
介護の仕事をする際に、比較的早い段階で学ぶことが多い「歩行介助」。しかし、歩行の特徴や転倒のリスクなどは、その方の身体の状態によって違います。そのため、「どのように介助を行えば良いの?」「どんなことに注意すればいいの?」と疑問をお持ちの方も多いはず。この記事では、歩行介助の種類や身体状況別、補助器具の有無による介助方法、注意点について解説。介護の現場で活かしたいとお考えの方は、ぜひご覧ください。
目次
歩行介助を行う目的とは
歩行介助とは文字通り、歩行時の介助を行うことで、転倒リスクのある高齢者を安心・安全にサポートする目的があります。
人は年齢を重ねるにつれて、介助を必要とする場面が増えていきます。なかでも、比較的早い段階で必要になる介助が「歩行介助」です。その理由として、身体機能が徐々に衰えていくことが挙げられます。
歩行介助を必要とする高齢者は、日常的に車いすを使用するほどではない方や杖を使用されている方など、主に「転倒リスク」や「ふらつき」のある方です。しかし、「転倒リスク」や「ふらつき」などがあると、自力で歩行したり、移動したりすることへの不安を感じやすくなります。介助者には、こうした不安を持つ高齢者への見守りや介助を行うことで、転倒を未然に防いだり、歩行時の安心感につなげたりする役割があります。
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高齢者が自分の足で「歩行」することで得られるメリット
病気や怪我などで入院した際、リハビリの一つとして行うことが多い「歩行」。高齢者にとっても「自分の足で歩くこと」は、とても大きな意味があります。
ここでは、高齢者が自分の足で「歩行」することで得られるメリットについて解説。『なぜ、高齢者にとって「自分の足で歩くこと」が重要視されるの?』と気になる方は、ぜひチェックしてみてください。
転倒や寝たきりになるリスクを軽減できる
高齢になり下肢の筋力が低下すると、わずかな段差にもつまずきやすくなり、転倒の危険性が高まってしまいます。高齢者にとって転倒は、骨折などの大きな怪我だけではなく、寝たきりの状態を引き起こす原因にもつながりかねません。しかし、「自分の足で歩くこと」で、下肢の筋力の維持・向上を図ることができれば、転倒や寝たきりになるリスクを軽減できます。
活動範囲が広がることでリハビリにもつながる
歩行する機会が減ってしまうと、下肢の筋力が低下してしまうだけではなく、活動範囲が狭くなってしまうことも。しかし、自分の足で歩いて外出ができるようになれば、活動範囲が広がり、他者との関わりも増えるはずです。歩行する機会が増えることは脳への刺激やリハビリにもつながるため、「自分の足で歩くこと」は重要といえるでしょう。
生活習慣病の予防につながる
厚生労働省の「身体活動・運動」によると、『「歩く」という身体活動を増やすことで、生活習慣病の発症リスクを数%減少させることが期待できる』と記載されています。
日頃から「歩く」という身体活動を増やすことができれば、生活習慣病の予防だけではなく、ストレスの解消や精神的なリフレッシュも期待できるでしょう。
出典
厚生労働省「身体活動・運動」(2022年10月14日)
歩行介助の種類
歩行介助の種類には、以下の6つの種類があります。
歩行介助の種類 | 介助の特徴 |
見守り歩行介助 | 杖無しで自力で歩行することは可能だが少し不安定な方、杖などを使用すれば自力で歩行が可能な方の見守りを行う介助 |
寄り添い歩行介助 | 見守り歩行介助だけでは転倒の危険性が高いという方に寄り添って行う介助 |
手引き歩行介助 | 見守りや介助なしで歩行すると転倒の危険性が高いという方の両手をとりながら行う介助 |
階段昇降時における歩行介助 | 力の弱い方や高齢者が階段を安全に上り下りできるように手すりや杖を支える介助 |
杖を使用した介助 | 足の筋力の低下やふらつきがあり杖を使用している方を支える介助 |
歩行器具を使用した介助 | 歩行器を使用している方が移動する際に転倒しないよう上半身を支えながら行う介助 |
歩行介助とひとくちに言っても、上記のように介助の種類はさまざま。介助の仕方は、介助を必要とする方の身体状況や歩行状態によって違うため、一人ひとりに合わせた介助を行いましょう。
また、身体状況や歩行状態の変化に合わせて、介助の仕方を変えていくことも大切です。
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歩行介助の方法
ここでは、前項でご紹介した6種類の歩行介助の介助方法について、詳しく解説します。「具体的にどうやって介助を行うの?」と介助方法について疑問をお持ちの方は、ぜひご一読ください。
見守り歩行介助
見守り歩行介助では、要介護者の斜め後方から見守るようなイメージで介助を行いましょう。
