職場環境改善のための取り組みが評価され、栃木県の第3回キラキラ介護事業所グランプリの労働環境・処遇改善部門賞を受賞したこともある特別養護老人ホーム清明苑。施設統括部長の前原さんに取り組みの背景や成果について伺いました。

※きらケア研究所は、介護の求人サービス「きらケア」が運営する介護人事に特化した情報サイトです。

プロフィール

週休2.6日制とリペアBOXで実現する魅力的な職場環境づくり -社会福祉法人両崖福祉会 特別養護老人ホーム清明苑-
前原 利充 様

社会福祉法人両崖福祉会 特別養護老人ホーム清明苑 施設統括部長・生活相談員

2002年社会福祉法人両崖福祉会に入職。デイサービスクワハウスに2年所属し、健康デイサービスセンターけやき、養護老人ホーム喜重苑などを経て、現在は特別養護老人ホーム清明苑で生活相談員として、入所者さまやデイサービスの利用者さまの生活支援に携わっている。

職員に魅力を感じてもらえる職場づくりを目指して

——職場環境の改善のための取り組みを始めたきっかけを教えてください。

過剰な業務負担や人間関係の悪さなどが問題となり、職員の離職率も15%ほどに到達したことがきっかけです。

当施設では長期入所、ショートステイ合わせて70名の利用者さまを全職員が交代で見ていたため、介護するうえで必要な利用者さまごとの注意点を職員が把握しきれていませんでした。一人ひとりの注意点を把握できていなければ、当然ミスも起こりやすくなります。また、当時は残業時間も長く、特に利用者さまの記録を書く当番の職員は1日あたり1~3時間ほど時間外の勤務をしていました。加えて、職員同士が陰口を言い合うなど風通しが悪い環境でした。

ワークライフバランスと人間関係の両面から職場環境を是正し、他施設に負けないくらい魅力的な職場だと感じてもらうことでネガティブな理由での退職者を減らしたいという思いがありました。

——具体的にはどんなことを行いましたか?

行った取り組みは大きく分けて「職員の配置方法の変更」「週休2.6日制の導入」「リペアBOXの設置」の3つです。

まずは、職員の負担軽減のために1階と2階でフロアを分けて、担当する職員を固定しました。この配置方法により、職員が利用者さまごとの情報を把握しやすくなり、職員の負担を軽減することができたと思います。

また、職員のワークライフバランスの確保のため、週休2.6日制を導入しました。もともとはほかの施設の事例から週休3日制の導入を検討していましたが、週休3日だと日勤帯、夜勤帯ともに必要な人数を確保するのが難しくなります。そこで、週休2日と3日の間をとって、「週休2.6日制」を導入しました。

「週休2.6日」とは、ひと月あたりの休みを週休に換算した数字です。1日の労働時間を9時間拘束8時間勤務から10時間拘束9時間勤務へと増やす代わりに、ひと月あたりの休日数を9日から12日に増やしました。1年間で見ると、年間休日数は28日増加しています。

週休2.6日制の導入で残業時間の削減と休日数の増加を両立

——週休2.6日制を導入したメリットはどんなところでしょうか?

休みが増えたことで連休が取りやすくなったことと、残業時間が減ったことです。

週休2.6日制なら業務時間が1時間長くなるだけなので、身体の負担はそこまで変わらず、休日数を増やすことができます。1か月のシフトの中で3連休、4連休を取ってもらっても、それ以外の日に休日を確保できるので、職員からも「旅行に行きやすくなった」「自分の時間が増えてリフレッシュできるようになった」と評判がいいです。

また、週休2.6日制を実現するにあたって、勤務シフトを見直したことで、業務の効率化が進みました。1日のどの時間帯にも必要な人数を確保できるように、勤務時間を細かく設定し直し、これまで6交代だったシフトを9交代に変更しています。

例えば、入浴介助には4人の人員が必要だとしても、最初から最後まで4人がいる必要性はなく、脱衣の介助や浴室まで利用者さまをお連れするのには2人で十分な場合もあります。そこで、最初出勤してきた2人が先に入浴介助を始めて、後から出勤した2人が加わる、というように本当に必要な時間に職員を集中的に配置する方法に変えたことで、業務に無駄がなくなりました。

