改善のためにできることがないか考えてみると良いでしょう。
訪問介護の仕事でつらいことがあったときは、訪問の合間に深呼吸をしたり、リフレッシュの時間を作ったりして、気持ちを落ち着かせることが大切です。
2.訪問介護の仕事を続けるメリットを考えてみる
落ち着いたら、訪問介護の仕事を続けるメリットを考えてみましょう。「担当している利用者さんに元気になってもらいたい」「マンツーマンの介護だからこそやりがいがある」など、訪問介護の利点を洗い出ししてみることで、自分の本当の気持ちが分かってくることもあります。それでも「辞めたい」と思うのであれば次の項目を考えてみましょう。
3.職場の上司に相談してみる
訪問介護の仕事にやりがいを感じている…そのような人は仕事を辞める前に職場の上司に相談してみましょう。現場での対応に関する不安や疑問は、事業所のサービス提供責任者に報告・連絡・相談することで解決することもあります。「移動が大変で業務に支障がでそうなので改善してほしい」「利用者さんのパワハラに困っている」など、率直な気持ちを伝えてみてください。
4.訪問介護ではない介護の仕事を探してみる
訪問介護の働き方が合わない場合、施設介護のほうが向いている可能性があります。特に、「移動や待機時間が大変」「1人での介護がプレッシャー」のように感じている人は、有料老人ホームやデイサービスのような介護施設がおすすめです。困ったときは、先輩の介護職員に相談したり、チームで連携して働けたりするため、働きやすいと感じるかもしれません。
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5.別の業界・職種への転職も選択肢に入れてみる
訪問介護の仕事だけでなく、介護職自体が合わないと感じた場合は、別の業界への転職を検討してみるのも方法の一つです。転職する際は、今までの介護経験を活かせる仕事を探すのがポイント。介護で培ったコミュニケーション能力や接遇スキルを活かして、介護福祉用具を専門とする営業職や販売職の仕事を目指すのも良いでしょう。
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6.仕事の掛け持ちを検討してみる
登録ヘルパーをしている方で収入への不満を理由に離職を考えている場合は、仕事を掛け持ちして収入を増やすのも一つの手です。別の訪問介護事業所にも登録し、空き時間を減らして働けば収入アップに繋がりますよ。シフトを調整する必要がありますが、慣れれば問題なく掛け持ちできるでしょう。まずは現在登録している事業所に掛け持ちができるか確認してみることをおすすめします。
訪問介護を辞めるのに理想的なタイミングは?
訪問介護の仕事を辞める気持ちが固まっていても、「辞めるタイミングが分からない」という人もいます。踏ん切りがつかない場合は、次のようなタイミングで退職の相談をしてみると良いでしょう。
仕事にやりがいを感じられなくなったとき
仕事に対してやりがいやモチベーションが感じられないときは、新しい環境で働き始めた方が良いでしょう。お金のためだけに働いている状態では、仕事の質の低下にも繋がってしまいます。仕事に集中できなかったり、仕事を進めるときに受け身の姿勢になったりしたら、やりがいが低下しているサインと考え、仕事を辞めることを考えても良いかもしれません。
仕事のストレスで心身に支障をきたしたとき
仕事に対するストレスで心身に支障をきたした場合は、無理して仕事を続けるほうが心身に悪影響です。ストレスを溜めながら働き続けると、睡眠不足や食欲不振の原因になることがあります。仕事のストレスを感じると、仕事中も気になってしまい、ますます仕事をこなすことが難しくなるかもしれません。悩み続けるのはやめて、すぐに仕事を辞めても良いでしょう。
ボーナスをもらったあと
辞めるタイミングを調整できる場合は、ボーナスをもらった後に辞めるのがおすすめ。ボーナスをもらわずに辞めると収入の面で損になります。また、次の職場が決まっていない場合は、ボーナスをもらってから辞めることで退職後の生活費を確保できますよ。
「ボーナスをもらってすぐ辞めた」と職場の同僚から言われるのが嫌であれば、ボーナスが支給されてから1~2ヶ月空けて退職すると良いでしょう。
当面の生活費が確保できたとき
退職後に転職活動を始める場合は、就職できるまで無給の状態になります。そのため、転職活動中の生活費が確保できたら、仕事を辞めても良いでしょう。転職活動の期間は人により異なりますが、3ヶ月~半年ほどかかることもあるので、その期間の生活費を目安にしてください。
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訪問介護の仕事を辞めて転職を成功させるには?