見守り歩行介助と聞くと、「ただ見守りをすれば良い」という捉え方をする方がいるかもしれません。しかし、見守り歩行介助では、ふらつきがあった際に素早く対応することが求められます。要介護者が不安定になりやすい杖の反対側や麻痺がある側につき、バランスを崩しそうになった時は、すぐに支えられる位置にいることが大切です。
寄り添い歩行介助
寄り添い歩行介助では、介助者は要介護者の利き手とは逆の位置に立ち、ともに歩行するようなイメージで行いましょう。
たとえば、要介護者が右利きの場合、介助者は右手を要介護者の右脇に入れ、左手はお互い握り合うようにします。麻痺がある方の介助を行う際は、麻痺がある側に立ち、腰を支えるようにして手を回すのがポイントです。
お互い前を向いて歩行するため、障害物を確認できるだけではなく、長距離も移動しやすいのがメリットといえます。
手引き歩行介助
手引き歩行介助を行う際は、要介護者と向かい合った状態で両手を支え、その方のペースに合わせてゆっくり介助を行いましょう。このとき、介助者は要介護者の肘に下から手のひらを当てます。要介護者には、介助者の肘の内側を上から持ってもらいましょう。
介助者は、要介護者が転倒しないように腕全体で支えつつ、できるだけ重心を前に置いてもらうよう伝えることが大切です。
手引き歩行介助は介助者が後ろ向きで歩くため、前方の確認ができず危険を伴うことから、歩行器が使えない室内や浴室など、短い距離を移動する際に適した介助方法です。しかし、要介護者の歩行状態や様子を確認しながら歩行することが可能なため、前後への転倒を防止できるのがメリットといえるでしょう。
階段昇降時における歩行介助
階段を上る際は、要介護者の「斜め後方」に立ち、下りる際は「斜め前方」に立ちましょう。どちらも転倒しそうになった時に、素早く支えられる立ち位置です。また、麻痺がある方の介助を行う際は、「麻痺がある側」のバランスがうまく取れずに転倒する可能性が高いため、「麻痺がある側」に立って介助を行いましょう。
階段の昇降は、転倒による危険リスクや大けがにつながる可能性がとても高いため、細心の注意を払う必要があります。階段に手すりが付いている場合は、積極的に使用してもらうなど、転倒を未然に防ぐ対応を行うことが大切です。
杖を使用した歩行介助
杖を使用した歩行介助では、足の筋力低下やふらつきなどがあり、長距離の移動が難しくなってしまった方を支える程度の介助を行います。
杖を使用する際は、まず肘が30度程度曲がる長さに調節しましょう。介助者は要介護者が杖を持つ方とは逆のやや後方の位置に立ち、脇の下と肘を軽く支えるようにします。要介護者が歩き始めたら、踏み出した足と同側の足を介助者も踏み出すようにしましょう。歩行時は歩幅やペースを要介護者に合わせ、ゆっくりと歩いてもらうのがポイントです。
杖には、4点杖やロフストランドクラッチと呼ばれる杖などさまざまな種類がありますが、使用する人の状態や環境などに合わせて選ぶことが大切です。
歩行器具を使用した歩行介助
杖と同様に、歩行器具にもさまざまな種類があり、平坦な場所で短い距離を移動する際に適しています。上半身が前や左右に倒れてしまう方、麻痺がある方などが使用するため、介助を行う際は上半身を支えるようなイメージで行いましょう。
歩行器
歩行器を使用する際は、要介護者の肘が軽く曲がり、やや前傾姿勢になるような高さに調節しましょう。介助時は、要介護者の斜め後方に立ち、脇の下を軽く支えます。歩行の手順は、「歩行器」→「麻痺などがある側の足(患側)」→「麻痺などがない側の足(健側)」という順番です。
歩行器と体の距離が近すぎたり、遠すぎたりするとバランスが取りづらくなってしまうため、適度な歩幅でゆっくり前に進んでもらうようにしましょう。
タイヤあり歩行器
タイヤあり歩行器の場合、タイヤが付いているため前方だけではなく、後方にも転倒する危険性があります。介助を行う際は、要介護者の後方から腰か両脇を支え、要介護者が一歩踏み出したら介助者も一歩踏み出すようにしましょう。歩幅やペースを合わせることで、要介護者も安心して前に進むことができます。
シルバーカー
シルバーカーは、比較的歩行は安定しているものの、膝や腰に痛みや疲れが生じやすかったり、物を持って歩いたりすることが困難な方が使用することの多い歩行器具です。
シルバーカーを使用する際は、ハンドルの高さやブレーキをかけることができるかなど、事前の確認が重要です。介助時は、要介護者の斜め後方に立ち、必要であれば脇の下を軽く支えましょう。また、上半身の体重をシルバーカーに乗せすぎていたり、ロックをかけ忘れたりしている場合は、声かけを行うことが大切です。
荷物を入れたり、腰掛けたりして使用することが可能ですが、歩行器に比べるとやや安定感が劣るのがデメリットといえます。
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身体状況別の歩行介助の方法と注意点
