介護度とは?要介護・要支援の区分の違いと介護保険の支給限度額を解説

介護の知識 2024年8月7日
  • この記事をシェアする
  • facebook
  • X
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

171_TOP_車椅子押す女性

この記事のまとめ

「介護度って何?」「介護度が違うと何が変わるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。介護度は要介護認定で判定されるもので、介護が必要な方の日常生活やご家族の負担に大きく影響します。この記事では、要支援・要介護といった介護度の区分や、利用できる介護保険サービスをご紹介。介護度に応じた支給限度額についても解説するので、要介護認定や介護度について関心のある方は、ぜひチェックしてみてください。

目次

介護度とは?

介護度とは、高齢者の方など介護が必要な方が、どの程度の介護を必要とするかを表したものです。介護度は、要介護認定を受けることによって「要支援1・2」「要介護1~5」「自立(非該当)」の区分のいずれかに判定されます。

介護度の区分

前述のとおり、介護度の区分には「要支援1・2」「要介護1~5」「自立(非該当)」があります。介護保険のサービスを利用するには、要介護認定を受けて「介護が必要な状態にある」と認められなければなりません。以下に、介護度の区分と、それに対応する介護保険サービスのおおまかな枠組みをご紹介します。

介護度の区分状態利用できる介護保険サービス
要支援1~2日常生活において多少の支援が必要介護予防サービス(予防給付)
要介護1~5日常生活全般において何らかの介護が必要介護サービス(介護給付)
自立(非該当)日常生活を自力で営むことが可能なし

このように、要支援1・2と認定されれば介護予防サービス、要介護1~5と認定されれば介護サービスが利用可能です。自立(非該当)と認定された場合には介護保険サービスは利用できませんが、市区町村による地域支援事業などを利用できる可能性があります。

要介護認定等基準時間

要介護認定の一次判定では、厚生労働省が定めた要介護認定等基準時間に基づいて、要支援1~要介護5の区分が決まります。要介護認定等基準時間とは、介護にかかる手間を時間で表したものです。これを見ると、介護度は介護の時間(手間)がかかるほど重くなることが分かります。病気や心身の状態の重篤さとは、必ずしも比例しないことに注意が必要です。

介護度の区分要介護認定等基準時間
要支援125分以上32分未満
要支援232分以上50分未満
要介護132分以上50分未満
要介護250分以上70分未満
要介護370分以上90分未満
要介護490分以上110分未満
要介護5110分以上

参照元 : 厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか

ただし、この基準時間はあくまでも介護の必要性をはかる指標であり、実際に行われる介護の時間とは異なります。

登録は1分で終わります!

アドバイザーに相談する(無料)

介護度別の心身の状態は?

ここでは、要支援・要介護認定の目安となる心身の状態について、介護度の区分ごとに詳しく見ていきましょう。

要支援1

要支援1は、介護を必要とする度合いが最も低く、自立(非該当)に近い状態です。食事・入浴・排泄などの基本的な動作に大きな支障はありません。ただ、掃除や買い物などに部分的な見守りや手助けを必要とする場合があります。介護予防サービスの利用によって、現在の心身の状態の維持・改善が見込まれる状態です。

要支援2

要支援2は、要支援1よりも支援が必要な状態で、立ち上がりや歩行などに不安定さがみられるようになります。軽い物忘れが認められる場合もあるでしょう。基本的にはほぼ1人で日常生活を営める状態ですが、今後の心身の変化によっては、介護が必要になる可能性が高い状態です。

要介護1

要介護1は、日常生活の一部において部分的な介護を必要とする状態です。食事や入浴などの基本的な動作はほぼ1人でできるものの、歩行が不安定なため部分的に介助を必要とします。買い物や服薬管理など、日常生活における複雑な動作に一部介助を要することもあるでしょう。思考力や理解力に軽度の低下がみられる場合もあります。

要介護2

要介護2は、軽度の介護を必要とする状態です。料理や掃除などの複雑な動作に見守りや介助を要するだけでなく、食事や排泄といった基本的な動作にも一部介助が必要な場合があります。要介護1よりも思考力や理解力の低下がみられ、金銭管理が難しくなることもあるでしょう。

要介護3

要介護3は、中等度の介護を必要とする状態です。食事や排泄に一部介助が必要で、立ち上がりや歩行を1人で行うことが難しくなります。認知症の症状が認められることも少なくありません。要介護2までは部分的な介護があれば1人で日常生活を営むことが可能な場合もありますが、要介護3からは全面的な介護を必要とすることが多くなります。

