円滑なコミュニケーションを取ることは、どの事業所でも業務を行う上で最も重要なことです。株式会社あきた創生マネジメントでも重要だと考え、同時に課題を感じていました。その中で、社内コミュニケーションの量を増やし、職員の連携強化を実現した、LINE WORKS(ラインワークス)の活用術について代表取締役の阿波野様へお話をお伺いしました。

プロフィール

LINE WORKSでICT化を実現!情報共有にとどまらない活用術とは-株式会社あきた創生マネジメント-
阿波野 聖一 様

株式会社あきた創生マネジメント 代表取締役

介護現場にて経験を積み、2011年に株式会社あきた創生マネジメントを設立。秋田県内にて介護事業を展開している。グループ全体の統括だけでなく、スタッフと一緒に事業運営に携わっている。

「LINE WORKS」を活用し、社内コミュニケーションの活性化を実現

――社内コミュニケーションツールを取り入れようと考えたきっかけは何ですか?

社内でのコミュニケーション量をもっと増やしたいと考えていたためです。管理者同士や施設全体での会議を通して組織の動きなどを共有していましたが、職員一人ひとりにまで情報が行き渡っていないと感じていました。もっと社内へのコミュニケーション量を増やしていくことが必要だと考え、数年前から役立ちそうなツールを探していました。Chatwork(チャットワーク)やslack(スラック)など、さまざまなツールを試してきましたが、職員がメールアドレスを持っていなかったり、パソコン操作に慣れていなかったりして上手く活用できない時期が続いていました。どうすればいいか悩んでいるタイミングで、あるスタッフから「LINEと同じ感覚で活用できる、LINE WORKSならどうか?」とアドバイスをもらい、2020年6月から活用を始めました。

――「LINE WORKS」をどのように取り入れたのでしょうか?

最初に、私とLINE操作に慣れている職員1名でLINE WORKSをダウンロードし、操作をしてみることから始めました。何日か取り入れてみて操作などにも問題がなかったため、まずは若い年齢層のスタッフが特に多い施設から活用をスタートさせました。一番新しく開設された事業所であったこともあり、新しい施策にも積極的に取り組んでくれるので、まずはそこで約半年ほど運用してみました。その後、操作に慣れたスタッフが系列施設へ操作方法を指導しに行き、法人全体で活用できるように動いていきました。現在では法人全体の約8割のスタッフがLINE WORKSを活用しながらコミュニケーションを取っていますよ。

――実際の活用方法を教えてください。

さまざまな活用をしています。まず1つ目は報告業務です。日々の業務報告などはLINE WORKSで行うようにしています。特に私への報告に関してはほとんどLINE WORKSでもらうようにしていますね。そうすることで私がその場にいなくても、リアルタイムで確認や承認ができます。

2つ目は会議録として活用しています。会議で決まった事や話し合ったことをLINE WORKS上で残しておくことで、いつでもどこでも確認ができるようになりました。また、今までは紙ベースで記録を残していた作業がなくなり、ペーパーレス化も実現しています。

3つ目はグループごとでの活用です。シフトベースでのグループや、各施設での報告グループを作成し、職員同士で業務に関することなどを報告し合う場所ができているため、グループ単位での社内コミュニケーションも以前より活性化しています。

そのほか、外国人技能実習生の受け入れ時や普段のやり取りもLINE WORKSを活用しています。言語変換機能がありますし、写真やスタンプなどで返事をしてもOKとしているため、日本語にまだ不慣れな職員もやり取りがスムーズにできていますね。

――使用する上で注意していることは何ですか?

報告する時間帯などには注意を払っています。介護の仕事は24時間365日、毎日リアルタイムで行っていますし、シフト勤務のためスタッフによっては報告時間もバラバラです。シフトによっては休んでいるスタッフへも報告通知が飛んでしまうこともよくあります。そのため、自身の業務時間以外はLINE WORKSを確認しなくてもいいといったガイドラインを設けています。「見ないといけない」「返信しないといけない」と悩んでしまうスタッフも多いので、ルールを決めることで負担がかからないようにしていますね。そのほかには、連絡する際に敬称を付けないことや、あいさつ文は不要にし、短く端的に要件だけ報告するようにしています。

LINE WORKSでICT化を実現!情報共有にとどまらない活用術とは-株式会社あきた創生マネジメント-
▲現在はオンラインツールも活用して、法人全体でコミュニケーションツールを活用しています。

コミュニケーションツールを取り入れたことで、コミュニケーションの重要性を再認識

――活用を始めてどのような効果を実感しましたか?