介護の現場では、身体状況に合わせて介助を行う必要があります。しかし、「どのように介助を行ったら良いかいまいち分からない」という方もいるでしょう。ここでは、身体状況別の歩行介助の方法と注意点について解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
片麻痺がある方の場合
脳の疾患の後遺症により片麻痺の障害がある方の場合、転倒の危険リスクが伴いやすいため、原則「麻痺がある側(患側)」から歩行介助を行います。
まず、要介護者が装具を使用している場合、装着のチェックと体重をかけた時に踏ん張りがきくかを確認しましょう。その理由として、踏ん張りがきかないと歩行時に転倒してしまう危険があるためです。介助時は、麻痺がある側(患側)に立ち、脇の下を軽く支えましょう。歩行の手順は、麻痺がある側の足(患側)→麻痺がない側の足(健側)という順番です。
また、杖を使用している場合の歩行介助の手順は、杖→患側→健側です。
階段の昇降の場合、上る際は杖→健側→患側、下る際は杖→患側→健側になります。
片麻痺がある方の介助を行う際は、「患側」に残っている機能や本人の歩行能力を最大限活かしながら、サポートすることが大切です。
パーキンソン病を患う方の場合
パーキンソン病を患う方の症状として、「最初の一歩が踏み出しにくくなる(すくみ足)」「足を床にすって歩くようになる(すり足)」「歩く時の歩幅が狭くなる(小刻み歩行)」「歩く速度がどんどん速くなってしまう(加速歩行)」などが挙げられます。
パーキンソン病を患う方は、前傾姿勢になると歩く速度がどんどん速くなってしまう(加速歩行)傾向にあるため、歩行介助を行う際は、体がまっすぐになるように支えましょう。本人の歩行ペースに合わせながら、時々声かけを行うことが大切です。
また、歩行時の環境作りも重要になります。床につまずく原因になるものや障害物はないか確認し、手すりなどすぐにつかまれる場所を用意することで、本人の不安や恐怖心を軽減できるでしょう。
半側空間無視がある方の場合
半側空間無視がある方の症状として、脳機能への障害により、視力の問題とは別に認識がしづらい方(患側)にある物が見えているにも関わらず、認識することが難しくなります。そのため、移動時に認識がしづらい方(患側)にあるものによくぶつかったり、部屋の入り口を通り過ぎてしまったりすることも。
歩行介助を行う際は、認識がしづらい方(患側)に介助者が立ち、すぐに声かけなどの対応が行えるようにしましょう。また、認識がしづらい方(患側)から、声かけされると精神的なストレスにつながってしまうことも。声かけは、認識がしやすい方(健側)から視線を合わせながら行うなど配慮が必要です。
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安全な歩行介助を行うために注意すること
ここまで、歩行介助の種類や種類別・身体状況別の介助方法についてご紹介しました。しかし、「介助の種類や身体状況に関係なく、具体的にどんなことに注意すれば良いの?」と疑問に思う方もいるでしょう。ここでは、安全な歩行介助を行うために注意することを詳しく解説しているので、ぜひご一読ください。
介助する人の身体状態を知り転倒リスクを把握しておく
まず、前もって介助する人の身体の状態を知り、転倒リスクを把握しておきましょう。「片麻痺がある」「膝折れしやすい」「片側の認識がしづらい」など、身体の状態は一人ひとり違います。歩行介助を行う前に介助する人の身体の状態を知ることで、転倒への対策や迅速な対応が可能になるはずです。
歩行動線に障害物がないか事前にチェックする
室内には、転倒を引き起こす要因となる障害物が多くあります。たとえば、電気コードや絨毯が敷いてある部分などです。ちょっとした段差も転倒につながる可能性があり危険なため、歩行時は歩行動線に障害物がないか事前にチェックしましょう。
また、普段から使う歩行導線にはなるべく物を置かないようにしたり、床が滑りやすくなっていたりしないかも確認することが大切です。
靴や服装の種類に問題はないかチェックする
靴や服装の種類によっても、転倒の危険リスクが高まってしまうことも。たとえば、スリッパやサンダルなどかかとのないものは、すぐに脱げたり、滑ったりしてしまいます。そのため、その方の足のサイズに合った靴を選び、軽くて滑りにくいものを選ぶのがポイントです。できれば、滑り止めが付いているものが理想的でしょう。また、室内で靴下を履いて歩行する際もなるべく滑り止めが付いているものを履いたり、裸足になってもらったりして、転倒を未然に防げるようにしましょう。
靴と同様に服装の種類にも注意が必要です。ズボンの裾が長すぎたり、ウエストが緩んでいたりしていると、裾を踏んでしまい転倒の危険リスクが高まってしまいます。ズボンの長さやウエストのサイズに問題はないか、しっかりチェックしておきましょう。
補助器具のメンテナンスを定期的に行う
