近年はSNSの普及に伴い、法人用アカウントの運営を検討している介護施設も多いのではないでしょうか。社会福祉法人基弘会では、広報戦略室が主導となり、YouTubeやInstagram、Facebook、Twitter、noteなど複数のアカウントを運営しています。今回は、広報戦略室の山本様に、SNSの使い分け方や採用、集客への効果についてお伺いしました。

プロフィール

SNS活用で「採用・集客」アップ! 介護事業所における広報の役割とは?-社会福祉法人基弘会-
山本 郁子様

社会福祉法人基弘会 広報戦略室 室長

介護系専門学校卒業後、特養にて介護職として勤務し、ケアマネージャーや社会福祉士の資格を取得する。2012年に社会福祉法人基弘会に入職し、対人援助や相談業務、マネジメントをする中で、法人の広報関連業務にも従事。育休復帰後の2018年から、広報戦略室の室長として、採用と集客を目的とした広報を担当している。

「介護のプロフェッショナル」として、職員一人ひとりが誇りを持てるように

――どのような経緯で広報戦略室を立ち上げましたか?

もともと本部長やケアマネージャーたちが法人のアメーバブログやSNSの更新をしていたんですが、もっと計画的に運用していかないといけないなということで広報戦略室が立ち上がりました。それまでは多忙なケアマネージャーや管理者が更新をしていたので、どうしても片手間での更新になってしまっていたんです。しかし、法人の規模が大きくなるにつれて「やっぱり広報の専任者が必要だろう」となったそうで、ちょうどそのタイミングで育児休暇からの復帰が決まっていた私が責任者として声をかけられました。

当法人の広報戦略室の強みは、現場や制度のことをしっかり知っているメンバーがいることです。広報担当者が現場を知らない場合、広報部門だけ孤立してしまいがちです。また、発信内容を何度も確認する手間がかかってしまい、現場に負担をかけてしまうことも珍しくありません。広報部門に現場経験者がいることで、現場では発信内容を最終確認するだけで済みます。お互いで認識を共有できている部分が多いので、円滑なコミュニケーションができていると思いますね。

――広報戦略室では、普段どのような活動をしていますか?

主に「採用」と「集客」を目的に活動していて、具体的には「SNSの運用・社内報の制作・ホームページ運用・営業活動」の4つを行っています。メンバーは現場出身の私のほかに、Webクリエイターとデザイナーの4名です。

また、広報戦略室では「福祉の当たり前にとらわれない新しい発想を発信し続けていく」をミッションとして掲げています。介護業界は、ジャージじゃないと汚れる、動きにくいと考える人が多く、きつい・汚いといったかっこよさとは真逆のイメージを持つ方が少なくありません。ただ、そこに対策を打つわけではなく、福祉業界には「こんなものだろう」というある種のあきらめの風潮がある気がします。外部にはいくらでも綺麗に見えるように発信できますが、中身が伴っていないと発信を継続できません。介護のことをよく知らなくても「かっこいい」「イキイキしている」と感じるような内容を発信したいと考えています。

――介護に対するイメージアップのために、社内で取り組んでいることを教えてください。

ホテルスタッフのような制服を取り入れて、“ケア接客”という概念を発信しています。ホテルや航空業界を想像すると、制服や丁寧な接遇の提供から「かっこいい」というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。見た目だけが重要というわけではありませんが、当法人では制服にもこだわっています。職種や役職で制服を変えて、職員がプライドを持って働けるようにしたり、上質な空間を演出したりするようにしています。

また、“ケア接客”は、「介護」「接客」の両方の技術が揃わないと提供できないハイレベルなものです。「介護のイメージを上げよう」とよく言われますが、介護を知らない人にも「かっこいい」と思ってもらうためには、今いる介護職員が対応やスキルに誇りを持つことがまずは必須だと思います。利用者様はサービスを受けに来たお客様です。介護職として、技術と接遇に誇りを持って、満足できるサービスをしっかり提供することを一人ひとりが意識するように伝えています。

SNS活用で「採用・集客」アップ! 介護事業所における広報の役割とは?-社会福祉法人基弘会-
▲「介護技術」と「接遇知識」を兼ね備えてこそ実現できる“ケア接客”

効果的な更新ができる秘訣は「目的の共有」

――運営しているSNSは、現場の職員さんも更新をしていますか?