課題であった、社内のコミュニケーション量は各段に増えましたね。コミュニケーション量が増えた分、言った・言っていないなどの共有内容に差が出ることがなくなりました。職員同士で知らない情報がなくなった点は安心感にも繋がっているのではないかと思います。また、普段は相談しにくいこともLINE WORKSを活用して気軽に相談ができるようになったといった声もありました。職員が自発的にケアに役立つ本の共有をするなど、前向きな動きもありますね。そのほかには、リアルタイムで情報共有ができるようになったので、業務上での情報の伝達ミスや漏れがなくなりました。その都度申し送りをして伝達する手間を省くことができ、業務の効率化ができていると感じます。空いた時間を活用し、利用者さまへのケアにより時間を使えるようにもなりました。

法人全体への効果としては、即座に情報伝達ができるコミュニケーションツールを取り入れたことで、伝えたい内容をきちんと伝えられているという実感があります。昨今のコロナ禍では、メディアでさまざまな情報が取り上げられており、今後事業はどうなっていくのかといった不安の声も多くありました。法人としてどのような対策を取って行くかなどの方針をいち早く共有でき、「これはどうなってるんですか?」と不安な声が上がっても、すぐに反応することができています。「知らない」ことに対して、過剰に不安になってしまうスタッフも多くいますが、状況をこまめに発信して、不安を少しでも減らしていくことができていると思いますね。

――コミュニケーションツールを活用する上でのメリットやデメリットは何ですか?

メリットは、情報共有が円滑になる点や、情報を残せる点にあると思います。また、情報伝達を一括できるため、伝え漏れなどもなく、同じ情報を同じ言葉で法人全体に共有することができます。また、LINE WORKSはLINEと同じ形で操作できるので、誰でも取り入れやすい点が大きいですね。

デメリットは情報が埋もれてしまうというところだと思います。LINE WORKSの特性上、LINEと同じように情報は流れていってしまうので、特定のメッセージを固定できるピン留め機能などを使って工夫する必要はありますね。当法人でも活用を始めて1年程なので、使いながらブラッシュアップしていきたいと考えています。

「良いものは取り入れる」まずは試してみることが大切

――今後の展望を教えてください。

法人として3つ考えています。1つ目はICT化の推進です。介護の現場で、ICT化は今後もっと取り入れる必要があると考えています。今回のような社内コミュニケーションツールを皮切りに、見守りロボットの導入なども進めていきたいですね。2つ目は多様な人材の活用です。現在、外国人技能実習生を積極採用しています。今後も外国人技能実習生を含めたさまざま人材が一緒に働ける環境を作っていきたいです。3つ目は、多様な働き方の採用です。副業・兼業を認めることや、パラレルキャリアの形成ができるように、法人内でもさまざまな働き方を実現していきたいと考えています。

――他事業者へアドバイスなどあればお願いします。

何事も挑戦してみることが大事だと思います。それぞれの課題に合わせたツールを、まずは使ってみて見極めていくことが必要ではないでしょうか。社内コミュニケーションツールの中でも特にLINE WORKSはLINEを使っている人ならすぐに操作ができますし、ICT化など新しい取り組みに抵抗がある事業所でも導入しやすいと思います。今後はコミュニケーションツールを活用して、介護事業所同士の連携も図れるようになるといいなと思っています。共通のツールを活用することで、社内だけではなく、業界全体でも情報伝達の効率化ができるのではないかと思います。FAXを送るなどの手間を解消し、1人の利用者さんに対して、施設・ケアマネージャー・ご家族などでグループ作って、その中で情報共有していけるような状態が作れたらいいですよね。

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