杖や歩行器などの補助器具は、気づかないうちに破損や劣化している場合があります。そのままにしておくと怪我や事故につながってしまう可能性があるため、定期的にメンテナンスを行うことが大切です。
杖先のゴムだけであれば比較的安価で交換できます。また、歩行器などの車輪が付いている補助器具の場合は、ねじの緩みやタイヤのすり減り・回転の加減、フレームの歪みなどに注意しましょう。
最低でも1カ月に1回、定期的にメンテナンスを行うことで、事故や怪我を未然に防ぐことにつながるはずです。
屋外の場合は事前に休憩できる場所をチェックしておく
屋外の場合は、事前に休憩できる場所をチェックしておきましょう。「いつもなら歩けているから大丈夫」と思っていても、体調によっては急に歩けなくなってしまうことも。たとえ歩行距離が短くても、休憩できる場所を確保しておくことが大切です。
万が一、休憩場所を確保することが難しい場合、ほかのスタッフにあらかじめ伝えておいたり、携帯を持参してすぐに連絡したりできるよう準備しておきましょう。
立ち位置に注意する
歩行介助の立ち位置では、「斜め後方」が基本です。前に立ってしまうとふらついた時などにすぐに支えることが難しいため、すぐに対応できる「斜め後方」の位置に立ちましょう。
また、階段での介助では上る時は「後ろ」、下りる時は「前」に立つことが大切です。どちらもバランスを崩しそうになった時、すぐに支えられる立ち位置になります。
「もしかしたら、ふらつくかもしれない」「バランスを崩してしまうかもしれない」などといったことを常に考え、立ち位置に注意しながら歩行介助を行いましょう。
声かけを積極的に行う
歩行介助に限ったことではありませんが、声かけを積極的に行うことも大切といえます。要介護者は、歩行時に不安や恐怖心を抱えていることが多いため、介助者がその都度声かけを行うことで安心してもらえるでしょう。
また、移動する際なども「〇〇へ向かって歩きましょう」「〇〇まで行きますよ」と声かけを適宜行うことで、共通認識が生まれやすくなります。そうすることで、介助する側もされる側も安心して移動したり、歩行したりすることができるでしょう。
補助器具を使用する際に意識しておきたいポイント
杖や歩行器、シルバーカーなどさまざまな補助器具が出てきましたが、「使う時にはどんなことを意識すれば良いの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。ここでは、補助器具を使用する際に意識しておきたいポイントをご紹介しているので、「介助の参考にしたい」という方は、ぜひチェックしてみてください。
介助者の立ち位置
補助器具を使用する際の介助者の立ち位置は、「斜め後方」です。要介護者の脇の下に手を添えて、ふらつきなどがあった際にはすぐに支えられるようにしましょう。
歩行介助の手順
歩行介助の手順は、「補助器具を移動→動かしにくい方の足(患側)→動かしやすい方の足(健側)」の順番です。一歩が出ずらい時には、見守りや声かけを行うなどして対応しましょう。
歩行ペースと歩幅
補助器具とは近すぎたり、遠すぎたりしない距離を保ち、要介護者の歩行ペースや歩幅に合わせて進みましょう。この時に積極的に声かけを行うことがポイントです。
補助器具を使用しない際に意識しておきたいポイント
前項では、「補助器具を使用する場合」についてご紹介しました。ここでは、「補助器具を使用しない場合」について解説しています。補助器具の有無によって介助の方法も変わるため、気になる方はぜひチェックしてみてください。
介助者の立ち位置と重心移動
人は歩く時に前後左右に重心移動しています。しかし、「転ばせてはいけない」という思いから過剰に密着してしまうと、歩行の際に必要な重心移動を妨げてしまうことも。
介助を行う際は、要介護者に残っている機能を活かしながら、重心となる足に体重を乗せるようにして支えましょう。そうすることで歩く動きをサポートでき、次の一歩が踏み出しやすくなります。
要介護者の歩行時の特徴を把握しながら、歩行や腕の振りの妨げにならないような介助を心がけ、バランスを崩しそうになった際にすぐに支えられる位置につくことが大切です。
声かけ
要介護者の歩行スピードやバランスが保ちやすくなるため、「いち、に、いち、に」と声かけを行いながら歩行すると効果的です。
この記事の「声かけを積極的に行う」でも声かけの大切さについて触れているので、ぜひご一読ください。
歩行ペース
補助器具を使用する際と同様に、使用しない場合も歩行ペースは要介護者に合わせましょう。無理に引っ張ったり、急がせたりすることは転倒につながりかねません。一人ひとりのペースに合わせて介助を行うことが大切です。
歩行介助に関するよくある質問
ここでは、歩行介助についてよくある質問に回答します。「歩行介助の際に手を添える場所って?」「杖を使用した歩行介助がよく分からない」などの疑問やお悩みをお持ちの方は、ぜひチェックしてみてください。
歩行介助の際にズボンを持つのって正しいの?