さらに、これまでは4人同じ勤務時間帯の職員がいると、「ほかの人が帰っていないと帰りにくい」という雰囲気がありましたが、シフトを30分単位で定めて、時間帯ごとの業務負担も明確になったことで、自分の仕事が終わったらすぐに帰りやすくなったという効果もありました。

ネックだった記録業務についても、1日の業務時間が1時間延びたことで、時間内に終わるようになり、トータルで残業時間の8割減を実現しています。

リペアBOXで施設全体の問題の可視化も実現

——リペアBOX設置までの流れを教えてください。

人間関係の面から職場環境を改善したいと思い、導入したのがリペアBOXです。

もともと当施設では職員間の愚痴が多く、それが間接的に本人に伝わってしまったり、利用者さまが聞いてしまったりすることがあり、問題になっていました。愚痴を言うだけでは根本的な解決にはなりませんし、人間関係も悪くなるだけです。どうしたらこの問題を解決できるかと考え、リペアBOXを作りました。

リペアBOXは「人間関係を修繕したい、よくしたい」という意味を込めて付けた名前です。各階に1つずつ「リペアBOX」と呼んでいる箱を設置し、ほかの職員に対するいい意見も悪い意見も含めて紙に書いて投函できるようにしています。月に1回、施設長や私など限られた職員が内容を確認し、本人にフィードバックをするようにしていますね。

——リペアBOXを導入したメリットはどんなところでしょうか?

一番のメリットは職員から気軽に意見を寄せてもらえるようになったことです。当施設は職員の人数が多いので、その時々に思ったこと、感じたことをすぐに話してもらえるような時間を確保するのが難しいですし、直接話しに来てもらうにしても、ほかの職員の目が気になる人もいると思います。その点、リペアBOXは業務終わりや休み時間にささっと書けるので、これまで「直接話すほどではないかな」と伝えられずにいた意見が私たちに届くようになったのはうれしいところです。

今では、施設全体で1か月30~40通の意見が投函されています。内容は「対応が難しい利用者さまに対して○○さんが寄り添った介護をしている姿がすごくよかった」「落ち込んでいるときにさりげなく声をかけてくれてうれしかった」といったポジティブな意見もあれば、「○○さんはフォローしてほしいときに気づいてくれないことがある」といったネガティブな意見もあり、さまざまです。

職員の考えていること、困っていることを知ることで、施設全体の課題が分かるようになり、運営のうえでもとても役立っていますね。

週休2.6日制とリペアBOXで実現する魅力的な職場環境づくり -社会福祉法人両崖福祉会 特別養護老人ホーム清明苑-
▲リペアBOXではポジティブな意見は実名で、ネガティブな意見は匿名で本人にフィードバックしています

よりよい人員の配置の追求は今後の課題

——取り組みを始めてから変わったことはありますか?

週休2.6日制の導入にともない、業務を精査して必要なところに人員を割けたので、残業時間を8割削減できたのは大きな成果だと思っています。休みが増えたので有休取得率が下がってしまうかと心配しましたが、有休も変わらずきちんと取得できていますね。離職率についても、直近2年間で7人入職して退職者は2人のみです。いずれも結婚や転居などやむを得ない理由なので、離職率はかなり下がっています。

——今後目指していることを教えてください。

完璧な状態を実現するのは難しいですが、今の課題はもう少し最適な人員配置を追求していくことですね。週休2.6日制だと夜勤も1時間長くなるので、「夜勤明けがつらい」という意見があったり、必要な時間帯を中心に人を配置しているぶん一部人が少ない時間があったりと、人員配置についてはまだ細かい問題があります。リペアBOXについてはもう少し数を増やして、職員に投函してもらいやすくするのと、もらった意見をよりよく活用するために方法を考えていきたいと思います。

採用ご担当者様へ

医療・介護の分野で成果を出し続けてきた弊社のノウハウとネットワークを、御社の課題解決にぜひともご活用ください 。
掲載に関するお問い合わせや、採用についてのお悩みなどはこちらから。