要介護4

要介護4は、重度の介護を必要とする状態です。食事や排泄、入浴などに介助が必要で、立ち上がりや歩行も困難になります。認知症の症状が進み、意思疎通が難しくなる場合もあるでしょう。日常生活を1人で営むことは困難な状態といえます。

要介護5

要介護5は、介護を必要とする度合いが最も高い状態です。食事や排泄、着替えなどが困難になり、歩行もままなりません。ほぼ寝たきりで、意思疎通ができないことが多くなります。

介護度別に利用可能な介護保険サービス

要介護認定で判定された介護度によって、利用できる介護保険サービスが異なります。ここでは、サービスの種類別に利用可能な介護度を、施設・居宅・地域密着型に分けて一覧表にまとめました。

施設サービス

施設サービスとは、介護保険施設(介護保険サービスが利用できる公的入居施設)に入所する方に提供されるサービスです。利用できる方の介護度は、要介護1~5となっており、要支援1・2の方は含まれません。

サービス種別要支援1・2要介護1~5
介護老人福祉施設(特養)△(原則要介護3以上)
介護老人保健施設
介護療養型医療施設
介護医療院

なお、介護療養型医療施設は2024年3月末に廃止されます。詳しく知りたい方は、「介護医療院とは?特養との違いや創設された経緯・サービス内容を解説」の記事をあわせてご確認ください。

居宅サービス

居宅サービスとは、自宅で生活する方を対象に提供されるサービスです。介護度の区分に関わらず、多くのサービスを利用することができます。 

なお、ここでいう「居宅」には、自宅のほか有料老人ホームのような施設の居室も含まれることに注意が必要です。有料老人ホームの居室が自宅とみなされる場合、そこで提供されるサービスは居宅サービスとなります。

サービス種別要支援1・2要介護1~5
訪問介護介護予防・日常生活支援総合事業で利用可能(※1)
訪問入浴
訪問看護
訪問リハビリテーション
居宅療養管理指導
通所介護(デイサービス)介護予防・日常生活支援総合事業で利用可能(※1)
通所リハビリテーション(デイケア)
短期入所生活介護(ショートステイ)
短期入所療養介護(ショートステイ)
特定施設入居者生活介護
福祉用具貸与△(介護度によって貸与できない福祉用具あり)△(介護度によって貸与できない福祉用具あり)
特定福祉用具購入
住宅改修
介護予防支援
居宅介護支援

(※1)介護予防・日常生活支援総合事業

市町村が中心となり、要支援者などに対して地域の実情に合わせたサービスを提供する取り組みです。

地域密着型サービス

地域密着型サービスとは、高齢者などが可能な限り住み慣れた地域で生活できるよう支援するサービスです。市区町村が指定する事業者が提供し、原則としてその市区町村の住民のみが利用できます。介護度が要支援の方は、利用できるサービスが限られるので気をつける必要があるでしょう。

サービス種別要支援1・2要介護1~5
夜間対応型訪問介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
地域密着型通所介護介護予防・日常生活支援総合事業で利用可能(※1)
認知症対応型通所介護
小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)△(要支援2以上)
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護△(原則要介護3以上)
地域密着型特定施設入居者生活介護

(※1)介護予防・日常生活支援総合事業

市町村が中心となり、要支援者などに対して地域の実情に合わせたサービスを提供する取り組みです。

介護度別の利用者の費用負担

ここでは、介護度別の利用者の費用負担について確認していきましょう。まず、介護保険サービスの費用負担を考えるには、介護保険サービスに対して事業所に支払われる介護報酬について知っておく必要があります。介護報酬は国と利用者で負担し合い、国が9割・利用者が1割負担するのが原則です。介護報酬は(単位)×(1単位あたりの費用)で算出されますが、単位は提供サービスの内容で決まり、単価は物価や人件費を加味して地域で決められています。以下でご紹介する費用は、あくまで目安であることを念頭に置きましょう。

特定施設入居者生活介護の自己負担額の目安

厚生労働省の「介護報酬の算定構造」によると、特定施設入居者生活介護(一般型)の自己負担額の目安は、下記のとおりです。特定施設入居者生活介護とは、指定を受けた有料老人ホームや軽費老人ホームが食事や入浴の介助などを入居者に提供するサービスのことを指します。

なお、本記事に記載する自己負担額はすべて1単位10円、自己負担1割で計算した金額です。

介護度の区分単位(1日あたり)自己負担額(30日)
要支援1182単位5,460円
要支援2311単位9,330円
要介護1538単位16,140円
要介護2604単位18,120円
要介護3674単位20,220円
要介護4738単位22,140円
要介護5807単位24,210円