要介護者がふらついたり、転びそうになったりした時にズボンを持ってしまうことがあるかもしれませんが、歩行介助の際にズボンを持つことは正しくありません。ズボンを持つことで要介護者の足の動きを邪魔してしまったり、ズボンが食い込んで擦れてしまったりする可能性があるからです。また、場合によってはズボンが破れてしまうことも。
バランスを崩しそうになったらすぐに対応できるよう、腰に手を添えておきましょう。
杖歩行の杖を持つ手はどちらなの?
杖は持っている方に荷重がかかるため、動かしづらい足とは反対の手で持ちましょう。そうすることで、動かしづらい方の足への負担を軽減することができます。
また、麻痺がある方は、麻痺がない方(健側)で杖を持ち、介助者は麻痺がある方(患側)を介助します。本記事の「杖を使用した歩行介助」と「片麻痺がある方の場合」で、詳しい介助方法をご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
杖歩行介助をする際の注意点って?
杖歩行介助をする際の注意点として、杖の点検、介助者の立ち位置、歩幅や歩行ペースなどが挙げられます。杖の点検を怠ってしまうと、事故や怪我につながってしまう可能性も。
また、介助を行う際の立ち位置や歩幅、歩行ペースが合わせられないと要介護者が不安や恐怖心を抱きやすくなってしまいます。そのため、介助者は一人ひとりに合わせた歩行介助を行うことが大切です。本記事の「安全な歩行介助を行うために注意すること」で、ほかにも注意しておきたい点をまとめているので、ぜひご一読ください。
まとめ
歩行介助では、すべてをサポートするのではなく、要介護者に残っている力を活かしながら介助を行うことが大切です。正しい介助方法を知ることで、要介護者が積極的に歩行するようになれば、身体や健康にも良い影響が期待できるでしょう。
また、介助を行う際は「歩行動線に障害物がないか」「靴や服装の種類に問題はないか」をチェックしましょう。ほかにも、補助器具のメンテナンスや事前に休憩できる場所をチェックしておくことで、要介護者が安心・安全に歩行することができるはずです。
人によって、身体の状態や使用する補助器具はさまざま。歩き方の特徴や身体の状態、転倒リスクなどをしっかりと把握し、その方に合わせた介助を行うことが大切です。
より良いケアを行うためにも正しい介助方法を知り、一人ひとりに合わせた歩行介助を実践していきましょう!
「介助の基本をしっかり学べる施設で働きたい!」
「一人ひとりに寄り添ったケアを行いたい!」
このようなお考えをお持ちの方は、介護業界専門の転職エージェントに相談すると効果的です。介護職専門の転職エージェントレバウェル介護(旧 きらケア)では、プロのキャリアアドバイザーが付き、マンツーマンであなたの希望に沿った求人紹介を行います。また、面接対策や条件交渉などもしっかりサポート!登録やサービスはすべて無料なので、安心してご利用ください。
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執筆者
おいもッコ
元介護士ライター
グループホームを中心に、有料老人ホームやデイサービスなどの施設で約7年半ほど介護士として勤務。リーダー業務なども経験しながら、多くの認知症高齢者や介護業務に携わる。2021年に介護福祉士を取得。現在は今までの経験を活かし、「元介護福祉士ライター」として介護士さんに共感してもらえるような、お役立ち情報などを発信している。