訪問介護の仕事を辞めて、転職を成功させる方法をご紹介します。「訪問介護の経験だけでは不安…」というホームヘルパーさんは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1.訪問介護に限らず自分に合った職場を探す
訪問介護に限らず、自分に合う職場はどのようなところなのかをしっかりと考えましょう。介護施設や事業所には、訪問介護をはじめ、有料老人ホームやデイサービス、グループホーム、特養、老健などさまざまな種類があります。それぞれの施設形態によって、利用者さんの介護度や働き方、介護職の役割が異なるので、合わない施設や事業所が出てくるのは当然といえるでしょう。
「訪問介護が合わないから介護の仕事に向いていない」とはいえないので、自分の適性に合った施設を探してみてください。もちろん、訪問介護の仕事が好きで、自分に合っているという人は、ほかの訪問介護事業所を探してもOKです。
介護施設の働き方を比較したい方は、「介護施設の種類一覧!自分に合う職場を見つけよう!」「介護職の施設別給料ランキング!一番高いのはどこ?」の記事も参考にしてみてください。
2.仕事に求める条件を検討し優先順位を決める
転職を成功させるには、転職先に求める条件を明確にすることも重要です。「給料が高い」「職場の雰囲気が良い」「移動や待機時間がない」など、転職で叶えたい条件を洗い出してみましょう。自分の中に仕事探しの軸がないと、「訪問介護を辞めた理由が人間関係なのに、また雰囲気の悪い事業所に転職してしまった」という事態になりかねません。
すべての希望を満たす職場を見つけるのは現実的には難しいため、絶対に譲れない条件に優先順位を付け、自分の理想に近い転職先を探しましょう。
3.経済的な不安があるなら在職中に転職活動を行う
失業期間が長引くと生活が心配…という場合は、在職中から転職活動を始めるのがおすすめです。「退職してから転職活動をしなければならない」というルールはありません。転職先が決まっていると、退職時に引きとめられても断りやすいメリットがあります。正社員の場合は、「在職中の転職は時間的に大変」と感じるかもしれませんが、転職エージェントを利用すれば効率的に仕事を見つけることが可能です。訪問介護の待機中などのすきま時間に求人をチェックするのも良いでしょう。
4.家族や友人、転職エージェントに相談する
転職するかどうか迷っているなら、訪問介護の経験者に限らず、信頼できる家族や友人に話を聞いてもらいましょう。気持ちを話すことで自分の気持ちを客観視でき、転職に対する方向性が決まる場合もあります。
相談できる相手がいない場合は、転職エージェントを利用してみるのもおすすめ。「相談したから必ず転職しなければならない」というわけではないので、現在の自分の状況を説明し、プロ目線で転職が必要かどうかアドバイスをもらいましょう。
介護業界への転職で、転職エージェントを利用したい方はレバウェル介護(旧 きらケア)を利用してみてはいかがでしょうか。レバウェル介護(旧 きらケア)では介護業界に精通したキャリアアドバイザーが、転職についての相談や一人ひとりにあった求人を紹介してくれますよ。
今の職場に満足していますか?
訪問介護を辞めたい人によくある質問
ここでは、訪問介護を辞めたい人にありがちな質問をQ&A形式でご紹介します。
訪問介護の仕事を辞める方法を教えてください
訪問介護の仕事を辞める場合、まずは職場の上司に相談してください。やむを得ない理由がない限りは退職日の1~2ヵ月前に伝えるのがマナーです。訪問に出ていて上司になかなか会えない場合は、相談日の日程を電話やメールで調整しましょう。辞めたいからといって無断欠勤をするのはNGです。転職に最適なタイミングについては「訪問介護を辞めるのに理想的なタイミングは?」で詳しく解説しているので、ご一読ください。
訪問介護で行きたくない利用者さんがおり辞めたいです
苦手な利用者さんがいるせいで訪問介護の仕事を辞めたいと考えている場合、まずは事業所の上司に相談してみましょう。なぜ行きたくないと感じてしまうのかを相談することで、担当を変更してもらえることもありますよ。行きたくない利用者さんが多い場合は、そもそも訪問看護の仕事があまり向いていないことも考えられます。離職を決断する前に、「訪問介護の仕事を辞めたいときの6つの対処方法」も参考に考えてみてください。
訪問介護の仕事にやりがいを感じられません…
訪問介護の仕事にやりがいを感じられないときは、仕事内容が合っていない可能性があります。介護の仕事には、訪問介護以外にも、デイサービスや有料老人ホーム、特養など、さまざまな形態があるので、自分に合った施設を探してみることをおすすめします。「自分の適性が分からない」という方は、レバウェル介護(旧 きらケア)のアドバイザーと一緒に考えましょう。
まとめ
訪問介護を辞めた理由には、「満足な給料が得られない」「訪問先へ移動するのが大変」「1人での介護にプレッシャーを感じる」などが挙げられます。訪問介護の仕事に限らず、仕事に慣れないうちは一定の大変さがあるものですが、どうしても「合わない」「つらい」と感じる場合は、転職を検討してみるのも方法の一つです。
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今の職場に満足していますか?
執筆者
「レバウェル介護」編集部
お役立ち情報制作チーム
介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点