参照元:厚生労働省「介護報酬の算定構造(介護15予防13)」

特定施設入居者生活介護(一般型)の介護報酬は、サービスの利用頻度に関わらず介護度ごとに定額制です。ただし、利用者の状態に応じた加算が行われる場合があるほか、入居費用や日常生活費などは別途負担する必要があります。

在宅サービスの自己負担額の目安

ここでは、通所リハビリ(デイケア)を例に、自宅などで居宅サービスを利用する場合の介護度別の費用負担を見ていきましょう。通所リハビリは、診療所や介護老人保健施設などに日帰りで通い、理学療法士や作業療法士によるリハビリを受けるサービスです。厚生労働省の「介護報酬の算定構造」によれば、利用者さんの自己負担額の目安は下記になります(通所リハビリ(通常規模の事業所/7時間以上8時間未満の利用)の場合)。

介護度の区分単位(要支援は1ヶ月、要介護は1回あたり)自己負担額(要支援は1ヶ月、要介護は1回あたり)
要支援12,053単位2,053円
要支援23,999単位3,999円
要介護1757単位757円
要介護2897単位897円
要介護31,039単位1,039円
要介護41,206単位1,206円
要介護51,369単位1,369円

参照元:厚生労働省「介護報酬の算定構造(介護6予防4)」

要介護1の方を例にとると、自己負担額は1回あたり757円となります。

支給限度額があるので注意

介護保険サービスは、際限なく利用できるわけではありません。居宅サービスや地域密着型サービスを利用する場合には、介護度ごとに1ヶ月あたりに給付される上限額=区分支給限度額が定められています。利用する際は、限度額の範囲内で希望するサービスを組み合わせて利用するのが一般的です。限度額を超えてサービスを利用した場合、超過した分は介護保険適用外となり、全額が自己負担となるので気をつけましょう。

介護度の区分区分支給限度額(30日)自己負担限度額(30日)
要支援15,032単位5,032円
要支援210,531単位10,531円
要介護116,765単位16,765円
要介護219,705単位19,705円
要介護327,048単位27,048円
要介護430,938単位30,938円
要介護536,217単位36,217円

参照元:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について(p.7)

なお、介護度が重いほど限度額も高く設定されているので、介護度が上がればより多くのサービスが利用可能です。ただし、介護度が重くなると1回あたりの利用料が高くなる場合も。そのため、思ったほど利用回数が増やせなかったり、自己負担が増えたりする可能性があることも念頭に置きましょう。

▼関連記事
居宅サービスとは?種類や介護職の仕事内容について分かりやすく解説!
介護施設の種類一覧!自分に合う職場を見つけよう!

要介護認定からサービス利用までの流れ

ここでは、要介護認定の申請からサービス利用までの流れをまとめました。

申請方法

要介護認定の申請は、居住地の市区町村の役所や地域包括支援センターで行います。申請時に必要な主な書類は下記のとおりです。

  • 介護保険被保険者証(65歳未満の方は健康保険の被保険者証)
  • 身分証明書
  • マイナンバーを確認できるもの
  • 主治医の氏名などを確認できるもの(診察券)

本人が窓口に行けない場合は、家族や地域包括支援センターの職員などが代理で申請することもできます。

認定調査

要介護認定の申請を受け付けた後、自治体は本人の心身の状態を確認するために訪問調査を行います。調査員が自宅を訪問し、身体機能や認知機能などを調査するほか、家族状況や住環境を含めて聞き取る調査です。

要介護認定には、訪問調査の内容が大きく影響します。調査の際、高齢の方は普段できないことを「できる」と答えてしまうことが少なくありません。その逆の受け答えをする可能性もあります。正確な介護度の判定のためには、できる限り家族が同席して、普段の様子をありのままに伝えるよう注意しましょう。困っていることや心配なことはあらかじめメモしておき、遠慮なく伝えることが必要です。

また、自治体はかかりつけ医に対し、本人の病気や症状に関する「主治医の意見書」の作成を依頼します。適切な要介護認定のためには、かかりつけ医に普段の様子をよく伝えておくことが大切です。

判定

要介護認定の判定は2段階に分けて実施されます。一次判定は、訪問調査の内容と主治医の意見書をもとに、要介護認定等基準時間を用いてコンピュータ判定される仕組みです。その結果を基に、医療や福祉の専門家で構成される介護認定審査会が二次判定を行い、最終的な介護度が決定します。要介護認定の申請から結果の通知まで、30日程度かかるのが一般的です。