各施設の“Instagram(インスタグラム)”は、現場で担当を設け、その職員が更新するようにしています。常に発信するネタを探してもらっていて、月の更新目標は出勤日とほぼ同数の20件程度です。“Instagram”は「集客」が目的なので「どんな情報が求められているか」を利用者様の目線で考えるようにしています。広報戦略室の役割は、担当者が効果を見込める更新ができるよう支援することです。利用者様が素敵な表情をされている写真でも、背景が散らかっていれば、見た人にマイナスの印象を与えることもあります。担当者には1枚の写真の効果やリスクをしっかり自覚した上で投稿するように伝え、投稿内容のフィードバックをするようにしています。

――“Instagram”以外のSNSの運営状況について教えてください。

“YouTube(ユーチューブ)”は、「採用」が主な目的です。介護に興味を持つ方がWebで「介護 技術」と検索をしたときに、当法人のことを知ってもらえればいいなと思っています。ただ、“YouTube”は「採用」だけでなく「集客」目的も兼ねていて、動画がきっかけで施設に興味を持ってくれる方を増やしたいとも考えています。

“Twitter(ツイッター)”は、若い方が利用しているので「新卒採用」を主な目的にしています。更新しているのは以前当法人で開催したビジネスコンテストで出会ったインターンの大学生です。更新内容を打ち合わせて、新卒者をターゲットに、親しみやすい内容で投稿してもらっています。

“Facebook(フェイスブック)”の主な目的は、「ブランディング」です。Facebookは、30~50代の管理者を務めるようなビジネス層が使うことが多いので、“Instagram”や“Note”、“YouTube”の更新情報を随時アップしています。

“Note”は、採用にも集客にも寄っていないコンテンツです。介護に関するコンテンツや、生活に役立つような発信をして、法人の認知度の向上を狙っています。

SNS活用で「採用・集客」アップ! 介護事業所における広報の役割とは?-社会福祉法人基弘会-

何より大切なのは、施設に来た後がっかりさせないこと

――SNS運用による効果はいかがでしょうか?

一番大きな効果は、面接設定後のキャンセルがほとんどなくなったことです。以前、紙の媒体に求人を出していた頃は、面接日を決めたにも関わらず、約半分は面接に来ないなんてこともありました。今はインターネット上に求人を出しているので、面接者はほとんど全員ホームページやSNSを見てくれています。ある程度イメージを把握した上で応募してくれているので、応募後にやっぱり面接に来ないなんてことはほぼなくなりました。

あとは、社内への発信として「ケア接客」が浸透したことで、職員の定着率が高まっています。法人で毎年実施する勤続10年表彰では、毎年複数名の職員が表彰されるようになりました。長く続けてくれるスタッフがいるのは、会社の理念をきちんと語り継げている証拠だと思っています。

――SNS運用や広報に関して、アドバイスをお願いします。

SNS運用だけで集客や採用の問題が解決するわけではありません。SNSはあくまで施設へ足を運んでもらうまでの一つのステップです。面接や見学に来てもらったら、あとはアナログで、実際の施設の雰囲気と担当者の訴求力が重要になってきます(笑)

また、広報に関しては、外部に向けた発信だけでなく、内部に向けた発信も重要です。SNSの投稿は誰でもできますが、それを見て現地に来てくれた方が「思っていたのと違う」と感じてしまえば、せっかく興味を持ってくれた人材を逃がすことになってしまいます。発信する内容に魅力を感じてもらうことは大事ですが、現地でがっかりさせないことがそれ以上に大切です。

そのためにも、社内外への広報の軸になる人を立てることも大切です。社内外への発信により、自分で考える力が身につくので、人材の育成にもつながります。そのため、発信は施設長以外がした方がいいと思っています。施設長だけで完結するのではなく、どんどん職員を巻き込んでいくことで、広報の重要性や介護に対する前向きな思いの浸透が高まるのではないでしょうか。

――今後の目標について教えてください。

法人の理念とも同じで、介護業界に対するネガティブなイメージや、改善に対してあきらめがちな風潮を壊したいです。実は、広報戦略室では外部の法人様へのコンサルタントにも取り組んでいます。今後は、「イメージアップ」や「社内教育」、「SNS活用」について、自分の法人だけでなく、ほかの事業所にも伝えていけたらいいですね。

SNS活用で「採用・集客」アップ! 介護事業所における広報の役割とは?-社会福祉法人基弘会-
▲“Instagram”のフォロワーは2,000人以上。利用者様のご家族がコメントをくれることも

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