要介護認定の有効期間は、新規申請の場合は原則として6ヶ月です。その後は、更新認定を受けることで原則として12ヶ月となります。

なお、要介護認定の結果に納得がいかない場合や、要介護認定の有効期間内に心身の状態が著しく変化した場合には、役所に区分変更申請書を提出し、介護度の区分の変更を申請することが可能です。適切な区分に認定し直してもらえる可能性があります。まずは役所や地域包括支援センター、担当のケアマネジャーに相談しましょう。

ケアプラン作成

要介護認定を受けたら、介護保険サービスの利用を開始するためにケアプランの作成が必要です。要支援と認定された場合は、地域包括支援センターに依頼して介護予防のためのケアプランを作成してもらいます。利用するサービスの種類や回数について、家族を含めてよく相談しながら決めるのが良いでしょう。

要介護と認定された場合は、居宅介護支援事業者のケアマネージャーに依頼してケアプランを作成してもらうのが一般的です。施設サービスを利用する際は、入所する施設のケアマネジャーが作成します。いずれの場合も担当者と相談しながら、適切な介護サービスの計画を立てることが大切です。

介護保険サービス利用開始

ケアプランに基づき、利用者さんと訪問介護や通所リハビリなどの事業者が契約することで、サービスの利用が開始できます。サービスの内容や費用についてしっかり確認しましょう。 

▼関連記事
ケアマネージャーの仕事内容は?ケアプランの作成や仕事の流れを紹介

介護度に関するよくある質問

ここでは、介護度に関するよくある質問に回答します。「介護度が上がるとどんな影響があるの?」と気になる方は、ぜひチェックしてみてください。

要介護度が上がるとどうなるの?

要介護度が上がると、介護保険サービスの利用限度額が上がるため、使える介護サービスの選択肢や回数が増えます。しかし、要介護度が上がることで、入居している施設を退去になるケースもあるようです。一般型ケアハウスなど、自立した生活を送れる人を対象とした施設の場合、介護が必要となったときに入居し続けることが難しくなることもあります。介護度別の費用負担や介護サービスは、「介護度別の利用者の費用負担」と「介護度別に利用可能な介護保険サービス」で解説しているので、ぜひご一読ください

介護度を上げるにはどうすれば良い?

通知された要介護認定の介護度に納得できない場合や、心身の状態が悪くなり要介護度が適していないと感じる場合は、区分変更申請をすることで、再度認定調査が行われます。認定調査の結果によっては、介護度が上がる可能性があるでしょう。適切な介護サービスを利用するためには、状態に合った介護度の認定を受ける必要があります。介護度の区分変更を希望する方は、ケアマネジャーに相談しましょう。この記事の「要介護認定からサービス利用までの流れ」で解説しているので、ぜひご覧ください。

まとめ

介護度とは、介護をどれくらい必要としているかを表す区分です。要介護認定を受けることによって「要支援1・2」「要介護1~5」の7つの区分と、「自立(非該当)」のいずれかに判定されます。要支援・要介護と認定されれば、介護保険のサービスを1~3割の自己負担で利用可能です。ただし、介護度によって利用できるサービスの種類や支給限度額が変わります。適切な介護度の判定を受けるために、要介護認定では心身の状態を正確に伝えることが大切です。

超高齢社会のなか、要支援・要介護の認定者数は年々増加しています。そのため、介護職のニーズはますます高まっており、未経験や無資格からでも目指すことが可能です。介護に興味のある方はもちろん、ご家族の介護を行ったことがある方は、介護スタッフとして働いてみませんか?

介護の求人をお探しの場合は、介護業界専門の転職エージェントレバウェル介護(旧 きらケア)求人にぜひご相談ください。レバウェル介護(旧 きらケア)は専任のキャリアアドバイザーが、ご希望の条件に合う職場をご紹介します。応募書類や面接に関するサポートも実施。未経験からスタートできる求人も豊富に扱っています。サービスはすべて無料なので、お気軽にご登録ください。
▶未経験可の求人一覧ページはこちら
▶ヘルパー・介護職の求人一覧ページはこちら
▶レバウェル介護(旧 きらケア)TOPページはこちら

登録は1分で終わります!

アドバイザーに相談する(無料)

関連記事

関連ジャンル: 介護の知識

この記事をシェアする

  • facebook
  • X
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

※この記事の掲載情報は2024年8月7日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

「介護の知識」の人気記事一覧

「総合」の人気記事一覧

新着記事一覧